夏である。
夏になると、水田の旧ゴマノハグサ科に悩まされる人をたくさん見かけるのでまとめてみる。
まずキクモに関してはコキクモと悩む程度でしか鑑別が問題にならないので、よいだろう。
残りを列挙する。
シソクサ
アブノメ (成長初期はロゼット状、葉は肉厚)
オオアブノメ(夏に生えているのは北海道くらいなので、実は鑑別にも上がらない)
サワトウガラシ (葉は著しく肉厚)
マルバノサワトウガラシ(葉は著しく肉厚)
ハビコリハコベ()
スズメハコベ()
エダウチスズメノトウガラシ
ヒロハスズメノトウガラシ
アゼトウガラシ
タケトアゼナ
()で囲んだものはふつう間違えないと思うものである。
混乱するのはシソクサ、スズメノトウガラシ、アゼトウガラシ、アゼナ、アメリカアゼナ、タケトアゼナ、ヒメアメリカアゼナあたりだ。
厄介なことにこのあたりはどの種も花がよく似ていて、初心者には全部同じに見えると思われる。
ここではごく簡単に違いのイメージを書いてみようと思う。
シソクサ・・・質感がSpongyである。発芽初期に3輪生によくなるのはシソクサのみ。水上葉は腺点が目立ち、艶消し状に見えることがある。香りがある。水上葉は肉厚。香りがあるのもシソクサだけ。茎が太いこと、質感や色を見慣れるのが近道。
アゼトウガラシ・・・ひょろひょろしている。黄色っぽい。葉は細く、鋸歯は必ず先端が丸まる。茎は硬め。
スズメノトウガラシ・・・プラスチッキーな質感で硬い。鋸歯は細かく均一に並び、鋭い。葉の表面は平滑で茎は硬く、匍匐傾向が強い。ヒロハvsエダウチは花を見る。(変異多い)しばしば紫を帯びる。
アメリカアゼナ・・・葉が薄い。鋸歯は片側4以上にならない。鋸歯を除けばしゃもじ状。しばしば赤みを帯びる
タケトアゼナ・・・葉が薄い。鋸歯を除けば三角形。鋸歯は片側4以上にならない。
アゼナ・・・葉が薄い。鋸歯は目立たない。花柄は長かったり短かったりする。
ヒメアメリカアゼナ・・・花柄が長く鋸歯がある。抽水ではあまり見ない。
あくまでも本州で普通にみられる種の見分け方なので、南西諸島などには対応していない。またトキワハゼ、ムラサキサギゴケ、ウリクサ、ミゾホオズキなどのときに水辺に出てくる種に関しては含めていないのでご了承あれ。