日本でも浮かぶBacopa rotundifoliaが帰化し,「ウキアゼナ」と呼ばれています.
東海では猛威を振るっているようですが北関東では局所的かつあまり広がる様子がないので,定着にはある程度の条件が必要なようです.
ウキアゼナはまるで「ラージパールグラスの水上葉をウォーターバコパの大きさにしたような」水草なので,遠目でも目立ちますし,あからさまにそれとわかる殖え方をします.ナガエツルノゲイトウなどとおなじく普通のアクアリウムに使える水草ではないので,輸入ルートはアクアとは別なものではないかと思っています.
さて,ウキアゼナは文字通り「バコパが水面に浮かんでいるだけ」なのですが,もっと水面に適応した,非常にユニークなバコパが世の中には存在します.たとえば,Bacopa egensis.
Bacopa egensis
分布 北米南部~南米北部,アフリカ熱帯地域
Can someone identify this freshwater tropical natant plant?
特徴
ヒシモドキによく似た浮葉~浮水植物.茎は無毛で下部の節間は5~7㎝,先端に荒い鋸歯のある葉は先端にかけて密になり,ヒシに似た浮葉ロゼットを形成する.萼片はBacopa属としては珍しいことに4枚(通常5枚),雄蕊は3本(通常4本).花弁は4枚のうちしばしば2枚が合着しており,3弁に見えることもある.
本種は水位変動のある水域で泥から発芽し,成長すると水面に浮かぶようになります.形態はバコパとしてはかなり特異なもので,4枚しかない萼片や花弁,雄蕊が3本であるなど,同定しやすい種です.もっぱら南米の種とされてきましたが,アフリカからも報告が出ています.
ヒシモドキやヒシ,コビトヒメビシによく似て大きな鋸歯がロゼット状になった先端部を取り巻くように並んでおり,この形質にはなにか有用性があるのではないかと感じさせます.
アクアリウムにおいてはまったく未導入です.熱帯性なので帰化する危険性はあまり高くないとは思うのですが...
ヒシによく似た植物として,ウォーターダイヤやヒシモドキと並んで紹介されるべき水草ですが,知名度は絶望的なまでに低いです.
では最後に.
バコパはいいぞ!
(つづく)