水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

キタミソウ

今年も春がやってこようとしている。

関東の冬は厳しい乾燥に襲われる。川の水位は2-3m下がることもざらであり、調整池は干上がる。人間の活動により関東の川は富栄養化を極め、水が引くとまるで泥干潟のようにヘドロが剥き出しになる。

すると、キタミソウが出てくる。

キタミソウは珍しい植物であると言われている。しかしながら、発生条件が特殊で発見しにくいだけだと考えている。

第一に、この植物は極めて生育期間が短い。キタミソウは減水によって生じた裸地(というか水の上に出たヘドロ)に生育するが、何メートルも水位が上下する環境であるがゆえにあっという間に干からびてしまう。つまり水が引いてから草体が干からびるまでの3週間ほどの間に全生活史を完結させてタネをばら撒く。

第二に、この植物は非常にハイカロリーな土壌を要求する。短期間で開花結実するためには急激な初期成長が必須であるためである。本来浮葉を作ったりもする植物であるが、乾燥していく陸地に生える分には湿性植物としてやっていけるために水質汚濁の影響をほとんど受けない。

第三に、暑さに弱く夏場は深い水深になければならない。

 

これらの条件が揃った場所では、秋から春の一時期にキタミソウが見つかるはずだろうと思う。そもそもキタミソウが近年まで全く見つかってこなかったのは本当に見つからなかったのか、それとも本当にいなかったのかは気になっていたりする。なぜなら関東平野部における破滅的な富栄養化は、キタミソウにとってはむしろ有利な環境を作っているように見えるからである。