水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

ツツイトモとイトモの学名について

ツツイトモ の学名表記は,国内ではPotamogeton pusillusとPotamogeton panormitanusの2パターンがあり,イトモの学名表記は,国内ではPotamogeton berchtoldiiとPotamogeton pusillusをよく見かける.

ようするに,Potamogeton pusillusと言ったばあい,イトモを指しているのかツツイトモを指しているのかよくわからなくなってしまう.

これは世界的に言えることであるが,日本語で平易に経緯を書いているサイトがなさそうなので図にしてみた.

 

結論から言うと,ツツイトモがP. pusillus, イトモがP. berchtoldiiである.

日本での名称がいまも混乱している理由としては,Miki (1935)でツツイトモをP. panormitanus,イトモをP. pusillusとして詳細に記述しており,多くの文献がこれを模範としたことであろう.時期を考えれば当然のことである.

 

参考文献(図は主にHaynes, 1974の記述より作成.)

Dandy J. E. & G. Taylor. 1938. Studies of British Potamogetons. -I. The typification of Potamogeton pusillus. Jour. Bot. 76: 89-92.

Fernald, M. L. 1932. The linear-leaved North American species of Potamogeton section Axillares. Mem. Amer. Acad. Arts. 17:1-183.

Hagstrom, J. O. 1916. Critical researches on the Potamogetons. Kongl. Svenska Vetenskapsakad. Handl. 55(5):1-281.

Haynes, R. R. 1974. A revision of North American Potamogeton Subsection Pusilli (Potamogetonaceae). Rhodora. 76: 564-649.

Linnaeus. 1753. Species Plantarium. 1:127.

Miki, S. 1935.New water plants in Asia Orientalis I. Shokubutsugaku Zasshi, 49(586), 687-693.

エレオカリス・ビビパラとその仲間たち

今回はエレオカリス・ビビパラとそれに似た植物たちにフォーカスします.

アクアリウムで取引されるビビパラ的なやつら

現在アクアリウムでは”ビビパラ”,”ミニマ”,”アラグアイアヘアーグラス”,”レトロフレクサ”,”ラジアルヘアーグラス”が入手可能と思います.(レトロフレクサは業者のリストには載っているが輸入されたことは殆どないかと)これらの種は水生傾向が強く,栽培は簡単です.糸状の桿の先端に退化した小穂から子株を吹き,チェーン状に増えていきます.pHもやや低めにしておけばさほどこだわらないようで,しばしばCO2添加のない水槽でも増えていきます.(ROにソイル単用とかだと逆に育たない場合あり.少しだけ硬度要ります.)東南アジアでもアマゾンでもこうした”ビビパラっぽいやつ”はありふれた植物で.現地を再現した水槽を作るにもうってつけの植物と言えるでしょう.

奴らは何者なのか?

さて,アクアリウムで扱われるこれらのよく似た種群が何者であるかはかなり難しい問題です.育てていると確かに一種一種ちょっとずつ性格が違って面白いのですが...

なぜならエレオカリス属の分類は小穂と果実から行うにもかかわらず,これらの種は水上にあげてもなかなか開花せずに栄養増殖を続けるためです.同定を目標に増やしてはいるのですが,なかなか開花してくれず困っているのが現状です.さらに開花したとしても小穂の構成と微細な果実表面の構造が同定形質となっており,図示している文献も少ないことから同定は困難を極めます.

またいつものことながら,アクアリウムで取引される種が本当に正しい名前で流通しているかどうかには甚だ疑問があります.この疑惑については後述します.

ひとまずこれらの種がEleocharis subseries chaetariaに属する種群を指すことは確からしいので,これらの種群をまとめて今回は紹介しようと思います.

 

そもそもEleocharisの分類について

ハリイ属Eleocharis はだいたい300種ある大所帯で,殆どの種で葉が殆ど退化して筒状の鞘だけになり,草体の大部分は茎(桿)だけ,茎の頂点に小穂が1個つく...という非常に簡略化された姿をしています.逆にいえば,小穂が沢山ついていたり,葉が発達していたり,小穂が桿の途中から出ているように見えれば他の属を疑った方がいいです.要するに殆どの種が「ぱっと見同じ」わけで…

同定形質となるのはもっぱら小穂を分解した花の構造と痩果の形質で,以下のように分類されます.但しこれは形質をもとにした分類用の枠組みで,遺伝解析から得られる種間の関係とは異なることがしばしばあるので注意が必要です.

Eleocharis subgenus Scirpidium・・・マツバイなど.

Eleocharis subgenus Zinserlingia

・・・section Baeothryon

・・・section Disciformes

Eleocharis subgenus Limnochroa

・・・section Limnochloa・・・クログワイ,ミスミイ,エグレリアなど

Eleocharis subgenus Eleocharis

・・・section Eleogenus

・・・・・・series Ovatae・・・エンゲルマンハリイなど

・・・・・・series Maculosae

・・・・・・・・・subseries Ocreatae

・・・・・・・・・subseries Rigidae・・・タマハリイ,サルバドールカールラッシュなど

・・・section Parvulae・・・チャボイのみ

・・・section Eleocharis

・・・・・・series Eleocharis

・・・・・・・・・subseries Eleocharis・・・ヌマハリイなど

・・・・・・・・・subseries Acutae

・・・・・・・・・subseries Truncatae

・・・・・・series Multicaules・・・ハリイ,シカクイなど

・・・・・・series Albidae

・・・・・・series Rostellatae

・・・・・・series Tenuissimae

・・・・・・・・・subseries Chaetariae・・・ビビパラ,ミニマ,レトロフレクサ,カヤツリマツバイなど

・・・・・・・・・subseries Sulcatae

Eleocharis  subseries Chaetariaに属する種たち

series Tenuissimaeは1.痩果が3稜形であり,表面は平滑から深い網目状("海綿状”とも),2.花柱は3分岐状である,3.小型で糸状~糸状よりやや太く,しばしば先端に子株を生じる,といった特徴で他のEleocharisから区別されます.その中でsubseries Chaetariaeは1.痩果は平滑~深い海綿状で色は様々,2. しばしば株の基部に開放花からなる小穂(basal spikelets, (Svenson, 1937)),ことにより他から区別されます.(González-Elizondo and Peterson, 1997)

subseries ChaetariaeはEleocharisの中でも大所帯で,南米とアフリカで特に多くの種が知られています.E. retroflexa complexおよびE. minima complexに関してはまだ研究が進んでおらず,未記載種が今後も出てくると思われます.

代表的な種を列挙します.主にGonzález-Elizondo and Peterson, 1997をベースとし,Trevisan & Boldrini (2010)などから追加しました.

が,まだまだ抜けはあります...

Eleocharis alveolata Svenson

E. alveolatoides S. Gonzalez & Reznicek

E. amazonica C. B. Clarke

E. angolensis H. E. Hess

E. angustispicula R. Trevis

E. antunesii H. E. Hess
E. bahiensis D. A. Simpson

E. baldwinii (Torr.) Chapm

E. barrosii Svenson

E. brainii Svenson

E. braunii H. Hess

E. bicolor Chapman

E. caespitosissima Baker

E. caillei H. E. Hess

Eleocharis canendiyuensis F. Mereles & S. González

E. chamaegyne L. T. Eiten

E. columbiensis L. E. Mora

E. complanata Boeck

Eleocharis cryptica Saarela, P. M. Peterson, S. González & D. J. Rosen

E. glauca Boeck

E. grisea Klik

E. knutei Pab6n & Zavaro

E. microcarpa

E. microlepis (Griseb.) D. A. Simpson

E. minima Kunth

E. minutissima Britton

E. monantha Nelmes
E. morroi D. A. Simpson

E. nana Kunth

E. naumanniana Boeck

E. nigrescens (Nees) Kunth

E. niederleinii Boeck

E. oligantha C. B. Clarke

Eleocharis pedrovianae C.S. Nunes, R. Trevis. & A. Gil

E. ramboana R. Trevis &H. Hess

E. retroflexa D. A. Simpson

E. rugosa 

E. setifolia (A. Rich.) A. Raynal
E. spongostyla H. E. Hess

E. squamigera Svenson

E. subcancellata C. B. Clarke
E. subfoliata C. B. Clarke

E. subtilissima Nelmes

E. svensoniana S. Gonzalez
E. tortilis

E. tuberculosa

E. urceolala (Liebm.) Svenson

E. urceolatoides R. Trevis & Boldrini

E. venezuelensis S. Gonzalez & Reznicek

E. vivipara Link

これらの植物は形態的に非常によく似ている一方で、光合成に対する適応は種間で異なることが知られており,植物生理学的な興味を集めています.Eleocharis viviparaは水中でC3、水上でC4光合成を行いますがE. retroflexaでは水中でもC4、E. baldwiniiでは水中でC3とC4の中間、水上ではC4です.また、一部の先行研究ではE. baldwiniiをE. viviparaと誤認したまま報告され、のちに訂正がついているものもあります。

というわけでこれらのビビパラっぽいものをなんとかして見分け、分けて維持することには非常に重要な価値があると言えるでしょう。非常に難解ですが,ボチボチやっていこうと思っています…

さて,めったに咲かないこれらの植物の中で,幾つかの種は草体にも特異な性質を持っています.そうしたものを中心に,幾つかの種に対して解説していこうと思います.

 

 

・・・いくつかの種についてピックアップ・・・

”エレオカリス・ビビパラ” Eleocharis sp.

【分類について】

E. viviparaはsubseries chaetariaeに属する他の種とはやや遠い関係にあるよう(たとえばHinchliff et al., 2010 参照)ですが,草体にも大きな差があるようです.Svenson(1937)は以下のように書いています.

”The species produces mature achenes infrequently, and is often most readily identified by the coarse brown roots proceeding from thickened rootstocks”

…あれ,アクアリウムの”ビビパラ”ってそんなやつだっけ・・・?という気がしましたので,お手持ちのビビパラが咲いたり,戸外で越冬させている方は是非とも真面目に検索していただけると面白いかと思います.形質に関して(補足)にメモしておきます.個人的に,流通している個体群はE. baldwiniiなどの別種である可能性を疑っています.

そもそもビビパラとして流通する植物に複数タイプがあった経緯があることに注意が必要です.ヨーロッパで栽培されていたビビパラと東南アジアで生産されていたビビパラはおそらく違う起源をもつだろうといったことはかつての熱帯魚雑誌をあさると出てきます.さらに,ビビパラとして太さや水中適性が明らかに違う草が入荷することがあります.

【栽培について】

一般的な「ビビパラ」に関しては非常に容易で,CO2添加がなくとも生き永らえ増えていきます.ボトルアクアリウムなどでもお勧めできる水草ですが,ちょっとした断片からでも再生し,根を張る土壌がなくともあちこちに広がっていくので注意が必要です.ネイチャーアクアリウムでの使用はソーシャルフェザーダスターやロングヘアーグラスに駆逐され減ってしまっている印象を受けますが,水草はガチガチのセットを組まないと育たない!といった固定観念を外して魚水槽に入れてみると面白いと思います.開花させるのはかなり難しいですが,咲かないこともありません.スイレン鉢に浮かべておいたところよく咲いた覚えがあります.(そのときの穂を保存しなかったことを悔やむ…)

 

エレオカリス・ビビパラ Eleocharis vivipara

”本物の”エレオカリス・ビビパラが一般的に知られるものと同一であるかどうかに関して疑いの目を向けざるを得ないので,別項としました.本種の分布はフロリダからバージニアまでで,フロリダ中部~北部に多いようです.春から初夏にかけて開花します.

本種は水中ではC3光合成,水上ではC4光合成をおこなうことが知られています.光合成の研究に用いられている株はフロリダのタンパ近郊で採集された株で,一般に市販されているものではありません.水中では糸状の柔らかい桿ですが,水上では太くしっかりとした桿をもちます.野外でも陸上から水深数十センチに生育しますが,浮かんで生育することは少ないようです.フロリダに分布するE. baldwiniiおよびE. microcarpaとは葉鞘の上部が厚く,辺縁に赤い斑点があること,葉鞘の先端部が1㎜未満であることで区別されます.(E. baldwinii及びE. microcarpaでは葉鞘の上部が膜質で辺縁にで色は変わらず,葉鞘の先端部は1~2㎜)

 

Eleocharis baldwinii

アメリ中南部に広く分布する種で,ノースカロライナからルイジアナにかけて知られています.英名がRoad grassであることからわかるように,低地の湿った地域では陸上から水中まで広く適応し,しばしばマット状に広がります.草体が絡み合って浮島を作る場合もしばしばあります.フロリダに自生するEleocharisの中では小穂が赤みを帯び,2列状であることが特徴的とされ,また最下部の鱗片が他の鱗片に比べ短いことで同じ地域に分布するE. microcarpaと区別されます.E. viviparaに比べ桿が細いこと,またしばしば浮草として生育することも違いとして有効とされます.Ueno(2004)では本種について,本種は水陸両生のEleocharisの中でどうやら(理由はわからないものの)最も水中で活発に成長するとあります.

 

Eleocharis retroflexa

本種はこのグループの中で最も広く分布しており,世界中の熱帯~亜熱帯から記録があります.日本にも石垣島から記録があります(和名カヤツリマツバイ)が,実物を見たという話は全くと言って聞いたことがありません.この類の分類にはまだまだ謎が多く,未記載種が多く潜んでいると思われます.

 

 

アラグアイアヘアーグラス Eleocharis sp.

【分類について】

Oliveira et al., 2011ではアラグアイア流域のEleocharisの検索表が掲載されていますが,そもそも全然咲かないために検索表にかけられず困っています.栽培と同定に自信のあるかた,是非やっていただきたいところです.

【草姿について】

”ビビパラ”に比べてあまり伸びず,桿の数も少ないために小さい印象を受けます.子株は”ビビパラ”に比べて早く根を出すため,子株が上に連なっている印象を受けます.水上葉では”ビビパラ”に比べて小型で葉数が増えます.花は滅多に咲きません.

【栽培について】

”ビビパラ”よりは若干難しさを感じますが,容易に育てられる水草です.ビビパラに比べて根付いていた方がよい印象を受けるので,”ビビパラ”のつもりで浮かせたまま育てようとするとうまくいかないこともあります.ピンチカットでも差し戻しでも維持できます.水上栽培でも先端に子株を付けて増殖します.

 

ラジアルヘアーグラス Eleocharis cf.glauca

【同定について】

南米,ブラジルに分布するE. glaucaおよびパラグアイのE. canindeyuensisは桿が太いものと細いものに分かれ,太い桿の先に極めて細い桿からなる子株をつけます.概して,E. confervoidesやE. fluctuans, E. egleriodesなどに似た形態と言えるでしょう.本来水棲の植物ですが,サンプリングされた個体は陸生形(というか干からびて根を張った状態?)であったため,検索表では21世紀に至るまで一貫して匍匐茎をもつことになっており,Svenson(1937)にある図では水中葉も特徴的な桿も描かれていません.このあたり,水草では難しいところです.検索表や図版を見ただけではこの種の同定は極めて困難と言えるでしょう.そのため長らくにわたって,E. glaucaはしばしばEgleriaやWebsteriaと誤同定されてきました (Hinchliff et al., 2010).ラジアルヘアーグラスの正体に関してさんざん悩みましたが,どうやら正体はE. glaucaだと思われます.(お詫び参照)E. pedrovianaeも「匍匐枝を持つ」と形容されますが,こちらはどちらかというと茎が伸びたかのように生育し,小さな閉鎖花をまるで腋生するかのようにつけます.

【栽培について】

水草水槽の設備があれば,さほど難しい水草ではありません.最初は水槽に浮かべておき,発根を始めたら根をソイルに埋めるとうまくいきます.しっかり根を張ると巨大化するので,子株から根が生えてきたタイミングで”差し戻し”の要領で子株を植えなおします.”ビビパラ”のつもりでピンチカットすると弱りがちです.

 

とりあえず中途半端な進捗ですが,1卍も超えてきたのでこの状態で公開します.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(補足1)Svenson, H. K. (1937)より, Eleocharis viviparaの形態記載 

 Erect from a stout often vertical rootstock covered by the culm bases of the previous
 year: roots coarse, deep brown: culms 1-3 dm. high, filiform, to 0.5 mm. wide, light green, faintly punctate, deeply striate to sulcate: sheaths yellowish, often purple at base, firm, acute and frequently lightly purple tipped at the apex: spikelets linear cylindric, acute, many-flowered, 3-8 mm. long, usually wholly proliferous and seldom perfecting fruit: scales appressed, obtuse, 2 mm. long, usually without a keel, dark chestnut on the sides, with whitish hyaline margin, the lowest somewhat larger, erect and appressed
 to the base of the spikelet: style 3-fid: achene triangular, obovate, 1 mm. long, dark gray, coarsely reticulate to cancellate: style-base pyramidal, narrower than the achene, light gray to nearly black (if so with a whitened elevated ridge at the base): bristles reddish-brown, closely retrorse-toothed, nearly equalling the achene.

Eleocharis baldwinii - FNAおよび,Eleocharis vivipara - FNAも参考になる.

 

お詫び)

E. pedrovianaeとしてE. glaucaの写真が流れており,それをもとにラジアルヘアーグラスの正体に関して間違った情報を流してしまいました.原記載を購入したところ間違いと判明したので,当該記事は一旦取り下げております.所属機関が購読してない論文,高い…

 

 

 

 

参考文献

Svenson, H. K. (1937). MONOGRAPHIC STUDIES IN THE GENUS ELEOCHARIS. IV: 1. Series: Tenuissimae. Rhodora39(462), 210-231.

González‐Elizondo, M. S., & Peterson, P. M. (1997). A classification of and key to the supraspecific taxa in Eleocharis (Cyperaceae). Taxon46(3), 433-449.

Trevisan, R., & Boldrini, I. I. (2010). Novelties in Eleocharis ser. Tenuissimae (Cyperaceae), and a key to the species of the series occurring in Brazil. Systematic Botany35(3), 504-511.

Roalson, E. H., Hinchliff, C. E., Trevisan, R., & da Silva, C. R. (2010). Phylogenetic relationships in Eleocharis (Cyperaceae): C4 photosynthesis origins and patterns of diversification in the spikerushes. Systematic Botany35(2), 257-271.

Mereles, F. & M. S. González-Elizondo. 2003. Eleocharis canendiyuensis F. Mereles & S. González (Cyperaceae), una nueva especie para la flora del Paraguay. Candollea 58: 75–78.

Saarela, J. M., Peterson, P. M., González Elizondo, M. S., & Rosen, D. J. (2010). Eleocharis cryptica (Cyperaceae), a dwarf new species from Durango, Mexico. Brittonia62(3), 233-238.

Hinchliff, C. E., Lliully A, A. E., Carey, T., & Roalson, E. H. (2010). The origins of Eleocharis (Cyperaceae) and the status of Websteria, Egleria, and Chillania. Taxon59(3), 709-719.

Ward, D. B., & Elizabeth M.(Hodgson) Leigh. (1975). Contributions to the Flora of Florida: 8, Eleocharis (Cyperaceae). Castanea, 16-36.

Ueno, O. (2004). Environmental regulation of photosynthetic metabolism in the amphibious sedge Eleocharis baldwinii and comparisons with related species. Plant, Cell & Environment27(5), 627-639.

Oliveira, A. L. R. D., Gil, A. D. S. B., & Bove, C. P. (2011). Hydrophytic Cyperaceae from the Araguaia river basin, Brazil. Rodriguésia62, 847-866.

事故レポート

年末年始に45㎝水槽の調子を著しく落としてしまったのでレポートしてみる.

 

事故レポート

条件 フィルター エーハイム500

底床 使い古し→アマゾニアに変更

pH 5付近

経過

12月中旬

某所で野外採集した雑草を数種入れてみる.着状態が悪く腐り始めているものもあり,腐った部分を除去して導入.

12月後半

ダメそうな水草は溶けたものもあったが大きな損害はなく経過.

12月末

年末大掃除していたらアマゾニアが出てきたのでソイルを交換してみたところ,濁りがとれず浮泥が舞いがちとなる.対策をとる時間が取れないまま帰省

1/3~6 

浮泥は出がちだがこれといった損害はみられず.ロタラ系とマヤカはいつになく調子がいい.他はくすぶっている.ポタモゲトンは一部の種が成長.結構速い.ムジナモが寒くもないのに冬芽になり始める.

1/6

他水槽で調子を崩したヒナザサ水上葉を入れる 

当該水槽にも某所の溶けかけ水草を入れており,ヒナザサ以外は問題なく経過していた.ヒナザサだけ妙に葉色が悪く,肥料切れかと思い試しに入れてみた

1/7~8

用事により家を空ける 

1/9 

事故発生

セタケウムとマットグロッソスターの葉が溶ける.他のホシクサ類に拡大すると被害甚大であること,替えは沢山あるため処分.ゴイアススターやクチ,ウォータリーアイズ,ソーシャルフェザーダスター,ヒマラヤスターには被害なし.

ポタモゲトンが複数種溶ける.葉が重なり合った部分で顕著.一部残して除去.

浮かせていた株分け後のブリクサが溶ける.替えは沢山あるが,溶けた部分を除去して様子見.

レッドカボンバ全滅

ムジナモ,すべて冬芽になる.ゴハリマツモ,新芽を残して溶ける

ミクロソリウムの葉に枯れが広がる

1/9

各種の溶けた部分を除去,アマゾニアを本間ソイルで被覆.外部フィルターを1年ぶりに掃除する.溶けた部分を除去するためシナヌマエビ導入.

1/10

被害の進行見られず

1/10~15

ロタラとマヤカがいつになく調子がいい.ポタモゲトンが息を吹き返し始める.ためしに他水槽からトニナとラージナヤスを入れてみる(溶けがでないかのチェック用)

1/15~18

ムジナモが急激に復活.死にかけブリクサも根を出し始める.トニナ及びラージナヤスも発根および成長開始.ミクロソリウムは相変わらず調子が悪い.ゴハリマツモも復活傾向.

 

事故の原因について

・溶けかけの水草導入

・アマゾニアへのソイル交換

の2つが原因である.

・某所で採集した水草は異常なまでに立ち枯れ病が出やすく,(入れた当初は単に輸送が悪いのかと思っていたが...)その被害が拡散したものと思われる.採集前後にずっと雨続きだったことも原因だろう.最終的にヒナザサの移植により壊滅的な被害が出たが,その後の経過をみるに,どうも不調の原因はこれも立ち枯れ病だったようだ.些細な不調を見誤った結果と言える.

・ソイルの交換を機に有機物量が増え,浮泥が舞ったことがバクテリア叢のバランスを崩したことが引き金になった.さらにアマゾニアは窒素量が多く,N-P-K比がNに偏り立ち枯れ病が発症しやすい条件となる.

・さて,水槽ではふつう,立ち枯れ病などの被害はそこまで拡散しない(正常なバクテリア叢が保たれていれば…)ため,12月後半は被害が出ておらず,潜在的に病原体が残っている筈の条件でも再燃せずに経過している.

 

***おまけ***

そもそも,水槽で出る「溶け」ないしワイルド品の痛みもじつは多くが立ち枯れ病であると思っている.立ち枯れ病自体も単一病原体によるものではなく,多くの病原体により起こる疾病の総称である.

日和見的な性質が強いうえに,水中では維管束が一部障害されたとしても全草が枯死するわけではないため,「安定した」水槽に浮かべておけば多くの場合,軽快する.生長点がどこか残ってさえいれば水草は復活するし,そもそも溶けるということ自体が慣れ親しまれている.要するに出たとしても「ちょっと溶けた」で済まされてしまっているのだと思う.「なぜか水草では病気らしい病気がない」現象に関しても,おそらく上記のようなことが他の病気でも起こっているのだろう.

・水分過多だったり,N-P-K比がNに偏ると立ち枯れ病が出やすいことが園芸業界では常識であるが,致命的な「茎から出る溶け」が実は水中の立ち枯れ病であったと仮定するならば,水槽内でもK重視で施肥する方針は対策として有効だろう.(おそらくN過多だと成長が速くなって細胞壁が脆弱になり,感染を誘発する)

・水槽のバクテリア叢が安定していれば立ち枯れ病は出にくいと先に書いたが,安定した水槽の水でミズゴケを戻すと水上栽培でもこの手の被害はかなり減る(たとえばピシウムとか).最大の予防策は水槽のバランスを崩さないことであろう・・・

 

***おまけ2***

特にソイルを交換する必要はなかったのだが,なんか替えたくなってしまったというばかばかしい話.いつものように泥抜きして施肥すればよかったものを.

但し,いくつかの戦訓は得られた.

ロタラ・ロトンジフォリア系は相性が悪く,基本的に不調なものという印象だったが,ソイルを交換すると調子がばっちり上がった.その他マヤカやルドウィジアにも同様のことがいえた.それに対して,アンブリア系はそこまで影響を受けない(追肥条件の方がむしろ元気)ように見えた.

・エイクホルニアはソイルを交換すると調子を落とす.経験則上そんな気がしていたのだが,やはり.そもそも環境変化に弱そうだ.

・他の水槽でも気になっていたのだが,アマゾニアは他のソイルに比べてポタモゲトン系に及ぼす負の影響が少ないような気がする.

 

結局今回の失敗で完全に枯れてしまった種はレッドカボンバだけであったし,他の種で被害を受けたものに関してもバックアップが各所にとってあったことから,そこまで大きな被害にはならずに済んだ.色々考える機会になったので総合的にはプラスに評価しておく.

アブノメ属Dopatriumについて

今回はアブノメ属Dopatriumについて.

 

DopatriumはBenthamにより1835年に提唱され,タイプ種はインド産の Dopatrium junceum(日本のアブノメと同種)である.分布の中心はアフリカ熱帯地域であり,11種が分布する.アフリカ産の種は岩盤にできた季節性の水たまりに生えるものが多い.なお,マダガスカルには分布しない.アジアに分布するのは4種のみである.D. junceumは非常に広域分布で,アフリカからアジア,オーストラリア,極東ロシアまで分布が見られる.日本では水田の印象が大きいが東南アジアでは池などにも出現し,またアフリカでは岩盤にできた季節性の水たまりにも生育する.アジアに分布する他の3種に目を向けてみると,D. acutifoliumはインドシナ半島に生息するが情報が少なく詳細不明である.D. nudicauleとD. lobelioidesは南インドスリランカに分布する.これらの種は岩場の水たまりだけでなく,湿地,水田にも出現する.

ようするに,日本では水田の印象が強いアブノメだが,この属は基本的に岩場の季節性の水たまりに生えるということである.

日本のアブノメという名は花序の下部にみられる無柄の閉鎖花を虻の眼にたとえたものだが,同定に当たってはこれがキーとなる.D. junceum以外のDopatriumは閉鎖花をもたず,また無柄でもない.

 

さて,以前からずっと気になっていたことがある.インド~スリランカあたりの現地写真で,妙に立派すぎるし巨大だし,ド派手なアブノメが映っていることがあるのだ.

Species of wilpattu national park

ようやく詳細な写真を見つけたのでよく見てみるが,これはDopatrium lobelioidesであろう.この種はアブノメに比べて一回り大型で,花もだいぶ立派だ.アブノメ類が一面の花畑を作り湿地をピンク色に染めるとは,圧巻である.ちなみにD. lobelioidesで検索するとLindernia hyssopifoliaあたりか???とおぼしきLinderniaceaeの画像ばかりヒットしてしまうので注意.

 

こちらはDopatrium nudicauleである.

Dopatrium nudicaule - Leafless Dopatrium

青い花が美しい.アフリカの種に関してはあとでもしかしたら書くかもしれない.

ヒドロトリケ属 Hydrotricheについて

ヒドロトリケとして昨今ではミリオフィラムが流通しているようだ.実に悲しいことである.というわけで今回はヒドロトリケ属について語っていきたい.

 

ヒドロトリケ属はマダガスカル固有の水生~湿生植物である.バコパやリムノフィラなどと同じく旧ゴマノハグサ科水草とされてきたが,現在ではオオバコ科とされている.属名はHydro-(水)+triche(毛)で,水生で細葉であることからついた.尚,見た目も名前が紛らわしいヒドロトリックス属Hydrothrix(ミズアオイ科)も同様の,水生の毛という意味である.似たような見た目から同じ発想で名付けられたという面白い経緯といえよう.タイプ種はH. hottoniifloraであり,1832年にZuccariniにより記載された.

輪生に見える”葉”は深く細裂した1対の葉の一部である.これは発芽初期の葉が対性であることや苞葉が対生であることだけでなく,輪生する葉の間のスペースにやや広い部分があり,分岐する際には輪生数にかかわらずこの広い葉間から90度の角度を付けて1節あたり2本の側芽しか出さないことからうかがい知ることができる.

 

本属は4種と2亜種が知られている.最も一般的なのはH. hottoniifloraで,残り3種は分布が狭く記録も少ない.

種の特徴についてまとめてみる.

H. hottoniifloraは輪生の1脈で細い”葉”をもち,抽水葉も作る場合があるが,基本的に水生である.水上葉も水中葉も棒状の細葉で,断面は楕円形である.先端部にかけて微細な鋸歯を持つ.長い花茎を上げて水上に花序をあげる.苞葉は三角形の対性である.マダガスカルの広域に分布する.

花の色によって2つの型に分けられる.ピンク色の花の中心部が黄色いH. hottoniiflora hottoniifloraと,花は全体に黄色のH. hottoniiflora flavaである.

H. gaiifoliaはH. hottoniiflora latifoliaとかつては呼ばれたものである.輪生の3~5脈で幅広の”葉”をもち,抽水葉も作る場合があるが,基本的に水生である.水上葉も水中葉も幅のある披針形の葉で,平たい.長い花茎を上げて水上に花序をあげる.苞葉は三角形の対性である.ナモロカ国立公園などマダガスカル北西岸の沿岸部に分布する.

H. bryoidesは陸生の小型種であり,葉は3~5脈で披針形から線形,平たい.花は腋生で長い柄をもつ.茎は短く太い多肉質で,よく分岐する.

H. mayacoidesは湿生の一年草であり,葉は3~5脈で披針形から線形,平たい.花は腋生で柄は短い.茎は細長く分岐は少ない.

 

Hydrotriche hottoniifloraは栽培が容易な植物であるが,水質の適応幅も広い.自生地でも季節性か水が通年あるかどうかにかかわらず,また止水,流水に関わらず生息する.水質の適応幅も広く,カルシウム分を多く含む水域から軟水のピート質の水域まで生育がみられる.H. gaiifoliaに関しては分布が局限されるものの,石灰沈着を伴う標本が知られていることからミネラル分の豊富な水域に生育するようだ.

H. bryoidesおよびH. mayacoidesに関しては情報が著しく少なく,標本数も限られてはいるものの高標高からのみ得られている.

 

結局のところ,Hydrotriche属はほぼH. hottoniifloraであり,一部地域に葉幅が広いH. gaiifoliaがみられる...と考えておけばよさそうに思う.極めて稀なH. bryoidesおよびH. mayacoidesは情報と標本数が少なすぎて,そもそも現存しているのか,それがほんとうに独立種に値するのかすらどの程度確からしいか...という気もする.マダガスカルでは貧困とそれによる焼き畑農業が急速に拡大している.ひっそりとどこかに生えているであろうこうした地味な水草が,生きのこっているうちに再検討されることを願いたい.

 

参考文献

A. Raynal-Roques. 1979. Genre Hydrotriche (Scrophulariaceae) Adansonia 19:145-173.

 

バリスネリア・・・じゃない!!!(Wiesneria schweinfurthii)

バリスネリアの見分けについてさんざん頭を悩ませられる….

というか,その前に物凄いトラップがあるのでこれについてツッコミを入れておきたい.まずはそこからだ….

 

まずこれ.Vallisneria + flowerで2番目にヒットしているのだが・・・

https://www.dreamstime.com/stock-photo-vallisneria-spiralis-aquar-plant-reflection-blooming-natu-nature-pond-thailand-image95195461

バリスネリアではなく,Blyxaの一種である.トロピカルな感じがするブリクサだが,正確な種類は判断しがたい.

これはまあ明らかな間違いなので騙されそうにもないのだが・・・

 

ここからが本題

あろうことかキューガーデンのPlants of the world onlineが大誤同定している.

https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:431996-1

https://storage.googleapis.com/powop-assets/PPA/1100_1133/h1108b_fullsize.jpg

https://storage.googleapis.com/powop-assets/PPA/1100_1133/h1108f_fullsize.jpg

https://storage.googleapis.com/powop-assets/PPA/1100_1133/h1108a_fullsize.jpg

これはWiesneria schweinfurthiiである.

さらにあろうことか,Vallisneriaの画像として挙げている最初の三枚が,Vallisneriaではない.

Vallisneria P.Micheli ex L. | Plants of the World Online | Kew Science

(ちなみに逆説的だが,Wiesneria schweinfurthiiの画像なんて他にない・・・割と幻の部類に入る水草である.)

 

さて,Wiesneria schweinfurthiiは確かにVallisneriaととても紛らわしい部分がある.ガク及び花弁はともに3だし単性花...というのはさておき,バリスネリアのように長いテープ状の葉を伸ばし,止水域でランナーで増殖する.

本種の存在は知ってはいたが,こんな花だとは思わずいったい何なのかと凄く興奮してしまった.

世界にはまだ見ぬ水草がある.

 

ピノキオシュリンプ繁殖情報

ピノキオシュリンプ/レッドノーズシュリンプ/アローシュリンプの 繁殖情報が載っている論文を見つけたのでリンクを貼っておく.

https://doi.org/10.1111%2Fj.1749-7345.2006.00025.x

 

今回はこのブログで初めての「コケ取りの話」.

水草水槽の作り方,で調べて一番出てくるのが「コケ取りの話」なのだが,そういやこのブログでは一切やっていなかった.

でいきなり両側回遊性エビの繁殖情報をやるってのはだいぶクレイジーだが….やるよやる.コケ取りの話をこのブログでやるんだったらそのくらいのマニアックさが求められているんじゃないだろうか.誰も仕入れない海外情報の発掘はやるしかない.そもそも持続可能性の低いワイルド品にコケ取りを頼っている現状はかなりまずい.

ということで,まとめてみた.

 

 

Caridina gracilirostrisは(いちおう)日本にも分布する種なのだが(和名はナガツノヌマエビ),個体群は非常に小さく絶滅が心配されるエビである.両側回遊性のエビは基本的に分布が広いのが常であるが,本種に関しては(日本では)局所的に分布する.そのためマングローブヌマエビのようにゾエア幼生の塩分耐性が低いのではないか???とか,勝手に予想を立ててみたこともあった.まあこれは予想に過ぎないのだが….

日本において本種は人気がありながらも消費的な利用のみが続けられ,繁殖に関しては「汽水を要すると思われる」の1文が15年以上は徘徊し続けるだけである.しかし本研究を読んだ感想からすれば,十分繁殖可能なエビではないだろうか?

本研究で用いられているエビはスリランカおよびインド産であり,現在流通しているものと同じとみなせるだろう.

 

さて僕がかってにとってつけた前フリはさておき.ザックリと本文の内容をまとめてみる.実際にやってみる方ができればいてほしいので,実際にやることを視野に入れた順序にしている.

繁殖方法の要約

・成体の飼育とゾエアの回収

成体の飼育には14時間照明,24-27度,pH7,淡水を用いた.成体雌は頭長4.9㎜で成熟し,交尾から10日で抱卵し,14日でゾエアを放出した.ゾエアの回収は淡水を入れた500mlビーカーに抱卵した雌を隔離して行った.ゾエアを目標の塩分濃度に慣らすには1時間かけた.

なお,淡水に戻さずとも成体の飼育及び交尾,産卵も15pptで可能であった.そのため,1水槽内での終生飼育も可能かもしれない.

・幼生の飼育温度と塩分濃度,飼育密度

日長は14時間照明で行った.幼生の飼育温度は27度,塩分濃度は15pptが最適とのことである.なお10pptでは全個体が死亡し,20pptでは生存率は低いものとなった.

飼育密度に関しては1Lあたり50匹,100匹での飼育は25匹での飼育に比べ生存率に劣り,ポストラーバへの変態に時間を要した.

・幼生の餌

餌にはAlgaGenから発売されているPhycopure(Chaetoceros, Isochrysis, Nannochloris, Rhodomonas, Tetraselmisのミックス),Chaetoceros単用,Nannochloris単用が試されたが,着底に成功したものはPhycopureおよびChaetoceros単用であり,Phycopureで9割の幼生を着底まで育てることができた.

・幼生期間・二世代目以降にむけて

ゾエアは1日でII期,3日でIII期,6日でIV期,8~9日でV期,12~14日でVI期,15~16日でポストラーバとなり,着底した.ポストラーバは孵化後69日,頭長2.5㎜になった時点で淡水に順応させた.全長20㎜ほどの販売されるサイズになるまでは6か月を要した.

 

感想・実際やってみるには?

おや?これハードルが低いぞ?というのが率直な感想.ヤマトヌマエビやトゲナシヌマエビやヒメヌマエビに対して,ではあるが….

水温27度,塩分濃度15pptをかなりきっちり守る必要があるのが一番大きなハードルだろうか.

餌がPhycopureでいける,というかそれが最適で生存率9割を見込めるというのが読んでいて最大のポイントである.

PhycopureはじめAlgaGen社の商品は(数年前にcharmでも取り扱いがあったが)現在は比較的入手が難しい.とはいえLSS研究所(リンク : LSS Laboratory

が輸入代理をしているため,問い合わせれば入手は不可能ではないだろう.本製品は4か月の日持ちがするため,1回の購入で1サイクル以上に対応できる.

 

さてPhycopureに含まれるChaetoceros, Isochrysis, Nannochloris, Rhodomonas, Tetraselmisのうち,Chaetocerosでは15日での生存率が半数ほど,およびNanochlorisでは10日ほどで全滅している.となるとまた(ミゾレヌマエビなどで成績の良い)テトラセルミスが効いているのだろうか.Phycopureが入手できない場合にはテトラセルミス単用も試してみる価値がありそうである.

テトラセルミスはまあ入手は不可能ではない.わむし屋(リンク:中密度餌料藻類液 Tetraselmis Light Green Water )で購入できるし,ものすごい量が必要ならば太平洋貿易株式会社(リンク:https://www.pacific-trading.co.jp/product/reed-mariculture/))で輸入代理をしている.それでもだめならヤマトヌマエビやトゲナシヌマエビで効果のあるワムシの投与も検討されるだろう..

(余談だがよく売られているナンノクロロプシス,キートセロスあたりは他の植物プランクトン食の甲殻類でそこまで成績がよくなく,テトラセルミスこそ有効…という印象を受けるのは論文をチラ見する分野が偏っているためだろうか???)

 

 

Heerbrandt, T. C., & Lin, J. (2006). Larviculture of red front shrimp, Caridina gracilirostris (Atyidae, Decapoda). Journal of the World Aquaculture Society37(2), 186-190.