水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

インテリアグリーンの最適解は水草である

植物ブームであるらしい。

珍奇植物と称して多肉植物塊根植物に大変な金額が注ぎ込まれたり、熱帯雨林の植物がすごい値段で取引されたりしている。特に、水槽に何も生き物を入れずに、水も張らずに、植物だけを育てるという趣味がある程度市民権を得つつあるのは、10年前なら信じられなかったことかもしれない。

その一方で、水草というものは「メンテナンスが面倒」「難しい」と盛んに喧伝され、始めるのに何十万円もかかれば、維持も大変だというようなことが言われがちである。業界も縮小気味であり、新規参入者も陸上の植物ほどの勢いがない。

しかしながら、水草多肉植物や熱帯植物に対して圧倒的なアドバンテージがあり、またそれらに比べてもずっと手間がかからないことをここで強調しておきたい。

 

はじめに、インテリアグリーンとして何が必要なのかを見ていこう。

インテリアグリーンとは、室内の暗い環境で緑を楽しむことと定義できるだろう。

ここで室内という環境がどのようなものであるか触れていく。

室内は案外温度が上下するし、季節により極度に乾燥する、その上に非常に暗い、植物にとってとても厳しい環境である。さらに、室内では屋外に比べて病害虫のダメージが致命的になりやすい。これは室内という環境では植物が本気を出せないために、病害虫にやられるとそちらのダメージが容易に回復力を上回るためである。

このようなインテリアグリーンに求められるのは

・水やりが簡易である

・温度変化に強い、もしくは温度を調節しやすい

・暗い環境に強い、もしくは容易に明るくできる

このような環境を生き抜くような植物は極めて少なく、観葉植物のラインアップがいつまでたっても似たようなものであるのはそのためである。またそのような観葉植物ですら、うまく育てられない方が大半ではないだろうか。

水やりを忘れて枯らすのならまだいい。一番多い失敗は、「まだ生きているが水が殆ど切れてしまった状態で根にダメージを与え、そこに水をやることによってダメージを喰らった根が腐って枯死する」パターンである。根腐れ防止を各園芸メーカーが喧伝しているのはこのためであるが、売り文句的であって本質ではない。

「多肉や塊根なら大丈夫」そう思う人が多いと思う。しかしこういったものこそ水やり加減が至難の業である。ほとんど乾かさなければいけないが本当に乾いてはいけない、そんなさじ加減を、初学者が、超高額植物に対してできるだろうか?さらに多肉植物塊根植物は砂漠の強烈な直射日光を前提としており、室内で育てるには後述する光の問題が深刻なのである。

 

温度変化に悩まされる人はそこまで多くはないかもしれない。しかし冬場気温が下がると、熱帯植物の類は露骨に状態が悪くなるし、カビ類などの病害に非常にあいやすい。私は正直病害が面倒すぎて、そうそうにやめた。病害に対策するためにベンレートやトップジンといった農薬類を使うことが熱帯植物界隈では一般化しつつあるが、そのような処理はほかの生き物、たとえばカエルを水槽に入れることをできなくさせてしまう。

そもそも、熱帯植物の栽培で用いられるような水槽を寒い部屋において、それを温めたら何が起こるだろうか?もちろん水槽の内部はビッチリ結露してしまう。この結露というのが植物には非常に悪い。結露が常にかかるところでは病気も多発するし、内部が見えないのではインテリア性がなくなってしまう。これを対策するには、部屋ごとこうした植物に適した温度に調節してしまうか、もしくは通風して、「極度に乾燥に弱い植物にごく短時間の乾燥すら避けながら水やりする」というわりと曲芸じみたことをせねばならない。

照明の問題が案外深刻だ。窓辺の光で採光して育てるのならばいいが、窓辺というのは深刻な温度変化に晒される。できれば室内に光源があればいいのだが、それにうまく釣り合った照明器具がない。角度固定かつコンセントにさせる巨大なデスクランプ的なものがあればよいのだが、そんなものはほとんどないし、あっても高額である。

 

さてともかく言えるのは、「ほとんどの日本人にとって植物は室内で育てられたものではない」ということである。ちょっと忙しくて水やりを忘れるとミイラになる鉢植えか、結露した衣装ケースのど真ん中に草が入っていて、開けたときにはじめて安否を確認できる熱帯植物か、というのがインテリアグリーンの実態だろう。

しかしながら、世の中には

「病害虫がほとんどなく、水やりの手間も皆無で、温度管理も既製品ででき、結露もなく、照明も既存のものが十分に使える」インテリアグリーンがあるのである。

それが水草である。

上記の問題を水草はすべてクリアしている。

種類と環境さえうまく合致させてやれば、「一年間足し水しかしていない」ような水槽でも何かしらの水草は育つものであるし、小型の熱帯魚を数匹泳がせたりする楽しみもできる。こんなに楽な観葉植物はない。さきほど陸上園芸は水草に劣るという話をしたが、それでもなお“陸上で”植物を育てる際も、水草の水上葉に勝るものはない。なぜなら、水中という高湿度の究極で生きるものだからだ。結露もあまりこわくはないし、空気が動かなくても大丈夫だ。

よく「育つのと綺麗に育つのは違う」といって高額な商品(たいていA〇A)を売りつけようとするショップがある。

しかしインテリアグリーンが直面する問題は「きれいに育つか」の次元になかなか到達してくれない。多くのユーザーにとってインテリアグリーンとは、「DEAD OR ALIVE」な世界なのである

とりあえず何もしないで部屋に緑を置いておきたい、という人は水槽を置いて、底にパワーサンドを敷いて上に砂を敷き、真ん中にエキノドルス、たとえばアマゾンソードやラッフルソード、あとはウォーターナスタチウム、場合によってはアナカリスやマツモなどをいくつか植えて、水中フィルターでも入れておけば少なくともとうぶん枯れはしない。

藻類?ラン藻はタニシ、壁面は石巻貝、他の藻類はサイアミーズフライングフォックス、これらでどうにもならないものは遮光で十分。葉が枯れてきてダメになったと思っても抜かずに辛抱強く待つ。これらが育ち始めたな、と思ったらパールグラスやヘテランテラ、エレオカリス・ビビパラなどを追加するし、魚を飼いたければグッピーなどを入れればよろしい。

そのくらいで少なくとも「なんかしら」は育つし、「なんかしら」さえ育ってしまえばインテリアグリーンとしては十分機能するのである。そのくらいの「ローテク・ズボラな人のための水草」がもっと再び注目されてほしいと思っている。

昨今もてはやされているネイチャーアクアリウムは確かに圧倒的な水草の美しさを実現できるし、レイアウトの幅も非常に楽しみがいがある奥深い趣味である。しかしながら、それにはとんでもなく手間がかかるし、お金もかかる。そして手間をかけるのが前提のシステムなので、サボるとすぐ崩壊する。つまり要するに、めんどくさいのである。

水草はもっと肩の力を抜いていい。水槽にとりあえず自分が好きな見た目の水草が、もっさりと茂ってればそれで満足。緑が綺麗だしいいね、そのくらいの感覚を目標としていれば、メンテナンスなんて週に1回やればよくやった方だろう。水替えを毎日やるだとか、肥料を毎日添加するだとか、そんな面倒なことを前提として話すことに、私は大きな大きな抵抗感を感じるのだ。しかも、「その種類を育てられるかどうか」といった面からいえば、手間を毎日かけてやった水槽で育てられる種類とローテク・ローメンテ水槽で育てられる種類には全くと言っていいほど違いがないし、なんなら水草一本一本の調子はしばしばローメンテ水槽のほうが上回るのである。

たしかに昨今の萎みゆく趣味人口の中では一人からできるだけ多くを巻き上げたいと思うのも当然であるし、このご時世に熱帯魚屋をやれているというのはそれほど商売っ気がないと無理な話なのかもしれない。しかしながら、敷居をあげてわざわざ裾野を狭くするのは、長期的に見て自滅行為である。

最初は「ラッフルソードとパールグラスとアナカリスしか育たない」でいい。そういった簡単なところから徐々にステップアップしていくのを手助けするのがショップ、ひいてはアクアリウム業界の将来のためにもなるのではないか?

いきなりエベレスト単独登頂を目指すような装備を買わせてそのためのメンテナンスを紹介する昨今の水草まわりの動向はどうもおかしいと思うし、あまりにもできすぎた作例ばかりが喧伝されるのもどうかと思う。とりあえず水草をとにかく簡単に育てる、という方面に目を向けてみるのはどうだろうか?