以前の沖縄遠征でヒロハノクロタマガヤツリを採種してきていたので、播種して楽しんでいる。栽培の前例があまりない種であるが、草姿が(私基準で)非常にかっこいい種でありぜひとも栽培を確立したい。
現状について。。。
ヒロハノクロタマガヤツリの発芽条件は割とシンプルなようで、25度台で水中から湿った陸上で発芽してきた。種子の消毒にトップジンを用いたが問題はなかった。
室内栽培では徒長しやすく、できれば屋外で5~6月に播種すべきと感じた。
室内での予備実験ではパイオニア植物と思いきや案外発芽が遅く、2週間ほどもかかるものが散見されたので、軒下の腰水・水上条件で発芽させて、葉が2枚ほど出たら雨の当たる屋外に出してみた。
移植は問題ないようで、5枚葉程度の株を引き抜いて移植できた。移植時に根がある程度切れても復活した。移植もヒタヒタの湿生条件で行い、園芸用土+GMチリカの芝の芽覆土で行い問題は特になかった。
成長は速く、早い個体は播種から2か月で高さ40㎝を超えた。折れた枝があったので水に浮かべておいたところ、各節から発根および各節からシュートの発芽を確認した。播種からだと割と時間がかかるので、枝から栄養増殖させたほうが速いかもしれない。各節が1株に独立させられるのではないかとにらんでいる。なお、倒伏した枝からの発根はあまり多くないので、発根には切り離す必要がある可能性がある。
本種は別名がヤエヤマススキであることからわかるように、琉球列島に産するカヤツリグサ科のなかでも南方系の種である。したがって耐寒温度は10~15度程度ではないかと予想している。室内照明でも生育はするが、徒長傾向が強かったことからあまり期待できないと思う。したがって10月ごろまでに開花までこぎつけたいところである。
最後に、近縁のクロタマガヤツリも同様に種子から栽培を試みているものの発芽率が極めて悪く苦戦していることを付記しておく。回収した穂の問題なのか、それとも条件なのか、著しく休眠性が強いのかは判断できていない。