日本のサクラタデはPersicaria odorata ssp. conspicuaだが、これはodorata ssp. odorata。
東南アジアでは有名なハーブで、苗が売られ始めたと聞いてここ数年探していたのだけれども、気にして近場のエスニック食材店を当たってみたら、軒並み売っているに近い状況でたいへん驚かされた。ベトナム料理店にもタイ食材店にもミャンマー食材店でも見かけた。似たニッチの野菜であるオオバコエンドロ/パクチーファランよりも流通量は多そうだ。
サクラタデとは亜種関係ということになってはいるけれども、かなり違う印象を受ける。
サクラタデは花がやや密では有るものの一斉に咲かずにパラパラと一つずつ咲くことが多く、茎はランナーから立ち性の傾向が強い印象だけれども、ベトナムコリアンダーは茎の匍匐性が強く花が疎につきつつも一斉に咲く印象がある(花の咲き方は栽培して検証中だけれど、匍匐性の強さは間違いない)。
なので素人目には一見シロバナサクラタデに似て見えるのだけれど、花序の各節の花数は2-3でありシロバナサクラタデ(4-5)よりは明らかに少ないらしい。
ただ、生植物があればむしってカメムシ臭を確認するのが一番手っ取り早い。
東南アジアから南アジアではタデ類をしばしば食用にし、日本でも食べるヤナギタデや、無味無臭に近いケタデやオオサクラタデもその一因に含まれるのだけれども、最も食用として重要なのは何故か本種のようだ。
カメムシ臭→食用、は日本人からするとちょっと受け入れ難いが、パクチーを愛する東南アジア人にとっては美味しそうな香りらしい。