純水用イオン交換樹脂というのを、清水の舞台から飛び降りるつもりで買ってみた。陽イオンをH+に、陰イオンをOH-に交換してくれるというスグレモノで、硬水に悩まされる関東のアクアリストには救世主と言っていいほどいい、それでホシクサ類だろうがなだろうが育つ、と。。。
もとから、当方の水道水はpHが7.5程度で安定しており、これを水草の栽培に適したpH5台に持っていくには0.6~0.8mL/L程度のテトラ pH/KHマイナスを必要とするという、異常な状態にあったためである。
純水器をいきなり買ってもよかったのだが、よさげな案が頭に浮かんでみたのでまずは樹脂だけ買ってみることにした。
紅茶を淹れるみたいに、ボトルアクアリウムに使う前の水にイオン交換樹脂をチャポチャポしたら、このはちゃめちゃな水道水でも小型水槽で簡単に水草を育てられるのでは?と思ったためである。
というわけで、予備実験としてイオン交換樹脂を水にばらまき、ネットで濾してpHを測ってみることにした。イオン交換には案外時間はそこまでかからないので、まずは1分もしないくらいに。これでいけるのならば、pHマイナスより簡便ということになる。
元の水道水のpHは7.38.いつも通りだ。ここから7にするだけでも結構一苦労である。
期待を込めて測ってみると…
8.3~8.5⁉
わけがわからない。下がる方は予想していた(二酸化炭素のある大気に生きる以上、純粋な水は酸性である)。しかし上がる方はまったく想定外だった。
さて、これにいつも通り0.625mL/LのpHマイナスを加えるとpH5.0前後。
訳が分からない。
さて、さらに1.25mL/LのpHマイナスを加えるとpHジャンプが置き、pHが2.1程度に下降。ここに先ほどと同様に作ったpH8.5前後の謎水を加えていく。pH3~5がいきなりすっ飛ばされてpH5程度にいく。その後pH6.5~7.5で停滞、そこから上は8をいきなり跨いだ。
中和点が4付近と7.5付近にある緩衝液になっているということが予想できる。
時間が足りないためだろうと思い、一晩漬けてみた。
7時間後の回収ではpH9.37という驚異的な数値を示し、同様にpHマイナスを0.625mL/L添加してもpHは5.7までしか落ちなかった。要するに、緩衝作用はそのままだということである…。
あくまでもこれは買って一晩の出来事であるからまったく情報の信頼性はないに等しいし、アクアリウムの怪談というたぐいのネタである。
ひとまずの予想としては、通常の”硬水”では強塩基ないしそれに近い電離度のものが原因になっているためイオン交換樹脂で効率的に除去できるが、この水道水では電離度の極端に低い弱塩基がpHを上げているのではないだろうか?
また、この水道水のpHを上げている/緩衝作用を持たせている物質はイオン交換の選択係数が著しく低いのではないだろうか?
ここから先は色々機材を追加してみないとはっきりしなさそうだ。
<注意>ここまで変な水道水が出るのは関東でもごくごく限られた地域です。ふつうの関東の水ならばpHマイナスごく少量、もしくは純水用イオン交換樹脂でじゅうぶんに対応が可能であるようです。
最後に一言。浄水器を通したからと慢心せず、何が出てきているのか知るためにpHは測りましょう。