水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

上陸、そして暗雲の中へ

アクアリウム専門誌がまた上陸した特集を組んでいる。

「上陸」がアクアリウム業界になんのメリットももたらさないことは以前の記事でも書いた。巨大な園芸市場に吸い取られるだけである、と。

しかしながらもっと根本的な問題もある。

「上陸した人たちは、お店でモノを買ってくれない」のである。

上陸して珍奇植物や熱帯植物に走っている方々は、その植物が「何で」あるかよりも、それを「誰が」とったかを重視し、そのヒーロー的価値によって市場が回っている。ショップを通じて購入すればその価値は下落するし、できれば「本人から」「直接」買いたいと願う状況である。まぁ各地のイベントでの状況を見れば納得だろう。

たしかに採集家はありがたいし、ふつうの方は輸入も採集もできないからヒーローであることを否定はしない。

ただし、それを続けたとしても価値はCollectorとコレクターの間で動くだけであり、既存のアクアショップや問屋は痩せ細る一方となる。つまり結局のところ、珍奇植物や熱帯植物を「アクアリウム専門誌」が推したところで、元から少ないアクアリウム人口が園芸に流出し、元から少ない資金が直接採集家の懐に収まるだけである。

そもそも、多くの人が「綺麗な水槽を作りたい」から魚や水草を買うのであって、そこに上陸という逃げ道を作ってしまうだけで業界としては大損、風呂桶に空いた穴を力づくで広げるに等しい行為である。

 

さて、2022年には様々な新しい水草や熱帯魚の入荷があり、特に水草に関しては10年来の新入荷ラッシュと言ってもいい状況が始まろうとしていた。しかし同誌はそうした動向を殆ど追いかけず、取り上げようとしてこなかったばかりか、上陸を唆すような記事を数多く掲載してきた。

これではそもそも「アクアライフ」のアクアに対するやる気を疑う有様であるし、業界唯一の専門誌がこうであってはアクアリウムの未来は明るくないだろう。