水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

2023-01-01から1年間の記事一覧

作物化されたオニバス

オニバスといえばとげとげしい、そう言っていいほどの植物である。しかしながら、なんと「草体の大部分に棘がない」オニバスが存在する。 この植物に関しては「野菜の日本史」を読んでいたところ偶然に出くわしたのだが、いかんせん写真がなかなかみつからな…

ミツカドシカクイ

以前も紹介したけれど…。。。

メモ:Prosphytochloa prehensilis

一時期はOryza prehensilisとされていた、イネの近縁種。 イネの近縁属(Oryziae)は基本的に多かれ少なかれ水生のものが多いが、本種は陸棲のクライマーであり高さ10mに達するという*1.*2 *1:Cook, C. D. (1999). The number and kinds of embryo-bearing pla…

メモ:南米での水草生産

Notes on Aquarium Plant Production in Peruvian Amazonia | Ethnobotany Research and Applications

イヌビエvsタイヌビエ

イヌビエとタイヌビエはきわめて識別が難しいようだ。 現状、関東の水田には3タイプのノビエ類がいるように思う。 A. イネ擬態性を示さず、葉縁は透明できわめて大型化し、穂は枝垂れて紫色の長い禾をもつ。下流域に多く、上流域にはいない B. イネ擬態性を…

オソレヤマオトコイ

おそらくオソレヤマオトコイです。ミチノクホタルイとカンガレイに混じって2株見られました。カンガレイより長い苞葉、メインの三綾はカンガレイほど辺縁鋭ではなく、若干の4陵目があること、小穂もカンガレイとミチノクホタルイの中間的な大きさ・形状であ…

Monochoria コナギとその周囲をとりまく混沌

コナギとその近縁種は染色体数に極めてバリエーションが多く、さらにそうした個体群の間に形態的な差異もあるために厄介である。 今回はアジアのコナギ近縁種を概観してみようと思う。 アジアのコナギ近縁種はざっくり見てみれば ・小型で背の低いもの・・・…

キョウチクトウ科の水・・・草?

キョウチクトウ科は水草といえるものが少ないが…こんなものがいる。 Gomphocarpus rivularis https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:97679-1 https://www.gbif.org/species/3573360 南アフリカに分布。高さ約1.2mに達する渓流性多年草…

サヤヌカグサが脚光を浴びるとき

サヤヌカグサ Leersia sayanuka あまり見かけない、地味なイネ科植物である。ぱっと見ではこれといった特徴が見当たらない植物であるが、穂をみればとても特徴的でありすぐにわかる。長粒種のイネにそっくりなのである。(ジャポニカっぽいのはエゾノサヤヌ…

続・ムツオレグサ 「葟」は草の皇たるか

時は平安時代。 ぬかるんだ沼地に太ももまで浸しながら、凍える春先の棚田の脇で収穫作業が行われていた。 集めているのはまことに地味な雑草。泥深い冬の深田を好み、水面に葉を浮かべている。 この地味な雑草が、帝のために集められていた。 草の実は触る…

バイカモのこと

おそらく最初に見かけた水草はバイカモだったと思う。 川底に揺らめく鮮やかな緑色はいやがおうにも目に入るし、同所的に生育するコカナダモのどす黒い緑色とは比べるべくもない美しさである。バイカモは世間的にも人気が高く、しばしばバイカモ自体が観光名…

エゾヒルムシロ

エゾヒルムシロは日本の水草の中で最も美しいもののひとつである。 触れば溶けてしまいそうなほど繊細で透明感のある葉、盛んにしかし規則正しく分岐する水中茎。これが水中を森のように埋め尽くし、開花茎が上にヒョロヒョロと伸びていって小さな浮葉をつけ…

エゾノタウコギ

エゾノタウコギBidens maximowicziana 北方系の雑草の類はなかなかに情報が少ない。湿原などの安定した、保護の対象になるような場所を好む種ならともかく。 エゾノタウコギもそうしたひとつで、タウコギとの混同が多い北方系の抽水植物である。 中栄養で腐…

エゾノタウコギ

エゾノタウコギBidens maximowicziana 北方系の雑草の類はなかなかに情報が少ない。湿原などの安定した、保護の対象になるような場所を好む種ならともかく。 エゾノタウコギもそうしたひとつで、タウコギとの混同が多い北方系の抽水植物である。 中栄養で腐…

水田雑草目録(単子葉類編)

おもに本州でみられる日本の水田雑草を概観してみたい。 ここでいう水田雑草の定義は「湛水した水田に侵入すること」 とする。中干し中に発芽してくるものもあるが、その後の湛水により消滅するものは含めない。 出現頻度 ★★★★★(最普通)~★(稀) 稲作への…

ヒロハノクロタマガヤツリ進捗。

以前の沖縄遠征でヒロハノクロタマガヤツリを採種してきていたので、播種して楽しんでいる。栽培の前例があまりない種であるが、草姿が(私基準で)非常にかっこいい種でありぜひとも栽培を確立したい。 現状について。。。 ヒロハノクロタマガヤツリの発芽…

日本産ハリイ属に関する感想とメモ

日本産ハリイ属に関する感想を走り書き。交雑種は含めていない。 ハリイ属 Eleocharis マツバイ級の種 10㎝未満でランナーで増える。 Eleocharis acicularis (L.) Roem. et Schult. var. longiseta Svenson マツバイ Eleocharis acicularis (L.) Roem. et Sc…

エゾノミズタデの育て方

エゾノミズタデは北方系の水草で、平地でもみられるようになるのは東北も北のほうである。私の観察した自生地はそうとうに高温になる環境であるが、ヒシなどが生じる、茶色く濁ったやや富栄養の湖沼でふつうに見られた。最も優占するのはヒシとエゾノミズタ…

ミズアオイの育て方(改)

ミズアオイの育て方に関しては以前も記事にしたけれども、今年はやり方をやや変更して、より状態よく育苗できているのでメモがてら書いてみようと思う。 なお栽培中の個体は関東平野産の除草剤耐性がない個体群であり、他の個体群では条件が少し違うかもしれ…

ハナイが開花したので栽培メモ。

ハナイ Butomus umbellatusが開花したのでこれまでの栽培経過をメモしておきます。 2022年8月 入手。余っていたアマゾニアに植え付け。 2022年11月 栽培していた容器がオオバナイトタヌキモに汚染されたうえにベランダ管理でアブラムシ被害がひどかったため…

日本産ホタルイ類について

ホタルイと名の付く植物はコツブヒメホタルイ以外観察できたので、今回は日本産ホタルイ類をまとめてみる。 ホタルイ Schoenoplectiella hotarui (Ohwi) J.Jung et H.K.Choi 生息地:やや撹乱を受けるものの毎年は受けない中栄養の湿地、谷津田の縁、休耕田…

撹乱地の湿生植物

河岸が護岸工事の前準備で撹乱されると、様々なものが生じる。 上流域ではヤナギタデ、オオイヌタデが主要なもので、それにカワヂシャやイが混じる。温度が低ければミズハコベなども常連だ。下流域になるとヤナギタデは減ってきて、タコノアシやウスゲチョウ…

本州の低湿地・水田に生じる抽水性旧ゴマノハグサ科

夏である。 夏になると、水田の旧ゴマノハグサ科に悩まされる人をたくさん見かけるのでまとめてみる。 まずキクモに関してはコキクモと悩む程度でしか鑑別が問題にならないので、よいだろう。 残りを列挙する。 シソクサ アブノメ (成長初期はロゼット状、…

関東で見かけるハリイ属

関東地方の水辺でよく見かけるハリイ属について・・・ ()で囲んだものはふつう出会う機会がないと思われるもの。 ランナーで増殖し小型 マツバイ (きわめて普通) (チシママツバイ 極めて稀) (チャボイ 極めて稀) ランナーで増殖し大型 クログワイ (…

エレオカリス クシングア

エレオカリス クシングアとして売られている謎の植物。 ひじょうに特徴的なEleocharisなのに、相変わらず種類がわからない。 茎が明らかに平たく、かつ捻じれることもなく表面には艶がつよく、地下茎で増殖し穂も妙に白っぽいので、生えていれば外見でもすぐ…

ハナイに関して

ハナイ Butomus umbellatusはユーラシアに広く分布するオモダカ科ハナイ属の植物である。オモダカ科に類似しており、また従来ハナイ科とされてきたキバナオモダカ属やミズヒナゲシ属もオモダカ科に移行している。しかしながら、ハナイはオモダカ科ではなく、…

トウゴクヘラオモダカに関して

トウゴクヘラオモダカはおもに関東地方に分布する、日本固有のオモダカ科植物である。私の見ている限りでは谷津田最上部の湿地や、棚田の堀上(湧水を温めるために掘られた溝)に生育することが「多い」が、何の変哲もない水田にひょっこり出現することも時…

ミチノクホタルイ

ミチノクホタルイ 見慣れないホタルイ類を見かけた。 ホタルイに似るがより大型で、小穂は6~12個とかなり多く、白色調である。 小穂が多く卵形である点でコホタルイとよく似ているが、桿は太く約2㎜、潰すと4㎜ほどもあり、イヌホタルイ並みに太い。触って…

ホソバミズヒキモに関して

ホソバミズヒキモ、という語を使いたくない。 笹の葉状の先端が尖った浮葉をもち、浅い湿地やため池に生える植物をホソバミズヒキモというならともかく。 そもそもホソバとはなんだ。ミズヒキモがないのにホソバミズヒキモがあるというのは変な話である。 牧…

ハリイに関して、メモ

日本のハリイは3種だといわれている。 ザックリというと、 ・穂が黒っぽくて、大型で、根本の赤い部分が長い多年草・・・オオハリイ ・穂が白っぽくて、中型で、根本の赤い部分が短い一年草・・・ハリイ ・穂が黒っぽくて、小型で、根本の赤い部分が殆どない…