2024-01-01から1年間の記事一覧
寒くなってきました。 今回は、正月に欠かせない冬の作物、レンコンについて、水草オタクがみっちり語っていこうと思います。 I. 世界のハス II. ハスの進化史と分類的位置 III. ハスの草体について IV. レンコンの穴とハスの通気システム V. 葉による加圧と…
みなさんお楽しみの「世界の珍妙水草」シリーズです。今回は、身近な植物に近縁ながらもどうしてこうなった??という、イネ科を紹介しようと思います。 日本人にとって馴染み深いイネ、およびイネ属Oryzaは、熱帯の雨季と乾期に劇的に水位が変わる環境に特…
この形質はエゾヤナギモ種群、およびヤナギモ、P. polygonus、P. ochreatusにみられるとされるが、北半球でみられるのはエゾヤナギモ種群とヤナギモのみ。 エゾヤナギモのSclerenchymatous rays 実際の葉脈は3脈しかない ヤナギモのSclerenchymatous rays
コウホネ類に関しては個人的にそこまで思い入れが強いわけではないけれども、あくまでも個人の感想として書いてみる。どの種も再生産能力が低く、かつ根茎の損傷などに脆弱であるため分布に関しては詳細を避けたいところで、また残された個体数もかなり少な…
道中の湿地で休憩がてらちょっとだけ採集。水草も撮影しておいたので楽しんで。ミヌティルスがめちゃくちゃたくさんおりました。ミヌティルスでよかった…。(ギリギリスルーできる。笑)#闘魚庵遠征202401 pic.twitter.com/jpnk7tgwBC — けんご@アナバス専門…
明日シダ探しに山行ってもよろしいか…??フィールドワークが足りないんだ… pic.twitter.com/skDNNqVEbl — けんご@アナバス専門店闘魚庵 (@Balitoridae) 2024年5月21日 映り込み水草の記事第三弾。とても気になっているもの。 なにやら細長い水草がたなびい…
なかなか水草の映っている写真は多くは無いので、総集編的にやっていこうかと思います。この地域のこういう水域ならこれ辺りが出てくるんじゃない?という感じで、ザックリと書いていこうかなと思います…。 まずはこのツイート(ポストとは呼ばないぞ、マス…
Betta primaとその生息地(Sihanoukville Cambodia)立木とホシクサが沢山ある美しい景観の湿地です。底質は細かくて比重の高い砂でした。水質データpH:6.0NO2:0NO3:0GH:1KH:0水質は凄くベタらしくpH、硬度共に低めの水になってました。マウスタイプの多くは…
全ての問題は、牧野によるヒメタデの原記載と、牧野がホロタイプを指定しなかったことに始まりがあるように思われる。 https://doi.org/10.15281/jplantres1887.28.328_105 牧野によるヒメタデの原記載は上記リンクから読むことができる。 文字起こしを次に…
グリセリア・フルイタンスという、かなり前からアクアリウムで知られるものの、終ぞ日本のアクアリウムには定着しなかった植物がある G. fluitansはヨーロッパでは身近な沈水〜抽水性水草で、かつてはその果実は食用として(今も英名はマナグラスManagrassで…
タネツケバナ属はふつう春植物だが、低温の湧水がよく出る様な場所では沈水状態で夏を越している場合がある。ミズタガラシは夏の暑さを水で涼む多年草であるし、オオバタネツケバナなどはそもそも水生多年草型と言っても過言ではない型があるくらいだけれど…
Hydrocharis dubia トチカガミ科の花についても触れていこうと思う。 第一弾は日本にも産するトチカガミ Hydrocharis dubiaの雄花について… トチカガミの雄花は明確に3数性であり、萼片3枚、花弁3枚、雄蕊15本(但しうち3本は葯を欠くため、機能するのは12本…
水草のなかでも、海草がもっとも水中に適応した維管束植物であることに疑いを持つ人はなかなかいないと思う。 海草の多くは完全に陸を必要としないし、種によっては30mもの深さに生育するものがいる(Posidonia oceanica)。そして、他にライバルのいない水…
アマモ科の花は非常に変わっていて、イカやタコの足を彷彿とさせる外観をしている。 アマモ属とスガモ属があるが基本構造は同じで、但し両属において欠落するパーツもある。形態的にはアマモ属コアマモ亜属がすべてのパーツが揃っているため、模式図はコアマ…
カワツルモの花は一見ヒルムシロ属と酷似していて、それを極度に簡略化したようなものとなっている。 外見上はヒルムシロ属と同じように4つ(但し例外多い)の心皮を4つの大きな構造物が囲んでいるように見えるが、周囲を取り囲む4つの構造物は上2つ、下2つ…
Altheniaの花は構造上はZannichelliaととてもよく似ているが、見かけ上はかなり異なっている。Altheniaの花被は筒状ないし3弁からなり、筒状になる場合も3つの切れ込みがはっきりしている。また、雄花および雌花は基本的には茎頂に密接してつき、葉鞘に包ま…
イトクズモ属 Zannichelliaの花は水中で咲いて受粉するものの、基本的にはヒルムシロ属に類似している。また、一見かなり異なるように見えるヒルムシロ科ヒルムシロ属とベニアマモ科の類似点を考える上でもかなり参考になる。 ひだりは花期、みぎは果期で、…
先日はヒルムシロ属の花の構造に関して説明した。 ヒルムシロ属の花の構造に関して - 水草オタクの水草がたり. すくなくとも上記の内容で記述的には通じるのだが、それで終わりではない。 そもそも、ヒルムシロ属において花のように見えている1単位は「花」…
ヒルムシロ属の花はシンプルながら、とても変わっている。 上に示したのは、ヒルムシロ属の花を模式的に表した図を模写したもので、謎の記号と化している。似た図は幾つかあって少しずつ違っていたりするが、構造を簡略化するとこのようなかたちになる。 開…
久しぶりの「世界の珍妙水草シリーズ」である。 今回は、日本人の南米水草ブームの中でも「なぜか」導入された形跡のない数少ない水草である、Limnosipanea spruceanaを紹介していこう。 Limnosipenea spruceanaは見た目こそスギナモ症候群(Hippuris syndro…
アクアリウムにおけるロタラ ワリッキーとその周辺は、かなり混沌としている。 同じようで少し違ったり、全く区別がつかなかったりする様々な輪生のキカシグサ属が流通しているためである。 その中で、どれがどの種に相当するかは極めて難しい問題である。 …
北海道に分布するイグサ科イグサ属植物。 日本に産するイグサ科で、イグサ状かつ茎が円柱状で根茎が伸長する種は本種のみであり、特徴は極めてはっきりしている。(根茎が伸びるイグサ科のもう一つはイヌイだが、これは茎が扁平なのですぐわかる) にもかか…
日本のサクラタデはPersicaria odorata ssp. conspicuaだが、これはodorata ssp. odorata。 東南アジアでは有名なハーブで、苗が売られ始めたと聞いてここ数年探していたのだけれども、気にして近場のエスニック食材店を当たってみたら、軒並み売っているに…
キク科の水草は幾つかあるのだが、どれも知名度が低い。Erigeron heteromorphusなどは非常に特徴的であるにもかかわらず、殆ど情報が出てこない。メキシコ固有種で分布が局限することが原因だろうか。 E. heteromorphusは沈水葉と水上葉をもつ流水性の両生水…
南西諸島に行くたびに、生き物を保護する側と、生き物屋と称される人々の対立が年々ひどくなっているのを感じる。種の保存法は、「生息地を保護し、食害(たとえば年々増え続ける鹿害やザリガニ害)や開発から保護する」ことよりもはるかに、「生き物を採集…
北方のやや富栄養な浅い水中に見られる抽水植物です。耐暑性はあり、栽培にあたって暑さはそこまで問題にならないようです。関東平野でも見られる場所があります。ツルアブラガヤと違って地下茎で増えず株立ちで美しい植物ですが、葉縁が鋭く油断すると手を…
世界の熱帯に広く分布する多年生の湿性〜抽水植物です。フラグミテスspギニアとして流通した種にきわめて近縁ですが、試した限りでは沈水化しません。 草姿が非常に美しく、耐寒性はないものの夏場の抽水植物として楽しめます。五角柱状の茎はカヤツリグサ科…
世界の熱帯に広く分布する多年生の湿性〜抽水植物です。フラグミテスspギニアとして流通した種にきわめて近縁ですが、試した限りでは沈水化しません。 草姿が非常に美しく、耐寒性はないものの夏場の抽水植物として楽しめます。五角柱状の茎はカヤツリグサ科…
ふと、サトイモの学名をどう書けばいいのかで悩んだ。 里芋はごく一般的な野菜であるが、分類には非常に大きな課題がある。 国内における、里芋の扱いはどのようなものだろうか。 Ylistでは C. antiquorum Schott・・・ヤマサトイモ ・・・Var. toonoimo T. …
夏が近づいてきました。 店先で水生植物を見かけることが多くなる季節ですし、採集に行かれる方も結構いらっしゃるのではないかと思います。今回はザックリとですが、水生植物の中でも抽水植物と浮葉植物にフォーカスして、栽培について書いてみようと思いま…