水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

ハナイが開花したので栽培メモ。

ハナイ Butomus umbellatusが開花したのでこれまでの栽培経過をメモしておきます。

 

2022年8月 入手。余っていたアマゾニアに植え付け。

2022年11月 栽培していた容器がオオバナイトタヌキモに汚染されたうえにベランダ管理でアブラムシ被害がひどかったため、成長はかなり不良だった。10月下旬ごろに地上部がみられなくなり、枯れたかと思い掘り返したところ塊茎が回収された。洗浄してプリンカップに入れて冷蔵庫で水中保管。

2023年5月下旬

塊茎をばらしてケト土3+芝の目土3+黒土4にマグァンプKを適宜足した用土に植え付け。鉢はプレステラ90、水深3㎝の箱管理。

2023年7月上旬

成長がいまひとつ(10㎝ほどしかない)なので3号鉢に園芸用土(花と野菜の有機培養土)+GMチリカ中粒+芝の目土覆土に管理変更。水深8㎝のトロ船管理。

2023年7月下旬

2週間で株が詰まったのと、猛暑で他の鉢が干上がる被害が続出したのでポットを4号鉢にし、30Lタライに入れて水深15㎝管理に変更。植え替えに用いた用土は同様に園芸用土の芝の目覆土。

2023年8月

開花。結実は盛んにするようで、開花3日目には子房が膨らんできている。

新しい鉢も株で詰まる。植え替えを検討しても良いが、キリがないのでしばらく放置してみようと思う。

比較区として最初の用土のまま栽培したものは今も10㎝大で開花せず。やはり植え替えるのが正解だった。

 

総評

少なくとも栽培が難しい植物ではないが、全日照と大量の肥料を要求する。黒土系の用土では生育が著しく不良な点からすると、リン要求が多いのではなかろうか。(オモダカクワイと同様)リンの含有が多いGMチリカやマグァンプを大量に用いた理由はそれである。(植え替え時にGMチリカを用いた理由としては、似た組成でマグァンプよりちょっとだけ安いからである)

オモダカのように調子を崩すとあっさり何も残さず枯れ果てることは無く、不良条件でもなんとか矮小化しながら生存するのでオモダカ科としても比較的容易な部類かもしれない。冬越しは塊茎を堀上げたが、北方系の植物なのでわざわざそうする必要はないと思う。

塊茎から非常によく増殖し、また株別れも盛んである。掘り取ったつもりでも塊茎の一部がはずれ、残土から発芽したものがあった。自生地では塊茎の一部が分離漂流して分布を広げることが知られており、発芽率は高いものの実生増殖はメインの増殖手段ではないとされる。要するに実生でも栄養増殖でも高い拡散能を有するので、スイレン鉢から絶対に出してはいけない植物である。成長速度はきわめて速く、(オモダカにはよくあることだが)やろうと思えば毎週植え替えできてしまうレベルである。自生地では高さ1mを超えるほどになるので、本気で大きくしようとすれば際限なく大きくできてしまうだろう。

縦に伸び、株別れはすれどもランナーは作らないので株の占有スペースが小さい。花も豪華なので「取り扱いに注意すれば」面白い花卉だと思う。さいわい果実も大きいので、よほどのことがなければ自力で脱出はできないだろう。但し本当に取り扱いに注意すること。アメリカでの暴虐っぷりを勘案すると覚悟を持ったコアな愛好家が栽培すべきものであって、ホムセンなどに適当に並べられてよい水草ではない。分布域からすると日本全域に帰化しうり(ユーラシア大陸の広域に分布するがどういうわけか日本には到達できなかった種である)、しかもアメリカでの前科があるので、もしどこかに定着でもすれば特定外来生物まっしぐらだろう。

 

開花期間は短いものの、花数は多いのでとりあえず見られるのが良い。花は紅色の葯が非常に豪華で、ニムファエア・コロラータに似た雰囲気があって大変よろしい。

 

ところでハナイは沈水状態でも生育可能な植物なので、来年は水槽栽培にチャレンジしたいところである。トチカガミ科のVallisneria、ハナイ科のButomus umbellatus、オモダカ科のSagittaria filiformis、ホシクサ科のEriocaulon latifolium、カヤツリグサ科のSchoenoplectiella gemmifera、イネ科のGlyceria ischyroneura、ガマ科のSparganium japonicumあたりを並べた「全部科が違う、テープ状だけの水草水槽」いいと思いません?あ、せめて属違いくらいにすべきか…。。。定番のCyperus helferiとかも入れたいし。