水草オタクの水草がたり.

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エキノドルスの「イモ」?

 水草業界では(そんな「業界」と呼べる規模なのかは疑問だけど)、エキノドルスの増やし方としてよく「イモを切り分ける」という言葉を用いる。しかしエキノドルスの「イモ」はただ葉の落ちた地下茎に過ぎず、葉がついてから二次的に肥大するわけではないし、さほど澱粉質でもない。したがって私にはこれが「イモ」であるとはとても思えないし、イモではないものをイモと言うのには、抵抗がある。

ということで、イモとはなんなのか、と(吉田, 2019)にさっと目を通してみた。

「イモ」とは、もともとサトイモのことである。平安時代の和名類聚抄ではサトイモを「芋」、ヤマノイモを「山芋」としている。本州において古代から江戸時代まで、イモとはサトイモのことである。

※南西諸島においてはウム系の語は主にヤマノイモ類、ムジ系の語がサトイモ類に対応する…とも聞いたことがあるが…※

他に日本で伝統的に芋として扱われてきたものは、クワイ、クログワイ(orオオクログワイ?)、そしてサジオモダカである。

これを踏まえて

現在主に「イモ」と呼ばれているのはサツマイモおよびジャガイモで、どちらも新大陸由来の作物である。

さて、サジオモダカが異質ではあるが…基本的に芋とは澱粉質を蓄える、肥厚した塊茎および根である。澱粉質というのが重要と思っていて、ダイコンやニンジンはイモではない。

 

しかし、サジオモダカのやや横走する、またやや澱粉質とはいえそこまででもない塊茎が伝統的に「芒芋」と呼ばれたとすることを踏まえると、エキノドルスのあれを「イモ」というのはあながち間違ってもいないのかもしれない。ただ、そうだとしてもアレはただの地下茎だろう…という印象は拭えない。

ということを書きながら、サジオモダカの塊茎を実はまじまじとみたことがないことに気づいた。栽培しているものがあるので、もう少ししたら抜いてみてみようと思う。それをみた感想で、エキノのイモがイモか否か、を問いたい。

 

 

吉田宗弘. (2019). 日本人とイモ. 食生活研究, 39(5), 235-248.