水草オタクの水草がたり.

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エゾヒルムシロ

エゾヒルムシロは日本の水草の中で最も美しいもののひとつである。

触れば溶けてしまいそうなほど繊細で透明感のある葉、盛んにしかし規則正しく分岐する水中茎。これが水中を森のように埋め尽くし、開花茎が上にヒョロヒョロと伸びていって小さな浮葉をつけ開花する。

これほど美しいと思わせる水草はそうそうない。

エゾヒルムシロは分類上は困った存在である。形態的に識別困難(とされる)2系統があることが知られており、そのうち片方はPotamogeton lucens(ガシャモクもこれに含まれる)、もう片方はP. sarmaticusと姉妹群をなす。したがってエゾヒルムシロは最低でも2種に分割されねばならない。(Kaplan, 2006)

しかしながらエゾヒルムシロは形態的にきわめて可変であることが混乱をそのままにさせている。沈水葉の形態も浮葉の形態もさまざまなものがあり、どれも同じ種なのか、全て違う種なのか、判断は難しい。

Kaplan, Z. (2006). Comparison of natural and artificial hybridization in Potamogeton. Preslia, 78, 303-316.