水草オタクの水草がたり.

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ツツイトモ

狭葉性ヒルムシロ属の紹介、第二弾はツツイトモにしようと思う。

ツツイトモは絶滅危惧II類とかなり高ランクに位置付けられているものの、出会う機会がそこまで少ないかと言われるとそうでもない。皇居のお堀や井の頭公園の池などに出現して話題になることも多く、ヒルムシロ属の中でも知名度はそれなりにある種なのではないだろうか。

汽水域に生息するとよく書かれているものの、分布域は汽水域だけでなく高山湖や平地の砂丘湖、ほとんど水流の無い用水路、河川のワンド、流水中など様々であり、ヒルムシロ属の中でもとくに適応範囲が広い種といえるだろう。形態的に酷似した、ミズヒキモ類との雑種であるツツミズヒキモとあわせると、かなり目撃頻度が大きい。そのため葉幅1㎜級の狭葉性ヒルムシロ属としては常に鑑別にあげる必要がある。

ツツイトモの葉は基本的にまっすぐであり、湾曲することは少ない。先端はつねに鈍頭である。サイズはやや変異があり、葉幅1.5㎜ほどの大型個体をみることもある。葉の形や大きさはイトモとひじょうによく似ているが、イトモに比べて色が薄い。

托葉は名前のとおり特徴的であるが、簡単に破れてしまうため確認が難しい。殖芽を見ればイトモやミズヒキモ類ではないことはすぐわかるのだが、ツツミズヒキモとは殖芽も酷似しており、若干サイズが異なる程度である。托葉の切れ込みはツツミズヒキモの方が深いが、前述のように判断困難なことが多い。ツツミズヒキモがいるということは(おそらく)ツツイトモもいる/いたということなので、ざっくりツツイトモ雑種として判断して、あとでなんとかするか…といった具合である。

花は2花×2段で、狭葉性ヒルムシロ属としても特に花数が少ない。但しアイノコイトモも花数が少ない2段状であり、注意が必要である。ツツミズヒキモは3段であるとされるが、全例そうなのかは自信がない。

ツツミズヒキモはツツイトモそっくりであるが、ツツヤナギモはツツイトモと全く似ておらず、むしろミズヒキモ類とよく似ている。

関東地方の一部ではツツヤナギモに酷似しているが浮葉をつくる個体群が居るようである。もしかすると、狭葉性ヒルムシロ属の交雑は思ったより複雑なのかもしれない。