水草オタクの水草がたり.

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エゾノミズタデの育て方

エゾノミズタデは北方系の水草で、平地でもみられるようになるのは東北も北のほうである。私の観察した自生地はそうとうに高温になる環境であるが、ヒシなどが生じる、茶色く濁ったやや富栄養の湖沼でふつうに見られた。最も優占するのはヒシとエゾノミズタデで湖面はおもにこの両者が勢力争いをしていて、ともにみられた沈水植物はマツモ類(草体の印象からの勘だがゴハリマツモだと思う)やミズヒキモ類、岸辺にはマコモやウキヤガラ、フトイが出てくるような環境というとだいたい伝わるかもしれない。

より北方に行くと貧栄養湖にでもなんにでも生じるようだが、少なくとも南限に近い環境ではガッツリ富栄養な環境を好む。「エゾノ」を冠する北方系の植物であるが、肥料さえ大量にやれば水温40度でも育つことを強調したい。

なお、実生からの栽培は当方では行っていない。実生はおそらく減水期に発芽し、増水とともに抽水~浮葉に移行するのではないかと思っている。なぜなら、エゾノミズタデは岸辺から発生しているように見え、群落が湖内から発生している姿は多くはないためである。通常のタデ類に準じて水位ヒタヒタで発芽するのかどうかは興味がある。今後の課題としたい。

 

栽培条件

全日照、雨ざらしが良い。アブラムシにたかられやすいため雨ざらしが楽である。

 

栽培に必要なもの

スイレン鉢、トロ船など、水を張れる容器(水深15㎝以上)

鉢 サイズはあまり問わない。

ベース用土:園芸用土、芝の目土、廃ソイル、砂など (あまり選ばない)

覆土用用土(赤玉タイプの芝の目土でも、田砂などわりとなんでもよい)

マグァンプKもしくはGMチリカ 中粒か大粒

 

発根

枝を水に浮かべておくと発根する。挿し穂に用いる枝は、長めにとっておいた方がいい。発根させずに植え付けても良いが、茎がつるつるしているために簡単に抜けて浮き上がってしまうため、発根させてから植え付けることをお勧めする。発根時も全日照で良いが、あまりにも暑い場合は半日陰などの方がいい気がする。

 

植え付け

ポットにベース用土を入れる。ベース用土に大量の肥料を混ぜ込む。混ぜ込んでポツポツ白い点点が見えるくらいが目安である。用土自体は特に選ばないが、粘土系は試したことがないので何とも言えない。このまま鉢を入れると水質が悪化して大惨事になるので、上を厚く覆土する。ベース用土の上に発根した挿し穂を立て、周囲を覆土用土で埋める感じのイメージである。覆土にも田砂、川砂、使用済みソイル、芝の目など色々使ってみたが、とくに問題ない。

*失敗例:黒土に直接植え込んで追肥する方法では全然育たなかった。頑丈な草なので休眠状態で耐えてくれたが…。田土で肥料が足りなかった時も同様の挙動を見せた。

*失敗例2:用土はあっていても、毎年植え替えをしないと肥料切れでジリ貧になる。成長しないな?と思ったら植え替えとともに底床に肥料を追加する。植え替えの際には古い茎葉をよく洗い流し地下茎をメインに植える。

*失敗例3:深いところに生えているからと挿し穂の頭を出さずに植えてしまうとだめになったり、そのまま休眠してしまう場合がある。

 

生育

肥料さえ多くやれば、夏~秋にかけて旺盛に生育する。ただ虫害、特にアブラムシやアザミウマの被害を受けやすい。駆除した方がいいのだろうが。肥料で草勢をブーストしてカバーするほうが楽かもしれない。他の水草同様、オンブバッタの食害にも注意が必要である。葉が詰まって小さくなり、棒状になってしまっていたら、肥料不足のサインなので「植え付け」に準じて施肥して植え替える。

 

冬越し

「越冬のために水に潜る」タイプの草であり、越冬には底が凍らないだけの水深が必要と思う。(凍っても耐寒するかもしれないが、ラウンケルの生活形的には潜らせた方が無難)秋口から冬にかけて地下茎が発達するので、そのままほおっておく。底に穴がある鉢の場合地下茎があちらこちらに行って制御しにくいが、腐りにくいメリットもある。

 

春の芽だし

春になると他の水草よりやや早く目覚め始めるので、目覚め始めた株の成長がすぐ滞るようであれば「植え替え」に準じて植え替える。そもそもうまくいっていれば鉢の底は地下茎だらけなので、それを切り出して植え付けても良い。春はアブラムシが案外猛威を振るいがちなので注意する。さいわい丈夫な草なので、簡単に死にはしないのが救いである。

 

まとめ

やや気難しい水草ではあるが、非常に丈夫な植物なので枯れたと思ってもあきらめないことが重要である。うまく施肥すれば綺麗な花を咲かせるし、40㎝級のスイレン鉢で楽しめるので結構鑑賞向きの水草ではないだろうか。