植物ブームであるらしい。 珍奇植物と称して多肉植物や塊根植物に大変な金額が注ぎ込まれたり、熱帯雨林の植物がすごい値段で取引されたりしている。特に、水槽に何も生き物を入れずに、水も張らずに、植物だけを育てるという趣味がある程度市民権を得つつあ…
今年も春がやってこようとしている。 関東の冬は厳しい乾燥に襲われる。川の水位は2-3m下がることもざらであり、調整池は干上がる。人間の活動により関東の川は富栄養化を極め、水が引くとまるで泥干潟のようにヘドロが剥き出しになる。 すると、キタミソウ…
春が近づいてきた。しかし関東の冬はまだまだ、水草に厳しい。 雨がほとんど降らない。水位がどんどん下がる。小さな水域はどんどん干上がる。 大型の水域の多くは水質が汚染されており、もはや浮葉植物すら生存を許されない。川や池など外部に繋がっていた…
イオン交換樹脂を沈めた水道水ボトルは今日も奇怪な数値をたたきだしている。沈めて24時間が経過したので、流石に安定しているだろう(これ以上必要なら、実用性が全くない) まぁ毎回少しずつズレもあるのだがだいたい、かなりのスピードで数値が上がってい…
純水用イオン交換樹脂というのを、清水の舞台から飛び降りるつもりで買ってみた。陽イオンをH+に、陰イオンをOH-に交換してくれるというスグレモノで、硬水に悩まされる関東のアクアリストには救世主と言っていいほどいい、それでホシクサ類だろうがなだろう…
「○○リウム」が氾濫している。 しかも「○○リウム」が本来何を意味しているのか分からないまま作品を作っているのが殆どではないか。なんだ単語の定義くらい、と思われるがこれは重大事である。なぜならこれら「なんとかリウム」はラテン語を嗜むことを権威と…
2022-2023年にかけて様々な新しい水草が導入されたり、再注目されました。しかしながらその殆どはまともに紹介されることもなく、多くのアクアリストは存在すら知らないのではないでしょうか? その中で、私のイチオシを挙げてみようと思います。 パラグアイ…
某アクアリウム専門誌がまた上陸した特集を組んでいる。 「上陸」がアクアリウム業界になんのメリットももたらさないことは以前の記事でも書いた。巨大な園芸市場に吸い取られるだけである、と。 しかしながらもっと根本的な問題もある。 「上陸した人たちは…
キキョウ科の水草というとロベリア・カージナリスしか頭に浮かばない人がほとんどだと思います。というかダッチアクアリウムが駆逐されつつある現状ではロベリアも知らない人が多いかも…。しかし、キキョウ科にはかなり水中傾向が強く、ほぼ沈水植物といえる…
今回は世界の水草を属レベルでリストアップします。 ベースは田中(2012)の一覧ですが、これに含まれていない属を補完し、シノニムとなっている属を統廃合し、アクアリウムでの利用例があるものとないもの、海産と陸水生に分け、湿生~抽水性、浮葉性、沈水…
ブラジリアンフラジャイルです。 こちらは長花柱型。charmから出荷されている個体群は長柱花型で、水中葉の葉は三角形で先は尖ります。いわゆるブラジリアンフラジャイルはこれが多いのではないかと思います。 もう何回も咲かせていて、花弁の切れ込みには浅…
ヨーロッパには水生セリが複数います。 今回はセロリ…オランダミツバ属の水生種、Apium(Helosciadium) inundatumを紹介します。 https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:842885-1 本種は西ヨーロッパから北アフリカの泥質の湿地や河川…
ホームセンターに行くと色々な(良くも悪くも)アクアリウム用品を目にする。 今回気になったのは120㎝水槽用の水槽台。構造を模式化するとこんな感じ。 120㎝水槽の乗った棚板フレームは、4本の柱に1本ずつ刺さったネジ「のみ」で支えられている。しかもネ…
今回は謎めいたアフリカの沈水性カヤツリグサを紹介。 https://plants.jstor.org/compilation/Pycreus.waillyi 生きた個体の写真やわかりやすい図しか見たことがなく、どんな姿で生活しているのか謎めいた存在です。乾いた標本からしかわからない水草は、結…
今回は美しすぎる沈水イグサをご紹介。 ヨーロッパに主に分布するイグサ属、Juncus bulbosus var. fluitansです。 https://www.aphotoflora.com/mon_juncus_bulbosus_var_fluitans_aquatic_bulbous_rush.html Juncus bulbosusの変種で、湧水中にたなびき、水…
実験的に、全くアクアリウムイベントではない場所に水草を置いてみた。 反応は案外、なくもない。というか思ったよりもずっとある。 しかしまあ、全くと言って売れないのは予想通り。 これは1000円だろうが100円だろうが10円だろうが、特に変わらない。(ゼ…
シノニムになった学名を辿ってみると、面白いです。 海外の似た種の亜種がシノニムになっているパターンは特に。 日本のシズイはSchoenoplectus nipponicusですが、そのシノニムにはScirpus etuberculatus ssp. nipponicusというのがあります。 このScirpus …
今回紹介する水草は沈水性フトイ属です。 わりと個体数も多く、メディア露出も高いので、調べれば出てくるとは思います。 だからこそいいんです。世界で個々にしか生えてないレア!というより。 アクアリウムに導入されれば面白い水草として話題性がありそう…
今回は、バリバリに状態のいい有茎草を、地域をさほど選ばず、ガンガン増やす方法について解説します。 用意するものも、奇天烈なものや処理に困る大量の砂、絶版になった肥料などを使うわけではありません。この方法を使えば弱酸性の軟水に育つ水草はたいて…
今回の珍水草はこれを紹介しようと思う。 日本にはハタベカンガレイという、沈水に特化したホソガタホタルイ属がいる。この水草は生息数が少なく滅多に出会えないのだが、それはそれはすばらしいカッコよさである。ハタベカンガレイは知る限り日本にしか分布…
水草育成には「弱酸性の軟水が良い」と言われてきたことについて、さらに根拠を求めようとしてみる。前回の水草と硬度に関する考察ではわりと良い反応をいただけたので、嬉しいところである。が、前回の記事では極めて重要な点について敢えて書かなかった。…
水草育成には「弱酸性の軟水が良い」と言われてきたことについて、根拠を求めようとしてみる。同時に、砂水槽や新品のソイル、そして使い古されたソイルの育成特性についてもある程度取り上げることとする。 私の言っていることが本当に正しいのかは果たして…
今回はこれで一本記事を書こうと思う。 ガシャモクの学名に関しては、Potamogeton lucens, Potamogeton dentatus, Potamogeton lucens ssp. sinicus, Potamogeton teganumensis, Potamogeton lucens var. teganumensisなどなど様々なものが流布している。 ま…
前回は水草水槽を始めるにあたって「しんどい」「金がかかる」要素であるCO2添加について述べた。CO2に関しては、まぁ添加した方がいい(とりあえず必要な方には改良型発酵式CO2なり、本格を目指すなら発酵式なり色々ある)というベタな結論なのだが、まぁな…
今回はこれで書こうと思う。 水草にとってCO2とは炭素源たる”餌”であるので、とりあえず水草にはCO2添加する、は無難だし正解ではあるが… 凄くシンプルな疑問。だけど、「とりあえず添加しよう」で終わっていることが多いのが残念なところ。「必須に近いオプ…
ツツイトモ の学名表記は,国内ではPotamogeton pusillusとPotamogeton panormitanusの2パターンがあり,イトモの学名表記は,国内ではPotamogeton berchtoldiiとPotamogeton pusillusをよく見かける. ようするに,Potamogeton pusillusと言ったばあい,イ…
今回はエレオカリス・ビビパラとそれに似た植物たちにフォーカスします. アクアリウムで取引されるビビパラ的なやつら 現在アクアリウムでは”ビビパラ”,”ミニマ”,”アラグアイアヘアーグラス”,”レトロフレクサ”,”ラジアルヘアーグラス”が入手可能と思い…
年末年始に45㎝水槽の調子を著しく落としてしまったのでレポートしてみる. 事故レポート 条件 フィルター エーハイム500 底床 使い古し→アマゾニアに変更 pH 5付近 経過 12月中旬 某所で野外採集した雑草を数種入れてみる.着状態が悪く腐り始めているもの…
今回はアブノメ属Dopatriumについて. DopatriumはBenthamにより1835年に提唱され,タイプ種はインド産の Dopatrium junceum(日本のアブノメと同種)である.分布の中心はアフリカ熱帯地域であり,11種が分布する.アフリカ産の種は岩盤にできた季節性の水…
ヒドロトリケとして昨今ではミリオフィラムが流通しているようだ.実に悲しいことである.というわけで今回はヒドロトリケ属について語っていきたい. ヒドロトリケ属はマダガスカル固有の水生~湿生植物である.バコパやリムノフィラなどと同じく旧ゴマノハ…