2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧
ホタルイと名の付く植物はコツブヒメホタルイ以外観察できたので、今回は日本産ホタルイ類をまとめてみる。 ホタルイ Schoenoplectiella hotarui (Ohwi) J.Jung et H.K.Choi 生息地:やや撹乱を受けるものの毎年は受けない中栄養の湿地、谷津田の縁、休耕田…
河岸が護岸工事の前準備で撹乱されると、様々なものが生じる。 上流域ではヤナギタデ、オオイヌタデが主要なもので、それにカワヂシャやイが混じる。温度が低ければミズハコベなども常連だ。下流域になるとヤナギタデは減ってきて、タコノアシやウスゲチョウ…
夏である。 夏になると、水田の旧ゴマノハグサ科に悩まされる人をたくさん見かけるのでまとめてみる。 まずキクモに関してはコキクモと悩む程度でしか鑑別が問題にならないので、よいだろう。 残りを列挙する。 シソクサ アブノメ (成長初期はロゼット状、…
関東地方の水辺でよく見かけるハリイ属について・・・ ()で囲んだものはふつう出会う機会がないと思われるもの。 ランナーで増殖し小型 マツバイ (きわめて普通) (チシママツバイ 極めて稀) (チャボイ 極めて稀) ランナーで増殖し大型 クログワイ (…
エレオカリス クシングアとして売られている謎の植物。 ひじょうに特徴的なEleocharisなのに、相変わらず種類がわからない。 茎が明らかに平たく、かつ捻じれることもなく表面には艶がつよく、地下茎で増殖し穂も妙に白っぽいので、生えていれば外見でもすぐ…
ハナイ Butomus umbellatusはユーラシアに広く分布するオモダカ科ハナイ属の植物である。オモダカ科に類似しており、また従来ハナイ科とされてきたキバナオモダカ属やミズヒナゲシ属もオモダカ科に移行している。しかしながら、ハナイはオモダカ科ではなく、…
トウゴクヘラオモダカはおもに関東地方に分布する、日本固有のオモダカ科植物である。私の見ている限りでは谷津田最上部の湿地や、棚田の堀上(湧水を温めるために掘られた溝)に生育することが「多い」が、何の変哲もない水田にひょっこり出現することも時…
ミチノクホタルイ 見慣れないホタルイ類を見かけた。 ホタルイに似るがより大型で、小穂は6~12個とかなり多く、白色調である。 小穂が多く卵形である点でコホタルイとよく似ているが、桿は太く約2㎜、潰すと4㎜ほどもあり、イヌホタルイ並みに太い。触って…
ホソバミズヒキモ、という語を使いたくない。 笹の葉状の先端が尖った浮葉をもち、浅い湿地やため池に生える植物をホソバミズヒキモというならともかく。 そもそもホソバとはなんだ。ミズヒキモがないのにホソバミズヒキモがあるというのは変な話である。 牧…
日本のハリイは3種だといわれている。 ザックリというと、 ・穂が黒っぽくて、大型で、根本の赤い部分が長い多年草・・・オオハリイ ・穂が白っぽくて、中型で、根本の赤い部分が短い一年草・・・ハリイ ・穂が黒っぽくて、小型で、根本の赤い部分が殆どない…
オモダカ属Sagittariaに関しては以前もこのブログで取り上げているのだが、今回はマメ知識的に、Sagittariaのザックリとした系統に関して書いてみようと思う。 水生園芸、および野外において目にする機会があるオモダカ属を列記してみよう。 オモダカ Sagitt…
ここ最近、ヘラオモダカの話をよく見かけるので便乗してみる。 ヘラオモダカは極めて変異が大きく、殆ど線状の葉をもつものからかなり幅広の有柄の葉をもつものまで、サイズも掌に載るような個体ばかりのところもあれば、50㎝を超えるのが基本といったところ…
Baldelliaはヨーロッパ南部を中心に分布する、比較的小型のオモダカ科植物である。Cook (1990) はこの属をEchinodorusに含めたが、のちの研究ではLuroniumおよびAlismaとの関連が示唆され (Arrigo et al., 2011)、Echinodorus(およびAquarius)との関連は現…
珍しいものを見た。 この組み合わせは既報があるのでブログに載せるのみとしておく。https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202202217790516752 ペアになることはあるものの、通常は交尾には至らないようではある。ただここではツヤハダがゴマダラの3…
サジオモダカ属Alismaはオモダカ科Alismataceaeのタイプ属(科の基準となる属)である。古い属によくあることとして、Alismaにはとても色々な種が含められてきた。たとえばLuronium natansが代表的である(このトンデモ水草に関してはそのうち書きたい)。 …
タウコギ。 名前を聞いても姿が浮かばない植物ではなかろうか。 田んぼに生えるウコギ・・・と聞いてウコギの葉が浮かぶ人はなかなかいないと思う。しかしまあ、実物を見れば両者の葉は確かによく似ている。 タウコギは日本でも数少ない、水生キク科であり、…
日本最大の水草と聞いて思い浮かぶのは、ササバモである。 わりかしありふれた種だが分布にやや偏りがあるという話もちらほら聞き、興味深い。また水質汚濁に強いようなイメージがなんとなくあるものの霞ケ浦をはじめとした水草にとって汚染がきつくなった水…