河岸が護岸工事の前準備で撹乱されると、様々なものが生じる。
上流域ではヤナギタデ、オオイヌタデが主要なもので、それにカワヂシャやイが混じる。温度が低ければミズハコベなども常連だ。下流域になるとヤナギタデは減ってきて、タコノアシやウスゲチョウジタデ、ケイヌビエが増えてくる。
こういう撹乱地はオモダカやコナギはあまり出て来ない。オモダカはあまり出てこないのに、出現頻度がより低いヘラオモダカは時々出てくるのが不思議だ。イヌホタルイやクサネムにしたって、水田ほど多いかと言われればそうではない。小型の水田雑草に関してはよく出現する。アゼナ、キカシグサ、ミズマツバ、マツバイ、ヒナガヤツリなど。ただ水田ほどの密度でみられるわけではない。こういうことからすると、水田と河岸撹乱環境の違いは肥料の濃度が大きく絡んでいるような気がしてならない。ただケイヌビエやヒレタゴボウなどは水田環境並みかそれ以上に大きくなるから、単なる肥料濃度というよりも肥料バランスのほうの問題なのだろう。
サンカクイやミゾコウジュは出現頻度が非常に高いが、水田で見かけることは滅多にない。休耕田になると出てくるので不思議なものだ。除草剤や耕起に弱いのだろうか。そもそも、休耕田になると出てくるのに、水田になっている間どこで何をしているのかが謎である。タコノアシやコガマも同じような部類だ。ガマ類は飛んできそうなものだが、出てくるまでの速さや荒木田土を買うと出てくることからするに、埋土種子があるのだと思う。