水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

ビオトープとメダカと水生園芸

ビオトープに関する書籍が話題となり、ビオトープ・ブームが来ようとしている。 著者が人気な方であったこともゆえんのひとつではあろうが、装丁や内容も程よくライトでかつ抑えるところは押さえている、好印象な本であった。新しいことを始めるには「やって…

忘れ去られた水生穀物、葟子

狩猟採集生活に注目が集まっている。 野草採取系Youtuberや狩猟系Twittererが人気を集め、とんでもないようなゲテモノを含めて様々な動植物が食卓に上る(?)ようになった。 これは日本の不景気による文化衰退および、農業生産力の低下が末期的となり、つい…

簡単かつ安価な水草水槽を目指して

水草を趣味とする人間は非常にすくない。 時折、(あくまで水草関連で知り合った人ではなくて)水草も買いますという人に会うが、そうした人のほとんどは「数週間でダメになるので新しく買ってくる」というパターンであり、ちゃんと育てられている人に会うこ…

日本産水草が好きなわけではなくて

私を日本産水草の人と思っている人が結構いると思うけれど、あくまで私が好きなのは水草であって、そこにロカリティはさほど関係がない。熱帯の水草があればそっちのほうが、もちろん好きだ。南米やアフリカ、インド、ヨーロッパなどなど、海外の水草は本当…

ツツイトモ

狭葉性ヒルムシロ属の紹介、第二弾はツツイトモにしようと思う。 ツツイトモは絶滅危惧II類とかなり高ランクに位置付けられているものの、出会う機会がそこまで少ないかと言われるとそうでもない。皇居のお堀や井の頭公園の池などに出現して話題になることも…

誤った名称で市販されていたヒゲスジヌマハリイ

ヌマハリイ類を探してGWは粘ったのだけど、よくわからない幼弱個体と残りはコツブヌマハリイとオオヌマハリイだった。(スジヌマハリイやヒメハリイ、クロハリイあたりが見たかったのだけど…) 意気消沈しながらホムセンの熱帯魚売り場をぶらぶらしていると……

誤った名称で市販されていたヒゲスジヌマハリイ

ヌマハリイ類を探してGWは粘ったのだけど、よくわからない幼弱個体と残りはコツブヌマハリイとオオヌマハリイだった。(スジヌマハリイやヒメハリイ、クロハリイあたりが見たかったのだけど…) 意気消沈しながらホムセンの熱帯魚売り場をぶらぶらしていると……

ウォータースプライトは何者なのか

ウォータースプライト、アメリカンスプライト、ベトナムスプライト、ラオススプライト…さまざまなスプライトがある。ウォーターファンもまた、スプライトの一種であるし、日本の水田で普通にみられるヒメミズワラビもまた、どうみてもスプライトである。さて…

ミカワスブタと呼ばれている植物について

栃木県においてミカワスブタと呼ばれている植物がある。かれこれ見つかってから20年以上そう呼ばれているし、そう呼ぶことに納得がいっているので、私もそれに準じてそう呼んでいる。 分布域ははっきりしていて、その種だけが多産する地帯があり、その周辺部…

春の微細水草たち

3月後半から5月初めにかけて現れる微細な水草たち。春先に水が引くと水際に出現する。 気にしてみると微妙に必要とする条件が違う様で、面白い。 アズマツメクサ 条件は「20度前後で適度な湿度がある裸地」と思っている。発芽は水上で出るため、水が引いてす…

イトモ Potamogeton berchtoldii

最初に紹介する狭葉性ヒルムシロ属はイトモである。 イトモほど誤って理解されている水草も多くはない、と言いたいが水草は大抵誤って理解されている。そもそもネーミングセンスが最悪である。イトモは確かに細いが、糸のよう細葉系ヒルムシロ属はミズヒキモ…

狭葉性ヒルムシロ属の混沌

狭葉性ヒルムシロ属こそ最もわけのわからない水草であり、身近に潜む水草最大の闇である。 狭葉性ヒルムシロ属について なぜ狭葉性ヒルムシロ属は混沌なのか? ・形態がよく似ている ・花と果実が特徴に乏しい ・条件により大きく形が変わる ・花が咲かない …

本物のポタモゲトン ガイーについて

ポタモゲトン ガイーとして流通している水草がある。 しかしながら、流通する水草は真のPotamogeton gayiとは大きく異なるものである。 真のP. gayiはFlora neotropicaの図を見る限りヤナギモというよりもセンニンモに似た植物で、葉は3.2~6.5㎝×2.5~4.5㎜…

「新種」を買う前に

新種、魅力的な響きかもしれない。 少なくとも、アクアリウムや珍奇植物、ジメジメ系業界においては新種!ほど客の興味を引く売り文句はないようにすら思える。 しかし、私はそれがひじょうに腹立たしく思えて、反吐が出るほど嫌いだ。 私は科学者ではないが…

ワイルド品に関して

ワイルド品、というものに関する印象が気になっている。 先日も南西諸島での野生生物の採集・販売行為や、南アフリカの生育に何百年も要する砂漠性植物の乱獲が話題になったところであるが、日本において「ワイルド品」はどのように認知されているのだろうか…

世界最大の水草は何か?

世界で最も豪華な水草はやはり、オオオニバスだろう。さすがに直径3mにもなる円形の葉を何枚も、場合によっては何十枚もつけ、巨大な花をつけられては太刀打ちはできまい。オニバスもときに直径3m級にもなるというが、花が小さいのでひとまず勝者はオオオニ…

水草レイアウトについて

水草を楽しむうえでもっとも有名なのが、水草水槽であろう。 はじめに、水草水槽と水草レイアウトは同義ではない。水草水槽とは水草を育てるための水槽であって、水草レイアウトは水草で作った芸術である。だからストック水槽も立派な水草水槽であるし、ナヤ…

オテリア フランシスカおよびオテリア コリンガの正体

アクアリストの間で“オテリア フランシスカ”として紹介された水草がある。 久しぶりにブラジル中央高地に採集に行く。 | Aquarium Pescador 先が尖った心臓形の水中葉をもち、強光のもとでは赤みを帯びる、エキノドルス似の沈水葉をもつ植物である。ブラジル…

Sagittaria sprucei

「水草おもしろ話」の記述を見て思いを馳せながら、この草はなんだったのだろうと検索している。今回はp.185 「褐色のネグロ川に水草を追う」に出てくるオモダカ科に関して。 1998年3月、川幅5mほどの湿地の入り口の水路にて確認されたオモダカ科である。点…

タイヌビエについて

タイヌビエについて今回は語ります。え、水草じゃないだろって?いや雑草でしょ、といろいろ飛んできそうですがタイヌビエは水草ですしめっちゃ面白いんですよ! イネに化ける タイヌビエという、水田地帯ではごくありふれた水草がある。秋になって水田が実…

インテリアグリーンの最適解は水草である

植物ブームであるらしい。 珍奇植物と称して多肉植物や塊根植物に大変な金額が注ぎ込まれたり、熱帯雨林の植物がすごい値段で取引されたりしている。特に、水槽に何も生き物を入れずに、水も張らずに、植物だけを育てるという趣味がある程度市民権を得つつあ…

キタミソウ

今年も春がやってこようとしている。 関東の冬は厳しい乾燥に襲われる。川の水位は2-3m下がることもざらであり、調整池は干上がる。人間の活動により関東の川は富栄養化を極め、水が引くとまるで泥干潟のようにヘドロが剥き出しになる。 すると、キタミソウ…

沈水性水草の越冬

春が近づいてきた。しかし関東の冬はまだまだ、水草に厳しい。 雨がほとんど降らない。水位がどんどん下がる。小さな水域はどんどん干上がる。 大型の水域の多くは水質が汚染されており、もはや浮葉植物すら生存を許されない。川や池など外部に繋がっていた…

怪奇現象II

イオン交換樹脂を沈めた水道水ボトルは今日も奇怪な数値をたたきだしている。沈めて24時間が経過したので、流石に安定しているだろう(これ以上必要なら、実用性が全くない) まぁ毎回少しずつズレもあるのだがだいたい、かなりのスピードで数値が上がってい…

怪奇現象

純水用イオン交換樹脂というのを、清水の舞台から飛び降りるつもりで買ってみた。陽イオンをH+に、陰イオンをOH-に交換してくれるというスグレモノで、硬水に悩まされる関東のアクアリストには救世主と言っていいほどいい、それでホシクサ類だろうがなだろう…

「なんとかリウム」の本当の意味

「○○リウム」が氾濫している。 しかも「○○リウム」が本来何を意味しているのか分からないまま作品を作っているのが殆どではないか。なんだ単語の定義くらい、と思われるがこれは重大事である。なぜならこれら「なんとかリウム」はラテン語を嗜むことを権威と…

次にくるヒット水草

2022-2023年にかけて様々な新しい水草が導入されたり、再注目されました。しかしながらその殆どはまともに紹介されることもなく、多くのアクアリストは存在すら知らないのではないでしょうか? その中で、私のイチオシを挙げてみようと思います。 パラグアイ…

上陸、そして暗雲の中へ

某アクアリウム専門誌がまた上陸した特集を組んでいる。 「上陸」がアクアリウム業界になんのメリットももたらさないことは以前の記事でも書いた。巨大な園芸市場に吸い取られるだけである、と。 しかしながらもっと根本的な問題もある。 「上陸した人たちは…

融雪プールの水草、Howellia aquatilis

キキョウ科の水草というとロベリア・カージナリスしか頭に浮かばない人がほとんどだと思います。というかダッチアクアリウムが駆逐されつつある現状ではロベリアも知らない人が多いかも…。しかし、キキョウ科にはかなり水中傾向が強く、ほぼ沈水植物といえる…

世界の水生植物 (世界の水草リスト)

世界の水草を属レベルでリストにしました。 ベースは田中(2012)異端の植物「水草」を科学する 巻末にある、Cook(1999)の一覧をベースにした一覧表ですが、これに含まれていない属を補完し、シノニムとなっている属を統廃合し、アクアリウムでの利用例が…