水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

世界の水生植物 (世界の水草リスト)

世界の水草を属レベルでリストにしました。

ベースは田中(2012)異端の植物「水草」を科学する 巻末にある、Cook(1999)の一覧をベースにした一覧表ですが、これに含まれていない属を補完し、シノニムとなっている属を統廃合し、アクアリウムでの利用例があるものとないもの、海産と陸水生に分け、湿生~抽水性、浮葉性、沈水性のなかから沈水適応を確認できるもののみマーキングしました。

*をつけたものはCookが水草として挙げなかったもの(したがって多くの著者が水草としてのカウントをしていないもの)、@がついているものははっきりとした沈水葉を確認できている(耐えているわけではない)もの、!は流通があり購入可能なもの、+は海草です。

目レベルは和名→学名、科レベルは学名→和名、属レベルは学名+アクアリウムOR園芸でよく用いられる通称としています。何か理由があるわけではないです。

コケ及びシダに関してはまだ手を加えるのが追い付いていません。

 

 

このリストにおける水草の定義

このリストの大元となったCook(1999)では

To avoid confusion, I would like to define these secondary aquatic plants as all Bryophytina (mosses, liverworts, hornworts), Pteridophytina (ferns and fern allies)
and Spermatophytina (seed-bearing plants) whose photosynthetically active parts are
permanently or, at least, for several weeks each year submerged in water or which float
on the surface of water. 

と書いています。つまりコケ植物、シダ植物、種子植物であって、光合成活性をもつ部分が数週間以上沈むか水面に浮かぶもの…ということです。そのため、水中発芽能力を持たないなどの種も含めています。

また、水中で生育はしないものの数か月水中で待機する能力を持った種で、特筆すべきものは私の独断と偏見により、(参考)や(?)をつけてリストに加えました。

 

コケ植物

非常に多くの水生種が知られている。いっぽうで特殊な環境下では多くの陸生種が水中でも生育可能であることも知られている。たとえば南極では多くの陸生種を含む様々なグループのコケが湖底から知られている。(リンク 2. 南極湖沼のコケ植物相(セミナー「低温と生物」)

参照)このように、どこからが水生とみなすかは非常に難しい問題と言える。アクアリウムプラントとしても、本来水生とはいいがたい種が多数利用されているのが現状である。

 

ゼニゴケ目 Marchanitiales

Ricciaceae リシア科

Riccia @!

多くの種が湿性。一部沈水性。

代表的な水生種 ウキゴケ類(Riccia fluitans種群)

「リシア」として知られるウキウキゴケ Riccia fluitansおよびその近縁種が水中に生育し、水田や湧水水路、庭先の湿った地面などでみられる。アクアリウムプラントとしては天野尚により偶然に「発見」された。野外で採集したマツバイ Eleocharis acicularisに偶然混入していて、水中で生育したものらしい。

ウキウキゴケには酷似した近縁種があり、幅や生育する環境が異なる。それらの多くもまた、水中で栽培できる。

知る限りでは、ウキウキゴケと形状が大幅に異なる水生種は確認できない。

Ricciocarpos !

1属1種、湿性/浮性

イチョウウキゴケ Ricciocarpos natans

唯一の浮草として生育するコケ植物であり、水田などでみられる。珍しいと言われがちだが水田での発生期間が短いだけである。多くの個体は短命で、一斉に蔓延ったあと衰退して消えてしまうことが多い。しかし長期間栽培できる個体もいるようだ。実は水上でも栽培できる。水上での姿はハタケゴケの仲間に酷似している。

 

Pelliaceae ミズゼニゴケ科*

Pellia*@!

湿性〜沈水性

代表的な水生種 ホソバミズゼニゴケ Pellia endiviifolia

本物のPelliaは滅多に流通・栽培されていない。ミズゼニゴケとして流通する植物の多くに関して、Pelliaでないことはわかるが正体不明に近い。ミズゼニゴケとして流通する謎の植物には複数種あり、そのうちの少なくとも一つは実はシダ植物の前葉体である。

栽培は可能だが高水温に弱く、やや扱いにくい面を感じる。湧水河川の水中にやや普通にみられ、暗緑色の辺縁部が独特な光沢をもつことで容易に見当がつく。特異な色彩が魅力的なコケであり、水温をやや低く、CO2添加を十分に行えばもっと楽しめるだろう。

 

ウロコゴケ目 Jungermanniales

日本でも複数種が水中でみられる。日本でみられる種に関して、下記のリンクが非常に参考になる。

冬に見るコケ 2 水辺近くのコケ - Satoyama, Plants & Nature

Jungermannia*@

ヒロハツボミゴケ J. exsertifoliaなどが湧水中にときにみられる。

Chiloscyphus*@!

フジウロコゴケC. polyanthosが全国の湧水中にふつうにみられる。アクアリウムプラントとしても栽培が可能で、時々流通している。

Lejeunea*@

サワクサリゴケ L. aquaticaが渓流で時々見られる。

 

ダンゴゴケ目 Sphaerocarpales

Riellaceae リエラ科

Riella @

全て沈水性。

水たまりに発生する水生コケ。極めて稀な種であり、しかも普段水がない場所に水が溜まると速やかに発生し水がなくなるとともに消滅することが殆ど。草姿は極めて独特であり、立ち上がる"茎"から葉状の構造が左右交互、ときに連なって螺旋階段状につく。アクアリウムでは今のところ使われていない。

 

ハイゴケ目 Hypnales

Amblystenageae ヤナギゴケ科

Amblystegium *!

A. serpensアクアリウムプラントとして流通する。この種は湿った地面や倒木上に生育しふつうは沈水性ではない。その他A. variumなど沈水で生育することがあるものも含むため、リストに加えた。ヤナギゴケに関してはLeptodictyumを参照。

Cratoneuron @ 

湿性〜抽水性、ときに沈水性

代表的な種 ミズシダゴケ

ミズシダゴケは湿地の水際で水面から立ち上がって育っている姿がよく見られる。名前とは裏腹にそこまで水中が好きな種ではない。ただ水中で生育することは可能であり、アクアリウムプラントとしても同名のものが流通する。ただし本当にそれなのかは不明。

Drepanocladus 

湿性〜抽水性、ときに沈水性

カギハイゴケ属は湿地で見られることがある。アクアリウムでも一部の種が用いられているとのことだが、同定は確認できていない。

Hygrohypnum@

渓流沿いに生育、ときに沈水性

H. closteriは沈水性だが分類にやや問題があるようで、将来的には他の属に移動される可能性もある。

Leptodictyum@!

湿性・沈水性。世界中に分布。

代表的な種 ヤナギゴケ(バブルモス)L. riparium

水中に生育する代表的なコケ。日本ではやや水温が高めの湧水水路でよく見かける。葉は鋭く尖り、アクアリウムで用いられる多くの“ウィローモス"とはかなり雰囲気が異なる。

環境の変化にやや弱く、水槽環境への慣らしに手間取ることが多い。にもかかわらず、しばしば「国産ウィローモス」として採集品が流通する。Amblystegium ripariumはシノニム。

Platyhypnidium@!

アオハイゴケPlatyhypnidium riparioidesが渓流沿いや手水の常に水がかかる場所や水中でよく見られる。低水温を好む印象があるが真偽はよくわからない。水中へ慣らすことはやや難しいが、栽培は一応可能。野外では丸みを帯びたコケとしては頑丈な葉が密につくことがよく目立つ。

*Platyhynidiumはスペルミス。

Vittia

南米を中心に一部の種が南アフリカに生息する。SciaromiumはVittiaに移行した。*Sciaroniumはスペルミス。

Warnstorfia@

湿性〜抽水性、ときに沈水性

Warstorfia fluitansが有名。本種は高緯度地域の低pHの水中に生育し、阿寒湖や屈斜路湖ではマリモならぬマリゴケを形成して漂着する。

 

Hypnaceae ハイゴケ科

現状非常に分類が混沌としており、現在属が大幅に再定義されつつある。詳細はリンク参照

https://www.jstage.jst.go.jp/article/bryologicalresearch/12/6/12_149/_pdf

Bryocrumia*

コサジバゴケG. vivicolorは現在Bryocrumiaに含まれており、水没した岩上からの記録があるため加えた。 *Glossadelphusは現在無効。

Ectropothecium*@

ニブハタケナガゴケE. obtusulumは流水中の水中に生育することが知られる。ウシオゴケ属とされているもので水生種はこの種のみであるが、この属の定義を含め分類は混沌としている。

Pterogonidium*

Potamium pulchellumは沈水性であるが、Pterogonidium属に移され、その後ハイゴケ科に移された。

Taxiphyllum*@!

古くよりアクアリウムで「ウィローモス」として利用されているものがミズキャラハゴケT. barbieriと同定されたが、その後流通が混乱したこともあり現状では名前だけが独り歩きしている。ミズキャラハゴケに関しての詳細はリンク参照

https://www.jstage.jst.go.jp/article/bryologicalresearch/9/11/9_KJ00008988901/_pdf

https://www.jstage.jst.go.jp/article/koke/3/5/3_KJ00009029196/_pdf

Vesicularia @!

多くの水生種が知られているが分類がかなり混沌としている。フクロハイゴケ類似種が古くからアクアリウムで用いられているようだが(ヤマサキ水草園では「ジャワモス」とのこと。)

Hypnum* @!

ハイゴケはアクアリウムで栽培可能である。CO2を多めに添加すれば多くのコケは水中栽培可能である。

 

Cryphaeaceae イトヒバゴケ科

Cyptodon

情報集め次第加筆します。

Dendrocryphaea

南半球に主に生育する。おもに季節性に水没する木や石に着生する。

 

Mniaceae チョウチンゴケ科

Rhizomnium*@!
Plagiomnium*@!

ケチョウチンゴケR. tuomikoskiiやツボゴケP. cuspidatumなどのチョウチンゴケ科が水中で生育するのを渓流域でよく見かける。水中でも栽培が可能であるが、葉は萎縮しがち。

 

Fontinalaceae カワゴケ科

Brachelyma

北米東部に生息。1属1種で、Brachelyma subulatumのみが知られる。半水生である。

Dichelyma

水生とみなされることがあるが半水生とのこと。

Fontinalis @!

沈水性.カワゴケ、クロカワゴケ、オレゴンリバーモスなどがアクアリウムでも流通する。一年中水が絶えない清浄な水域でしかみられず、水路の状態の指標になる。水槽に慣らすのはかなり難しい。

Sematophyllaceae ナガハシゴケ科

Hydropogon

1属1種。Hydropogon fontinalioidesが南米にのみ分布する。沈水性。

Hydropogonella @!

沈水性、南米にのみ分布する。1属1種で、Hydropogonella gymnostomaがパンタナルウィローモス、ないしマナウスウィローモスとして流通し、海外ではQueen's mossとして流通する。アクアリウムで流通するコケとしては珍しく、同定がはっきりしている。

 

シッポゴケ目 Dicranales

Fissidentaceae ホウオウゴケ科

Fissidens @!

ホウオウゴケ属は極めて多くの種を含み、少なくとも一部の種は水中で生育・栽培可能である。属内の分類は極めて混沌としている。

 

Dicranaceae シッポゴケ科

Wardia@

Wardia hygrometricaが南アフリカのケープ州に知られる。一属一種。

ミズゴケ目 Sphagnales

Sphaginaceae ミズゴケ科

Sphagnum @

湿性のイメージが強いミズゴケだが、高緯度地域ではしばしば沈水で生育する。特に水生傾向の強いものとして、ハリミズゴケが有名。

 

小葉植物

維管束植物のなかで最初期に分岐した群である。ミズニラ目、ヒカゲノカズラ目、イワヒバ目の3群に分けられる。ヒカゲノカズラ目およびイワヒバ目もしばしば水草として流通するが、短期間耐えるとはいえ水生といえるものは知る限りない。

ミズニラ目 Isoetales

Isoetaceae ミズニラ科

Isoetes @!

小葉植物としては唯一の水生種を含む属である。ほぼ全種が水生で、水上葉をもたないものもある(ヒメミズニラなど)かなり多くの種があるが概形では判別が困難なことが多く、おもに塊根の分岐と胞子の形態により識別される。

 

大葉シダ植物

小葉植物以外のシダ植物を指す。種子植物と姉妹関係にある。トクサ類、マツバラン類、真正シダ類に分けられる。水生種を含むものはトクサ類と真正シダ類、沈水性の種を含むものは真正シダ類だけである。

 

トクサ目 Equisetales

Equisetaceae トクサ科

Equisetum !

ミズトクサ E. fluviatileは抽水性。その他イヌスギナやヒメドクサなど、多くの種が抽水状態で生育でき、水生園芸植物として市販されている。ときに国内ファームの水草に混じって入っていることもある。沈水性の種はいない。

 

サンショウモ目 Salviniales

Marsileaceae デンジソウ科

マルシレア Marsilea @!

デンジソウの仲間。四葉のクローバー状の葉をつける。多くの浮葉~抽水性種を含むが、一部のものは水中葉を形成する。

ベトナムクローバー、ムチカ、ウォータークローバー、ヨーロピアンクローバー、デンジソウなどが流通する。

ピルラリア Pilularia @!

デンジソウに近縁だが葉は棒状。

Pilularia globuliferaが流通する。

レグネリディウム Regnellidium !

デンジソウに近縁だが葉は2枚。

かつて流通したが現在国内では見当たらない。アメリカやタイでは流通がまだあるらしい。

Salviniaceae サンショウモ科

サルビニア Salvinia !

全て浮草。葉状の浮葉と根状の水中葉のセットが連なる特異な形態をしている。サンショウモ、オオサンショウモ、サルビニアククラータ、サルビニアオブロンギフォリア、サルビニア ミニマなどが流通する。

アゾラ Azolla 

アカウキクサの仲間。アクアリウム用に流通することはない。

 

ウラボシ目 Polypodiales

Pteridaceae イノモトソウ科

ケラトプテリス Ceratopteris @!

ウォータースプライト、ミズワラビ、ウォーターファンの類。隠ぺい種が複数いることがわかっており、今後種類がある程度増えることだろう。

関連リンク

ウォータースプライトは何者なのか - 水草オタクの水草がたり.

 

Polypodiaceae ウラボシ科

レプトキルス Leptochilus @!

ミクロソリウムLeptochilus pteropusは現在本属に含められる。アクアリウムで扱われる着生シダの多くがL. pteropusとされる。

関連リンク

ミクロソリウム・プテロプスはミクロソラムですらない!?”Java fern”はジャワファンではない⁉ - 水草オタクの水草がたり.

 

Blechnaceae シシガシラ科

ブレクナム Blechnum !

Blechnum obtusatum var. franciiは水中で生育する。

 

Dryopteridaceae オシダ科

ボルビティス Bolbitis @!

熱帯アフリカのBolbitis heuderotiiは野生下でも水中に生育し、アクアリウムプラントとしても「ボルビティス」として非常に広く扱われている。その他、ヘツカシダの類もたびたびアクアリウムプラントとして紹介されているが、水中適応は限定的か、していても著しく成長が遅いものが多い。

 

裸子植物

Podocarpaceae マキ科

Retrophyllum !

Retrophyllum minusはあきらかに抽水性。発芽初期は水中で成長するようだ。R. comptoniiに酷似する水生の株も確認されるというが、ここではそういった株もR. minusとしておく。ごくごくわずかに稀ながら流通がある。

 

Cupressaceae ヒノキ科

ヌマスギ属 Taxodium !

ラクウショウ(ヌマスギ)Taxodium distichumは抽水状態で生育できることから水生木本と考えられる。おそらく世界最大の水草と言えるだろう。苗の流通が時々ある。公園によく植えてあるが、帰化していることもある。数か月レベルの水没に耐性があるという(関連リンク参照)

関連リンク

世界最大の水草は何か? - 水草オタクの水草がたり.

https://www.frontiersin.org/journals/plant-science/articles/10.3389/fpls.2024.1355729/full

スイショウ属 Glyptostrobus*(!)

スイショウは抽水で生育することがあり呼吸根をもつなど水辺への適応が見られるため、ここに含めた。亜熱帯性であり国内での流通はかつてあったが現在ほとんどなく、植物園で見ることもない。ちなみに、国内からも化石が出ており, 琵琶湖博物館に展示されている。

 

スイレン目 Nymphaeales

Hydatellaceae ヒダテラ科

Trithuria @

最も原始的な形態の被子植物。一科一属でオーストラリアに十数種が自生するが、どれも湿生~水生。針/糸状の葉からなるロゼット性で、外見はホシクサ科やカヤツリグサ科ハタガヤ属、サンアソウ科カツマダソウ属などに非常によく似ている。特にカツマダソウ属とは極めてよく似ており、学術記録やハーバリウムに保管されている標本にすらドーンレッドは本属もしくはカツマダソウ属ではないかと言われたが、どうやらカツマダソウ属のほうであるらしい。カツマダソウ属に沈水で生育できるものがいたことにも驚きである。その後ヒダテラの名を冠した水草がかなり多数紹介されたが、分布域や形態からそのすべてが本物のヒダテラ科ではない。

沈水葉をもつ植物であるが、オーストラリアのアクアリストを含めても栽培例を聞かない。よって、10種以上いるにもかかわらずアクアリウムでの流通種数はゼロであり、流通歴もゼロである。

以上のことから特筆すべき植物でありかつ野生でも水中で生育するにもかかわらず、ほとんど栽培情報がなく、水槽での写真も見たことがない。水槽写真は全てCentrolepisである。

 

Cabombaceae ハゴロモモ科

カボンバ Cabomba @!

カボンバ属は南北アメリカに数種が知られる。和名はフサジュンサイもしくはハゴロモモ。C. aquaticaなどに複数の隠ぺい種があるため、種数は断言しがたいが今後増えていくと思われる。沈水葉を主体とするが、開花の直前のみ浮葉をつける。同定形質は浮葉および花であるため、アクアリウムプラントとして流通する様々なカボンバが何に対応するかは難しい問題である。ほとんどの種において栽培には独特の癖があり、種や株によって異なる工夫が必要になる。消費利用されがちな水草だが、これほど「植物と会話する」必要がある水草もそうそうない。条件がなんとか合えば爆発的に増えてくれる。

現在流通するのはイエローカボンバC. aquatica, カボンバC. caroliniana, レッドカボンバC. furcataの三種が基本であるが、他に同定に悩む複数種が流通している。分類には課題があるように感じる。

関連リンク

カボンバのはなし1 - 水草オタクの水草がたり.

ジュンサイ属 Brasenia !

ジュンサイ。1属1種であり、世界中に広く分布している。カボンバに近縁だが沈水葉も浮葉と同様の小判型である。食用として利用することで有名。少し洒落た日本料理店などに行くと出てくるし、高級めのスーパーやデパートでは水煮が売られている。東北地方では食用に栽培されており、栽培池が様々な水草の聖地となっているとか。

 

Nymphaeaceae スイレン

ニムファ スイレン属 Nymphaea @!

スイレン属。おもに浮葉性、一部の種は沈水性、湿生。日本に分布するのはヒツジグサのみだが世界中に分布し多種多様な種を含む属であり、いくつかの亜属に分けられる。形態も多種多様であり、根茎をのばすもの、ランナーで増えるもの、種子でしか増えないもの、花から子株を吹いて増えるもの、葉の中心にムカゴをつけるものなど極めて多種多様である。葉の形状も様々であり、いわゆるスイレンのような浮葉をつけるものからNymphaea purpureaのように細長い沈水葉のみをつけるものまである。多種多様な種を含み、花も豪華なことから一部の亜属に関しては品種改良が盛んである。

5つの亜属がある。ごくごくザックリいうとこんな感じ。

Nymphaea subg. Nymphaea ・・・温帯スイレン

Nymphaea subg. Brachyceras・・・昼咲き熱帯スイレンの大部分

Nymphaea subg. Anecphya・・・昼咲き熱帯スイレン(オーストラリア)

Nymphaea subg. lotos・・・夜咲き熱帯スイレン(旧世界)

Nymphaea subg. Hydrocallis・・・南米の夜咲き熱帯スイレン

園芸で用いられるのはおもに上の3つ、アクアで用いられるのはおもに下の2つ。

関連リンク

原種温帯スイレンについてのざっくりとしたメモ - 水草オタクの水草がたり.

ヒツジグサ節 Nymphaea sect. chamaenymphaeaについての、簡単なメモ - 水草オタクの水草がたり.

熱帯アジアに分布するホシザキスイレン Nymphaea nouchaliについて - 水草オタクの水草がたり.

バルクラヤ (バークレア)Barclaya @!

沈水性~抽水性。概形はサトイモ科のクリプトコリネ属に似ており、分布や生息地もかなり共通点が多い。実際、しばしば混生する。東南アジアの熱帯雨林中の水溜まりや小河川に生育。ほとんどの種はブラックウォーターの止水~緩い流れに生育するが、B. longifoliaのみは透明度の高い流水に生育する。B. longifoliaは栽培が容易だが、他の種に関しては栽培方法が未確立である。

関連リンク

バークレア栽培情報 - 水草オタクの水草がたり.

オニバス属 Euryale !

1属1種。オニバスのみを含む。「オオ」という名がついていないがオオオニバスとサイズはほとんど変わらず、世界最大の水草の一つである。各地の個体群が消滅しかけており、現存するといわれる場所も多くが半栽培下といってもいい状況である。栽培に関しては個体群によっては鉢サイズに合わせて小型化するため、比較的容易な部類に入るらしい。

関連リンク

作物化されたオニバス - 水草オタクの水草がたり.

世界の水草食 - 水草オタクの水草がたり.

水草の食用方法に関する情報 - 水草オタクの水草がたり.

オオオニバス属 Victoria !

オオオニバス。いわずと知れた世界最大の水草。3種ほどがある。日本でも種子の入手は可能だが、植物園での植栽はともかく、家庭で育てている人は滅多に聞かない。育苗には高水温が必要なようだ。タイなどでは品種改良が勧められている。巨大な水草であるが一年草であるため、実生更新が必要。花は同じ地域に分布するスイレン属ヒドロカリス亜属のものに咲く時期や形態がよく似ており、両者の関係性を指摘する人も時々いるが、どうも遠縁らしく、同じく巨大な一年草であるオニバスと近縁である。

関連リンク

世界最大の水草は何か? - 水草オタクの水草がたり.

オオオニバスの改良品種に関して、メモ - 水草オタクの水草がたり.

コウホネ属 Nuphar @!

コウホネ属。数種~十数種を含む。抽水性~浮葉性~沈水性。日本および北米で多様化している。河の骨と書くようにヒトの脊椎より太い根茎が地下を這いまわる。種類や個体群により沈水性のものから浮葉性、抽水性のものまで幅広い。移植や傷に弱い面があり、できれば実生で動かすべきであろうが、実生苗もまた虚弱で扱いがなかなか難しい植物である。日本のコウホネ類の多様性は世界でもトップクラスであり、ポイント一つ一つに違う植物があるといっていいくらいであるが、河川改修やコイの放流、アメリカザリガニによって多くの産地が危機的な状況にある。

 

 

 

マツモ目Ceratophyllales

Ceratophyllaceae マツモ科

マツモ属 Ceratophyllum @!

マツモ属。すべて沈水性。孤立した珍奇なグループで、一目一科一属数種。同定形質は主に種子だが、葉もある程度の違いがある。分類は難しく、地域変異も案外多い。被子植物の中でも起源の古いグループとされ、その系統的位置づけに関しては原始的であることこそ異論はないものの、さまざまな説がある。世界的に様々な個体群があり、沢山の名前が命名されている。現状では数種に統合されているが、それらの違いを再発見する余地はありそうだ。

 

コショウ目 Piperales

Saururaceae ドクダミ

ドクダミ属 Houttuynia @!

ドクダミ。湿った土地でよく見かけるが水中で生育することもでき、稀とはいえ湧水水路で見かけることもある。水槽内で栽培にチャレンジする人も時々いるが、案外水中で育てることができる。野生下でもときに水中で生育する植物であるため、水草に加えた。ところでコショウ目ドクダミ科はドクダミハンゲショウくらいしかない小さなグループである。

サウルルス Saururus @!

ハンゲショウハンゲショウおよびアメリハンゲショウ(サウルルス)が流通する。

ともに自然下では抽水植物で、アメリハンゲショウは水中で栽培可能である。葉柄の色が異なる2タイプ及び、改良品種が僅かに流通している。アジアのハンゲショウもおそらく水中で栽培可能と思われるが、私はやったことがない。

 

ショウブ目 Acorales

Acoraceae ショウブ科

アコルス Acorus !

ショウブ、セキショウの類。奇妙な植物であり、目レベルで孤立したグループとされる。一目一科一属、世界に数種しかいない。マツモと同じく、古いグループであることは異論がないものの分類上の位置づけには諸説ある。

 

オモダカ目 Alismatales 

Araceae サトイモ

多くの属をここに含めたが、野生下で常に水没して育つ種はCryptocoryneおよびJasarum、一部のSchismatoglottis、Lemnaの一部、Wolffiellaの一部のみである。渓流植物として多様化しており、一時的な水没耐性だけでなく水中での生育能力を持った種が多い。抽水性のものも多く、食用に供されるサトイモ Colocasiaも野生下では抽水性である。

アグラオドルム Aglaodorum !

A. griffithiiのみを含む。インドシナ~マレーシア、スマトラ、ボルネオに分布する抽水植物。”アヌビアス ダッキー”として来た植物なのではないかという意見もあるが詳細不明。

Anaphyllopsis 

南米の抽水性サトイモ科。

アヌビアス Anubias @!

古くから知られる熱帯アフリカの渓流性植物。アクアリウムプラントとしては最も有名な部類に入るかもしれない。

 

ブケファランドラ (ブセファランドラ)Bucephalandra *@!

渓流性。ファンが多い。

カラジューム Caladium !

カラジューム。園芸ではおなじみの南米産サトイモ科で、季節性に水没する場所にも生える。アクアリウム用に売られることもあるがあくまで湿生~抽水植物

ヒメカイウ属 Calla 

ヒメカイウのみを含む。北方系の抽水性植物で、日本にも遺残種として現存する場所が全国に点在している。有毒植物であるが非常時に食用にする文化が各地にあったようで、点在する産地は古代に意図的に植栽されたものである可能性も否定しがたい。

「カラー」として知られるオランダカイウは現在、Zantedeschia属である。

コロカシア Colocasia !

サトイモをはじめ、最も身近なサトイモ科。本来は抽水植物であり、沖縄の田芋がもっとも有名である者の、熱帯地域では他にもさまざまな品種がおもに水田で栽培される。芋を食べるイメージが強いが、葉を食用にする品種も多い。

クリプトコリネ Cryptocoryne @!

南アジア~東南アジアに広く分布する沈水性~湿生のサトイモ科。60種以上を含む大所帯であり、マニアが多い。

キルトスペルマ Cyrtosperma !

巨大な湿生~水生植物であり、種によっては高さ5mを超える。バナナやTyphonodorumとならび、最大級の草本のひとつである。東南アジア及び太平洋の諸島では茎内部のデンプンをとるため伝統作物として栽培されており、地下水脈まで掘り進めてそこに植えるという奇抜な栽培方法がとられている。

Dracontioides 

ブラジルに分布する抽水性サトイモ科。サトイモ科のなかでもとくに、コンニャクに近い。同じくオモダカに似た草姿や生態をもつUrospathaに近縁だが、別属とされている。葉にあいた穴がチャームポイントだが、背丈2mを優に超える巨大な植物。

コンニャクイモ属 Dracontium*

Dracontium margaretaeは抽水性とされる。

Jasarum @

南米北部に分布する完全沈水性のサトイモ科。南米の水生サトイモ科は(ボタンウキクサと旧ウキクサ科を除き)他に知らない。草体はクリプトコリネに極めて似ており、同様に林内のブラックウォーターに生育する。

ラゲナンドラ Lagenandra @!

インド亜大陸に分布するクリプトコリネによく似た属。野生下では抽水性であるが、すくなくとも一部の種は沈水葉をもつ。アクアリウムプラントとしてADAが激押ししている。

ラシア Lasia !

アジア及びニューギニアに2種が分布する大型の抽水性サトイモ科。ミズヤツデ L. spinosaは東南アジアを代表する抽水植物と言っていいくらいだが、恐ろしくトゲトゲで危険。需要は不明だがきわめてまれに流通している。怪我に気を付ければ栽培が楽しそうだ。

 

Lasimorpha

西アフリカの抽水性サトイモ科。

ミズバショウ属 Lysichiton !

ミズバショウが含まれる。園芸で流通がある。意外に育てられなくもないようだが個人に育てられる大きさの草ではないためか、外に放逐する人が後を立たない。

モントリカルディア Montrichardia

熱帯~南アメリカに分布する巨大な抽水性サトイモ科。別名モコモコ。3mを超える巨大な草本であり、現存する唯一の種であるM. arborescensの種小名は”木性の”を意味する。

オロンチウム Orontium !

アメリカに分布する抽水性サトイモ科。サトイモ科のなかでもきわめて原始的な種であり、白亜紀からも化石記録がある。イシマキガイ程度のサイズの種子は水流で拡散し、発芽後はしばらくの間、紫色がかった独特な色合いの沈水葉を出す。

ペルタンドラ Peltandra !

アメリカに分布する抽水性サトイモ科。全く姿は似ていないがマダガスカルのTyphonodorumに近縁であり、サトイモ科のなかでも早期に分岐したグループである。

Pistia !

ボタンウキクサウォーターレタス)のみを含む。サトイモ科らしくない姿だが、地味なもののしっかり仏炎苞のある花をつける。サトイモ科としてはきわめて特異な属であるが、化石種にはそれにやや類するものがある。

スキスマトグロッティス Schismatoglottis*@!

S. prietoiは湧水中に群生する。野生下でも水中におもに生育するサトイモ科として、特異な存在である。S. roseospathaなども異型葉をもち、アクアリウムプラントとして使われる。

ティフォノドルム Typhonodorum !

マダガスカルに分布する巨大な水生植物。高さ5mほどになり、バナナやCyrtospermaと並んで世界最大の草本のひとつである。茎のような部分は葉柄が重なった偽茎であり、この点でもバナナとよく似ている。植物園では稀に育てられているが、園芸流通はまれ。

ウロスパサ Urospatha 

中南米に分布する抽水植物。コンニャクに近縁だが、生態も外見もオモダカによく似ている。種子は水面拡散であり、水中で発芽する。ということは、沈水葉があるのかどうか気になるところ…。

個人的に現在いちばん気になっている・育ててみたいサトイモ科植物。これが突き出しているとものすごくアマゾンって感じがする。

オランダカイウ属 Zantedeschia *!

オランダカイウが有名。南アフリカ原産の湿生~抽水植物。かなり水気の多い環境を好み、ハス田や水田に抽水状態で帰化している姿をしばしばみる。

 

サトイモ科(旧ウキクサ科)

アオウキクサ属 Lemna !

アオウキクサが有名。育てているというより悩まされている人が多そうだ。但し、ヒンジモは沈水性である。ところで、ヒンジモは水草レイアウトに最初に取り入れられた水草なのではという説もあるようだ。

ウキクサ属 Spirodela !

ウキクサが有名。アオウキクサに比べるとやや大型で裏側が赤くオシャレ。そのため稀ではあるがわざわざ売られることもある。適当に育てようとすると案外難しい面もある。東南アジアには分裂がなかなかおこらず車輪上というか、独特なコロニーをつくるものもある。

ミジンコウキクサ属 Wolffia !

ミジンコウキクサが有名。世界最小の被子植物である。わりと種数があるのだが、あの簡易的な植物のいったいどこを見分けるのか理解できていない…。精進せねばと思う。日本にいる個体群にもどうやらサイズに2型あるように思っている。

Wolffiella 

ミジンコウキクサと同じく根すらももたないウキクサ。形がヘンなものが多く、玄人好みの水草と言えよう。見てみたい水草のかなり上位に入る。沈水性のものもある。

 

Alismataceae オモダカ

全種が水草であるうえに、複数種を含む属には殆どが沈水性のものを含む豪華なグループ。それでいて奇抜なものも多い。

アリスマ (サジオモダカ属)Alisma @!

代表的な水生種:サジオモダカ、ヘラオモダカ

沈水性の種:Alisma wahlenbergiiなど

ヘラオモダカやサジオモダカが有名。ピンクがかることもあるカスミソウのような花が美しい。抽水性のイメージが強いが、極地には沈水性の種もある。ヘラオモダカも沈水状態で紫がかった水中葉をだしながら長期にわたり生育することがある。

アクアリウス Aquarius @!

代表的な水生種:エキノドルス ウルグアイエンシス、アマゾンソード、ラッフルソード、ラジカンスなど

エキノドルスと言われていたものが多系統であるため、現状(HelanthiumでもBaldelliaでもなく)エキノドルスと言われていたものはE. berteroi以外すべてこの属に含まれる。アクアリウムプラントとして非常にありふれたグループであるが、ごく一部の極めて近縁な種群しかアクアリウムでは重用されていない。煮詰まった部分意外に目を向けることができれば、まだまだ伸びしろがあるといえるアクアリウムのジャンルであろう。

Astonia 

代表的な水生種:Astonia australiensis

クイーンズランド北部に分布する抽水植物。当初LimnophytonとしてAstonにより記載された。びっくり仰天(Astonish)が語源ではない。

バルデリア Baldellia @!

代表的な水生種:バルデリア ラヌンクロイデス Baldellia ranunculoides

ヨーロッパに3種が分布する、旧エキノドルスの一員。日本ではB. ranunculoidesが流通している。ピンクの大輪の花が美しいだけでなく、ブリクサそっくりな沈水葉も見事。

Burnatia 

代表的な水生種:Burnatia enneadra 

アフリカの奇妙なオモダカ科。花弁が退化している。熱帯アフリカに広く分布し、Burnatia enneadraのみを含む。

Butomopsis

代表的な水生種:ブトモプシス ラティフォリア Butomopsis latifolia

Butomopsis latifoliaのみを含む。一属一種であるが広域分布であり、アフリカから東南アジア、オーストラリアまで分布する。花序の形が非常に独特で印象深い。アクアリウムプラントとしては全く流通していないが、育ててみた例では深水中で細長い水中葉および浮葉を出すこともあるようだ。

ハナイ属 Butomus @!

代表的な水生種:ハナイ Butomus umbellatus 

抽水植物。葉は棒状ないし線状である。ハナイ Butomus umbellataのみを含み、しばしばハナイ科に含められるが、オモダカ科に分類されることが近年では多い。広域分布種でありユーラシアの温帯域に広く分布する。

マルバオモダカ属 Caldesia !

代表的な水生種:マルバオモダカ 

浮葉~抽水植物。広域分布のマルバオモダカおよび、数種を含む。マルバオモダカは変形した花茎に多数の殖芽をつける。オモダカ科としては奇妙な性質と言えよう。

Damasonium @

代表的な水生種:Damasonium alisma, Damasonium minusなど

抽水、もしくは浮葉植物。星状の果実が非常に特徴的な属であり、英名はStarfruit。数種しかいないが、案外分布は広い。ヨーロッパのDamasonium alismaのようなイメージが強いが(小型の湿生~抽水植物)、浮葉性の種類も多い。生育初期につける水中葉も面白そうだが、栽培例はほとんど聞かない。

 

エキノドルス Echinodorus  @!

代表的な水生種:セロファンプラント Echinodorus berteroi

Echinodorus berteroiのみを含む。沈水性~抽水性の種で、一年草。水中で生育し、長日条件で抽水葉を出すようになり、その後開花結実して枯れる。かつてはアクアリウムプラントとして一般的であったが、現在ほとんど流通は途絶えている。その他の、かつてこの属に含まれた種は全て他の属に移動させられている。

ヘランシウム Helanthium  @!

代表的な水生種:テネルス Helanthium tenellum 

「地を這うランナーで増えるエキノドルス」としてアクアリウムで扱われてきた種はほぼ全てこの属である。テネルスおよびチェーンアマゾンが有名。

ミズヒナゲシ属 Hydrocleys !

代表的な水生種:ウォーターポピー Hydrocleys nymphoides

米原産の浮葉植物。成長初期はロゼット状であり、ウォーターポピーは変形した花茎で水面を匍匐する。成長の仕方はLuroniumによく似ているが、近縁ではなく収斂進化によるものと考えられる。

キバナオモダカ属 Limnocharis

代表的な水生種:キバナオモダカ Limnocharis flava

熱帯アメリカ原産の多年草で2種を含むが、キバナオモダカは汎熱帯に帰化しており食用に利用される。

リムノフィトン Limnophyton @!

代表的な沈水性種 Limnophyton fluitans

多くの種は両性花である以外オモダカによく似ているが、L. fluitansは沈水性である。アクアリウム用に何回か流通しているが、水槽への馴化および栽培は至難の業である。

Luronium @

代表的な水生種:Luronium natans

ヨーロッパに分布する浮葉植物、ときに沈水植物。Luronium natansのみを含む。成長初期は線形の沈水葉を伸ばすが、次第に浮葉をだすようになる。

 

ラナリスマ Ranalisma @!

代表的な水生種: Ranalisma humile, Ranalisma rostrata

本属の一種がアフリカンチェーンソードとして知られる。が、どちらの種なのかは未検証。R. humileはアフリカに分布、R. rostrataはアジアに分布。R. rostrataはきわめて珍しい種であり、現存する産地はほとんどない。R. humileに関しては広域にある程度分布しているようだ。

サジタリア Sagittaria @!

代表的な水生種:オモダカ、アギナシ、ピグミーチェーンサジタリア、ナガバオモダカなど

広域分布の湿生~抽水、ときに浮葉、沈水植物。オモダカクワイでお馴染みの属。サジタリアと呼ばれているものも(知る限り)みな本属としてよさそうに思う。たかがオモダカであるが、生態は多種多様であり面白い。おもに北米に多くの種類がいる。

ウィエスネリア Wiesneria @(!)

代表的な水生種:Wiesneria triandra, Wiesneria schweinfurthii

インドおよびアフリカに分布する沈水~抽水植物。バリスネリアに似た細長い沈水葉をもち、ランナーで増える。水位が低い場合細長い抽水葉を出す。花もかなり特徴的。かつてインドから少数輸入されたが、届いたものが違っていたものも多かった様だ.流通ルートには現存しない。

 

Hydrocharitaceae トチカガミ

Appertiella 

マダガスカルに分布する幻の植物。近年の発見例はないようだ。

ブリクサ Blyxa @!

スブタの仲間。ブリクサショートリーフが有名だったが、最近アウベルティが人気。ただし本当の多様性は単性花をもつ熱帯の種群にあり、そうした種はいまだにアクアリウムでは扱われていない。

現在アクアリウムで流通するものは殆どがBlyxa alternifoliaであるが、稀に有茎のB. japonicaも流通する。ほかに、ごく近縁な種群で大型のロゼットであるBlyxa auberti、B. echinosperma, B. leiospermaも流通する(*これらはすべて同種とする意見も根強い)。雌雄異株の種はアクアリウムで流通していないと思われる。おそらく。

 

エロデア Elodea @!

Elodea, Egeria, ApalantheあたりはElodeaにまとめる意見が強いため従った。アナカリスやコカナダモ、グレートモスなど”丈夫な”水草を多く含む。しかし現在のソイルを用いた水槽に適しているわけではなく、なめてかかると痛い目に遭いがちである。

現在流通しているものはアナカリス Elodea densa、コカナダモ Elodea nuttali、グレートモス Elodea najas、パンタナルドワーフラガロシフォン Elodea sp.の4種である。海外(ヨーロッパ)ではElodea canadensisが外来種として問題になっている。私はE. canadensisがとても好きなのだが…

ウミショウブ属 Enhalus +

ウミショウブのみを含む。特異な花をもつことからテレビ番組にでるなど、もしかすると最もお茶の間知名度が高い水草かもしれない。

ウミヒルモ属 Halophila +!

ウミヒルモ属。小型で多種多様であり、人工下での栽培も成功例を比較的聞く。日本国内でも地域によっていろいろあって小型なので、ビーチコーミングで拾った漂着個体を押し葉などでコレクションしてみるのも楽しいかもしれない。

クロモ属(ヒドリラ) Hydrilla @!

クロモのみを含む。但しクロモにも個体群によって別種クラスの差がある。国内でも殖芽を付けるものと地下茎に球形の塊をつけるものがあり、花も異なる。南北アメリカでは外来種として問題になっている。

トチカガミ属 Hydrocharis !

トチカガミ属。アクアリウムでは日本に分布するトチカガミとヨーロッパのヨーロピアンフロッグビットが流通している。両者は殖芽の形態が全く異なり、日本に分布するトチカガミHydrocharis dubiaの殖芽は棒状なのに対し、ヨーロピアンフロッグビットH. morsus-ranaeの殖芽は丸い。殖芽をみれば違いは一目瞭然である。

Limnobium属は風媒花であり別属とされてきたが、同属に含める見解がある。この見解に従うと、アマゾントチカガミも本属に含められる。

 

リムノビウム Limnobium

アマゾントチカガミ属。トチカガミ属に似るが風媒花が咲く。北米のL. spongiaと南米のL. laevigatumを含む。海外では両種とも流通しているが、日本で流通するのは知る限りL. laevigatumのみである。国内では2個体群が”ドワーフフロッグビット”と”アマゾンフロッグビット”として流通する。前者はサンパウロ産ではないかと思っているが確証はない。

両者は葉の先端が僅かに尖るアマゾンフロッグビットと、円状のドワーフフロッグビットでかろうじて区別可能。耐寒性があり現在流通が多く、かつ帰化しているのはドワーフのほうではないかと思っている。

 

ラガロシフォン Lagarosiphon @!

主な種 ラガロシフォン マヨール、ラガロシフォン マダガスカリエンシスなど

おもにアフリカに分布するアナカリス似の水草。しかし分類上はバリスネリアおよびナヤスと最も近縁である。トチカガミ科では収斂進化が数えきれないほど起こっており面白い。アクアリウムで現在流通するのはL. majorと L. madagascariensisの2種である。コルドファヌスは美しいものの流通が絶えた。

海外も含めて、まだアクアリウムに知られていない種も多い属である。

 

トリゲモ属(ナヤス)Najas @!

世界的に分布する独特な水草。ふつうなようで似たものがほとんどない。N. guadalupensisは栽培が容易であり「ナヤス」として魚の隠れ家用に入門用の水草として流通する。アクアリウムで流通するのはナヤス グアダルペンシス Najas guadalupensis、ナヤス コンフェルタ Najas conferta、ナヤス インディカNajas indica、ナヤスspインドネシアNajas gramineaの4種。ほかに日本産のイバラモ Najas marina complex, ホッスモ Najas graminea, オオトリゲモ Najas oguraensisなどが稀に流通する。海外ではローライマブラックナヤス N. argutaが流通するが、日本経由で広まったものの日本のアクアリウムからは消滅した可能性が極めて高い。

ナヤスというと入門種のように舐められがちだが、N. guadalupensis以外は基本的に栽培にかなり癖がある栽培難種である。特に国産種は難しいものが多い。

 

ネカマンドラ (ネチャマンドラ)Nechamandra @!

Nechamandra alternifoliaのみを含む。東南アジア~南アジアに生息する沈水植物。有茎のブリクサやバリスネリアに一見似ている。ブリクサ ヴィエティとよばれているものもこの種。雌雄異株であるがランナーで増えるため、実生には複数起源の個体が必要になる。いまのところ一種にされているが種内に極めて変異が多く、今後分割されていくと予想される。分布もまだよくわかっておらず、インドシナ半島のどの程度まで分布しているのか謎が深い。栽培難易度は個体群により大きく異なる。細長い個体群ほど簡単と言われがちな気がしている。

現在流通しているのは広葉の”ネチャマンドラ アルテルニフォリア”(雄個体) が稀に流通するのと、細葉の”ブリクサ ヴィエティ”(雌雄不明)が比較的よく流通するものの二者である。後者はきわめて頑丈なものの、前者はpHを押さえつつも硬度のある水でないと枯れやすく、トリミング厳禁なので注意。なお、インド産の産地付き個体は全て死に絶えたのではないかと思っている。

 

オテリア Ottelia @!

ミズオオバコやアフリカンオテリアが有名。ロゼット状の多年草であり、かなり大型になる。種数は多いが広域分布の種はかなり限られる。旧世界に広く分布するが新世界には南米にO. brasiliensisがあるのみである。沈水植物のイメージが強いが、浮葉ときに抽水植物となるものもある。移植に弱いうえ雌雄異株であったり自家不和合性の強かったりする種が多く、栽培にはできるだけ多くの親株から採種する必要がある。

現在流通しているのはオテリア ウルビフォリアOttelia ulvifoliaが殆どで、模様のあるものもないものもそうである。稀に南米に分布しO. ulvifoliaに極めて近縁なO. brasiliensisと広域分布のミズオオバコO. alismoidesも流通する。著しく縮れた葉をもつオテリア メセンテリウムO. mesenteriumと巨大な浮葉をもつオテリア コルダータO. cordataは見かけに寄らず互いに近縁なようで、両者ともかつて流通があったが定着はしなかったようである。オテリア コルダータは筑波実験植物園にて現在栽培展示されている。

他の種は日本人採集家の活動な活発な地域にはほとんど分布していないため、国内でみることはできない。ただ異形のO. muricataなどは一生に一度は見てみたいものである。

世界各地で食用にされる。中国ではO. acuminataの花を食用とし、日本各地でかつてO. alismoidesを食用とした。沖縄でもタークブ(田昆布の意)とよび食用にした。

ストラティオテス Stratiotes @!

ヨーロッパに分布するストラティオテス アロイデスのみを含む。アダンのようなトゲトゲの抽水葉は鋭い鋸歯をもち、管理すると手がズタズタになって痛い。Stratiotesは兵士の意であり、英名はSoldier plant。

本種は唯一無二と言っていい生態の持ち主でもあり、夏に浮草として育つが、冬および実生のまだ小さな株は沈水植物として育つ。越冬および増殖は沈水形で沈下する、殖芽が沈む、ランナーで殖えるなど様々であり興味深い。沈水葉は透明感が強く美しいが、かなりの大きさになりうる。沈水形のみでも生育・増殖することができる。

日本ではごくわずかに栽培維持されており、きわめてまれにアクアリウムプラントとして流通する。硬度とCO2濃度のともに高い、やや低水温の水を好むことからソイルを用いた現在の水草水槽環境に遭わず、普及していない。筑波実験植物園では二年ほど前まで展示が休止されていたが、現在展示が再開しており巨大な株を観察することができる。

リュウキュウスガモ属 Thalassia +!

リュウキュウスガモが代表的。沖縄ではもっともありふれた海草である。マリンアクアリウム向けに流通することがあり、成功例もそれなりに聞く気がする。

バリスネリア Vallisneria @!

セキショウモ属。茎がごく短くテープ状の葉をもちランナーで増殖するものと、茎が長く伸びるものがある。広域分布でありユーラシア、アフリカ、アジア、アメリカにたがいに酷似した種が分布する。形質が可塑的であり、分類はきわめて難しい。

但しオーストラリアにおいては茎が伸び糸状の葉をつけるV. rubraや茎が伸びるV. caulescensやV. triptera、一年生でブリクサに似たV. annua、乾季に葉が水上に直立するV. erectaなどユニークなものが多い。オーストラリア以外で最もユニークなのは殖芽をもち鋸歯や棘がよく発達するコウガイモだろう。

現在アクアリウムで見かけるのはV. nana, V. australis, V. denseserrulata, V. neotropicalis, V. spiralis x denseserrulata, V. natansあたりである。V. gracilisおよびV. spiralisは流通はあったものの現在確実なものの流通はかなり減っている。ほかにも不明種がいくつか流通している。有茎種はV. rubraが最近流通したものの他は流通が絶えている。

 

Aponogetonaceae レースソウ科

アポノゲトン Aponogeton @!

アフリカから東南アジアにかけて分布する。レースソウやキボウホウヒルムシロが古くから利用される。

Juncaginaceae シバナ科

トリグロキン Triglochin @(!)

かつて数種がアクアリウム向けに流通したが今は流通がない。

Maundiaceae マウンディア科

マウンディア Maundia 

一科一属一種のMaundia triglochinoidesのみを含む。オーストラリアに分布する抽水植物で、シバナ類に似る。

Zosteraceae アマモ科

Heterozostera +
Phyllospadix +
Zostera +

Potamogetonaceae ヒルムシロ科

ヒルムシロ属 ポタモゲトン Potamogeton @!

世界の寒帯〜熱帯まで広く分布する。交雑がよく起きることもあり夥しいバリエーションがあるものの、アクアリウムに用いられている種数は多くない。

グロエンランディア属 Gloenlandia @

G. densaのみを含む。ポタモゲトン、とくにヒロハノエビモに似るが、対生である。名前に反してグリーンランドには分布していない。ヨーロッパに広く分布。余談ながら私がいつか育ててみたい水草のかなり上位に入る。

イトクズモ属 Zannichelia @

Altheniaに近縁。Pseudaltheniaを含むとの意見に従う。日本にはイトクズモ(ミカヅキイトモ)一種が分布する。汽水性ないし、硬水を好む。

Althenia @

イトクズモ属に近縁な小型の水草。ここではLepilaenaを含めるとの意見に従う。

余談。実物を見た時にはツツイトモを1/3に小さくしたような草姿なのに葉脇に花がついていて、???となった。

Posidoniaceae ポシドニア

シドニア Posidonia +

世界最大の植物であることで有名。

Ruppiaceae カワツルモ科

カワツルモ属 Ruppia @

日本にはカワツルモをはじめ数種が分布するが、どれも絶滅の危機に瀕している。ネジリカワツルモは日本からは野生絶滅の可能性あり。ほとんどの種が汽水性。一見リュウノヒゲモ類に似ているが、花序が全く異なる。

Cymodoceaceae ベニアマモ科

Amphibolis +
Cymodocea +
Halodule +
Syringodium +
Thalassodendron +

ヤシ目 Arecales

ヤシ科 Arecaceae

ラヴェネア Ravenea @(!)

ラヴェネア ムシカリスR. musicalisは成長初期、水中で生育する。水草としてのヤシとして非常に有名である。

かつて、わずかに流通したが現在の流通はなく、見られる植物園も少ない。

ニッパヤシ属 Nypa !

ニッパヤシは抽水性のマングローブ植物であり、ごくまれに流通する。園芸店で売っているのも5年ほど前に見たが、それ以降見れていない。茎はほとんどなく、巨大なロゼットのように生育する。花序からとれる樹液はパームシュガーとして利用される。

ベタ マハチャイが本種の葉脇に生息するのはあまりにも有名。

 

その他に関しては、Introducing Aquatic Palms を参照。アサイーやオオミテングヤシなど、さまざまなヤシが水生になりうる。ヒメショウジョウヤシやショウジョウヤシは草津市立水生植物園や熱帯ドリームセンターはじめ、多くの水生植物温室で水草の如く植えられているので、水草として扱っておくべきだと考える。

クサスギカズラ目

Asparagaceae キジカクシ科

ギボウシ属 Hosta*

抽水化する種もあるし、抽水条件で見かけることもあるので加えた。

Hypoxidaceae キンバイザサ科

Pauridia !

Pauridia aquatica(Hypoxis aquatica)(Spiloxene aquatica)は季節性の水溜まりに生育する抽水性植物(沈んでいる写真もあるが)。クロッカスに一見似た、白い花を咲かせる。園芸流通があり、国内でも栽培されている。

Twitterを見ていたら栽培している方のツイートがしれっと流れてきてビックリ…)

Iridaceae アヤメ科

Cypella

Cypella aquatilisはブラジルの抽水性アヤメ類。海外では園芸流通する。

アイリス Iris !

キショウブルイジアナアイリス、カキツバタなど抽水性のものがいくつかあり、これらはsect. Apogonに属する。沈水性のものはないと考える。

Romulea*@

R. multisulcataおよびR. aquaticaは季節性の水たまりに生育する。

Amaryllidaceae ヒガンバナ科

クリナム Crinum @!

C. thaianum, C. natans, C. calamistratum, C. malabaricumは沈水性。その他抽水性のものも多い。

アクアリウムにおけるクリナムの扱われ方はかなり混沌としている。ひじょうに特徴的なC. calamistratumとC. natansは現在も名前とモノが一致しているが、C. thaianumとして流通しているものの少なくとも一部はアフリカから入っており、C. thaianumではないことは明白である。C. natans inundatum辺りではないかと思っているが、確証はない。現状、C. thaianumのタイの個体群は保護されていて採集できない。ファームから輸入されている”C. thaianum"にかんしてもどうなのかはいまいちよくわからない。というのも、検証するには非常に大きな水槽が必要だからであり、個人の手には余るためである。

なお、C. malabaricumは世界最大の水草の一つとして数えられるだろう。本種はアクアリウムで流通していないが、それは本種が乱獲の危機に晒されていないということで私は嬉しく思う。いつまでもどんどん大きくなってほしい。

 

Zephyranthes*

タマスダレ Zephyranthes candidaは時折抽水状態で見かけるし、そうして栽培することも可能であるため水草と考える。

Hippeastrum*(?)

氾濫原を好むHippeastrum harrisoniiおよびH. angustifolium、その交配による”水生アマリリス”の改良品種が知られており、追加した。但し、実際に抽水できるかどうかに関してはまだ試せていないし、確実な写真も見かけない。

ツユクサ目 Commelinaceae

Hanguanaceae ハングアナ科

ハングアナ Hanguana

ツユクサ科に近縁とされる、東南アジア、南アジア、オセアニア熱帯域の水湿地に繁茂する巨大で強壮な抽水植物。水底に根を下ろしながら半ば浮いたようなロゼットで生育する。余談。海外では園芸流通している。タネを輸入して蒔いたが発芽しなかった。タネは乾燥に弱いかもしれない。

Commelinaceae ツユクサ

ツユクサ属 Commelina*

シマツユクサなどはあきらかに水辺の抽水条件を好んで生育するため、含めた。少なくとも水辺でよく見かけるグループである。沈水性のものは今のところ知らない。もちろんながら、アクアリウムで流通する種はない。

ツルヤブミョウガ属(フロスコパ) Floscopa*@!

フロスコパ スカンデンス(ツルヤブミョウガ)Floscopa scandensやギニアンクリスパ Floscopa aquaticaなどを含む。アクアリウムで流通するのは上記二種である。

イボクサ属(ムルダニア) Murdannia @!

イボクサMurdannia keisakおよびパンタナルクリスパM. engelsiiは沈水葉を持つ水草である。ほかに沈水葉を持つ種は聞いたことがない。アクアリウムで流通するのは上記二種である。

*他の属に関しても水生種のうわさを聞いたことがあるが、確証を持てる迄保留する。

Cyanotis*@!

Cyanotis axillarisは半水生。この属とみられるアクアリウムプラントも海外では流通している。

ハエモドルム科 Haemodoraceae

Tribonanthes *!

抽水に近い状況で生育することもあるらしくおどろされた。

https://x.com/kaginokimi0077/status/1757704549534695579?s=46&t=JKpFRUF-nT3x6yrBnm3ZAA

Philyndraceae タヌキアヤメ科

タヌキアヤメ属 Philyndrum @!

タヌキアヤメは水中でも生育可能な水草である。タヌキアヤメ以外のタヌキアヤメ科は全てオーストラリアに分布する。わずかに園芸流通している。種子から開花までには2年以上かかる。

Pontederiaceae ミズアオイ

ヘテランテラ Heteranthera @!

ここではZosterella, Hydrothrixを含めるとの意見に従う。ヘテランテラ ゾステリフォリアが有名でこのイメージが強いが、コナギによく似た姿のヘテランテラ レニフォルミスも流通している。日本にはアメリカコナギおよびヒメホテイアオイ(H. reniformis)が帰化している。沈水性の種はH. gardneri, H. dubia, H. zosterifoliaが代表的で、この3種とも入手可能。

ポンテデリア Pontederia @!

Eichhornia, Monochoriaを含むとする見解に従う。アクアリウムプラントとしては旧Eichhornia属のE. natans、E. azurea、E. diversifoliaの三種が流通する。園芸ではホテイアオイ、ナガバミズアオイミズアオイが流通し、それぞれにいくつかの品種がある。

 

タコノキ目 Pandanales

Pandanaceae タコノキ科

タコノキ属 パンダナス Pandanus *!

大型の草本ないし木本。ニオイアダンPandanus amaryllifolius(パイナップルプラント)など、抽水性種を多く含む。発芽直後水中で生育するものもあるようだ。

Cyclanthaceae パナマソウ科

Dicranopygium*@!

渓流植物のD. cf. harlingiiが水草として流通し、海外では水中育成例も聞く。

 

イネ目 Poales

Typhaceae ガマ科

ミクリ属 Sparganium @!

国内にも数種が分布する。湧水性のナガエミクリは最もよく見られる在来水草であり、水槽での栽培も可能である。各地で記録される「セキショウモ」も蓋をあけるとナガエミクリのことが多い。旧世界に広く分布し、南米の分布は無い。

ガマ属 Typha ! 

国内にも数種が分布し、園芸用にもかつて数種が流通した。分類上の課題がある。主に抽水性であるが、まれに実生株が沈水で生育するのを見かける。条件を揃えれば水槽栽培可能である可能性がある。

Rapateaceae ラパテア科

Spathanthus 

この属はアマゾン流域の林床に分布するため水草としてカウントされたのではないかと思うが、水草としての詳しい情報を確保できていない。

 

Xyridaceae トウエンソウ科

Abolboda 
トウエンソウ属 Xyris @!

世界の熱帯~亜熱帯域の湿地に分布する一年草多年草。ごく一部の種はあきらかに沈水性である。沈水性トウエンソウ科に関しては下記ブログにまとめてある。

アクアリウムで流通するのは現状ではXyris sp. red1種のみである。

関連リンク

沈水性トウエンソウ科 - 水草オタクの水草がたり.

Xyris aquatica~ソーシャルフェザーダスターを紅にしたようなヤツ~ - 水草オタクの水草がたり.

 

Eriocaulaceae ホシクサ科

ホシクサ属(エリオカウロン) Eriocaulon @!

ホシクサ科では唯一、世界的に分布する。南米以外では基本的に一年草で、わずかに多年生の種を含む程度であるが、南米には大型の多年生種が多く分布する。但し、一年草とされている種の中にも多年生のものが潜在的に含まれているので再検証が必要である。

Leiothrix @

Leiothrix fluitansは糸状の葉を持つ沈水性種。

メサンテムム Mesanthemum @!

Mesanthemum reductumは沈水性で、透明な葉をもち流水にたなびく。Eriocaulon latifoliumに似た種。アンゴラの一か所からのみ知られている。

シンゴナンサス Syngonanthus @!

トニナsp. Syngonanthus anomalus、ボリビアンスター Syngonanthus caulescensをはじめ水生種がいくつかある。

パエパランツス Paepalanthus @

Paepalanthus amphibiusは沈水葉と水上葉をともにもつ。ホシクサ科でそうしたものはきわめて珍しい。後述するRondonanthusとToninaを含めるとする意見も有力。

Rondonanthus*@

R. capillaceusは沈水性で糸状の葉を持ち、やや茎が伸長する。アクアリウムでの流通はない。

Tonina @!

ターレンジ Tonina fluviatilisは水草としてよく知られる。一属一種。

 

Mayacaceae マヤカ科

マヤカ Mayaca @!

南米およびアフリカに分布する、ホシクサ科に近縁な属。マヤカ属のみを含み、全種が沈水生育可能である。

詳しくは関連リンク参照

マヤカについて. - 水草オタクの水草がたり.

Thurniaceae トゥルニア科

トゥルニア Thurnia @(!)

スリナムパンダナスとして一時期流通しており、現在も生存株がいるらしい。大型の抽水植物であるが、生育初期は沈水葉をもつ。

詳しくは関連リンク。

トゥルニア "スリナム•パンダナス" - 水草オタクの水草がたり.

Juncaceae イグサ科

イグサ属(ジュンクス) Juncus @!

言わずと知れた畳の原料にして、日本人なら一度は踏んだことがあるだろう水草

抽水性のものが多いが、ジュンクス レペンス Juncus repensやJuncus bulbosusのように沈水でよく生育するものもある。ほかのJuncusにも沈水で生育できるものが多くあり、コウガイゼキショウやハリコウガイゼキショウなども沈水で生育しているものを見かける。

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Prionium

Cyperaceae カヤツリグサ科

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ウキヤガラ属 Bulboschoenus *

抽水性で数種を含む。コウキヤガラは水深1m近くでも突き抜けて生えることがある。国内にはウキヤガラ、コウキヤガラ、イセウキヤガラが分布する。

イセウキヤガラは汽水性で、満潮時は水没する環境に生育する。

スゲ属 Carex 

スゲ属は抽水性の種が多いが、沈水性の種は聞いたことがない。季節的に長期間水没する環境に生育している種もみかけるが、いずれも水中で光合成しているわけではなく、待機戦略をとっているようである。但し、ヤガミスゲを水中で育てたという話はときに聞く。

Chorizandra

Chorizandra enodisは抽水性植物としてわずかに園芸流通している。

ヒトモトススキ属 Cladium

ヒトモトススキは抽水性になっていることがある。水草としてよいと思う。

カヤツリグサ属(シペルス)Cyperus @!

四捨五入すれば約1000種を含む大所帯の属。陸生のものから抽水性のものまであり、沈水でも生育するものも十種以上はいる。具体的に沈水で生育可能なものがどの程度の種数がいるかは未知数。アクアリウムではシペルス ヘルフェリーと南米シペルスが沈水可能な種として取引される。水生園芸ではシュロガヤツリ、カミガヤツリ、C. isocladusなどが用いられる。

フトイガヤツリ Cyperus articulatus - 水草オタクの水草がたり.

Carpha

*情報不足

カガシラ属 Diplacrum

日本にはカガシラのみが知られる、数種のみを含む属。おもに湿生。

Dulichium

一属一種でD. arundinaceumのみを含む、北米に産する抽水性カヤツリグサ科。クリスマスツリー状の独特な草姿をもつ。日本ではまったく知られていないが、北米ではよくポンドガーデンに利用され、斑入り品種も作られている。

ハリイ属 (エレオカリス)Eleocharis @!

WebsteriaおよびEgleriaを含むとする意見に従う。約300種を含み、沈水性のもの(E. fluctuans, E. confervoidesなど)から両生植物、抽水植物、湿生植物まで様々な環境に適応した種がみられる。但し、アクアリウムで用いられるのは10種程度しかない。

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ワタスゲ属 Eriophorum!

湿原では観光名所として定番の植物であるが、育てようとする人を意外なほど聞かない。園芸ではキツネスゲE. russeolumがオレンジワタスゲとして売られているのを目にすることが多く、本当のワタスゲの苗はほとんど見たことがない。

テンツキ属 Fimbristylis@

日本にもかなりの種が分布する。ほとんどの種は水際から陸よりに生育しているが、ごく一部の種は両生植物的に水中で生育しているものがある。沈水生育可能なものがどの程度あるかは未知数だが、アオテンツキなどの例を見るに@をつけざるを得なかった。

クロタマガヤツリ属 Fuirena@!

熱帯性の属。日本には広域分布種のヒロハノクロタマガヤツリとクロタマガヤツリが分布する。小穂がひじょうに特徴的な形状をした種がいくつかあり、日本にも産する2種ではあたかもオナモミのような一度見れば忘れられない形状である。茎が五角柱状の種がいくつかあり、カヤツリグサ科としてもかなり変わっている。おそらくギニアからもたらされたフラグミテスspギニアおよびギニアンスレンダーグラミネアはこの属に属すると思われる。

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Gahnia

クロガヤ属。一部抽水性のものを含む。

Hypolytrum
ビャッコイ属 Isolepis @

ビャッコイ Isolepis crassiusculaはじめ、沈水性の種を多く含む。南半球に主に分布する属であるが、ビャッコイは飛び地的に白河の一か所に分布し、I. fluitansはアフリカからヨーロッパまで分布する。流水性で長い茎をもつグループが有名であるが、I. proliferaのように湿生~抽水性のものも多く、またI. digitataは叢生する糸状の沈水茎を急流にたなびかせる。

Lagenocarpus
アンペラソウ属 Lepironia

Mapaniaに近縁な、カヤツリグサ科でも早期に分岐した属。一見したところEleocharisやSchoenoplectusを思わせるが、収斂進化の産物である。日本には西表島にのみ生育するといわれているが、日本産の本種をとらえた写真はほとんど見たことがない。

じつは茎をストローとして利用されており、最近注目されている。実生活にも身近になりつつある、注目の水草である。

本音・・・干物じゃなくて、生きた植物が見たいのですが…

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ホーム | HAYAMIの草ストロー

アンペライ属 Machaerina !

アクアリウムでは流通していないが、なぜか水生園芸では定番となっている。分類上かなり特異なもので、しかも日本における分布も局限しておりかなり珍しいものなのだが、あまりにも定番になりすぎていて過小評価されているのではないか。それにしても、この珍しいが地味なカヤツリグサを愛し斑入りまで発見した先人には感服させられる。また、Wikipediaが異常に充実している。人に愛され、これからも愛されるべきカヤツリグサ科。

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ネビキグサ - Wikipedia

ミカヅキグサ属 Rhynchospora @!

ラージナヤス R. albescensやシラサギカヤツリ R. colorataが栽培される。シラサギカヤツリも水中栽培可能であるが、殆ど栽培例を聞かない。

フトイ属 Schoenoplectus @!

沈水性の種はS. subterminalisがあげられる。シズイも沈水葉だけで生育する場合がある。抽水性の種としてはフトイ、イヌフトイ、オオフトイ、サンカクイが国内に分布する。

Schoenoplectus subterminalis - 水草オタクの水草がたり.

ホタルイ属 Schoenoplectiella @!

ハタベカンガレイ Schoenoplectiella gemmiferは沈水性。ほかにも沈水性に近い種が幾らかある。

ノグサ属 Schoenus @

Schoenus natansは沈水性。

アブラガヤ属 Scirpus 

抽水性の種は多い。日本ではツルアブラガヤなど。オオアブラガヤは河岸に生えた際は花茎が水面に垂れて子株ができ増殖する。ほかに、台湾にて撮影された、沈水するScirpusの写真を見かけたことがある。 

シンジュガヤ属 Scleria @!

Scleria lacustrisなどは沈水状態で生育することもある抽水植物マナウスシペルスもどうやらこの属のように感じる。

 

Poaceae イネ科

イネ属(オリザ) Oryza

言わずと知れたイネを含む属。抽水性ないし浮性。沈水性のものは聞かないが、水中で数か月待機可能な種がいくつかあり、食用のアジアイネにもそうした性質を取り込む研究が行われ実用化している。また、急激に成長して突き抜ける浮稲も多くの種でみられ、それぞれの種で獲得された形質とみられる。急激な水位変動のある地域に適応した植物である。

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サヤヌカグサ属 Leersia

イネ属にごく近縁だが、より小型のものが多い。穂をみるとたしかにイネに近縁であることに納得する種もある(サヤヌカグサ、エゾノサヤヌカグサなど)。観賞用に栽培・販売されることも稀にあるが、病弱で育てにくい。

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ヒグロリザ Hygroryza @!

アクアリウムでもお馴染みのヒグロリザ アリスタータのみを含む。浮き草として利用されるが、硬度高めの水で砂植えするとなお良い(個人の感想です)。水上で茂ったタイミングで根元からバッサリ切ると、根本からピンク~紫色の薄い沈水葉が出てきて大変美しい。その後浮葉になるので楽しんだらしばらく水面で休ませて、増えすぎたらまた伐採する。CO2添加もいらないしおススメの簡単水草である。

マコモ属 (ジザニア)Zizania!

抽水性の大型イネ科。マコモおよびワイルドライスが利用される。特にワイルドライスはじめとして、かなり深い水深から発芽してくるため沈水葉を展開する可能性があるがまだ試せていない。マコモダケを収穫する黒穂菌感染苗は市販されており入手できる。

ウキシバ属 Pseudoraphis

抽水性の小型~中型イネ科。日本が分布の北限でP. ukishibaのみが分布するが、東南アジアには複数種が分布している。小型で姿が整っており耐病性に優れることから水鉢での栽培に向くが、やや硬度を要するので赤玉単用よりも砂で覆土することをお勧めする。

チゴザサ属 Isachne @!

パープルバンブーグラス、シルバーグラミネアはどうやらこの属のようである。日本のチゴザサは沈水状態ではうまくいかなかったが、野外で沈水する姿は見ているので条件の問題ではないか。ハイチゴザサはいけるらしい。園芸でもヒメハイチゴザサが入手可能。これもおそらく水中行けるだろうが検証していない。

スファエロカリュウム Sphaerocaryum @(!)

Sphaerocaryum malaccenseがかつて輸入されたが、少なくとも現在では国内では確認できない。海外では栽培維持されているようであり、今後の再導入が期待される。

ドジョウツナギ属 Glyceria @(!)

イネ科ははっきりとした沈水葉を持つものが殆どないが、その数少ない例外。ドジョウツナギは流水中に生育するのがよく見られる。ムツオレグサは止水域でしばしば浮葉~沈水状態で越冬する。ほかにヒメウキガヤ、ウキガヤ、数種の外来種や雑種がみられる。日本よりヨーロッパで水草として注目されており、かつてはG. fluitansが水草として輸入されていたほか、比較的最近のダッチアクアリウムコンテストにもG. maximaがよく用いられている。

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ジュズダマ属 Coix !

ジュズダマ、またその改良品種のハトムギが日本ではよくみられる。発芽初期のごく暫くであれば水面に突き抜けるまで生育可能らしく、かつてのレイアウト作例で用いられているのを見たことがある。本当に?と思ったが自分で試していないので@はつけていない。

ヒエ属 Echinochloa !

湿生~抽水性のイネ科植物。水田雑草、また雑穀として有名。雑穀としては世界で何回も栽培化が行われており、非常に興味深い。北日本においてイヌビエから改良されたヒエは救荒食、酒用などに用いられてきた。野外のヒエ属はたいへんバリエーション豊富で、観察すると楽しい。

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日本のイヌビエ類に他の亜種はいるのか?? - 水草オタクの水草がたり.

キビ属 (パニクム)Panicum

P. repensなど数種が抽水性~浮性。

クサヨシ属 Phalaris@!

クサヨシが園芸用途で多用される。CO2量の多い野外ではしばしば沈水状態で生育するので、恐らく水槽での栽培は可能であると思われるがやっている人を聞いたためしがない。国内のクサヨシはほぼ牧草用に輸入された外来クサヨシに駆逐され絶滅した可能性がある。

園芸用途では斑入り品種が数パターンあり、集めると楽しいが流通名は混沌としている。たとえば、「アケボノヨシ」にはクサヨシのものとウシノシッペイ属のものが混じっている。実物を見て選ぶことをお勧めする。

なお、小鳥の餌のカナリーシードもクサヨシ属だがこちらはむしろ乾燥地の植物。

ヨシ属 (フラグミテス) Phragmites!

抽水性の大型イネ科。アクアリウムで用いられることは皆無であるが、園芸ではいくつかの品種が流通する。ヨシ、セイタカヨシには斑入り品種がある。なお名前が似たクサヨシやアケボノヨシは別属なので注意。

スパルティナ Spartina

属の全種が特定外来生物。園芸ではかつてスパルティナ属だったものがいくつかその名前のまま流通があるが、確認する限り現在は別属になっている。S. alternifoliaが西日本に帰化している。

Acroceras

4-5種半水生のものがあるという(Cook曰く)。Acroceras zizanioidesが代表的で、これは情報がある程度出てくる。

ヌカボ属 Agrostis

ハイコヌカグサAgrostis stoloniferaの一部の系統は水生であり、また半水生の環境に生育するものがいくつかある。同種は国内では冬の芝生として用いられる一方、帰化種として問題である。

スズメノテッポウ属 Alopecurus

スズメノテッポウ A. aequalisは湿性だが、ときに抽水ないし低温の湧水環境では沈水で生育する。(var. natansということもある)A. genicucatusはしばしば抽水性。

Amphibromus

オセアニアに分布。A. fluitansなどが抽水性から浮性。A. neesiiは半水生。

ダンチク属 Arundo

ダンチクは抽水になることもある。

カズノコグサ属 Beckmannia

カズノコグサ。早春の水田などに発生する湿性から抽水性植物。アメリカにも近似種がありネイティブアメリカンが食用とする。

ビロードキビ属 Brachiaria

パラグラス B. mutica, B. eruciformisなどは半水生から水生。

↓写真

パラグラス Brachiaria mutica - 水草オタクの水草がたり.

Catabrosa

Catabrosa aquaticaは半水生から水生、流水の河岸から水面に浮かんで生育。

ツクシガヤ属 Chikushichloa

ツクシガヤ…水辺にはあるけど水草なのか?ひとまずCookに従います。

エゾムギ属 Elymus*

ミズタカモジは水深8㎝から発芽し抽水生育可能。コムギ連おそらく唯一の水草であり、麦類の耐湿性に関する研究で注目されている。 

ヒナザサ属 Coelachne@

水位変動のある池に生育する両生植物。旧世界熱帯から温帯域に似た種が数種ある。ヒナザサは薄い沈水葉をつくるが、一年草でありアクアリウムでは利用されていない。実生増殖は容易である。

コヌカシバ属 Coleanthus

コヌカシバ C. subtilisのみを含む。

ハマガヤ属 Diplachne

ハマガヤは抽水性になることがある。日本では南大東島に分布とされたが、現在では各地で発見されている。自生かは不明。他の種も半水生から水生。

Elytrophorus

乾期に干上がる池に生育。

Gynerium

6m(資料により10m)に達する巨大な草本。G. sagittatumは水生から半水生で、河岸に群落を作る。

Hemarthria

東アフリカのH,natansは浮性。河岸に生育。

Hemisorghum

Hemisorgham mekongenseは水生。河岸に生育。

Heteranthoecia
Hubbardia
Hydrochloa

H. carolinensisは南北アメリカの池や流れの緩い水域に浮かんで生育する。

Hydrothauma

H. manicatumはザンビアに分布し、浅い水域で葉を水面に浮かべる浮葉植物。

Hygrochloa
Hymenachne
Ischaemum

I. aristata, I. santapaui, I, arcuatum

Leptochloa

L. aquatica, L. coerulescens

Limnopoa

L. meeboldii 浮性

Lousiella

L. fluitans 浮性

Luziola

L. peruviana

Miscanthidium *
Neostapffia

水中発芽・陸上開花。砂漠の季節性湖沼に生育。N. colusana

Odontelytrum

O. abyssinicum 浮性

Oplismenopsis

O. najadum 浮性

Orcuttia

水中発芽・陸上開花。砂漠の季節性湖沼に生育。

Oryzidium

O. barnardii 浮性。

Paratheria

P. prostrata

Paspalidium
Paspalum

P. repens, P. flaccidum, P. scrobiculatum

Pennisetum
Pleuropogon
Porteresia
Potamophila
Pseudovossia
Rhynchoryza
Saccharum

サトウキビ属。S. spontaneumはナイル川上流域では水生~半水生という。

Sacciolepis
Scolochloa
Suddia
Thyridachne
Tuctoria
Urochloa
Vetiveria
Vossia

Vossia cuspidataはフロート状の根茎を伸ばし上に立ち上がる。

Zea*

Zea nicaraguensisは雨季に水没する地域に生育し、水深50㎝でも生育可能。グアテマラのZea mays huehuetenangensisも湛水条件で生育可能。トウモロコシの湛水耐性獲得に関する研究で注目されている。

Zizaniopsis

Restionaceae サンアソウ科

カツマダソウ属 Centrolepis *@!

ドーンレッド Centrolepis sp.が流通する。園芸では湿生種のC. fascicularisが流通する。いずれも流通は稀。ドーンレッドはカツマダソウかヒダテラかといわれてきたが、少なくとも現在流通している個体にかんしていえばカツマダソウのほうである。

Bromeliaceae パイナップル科(*参考)

ディッキア Dyckia

https://doi.org/10.1016/j.envexpbot.2022.104984

ディッキア ブレビフォリア Dyckia brevifoliaは渓流植物であり、季節的に水没する環境に生育する。水中では生育を止めて待機する戦略をとる。水生植物とはいいがたいが、水没への適応がみられるため掲載した。

ラン目 Orchidales

Orchidaceae ラン科

ネジバナ属 Spiranthes*@!

Spiranthesの一部には水中・抽水で生育可能なものがいる。アメリネジバナ(ウォーターオーキッド)など。ウォーターオーキッドはアクアリウムプラントとしての流通はほぼ絶滅状態に近いが、園芸市場を探すと稀にみつけられる。

ミズトンボ属 Habenaria*@

サギソウに近縁な属で、国内に産するものではミズトンボやダイサギソウを含む。北米に産するHabenaria repensは抽水性であるためここに含めた。知る限り園芸流通も聞かない。

Acacallis(?)!

厳密には水草ではないが…Acacallis cyaneaは雨季には水没する樹状に着生し、雨季には何か月も水没状態で耐える特異な生態を持つことで知られている。

Goodyera(?)!

キンギンソウは渓流植物で、広義には水草といえなくもなくもないような・・・ほかにもジュエルオーキッドは水中育成可能な種を含むとする噂がある。

Papilionanthe*!

Papilionanthe hookerianaは水生~半水生である。抽水状態でも生育しているとのこと。

*リンクを教えていただいた方、ありがとうございます!

Sarawak Lens: Papilionanthe hookeriana in natural habitat

 

ショウガ目 Zingiberales 

Cannaceae カンナ科

Canna 

Canna glaucaとそれを原種とする一部のカンナは抽水栽培可能であり、ウォーターカンナとかアクアティックカンナと呼ばれている。日本でどの程度入手できるかどうかはよく知らない。

Marantaceae クズウコン科

Donax
Phrynium
タリア Thalia!

ウォーターカンナはじめ、数種の抽水生種が流通する。いくつか改良品種もあるが、国内未導入品種ばかりな印象がある。

 

ヤマモガシ目 Proteales

Nelumbonaceae ハス科

ハス属 Nelumbo !

言わずと知れたハス。

キンポウゲ目 Ranunculares 

Ranunculaceae キンポウゲ科

リュウキンカ属 Caltha !

リュウキンカなどが低水温の止水~流水にみられる水生植物。C. natansはスイレンを思わせる浮葉植物。リュウキンカ山野草として生産されており入手は容易。個人的に、ヒメリュウキンカは完全な陸生植物と考える。

ラヌンクルス Ranunculus @!

沈水可能な植物を多く含む。アクアリウムで用いられるのはラヌンクルス イヌンダトゥスR. inundatusくらいであるが、かつてはリングア(アフリカソウ)R. linguaやリモセラ R. limosellaも用いられた。リングアは今も入手可能。

また、バイカモとその類縁はこの属の水生適応の最たるものである。残念ながら高水温に弱くアクアリウムで用いられることは珍しい。国内ではほかにタガラシやイトキンポウゲが水草と呼ぶべき生育の仕方をしている。イトキンポウゲは山野草ルートで増殖株が流通し、入手可能。

バイカモのこと - 水草オタクの水草がたり.

輪生するラヌンクルス,Ranunculus polyphyllus - 水草オタクの水草がたり.

 

ナデシコ目 Caryophyllales

Polygonaceae タデ科

イヌタデ属 (ペルシカリア)Persicaria @!

さまざまな沈水可能な種を含む。「沈めてみた」の定番にして鉄板ネタである。この属に特筆すべきこととして、ふつう水に漬からないだろうと思われるような種も沈水葉をもつことがある。面白いことである。逆に普通漬かりそうな場所の種が沈水葉をもたないことも。

面白い水草だがアクアリウムで流通するものはほぼP. tenellaで稀にP. hydropiperoides、最近はP. praetermissa…といったところである。

スイバ属 Rumex @

湧水河川で「これはなんだ」と聞かれがちな水草。エゾノギシギシ、ヌマダイオウなどが沈水生育可能。大型で低温を好むことからアクアリウムで用いられることはない。

Rumex bidensは茎が1.5mほどまで伸長し、節間は肥厚してフロートとなり水面に浮かぶという特異な形質を持つ。

Droseraceae モウセンゴケ

ムジナモ属 Aldrovanda @!

ムジナモのみを含む。園芸で多くの系統が維持されており、かなり集めがいがある。(交配による改良も試みられている)栽培にはやや癖があるが、水槽で栽培する分にはそこまで難しくない。屋外栽培では越冬が最大のハードルになる。

Amaranthaceae ヒユ科

アルテルナンテラ Alternanthera @!

アルテルナンテラ レインキーがアクア用に流通する。他の種に水中栽培可能な種があるかどうかは不確実。ナガエツルノゲイトウは特定外来生物に指定されており、新たな種が入荷するとは考えにくい。

Centrostachys 

C. aquaticaのみを含む。アフリカ~東南アジアに分布する抽水性ヒユ科植物で、分布は広大ながら生きた個体の写真は殆ど見かけない。

Montiaceae ヌマハコベ

ヌマハコベ属 Montia 

ヌマハコベ水草なのかに関して私は大変疑問だが伝統的に水草と言われがち。「日本の水草」にも掲載しているので含めた。

Neopaxia

Neopaxia australasicaは抽水性~沈水でも生育可能である。水中では葉, 茎が伸長し、水深80㎝ほどまでみられるという。

Molluginaceae ザクロソウ科

Adenogramma

南アフリカのA. natansは水面に浮かんで生育する。

Caryophyllaceae ナデシコ科*

ヤンバルハコベ属 Drymaria* 

ヤンバルハコベD. diandraは明らかに水辺を好んで生育しているように見え、抽水条件や水をはじく葉で水面に半分浮かぶようにして生育するのを見る。したがってここに加えた。なお、”ドリマリア コルダータ”として流通するのはLindernia rotundifoliaで、オムナグサD. cordataではない。オムナグサも水生傾向があるかどうかに関しては検討の余地がある。

Cactaceae サボテン科(水生とはいいがたいが…)

Mammillaria*(??)

Mammillaria saboae ssp. roczekiiが水没している写真がある。

Mammillaria saboae ssp. roczekii totally submerged under water, this plants are adapted to tolerate extreme conditions such as being unde... | Instagram

ほかのMammillariaでも一時的に雨が岩の隙間に溜まって水没する環境に生育するものはあるらしい。

Mammillaria theresae

水草とはいいがたいが、掲載してみた。

ちなみにサボテンが案外水中でも育つという話はあるので、本種に限らずやってみる価値はあるかもしれない。気孔を乾燥の都合で開けない乾燥地とそもそもいらない水中は案外近い可能性がある。CAMも水中ではごく一般的であるし(私には乾燥地よりむしろ水中適応のための仕組みなのではないかとすら思える)、げんに水耕栽培可能なので、ハードルは低いかもしれない。

 

ユキノシタ目 Saxifragales

Crassulaceae ベンケイソウ科

クラッスラ Crassula @(!)

C. helmsiiはじめ抽水~沈水性種をいくつか含む。C. helmsiiはかつて流通したが現在は殆ど見かけない。

アズマツメクサ属 Tillaea

アズマツメクサなどを含む。一応、条件により水中で生育可能である。国内に数種が帰化しているが、実態の把握は遅れている。

Haloragaceae アリノトウグサ科

アリノトウグサ属 Haloragis 

国内のアリノトウグサおよびナガバアリノトウグサは湿生。Haloragis browniiは水生~半水生で、細かく分岐した葉をもち、沈水葉では分岐が細くなることが知られている。

Laurembergia
ミリオフィラム Myriophyllum @!
プロセルピナカ Proserpinaca @!

Penthoraceae タコノアシ科*

ペントルム Penthorum*@!

Malpighiales キントラノオ

Hypericaceae オトギリソウ科

オトギリソウ属 Hypericum !

Podostemaceae カワゴケソウ科 

インドトリスティカ Indotristicha @!

1属1種でIndotristicha ramosissimaのみを含む。カワゴケソウの中では最も維管束植物らしい姿を保った「ように見える」種である。カワゴケソウは激流に生じるものが殆どだが、本種はきわめて例外的に緩い流れに藻場をつくるという。栽培は弱酸性の軟水を好むが、食害に極めて弱いので注意。(カイミジンコにすら食い尽くされうる)植物としてはそれなりに頑丈で、枯れたと思ってもあきらめなければ復活する場合がある。カワゴケソウ(赤)と呼ばれているがカワゴケソウ亜科ではなくトリスティカ亜科。

テルニオプシス Terniopsis @!

おもにインドシナ半島に分布するトリスティカ亜科のカワゴケソウ類。流水域の岩に固着する。カワゴケソウ(緑)と呼ばれている。食害に極めて弱いが草体じたいはかなり頑丈であり、枯らさないで維持するのは容易なのだが…ただし、硬度を下げすぎると簡単にリカバリ不能に白化して枯れるので注意が必要。

カワゴケソウ属 Cladopus @

日本にも数種が分布するほか、C. queenslandicusの栽培が試みられている。

Angolaea @
Apinagia @
Autana @
Castelnavia @
Ceratolacis @
Cipoia @
Ctenobryum @
Cussetia @
Dalzellia @
Diamantina @
Dicraeanthus @
Djinga @
Endocaulos @
Farmeria @
Hanseniella @
Hydrobryum @
Hydrodiscus @
Indodalzellia @
Inversodicraea @
Laosia @
Lebbiea @
Ledermanniella @
Leiothylax @
Letestuella @
Lophogyne @
Macropodiella @
Marathrum @
Mourera @
Noveloa @
Oserya @
Paleodicraeia @
Paracladopus @
Podostemum @
Pohliella @
Polypleurum @
Rhyncholacis @
Saxicolella @
Sphaerothylax @
Stonesia @
Thawatchaia @
Thelethylax @
Tristicha @
Weddellina @
Wettsteiniola @
Willisia @
Winklerella @
Zehnderia @
Zeylanidium @

Elatinaceae ミゾハコベ

シマバラソウ属 Bergia 
ミゾハコベ属(エラチネ) Elatine @!

 

Euphorbiaceae トウダイグサ科

Caperonia

Phyllanthaceae コミカンソウ科

コミカンソウ属 (フィランサス) Phyllanthus !
 

マメ目 Fabales

Fabaceae マメ科

クサネム属 Aeschynomene !
ミズオジギソウ属 Neptunia !
 

カタバミ目 Oxalidales 

Oxalidaceae カタバミ科
カタバミ属(オキザリス) Oxalis 
 

アブラナ目 Brassicales

Brassicaceae アブラナ科

タネツケバナ属(カルダミネ) Cardamine @!
オランダガラシ属 Nasturtium @
イヌガラシ属 Rorippa @!
ハリナズナ属 Subularia @
 

フトモモ目 Myrtales

Lythraceae ミソハギ科 

ヒメミソハギ属 (アマニア)Ammannia @!
クフェア Cuphea @!
Decodon 
ディディプリス Didiplis @!
Lythrum ! 
キカシグサ属(ロタラ) Rotala @!
ヒシ属 Trapa !

Onagraceae アカバナ科

アカバナ属 Epilobium 
チョウジタデ属(ルドウィジア) Ludwigia @!

Melastomaceae ノボタン科

Aciotis*@!
Acisanthera 
Nepsera
 

ミズキ目 Cornales

Hydrostachyaceae ヒドロスタキス科

ヒドロスタキス Hydrostachys @

 

ツツジ目 Ericales

Balsaminaceae ツリフネソウ科

Hydrocera

Polemoniaceae ハナシノブ科

季節性の水溜まりに生育する。

Primulaceae サクラソウ科 

Anagallis
ホトニア Hottonia @!
オカトラノオ属(リシマキア) Lysimachia @!
サモルス Samolus @!

Ericaceae ツツジ

Erica

リンドウ目 Gentianales

Rubiaceae アカネ科

Diodia @!

パンタナルピンクムグラ、メリケンムグラは沈水可能。

Galium*@!

ヤチムグラGalium palustreは湿生~水生植物。ホソバヨツバムグラはいちおう水中でも生育可能。

オルデンランディア Oldenlandia* @!

ブラジリアンフラジャイル Oldenlandia salzmanniiがアクアリウムでは流通している。

スクレロミトリオン Scleromitrion * @!

ここではフタバムグラをS. brachypodum、ケニオイグサをScleromitrion tenelliflorumとする説に従う。フタバムグラは水生だがケニオイグサは陸棲。現在流通する「ケニオイグサ」はケニオイグサではない。

Limnosipanea @

Limnosipanea spruceanaはアマゾン川流域に生育し、輪生する糸状の沈水葉をもち、先端が水面を突き抜けて花序を作り、アカネ科らしい花をつける。

まだ見ぬ南米水草の最たるものの一つ。

シソ目 Lamiales

Tetrachondraceae テトラコンドラ科

Tetrachondra @

Tetrachondra hamiltoniiは地面に張り付くように育つアワゴケ様の植物。湿生~水没して育つ。

Plantaginaceae オオバコ科

オトメアゼナ属 (バコパ)Bacopa @!

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ミズハコベ属 Callitriche @!

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アブノメ属 Dopatrium  @!

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スギナモ属 Hippuris @

寒地の水中~抽水で生育し、スギナモH. vulgarisは輪生する沈水葉をもつ。日本では北海道などで群落を見ることができる。

ヒドロトリケ Hydrotriche @!

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サワトウガラシ属 Deinostema*@!

デイノステマ・ビオラセウム,ことサワトウガラシのはなし - 水草オタクの水草がたり.

シソクサ属 (リムノフィラ)Limnophila @!

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キタミソウ属 Limosella @

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リトレラ Littorella @!

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クワガタソウ属 Veronica @

カワヂシャ、オオカワヂシャなどを含む。

カワヂシャ Veronica undulata - 水草オタクの水草がたり.

Linderniaceae アゼナ

スズメノトウガラシ属 Bonnaya @!

リンデルニアspボルネオはスズメノトウガラシ属とみられる。Bonnaya tenuifoliaは生育初期はやや細長い沈水葉で生えてくるが、突き抜けた後多数結実し枯死する。

Chamaegigas 

乾燥しても復活する水草,Lindernia intrepidus (Chamaegigas intrepidus) - 水草オタクの水草がたり.

Craterostigma 

一部に水生種がいると聞く。Chamaegigasに近い耐乾性を備える種もある。

Bythophyton
アゼナ属 Lindernia @!

アゼナ、ドリマリア コルダータなど。

ミクランテムム Micranthemum @!

パールグラス、ラージパールグラスなど。

ツルウリクサ属 Torenia @

シマウリクサは水中育成できないこともないため@を加えた。

アゼトウガラシ属 Vandellia*

Pedaliaceae ゴマ科

ヒシモドキ属 Trapella  @!

シソ科 Lamiaceae

イガニガクサ属(ヒプティス)Hyptis *@!

パンタナルヘミグラフィスHyptis lorentzianaおよびヒプティス ラキニアータHyptis laciniataが流通する。

トウバナ属 Clinopodium*@!

ウォーターカーナミン Clinopodium browneiが属する。

シロネ属 Lycopus
ハッカ属 Mentha @
Platostoma @
ハナトラノオ属 Physostegia *@!

グリーンロベリアP. purpureaが流通する。

Pogogyne
ミズトラノオ属 Pogostemon @!
Teucrium

Phrymaceae ハエドクソウ科

グロッソスティグマ Glossostigma @!
ラティオラ Gratiola @!
ミクロカルパエア Microcarpaea @!
Peplidium

Orobanchaceae ハマウツボ

Ramphicarpa 

Lentibulariaceae タヌキモ科

ゲンリセア Genlisea ! 
タヌキモ属(ウトリクラリア)Utricularia @!

Acanthaceae キツネノマゴ科

Acanthus*

ミズヒイラギ Acanthus ilicifolium はマングローブ帯上部の薄い汽水域に生える抽水植物であるため、追記した。

Blepharis
Dianthera*

Dianthera americana (Justicia americana)は抽水性かつ、明らかに水生。南米の半水生種であるJusticia laevilinguisもおそらくこの属に含まれる。

オギノツメ属(ハイグロフィラ) Hygrophila @!

アフリカを中心に世界の熱帯~亜熱帯域に分布する。

アクアリウムで流通するのはH. polysperma(さまざまな名前で様々な形のものが流通), H. corymbosa(さまざまな名前で様々な形のものが流通), H. ringens(さまざまな名前で様々な形のものが流通), ウォーターウィステリアH. difformis, H. balsamica,  H. triflora, H. pogonocalyx, H. odoraなどである。極めて稀にH. senegalensisが流通する。H. auriculata(旧称H. spinosa)はかつて流通したが絶えたと思われる。

薬用としてはH. spinosaとH. erectaが重要。

キツネノマゴ属(ジャスティキア)Justicia !

Justicia gendarussaは水草として流通するが抽水可能な陸生植物。

アクアリウムで流通するのはJ. gendarussaのみ。

タイワンサギゴケ属(スタウロギネ)Staurogyne*@!

数種の両生植物を含み、Staurogyne leptocaulis、”S. repens”、S. spathulata, S. spraguei, S. stoloniferaなどがアクアリウムに利用されている。アジア産で水生種はあまり多くないが、少なくともS. spathulataは水生と数えられる。S. spathulataそのものではないにせよ水上葉が酷似したカンボジアロックプラントも、おそらくこの属に含まれる。熱帯アメリカ産のS. spathulataやS. spraguei、S. stoloniferaはアマゾンハイグロとして知られる。最も有名な”S. repens”は本当にS. repensなのかどうか確証が持てない。種の定義および、何種あるのかについてかなり疑問が残るグループである。本属としてよく紹介されるピーファウルハイグロやスタウロギネspパープルはおそらくHygrophilaではなかろうか。

Stachyacanthus*@
Nelsonia*@

一部の種は湿地や川岸でみられる。水中での観察例もあるようだ。

Avicennia*@

 

ムラサキ目 Boraginales

Boraginaceae ムラサキ科

Myosotis @!

シンワスレナグサはしばしば水中で生育する。

Solanales ナス目

Convolvulaceae ヒルガオ

サツマイモ属 Ipomoea !

クウシンサイ I. aquaticaがよく流通する。

Sphenocleaceae ナガボノウルシ科

ガボノウルシ属 Sphenoclea

ガボノウルシは九州に帰化している。

Hydroleaceae セイロンハコベ

セイロンハコベ属 Hydrolea 
 

Apiales セリ目

Araliaceae セリ科

オランダミツバ属 Apium @

水生セロリ、Apium inundatum - 水草オタクの水草がたり.

Berula @
Carum @
Centella 
ドクゼリ属 Cicuta @
セリ属 Oenanthe @!
ヌマゼリ属(シウム)Sium*@!

Araliaceae ウコギ科

チドメグサ属 (ヒドロコティレ)Hydrocotyle @!

多くの湿生~水生種を含むが、H. lemnoidesは特筆すべきである。

リラエオプシス Lilaeopsis*@!

コブラグラスの仲間。

Asterales キク目

Goodeniaceae クサトベラ

Goodenia*@

オーストラリア熱帯域に主に分布する湿生、時に浮葉植物。水位の高い時期は沈水および浮葉で生育する種もある。Goodenia purpurascensはアクアリウムプラントとしては全く流通していないが、試行例はある。乾いた川床で発芽し、増水期の数か月を水中で生育した後に水がなくなると開花する両生植物である。G. nocolecheやG. lamprospermaは浮葉をもつ。

Selliera 

Selliera radicans

Campanulaceae キキョウ科

Downingia @
Grammatotheca @
Howellia @

融雪プールの水草、Howellia aquatilis - 水草オタクの水草がたり.

Isotoma 
Legenere
ミゾカクシ属(ロベリア)Lobelia @!

L. dortomannaは沈水性。L. fatiscensは水中で匍匐しながら生育することがある。L. cardinalisは沈水越冬の抽水~陸生植物。サワギキョウは抽水性。マルバハタケムシロは野外では陸生だが水中で栽培可能。ミゾカクシは野外でも水中でみられるが、水槽内での再現は困難。L. alsinoidesはトゥティ湖では沈んでいるらしい。

Monopsis
Porterella

Menyanthaceae ミツガシワ科

Liparophyllum
Menyanthes
Nephrophyllidium
アサザ属(ニムフォイデス) Nymphoides @!
Villarsia
Ornduffia*

Villarsia submersa→Ornduffia submersa

Asteraceae キク科

Acmella *@!

Acmella repens (北米)

Aster*@

ヒロハホウキギクは抽水性。ホウキギク(広義)には生育初期は水中で生育するものもある。湿生~水生で意外に奥が深い種群。

Bidens @

Bidens beckii(北米北部)糸状の沈水葉をもつ有茎草。

沈水型センダングサ,Bidens beckii - 水草オタクの水草がたり.

Bothriocline 

詳細不明。

Centipeda*@

トキンソウは一応水中でも生育可能。ムラサキトキンソウ(仮称)は沈水形をもつらしい。

Cotula @

Cotula myriophylloides(南アフリカ)糸状に分岐した沈水葉をもつ有茎草。オーストラリアのC. coronopifoliaも抽水性。

Eclipta

タカサブロウ、アメリカタカサブロウなど。湿生~抽水性。

Enydra

Enydra fluctuans(アフリカ、東南アジア)抽水性。食用。英名Buffalo spinach。

Erigerion@

Erigeron heteromorphus(メキシコ)細かく分岐した沈水葉をもつ有茎草。

Gymnocoronis @

ミズヒマワリ(南米)特定外来生物

Hydropectis @

Hydropectis aquatica(メキシコ)

Jaegeria

Jaegerua bellidiflora, Jaegeria glabra, Jaegeria pedunculata, Jaegeria hirta, Jaegeria axilarisなどは抽水性。(主にメキシコ)

Pacourina

Pacourina edulis 抽水性になることがある。食用、薬用。(南米)

Senecio

Senecio cadiscus(Cadiscus aquaticusとも)(南アフリカ)抽水性。

Shinnersia*@!

Shinnersia rivularis (メキシコ)メキシカンバーレンのこと。

Sclerolepis@

Sclerorepis uniflora(北米南部)は両生植物。糸状の葉をもつ有茎草。

Stenops

Stenops zairensis(Pseudocadiscus zairensis)湿生~抽水性

Tagetes

Tagetes epapposa(メキシコ)抽水性?

Trichocoronis@

Trichocoronis wrightii, Trichocoronis sessiliflora (主にメキシコ)沈水~抽水性。Shinnersiaに近縁。

総括

このリストはあくまで不完全である。

*@!をつけた属の多くはアクアリウムでは一般的でありながら、水中で生活できることがあまり知られていなかったものである。このように、潜在的に水中で生育することができる植物はまだ膨大にあると思われる。抽水植物に関してはもっと伸びしろがある。

このリストに載っている植物に一言ずつくらいは付けたり、水生種のリストをつけていきたいところだが、あくまでこのリスト自体が未完成もいいところである。まずはリストを拡充しながら、出てきた面白い草に関してポツポツ投稿していこうと思う。