水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

現存する南米水草リスト2022

水草業界にもなんだか光明が見えてきているのか,南米水草が掘り出されてきたり,クリプトコリネが突然流行ったりしています.不毛の地に見えていた水草界隈ですが,復活の芽はまだあるようです.

去年も書きましたがブセファランドラ,アグラオネマと里芋ブームが何年も続いていった中で上陸が進み,でもやっぱ水草は良かったよな...と陸上から水に戻ってくる,”まるで水草のような水草マニア” が増えてきているのかもしれません.

いずれにせよ,一時は本当に何もなくなってしまったように感じた南米水草が市場に帰ってきています.本当にうれしいです.

しかしながら,ひょっとしてもしかすると私のような一部の限界水草オタクが南米南米とTwitterでピーチクパーチクつぶやきまくっているせいで南米水草キテるかも?と思ったり,そういや南米よかったよなと売り手側が浮足立ってるのかもしれません(??)...だとすれば供給側のテンションばかりあがって需要自体は増えていないことになって残念なのですが.でもそうして店頭で南米水草を目にすることによって”おおこいつカッコいい!!!”と一人でも思っていただければいやあー,うれしいですねえ.

 

昨年記事のアップグレード版として,そもそもどんな南米水草が現存しているのか?ということについて書いていこうと思います.

 

水生コケ

マナウスウィローモス Hydropogonella gymnostoma 

 (Queens moss, Amblystegiaceae sp. Manaus)

備考:728図鑑での「パンタナルウィローモス」に酷似.本種はすでに同定されている.

→リンク:

アジア産蘚苔類の分類・生態ノ-ト28. : 国内・国外でQueen Mossあるいはマナウス産ウィローモスとして流通している蘚類はHydropogonella gymnostomaである

からしても南米産ということで良いと思われるが,具体的に南米のどこかは不明である.

ベレンウィローモス 未同定 

備考:葉先がやや尖りカールするのが特徴的.同名のものは90年代から流通がある.三角形にはならない.

リアル南米産ウィローモス(未同定)

備考:確認した個体はごく普通のウィローモスのような形態で,三角形にはならないようだ.

モスspピレノポリス 

備考:ピレノポリスはゴイアスの地名だが本当にそうかは不明。問屋便。間伸びしたジャイアント南米モスのようなものと、バブルモスのようなものが混じって入荷したとのこと。

おまけ;南米ウィローモスジャイアント南米モスは南米産ではない

備考:通常流通する南米ウィローモスは東南アジア産(マレーシア?)であり,南米産ではない.「南米ウィローモス」はフクロハイゴケであるとする説があるが,未確認.ジャイアント南米モスに関しては由来不明だが,南米産という話は聞いたことがない.その他産地名付きのウィローモスがいくつも流通した時期があったが,種の同定が行われていないことから,現存したとしてもどの名前がどの程度信頼できるかはブラックボックスである.

 

小葉植物

ミズニラ目

ミズニラ科

ブラジリアンクイルウォート (未同定)

サウスブラジリアンミズニラとも.国内ファームで生産されており,時々入荷する.エキノドルスと同時期に数回以上入荷したようで,その生き残りとみられる.葉の断面は円筒形,強くカールし緩いスパイラル状となる.かつて入荷したセイヨウミズニラIsoetes velataとも似ている.但し,南米のミズニラは分類が未整理な点が多く,手を付けがたい.検証を先延ばしにしながらまだ手を付けていない.

aquaticplants-detective.hatenablog.com

パンタナルクイルウォート ゴイアス

1999年にゴイアス州にて採集されたミズニラ類.

大胞子はTuberculate→Isoetes amaznica, Isoetes ovata, Isoetes serracarajensis,I. panamensis,I. gardnerianaなど?突起はかなり細長く柱状であり,25~50枚/株,蓋膜が未発達,他の同定形質である小胞子の突起がどうかは不明なもののI. panamensisが近そう→葉長が矛盾(20~40㎝ vs.1m)

大胞子の写真

https://twitter.com/ryuugonmizukusa/status/1385529124018556929?s=20&t=W0mncxVsY9moycNf6aIj9w

(Pereira, Brotto &Lebiak, 2021 https://doi.org/10.15560/17.1.63

 

大葉シダ植物

デンジソウ目

サンショウモ科

オオサンショウモ Salvinia auriculata complex

定番種.小型個体ではサンショウモに似るが,葉はサンショウモに比べかなり丸い.浮葉の毛の先端がくっつく(泡だて器のような形になる)ことでサンショウモ及びS. minimaと区別可能.S. molesta. S. biloba. S. herzogiiなどの近似種があり,Salvinia auriculata種複合体と言われたりする.どれも南米産.流通するものがどれなのか,そもそも本当に一つなのかは確認していないが,S. molestaの学名が使われることが多い

 

サルビニアオブロンギフォリア Salvinia oblongifolia

巨大化するサルビニア.葉は長方形に近く,ホテイアオイに近いサイズ感となる.水をはじくだけでなく葉の裏や根にフロートを持つ.山崎美津夫が1998年に採集したとのことで,サイズや耐寒性のなさからなかなか栽培されていないが,何とか生き残っている.もし山崎美津夫採集の個体が起源とすれば,産地はマナカプル近郊とみられる.

 

サルビニア ミニマ Salvinia minima

オオサンショウモの小型個体に似るが,育っても葉表面の毛はくっつかない.サンショウモより葉は短く丸い.山崎美津夫が1998年に採集したとのことで,現在マニア間で細々と流通するものの起源かもしれない.一般に流通するのは稀.もし山崎美津夫採集の個体が起源とすれば,産地はマナカプル近郊とみられる.

 

ウラボシ目

ネグロウォーターファン Ceratopteris pteridoides 

1996年に吉野氏がネグロ川で採集している.同種はそれ以前にも流通していたようであるが,この株が現在普及している様子.名前にたがわず原産地は低pHのブラックウォーターであったが,低pHを好むわけではない.肥料の関係上か水槽を選ぶ印象.

 

ミクロソリウム ミナスジェライス パラカツ川産

ミクロソリウムLeptochilus pteropusにしか見えないが,南米産とされている.初入荷時等が未検証のため,真相はよくわからない.

 

ゴイアス産シダsp 

コケシノブの仲間によく似た水生シダ.南米の水生シダと言えば(水中化が厳しいことでも有名な)シャーマンシダだが,こちらは水中適性は高いようで栽培は容易であるとのこと.種同定はしていない.

 

被子植物

スイレン

スイレン

サンタレンドワーフニムファ Nymphaea cf.gardneriana

ヒドロカリス亜属で最も有名.浮葉をあまり出さずランナーでの増殖率も高い.花の写真も見たことがあるが実に美しく妖艶な形をしている.

若い浮葉はNymphaea belophilaNymphaea potamophyllaを思わせる細長いものだが,成長した浮葉は顕著な鏃型ではない.

海外ではNymphaea gardneriana ”Santarem"として流通している.N. gardnerianaは成長期を通じてランナーで盛んに増殖することが知られており,生態的には近そうである.確認すべき形質としてはN. jamesoniana, N. conardii, N. gardnerianaの3種は成熟した浮葉の中央部付近で葉脈が発達し,蜘蛛の巣状を呈する.こうしたタイプの中ではN. conardiiはランナー増殖が盛んでなく,N. jamesonianaはランナー増殖しないことから,浮葉の葉脈でこのような特徴が確認できればN. gardnerianaでよいだろう.(しかしながら,筆者は写真で見る限りそうした特徴を確認できていない.)

N. gardnerianaは非常にバリエーションが大きいことも知られており,他の様々なタイプも同種のバリエーションである可能性もある.

→開花画像

熱帯種 スイレン 睡蓮 ドワーフニムファ サンタレン産【レヨンベールアクア】

パンタナルチェーンロータス 

サンタレンドワーフニムファにとてもよく似たものにパンタナルチェーンロータスがある.こちらは葉の切れ込み角がより大きく,斑も大きいようだ.長らく混同されがちだが種レベルで違う可能性もあるので,浮葉および花の比較も必要かと思う.

タパジョスドワーフニムファ レッド 

三角形に近い細長めの真っ赤な葉が特徴的である.サンタレンドワーフニムファに近いサイズの小型種.よく似たグリーンタイプもある.浮葉が細長いことからN. potamophyllaN. belophyllaも考えられるが,成熟した浮葉がどのような形なのかを確認すべきと思う.

 

タパジョスドワーフニムファ グリーン

水中葉の概形はレッドに似ているが,葉は緑でコントラストのはっきりとした赤茶色の斑が入る.タパジョスドワーフニムファ レッドの混じりが起源ではないかと聞いたことがある.

 

ニムファ グランダリフェラ Nymphaea cf. glandulifera 

1996年にマナウスで採集された個体.自生地のpHは5と低く,浮葉中心であったとのこと.浮葉の表面,裏面ともに緑色であることが特徴的である.おそらく本種だけが学名付きであったのはそのためではないだろうか.

 

ニムファ オキシペタラ(ラビットイヤーロータス) Nymphaea oxypetala

1996年にパンタナルからパンタナルヌパールとして入荷したものが代表的で,のちにゴイアスからも入荷している.ほとんど水中葉しか出さず,浮葉は小型で貧弱.花は大型で花弁は細長く強くカーブするなど,南米に多く分布するNymphaea subg. Hydrocallisでも異色のスイレンと言える.ゴイアス産,パンタナル産ともにラビットイヤーロータスとして混同されて扱われているほか,個体間にもかなりの差があるようだ.

ゴイアス産は入手済み.パンタナル産の形質も斑が入るものとはいらないものがあるようで,画一ではないかもしれない.

→1996年パンタナルのラビットイヤー(パンタナルヌパール)

水草 ラビットイヤーロータス パンタナル 水中葉【レヨンベールアクア】

→プライベート便ゴイアスのラビットイヤー

水草 ラビットイヤーロータス ゴイアス産【レヨンベールアクア】

ゴイアス産現存株

ラビットイヤーロータス ゴイアス産 Nymphaea oxypetala (Goias) - 水草オタクの水草がたり.

ニムファ ゴイアス産 Nymphaea cf. prolifera

1999年にゴイアス州で採集されたスイレン属.花から花が出てそこから子株が出るという奇怪な増え方をするらしく,ぜひとも自分の目で見てみたいところである.尚,この増え方をするHydrocallis亜属のスイレンN. prolifera及びN. lasiophyllaであり,生活史を通じてランナー増殖するのはむしろN. lasiophyllaのほうである.

ニムファ ペルーマルドナード

浮葉は真っ赤で水中葉には葉脈が白く抜け,観賞価値が高い.ときにアクアリウムだけでなく園芸でも流通する.非常によく似た個体がモザイクロータスとして流通しているが,同一のものかどうかは不明.Nymphaea amazonumではないかと聞いたことがある.

パンタナルレッドモザイクロータス/パンタナルレッドモザイクヌパール

1996年にパンタナルにて採集されたスイレン.葉はやや細長く,細かい斑が入る.とてもよく似たものにパンタナルレッドホットスポットヌパールがある.

パンタナルレッドホットスポットヌパール

前種に非常によく似ている.同種の時期違い,産地違いかもしれないが,現在も流通がある.

 

 

ジュンサイ

レッドカボンバ Cabomba furcata

葉は3輪生で葉の第一分岐は3であることで他のカボンバ属から区別できる.葉先はほかのカボンバ類に比べて鈍頭である.花はピンク色で色はC. haynesiiに似るが,

イエローカボンバ Cabomba aquatica

現在流通するタイプは南米北部,ギアナのブラックウォーターに生息するものと思われるが,産地じたいは不明.C. aquatica種複合体は花が黄色で,浮葉は楕円形であることで特徴づけられるが,どうやらかなりのバリエーションがあるようである.

ベレンレッドカボンバ Cabomba sp.

葉は対性で赤みを帯びるが,レッドカボンバほど鮮烈な紅色とはならない.葉は細く,先端は鋭.葉の付け根にはCabomba haynesiiにみられるようなトゲ状の突起は確認できた限りではみられず,暗赤色の着色と顆粒状の突起があるだけのようである.茎には毛が多く,条線ははっきりする.葉の付け根の構造はC. aquaticaに似るが,浮葉および花が得られていない以上断定はしがたい.浮葉および花が確認できていないため判断は難しい.ベレンロージーカボンバと呼ばれる場合もある.

 

パンタナルグリーンカボンバ Cabomba cf.caroliniana

葉は対性,ほぼ赤みは帯びない.葉はやや太く,先端はやや鈍.ブラジルに生息するカボンバはC. caroliniana, C. aquatica,C. haynesii, C. furcataの4種.C. aquaticaのような非常に細い裂片でもないし,C. furcataのように三輪生はしない.ブラジル産のC. aquatica,C. haynesii, C. furcataは水中葉が赤みを帯びるのに対し,C. carolinianaの葉は緑色であることが多いとされる.恐らくC. carolinianaの範疇ではないかと思う.

浮葉及び花の確認をしたいところだが,そもそもカボンバ類の栽培が非常に困難で確認しがたい.現在まで維持してくれたことに感謝.

 

リンドウ目

アカネ科

パンタナルピンクムグラ Diodia kuntzei

パンタナルで採集されたメリケンムグラの近縁種.同種とみられる水草はムトゥン川やトランスパンタネイラでよくみられたと吉野氏は1996年に書いている.かつてはパンタナルピンクハイグロやコメリーナspと呼ばれる場合もあった.グリーンタイプもあったが,現存しているかは不明.

 

ブラジリアンフラジャイルプラント  Oldenlandia salzmannii

ケニオイグサやフタバムグラに近縁で,一見したところ非常に小型のバコパのように見える.どちらかというとアマゾンよりはパンタナルの植物だが,バコパspサンタレン,サンタレンドワーフバコパと呼ばれるようにアマゾン川流域にも分布があるようだ.

流通するものは基本的に白花の長花柱花で,花の概形は条件により変化するようだ.但し,なぜかADAの寂び石にはピンク花の短花柱花をつけるものが入っていた.現在も複数タイプが流通している可能性がある.

 

アカバナ科

ルドウィジアインクリナータ Ludwigia potamogeton (Ludwigia inclinata) 

インクリナータグリーン

インクリナータ パンタナル

インクリナータ 

アマゾンの水生ルドウィジアの代表的なものであり,葉は対性~互生,水中葉は薄く長楕円形で波打ち,通常赤みを帯びる.茎は細く柔らかい.L. inclinata及びL. potamogetonは混同されがちであるが,調べた限りでは水中葉が互生で葉が長楕円形のものがL. potamogeton,水中葉輪生のものがL. inclinataのようである.後者は前者のシノニムとされる場合もある.栽培は容易だが基本的に水面直下をたなびくように成長する水草であるため,中層に常に頂芽が来るようにトリミングすることはあまりお勧めしない.南米に広く分布し,様々な産地のものが知られている.

 

パンタナルレッドピンネイト Ludwigia inclinata 

アラグアイアグリーンピンネイト Ludwigia inclinata 

中米から南米にかけて分布する水生ルドウィジア.水中葉は輪生,鋸歯はなくしばしば赤みを帯び,披針形.しばしば赤みを帯びる.茎は太くスポンジ状に含気する.

水中葉および下部の水上葉は輪生し,水上葉はしばしばミズキンバイに似た互生となる.アマゾン地域からも記録があるようだが採集された産地はキューバ,アラグアイア,パンタナルとアマゾンの熱帯雨林からは外れている.

 

ニードルルド サンパウロ Ludwigia brevipes

おそらくL. brevipes.南米にはこのような対性のルドウィジアLudwigia sect. Dantia)は分布しておらず,本当にサンパウロ産かは疑問がある.しかしまずやるべきことは,実物を手に入れて育成しつつ文献を集めることだろう.

 

ルドウィジア セドイデス Ludwigia sedoides

パンタナルをはじめ南米に広く分布する珍奇なルドウィジア. 葉は菱形で上部ほど密につき,ヒシのような外見となる.低水温および低光量に弱く冬越しが難しいが,現在も毎年流通がある.アマゾンの水景には欠かせない種で現状では園芸店にも並ぶ普及種であるが冬越しにネックがあるため,うかうかしていると流通がなくなる可能性もある.

 

ルドウィジア フローティングプラント Ludwigia helminthorrhiza

ミズキンバイに似た草体から大きな呼吸根を出し,それによって水面に浮かんで成長する.同様の性質はケミズキンバイでもみられるが,葉はより短く葉脈はケミズキンバイに比べて目立たない.花はケミズキンバイと似て,この属としては珍しい白花.園芸でも白玉浮草として流通する.耐寒性は低い.

 

アゼナ

 

ラージパールグラスMicranthemum umbrossum

一般的な水草で最高に美しいが,最近のレイアウトではあまり見かけなくなった印象を受ける.ニューラージパールグラスより低硬度に強い印象を受け,一般的な水草水槽で良く育つ.いまや単品で売られることすら減ってきているので,詫び草ではじめてお世話になった人も多いのではないだろうか.

ラージパールグラス・サンパウロ Micranthemum umbrossum

(南米ラージパールグラス)

ラージパールグラスより小さく葉が三角形に近く葉脈が浮き出る.成長も遅めで,密に植えると下葉が落ちたり状態を崩すこともしばしば.水中で閉鎖花を盛んにつけ結実する.導入時にいきなり沈めると枯れるおそれがあるため,水面に浮かせて発根・水面で浮葉で増えてから水中に導入するとよい.

 

ニューラージパールグラス Micranthemum tweediei

AZ1110-8 collected 19/11/2010 Newラージパールグラス from Montecarlo-3

2010年11月に甲斐氏によりアルゼンチン,モンテカルロにて採集された株(AZ1110-8).自生地は流水の河川で,エキノドルス ホレマニー モンテカルロ3と同じ産地.葉長は5~6㎜,分岐しながら底床にのめりこむように成長する.pH7前後では丈夫であり,CO2要求度も少ないことからボトルアクアリウムなどでもよく用いられる.

水質:

pHは低い環境を好まない.南米水草が一般的によく育つpH4~5前半だと葉が黄色くなったり,黒ずんで茎が溶けたりする.また,KHも3前後が望ましい.逆に高pHには強いとされる.自生地はエキノドルスと同じ場所なので,pHは6~7.8が望ましい.

水温:

水温の変化には寛容で,東日本でも水位を挙げれば屋外越冬し真夏の高水温にも耐える.使い勝手のいい水草だけに,屋外逸出は避けねばならない.

→採集したAZの甲斐氏のブログ

Newラージパールグラス : ホシクサとクリプトコリネとカレーライスなお話

→這いまわる株を選抜したRootsの仲里氏のブログ

水草プロパガンダ: Newラージなんちゃら

→ボトルアクアリウムでの作例

Newラージパールグラスに秘めた想い ~ボトルアクアリウムのある暮らし~ : SONOアクアプランツファーム水草情報局

 

尚,パラグアイから採集された株も生き残っている可能性がある.

 

コラム  南米にはまだ見ぬパールグラス類がいるはずだ

*M. tweedieiは現状M. umbrossumと同種とする意見もあるため,ラージパール系はすべてM. umbrossumと書いてもよさそう.ラージパールグラス

 

 

アリノトウグサ科

ミリオフィラム マットグロッセンセ  Myriophyllum mattogrossense

黄緑色の葉を輪生させるミリオフィラムであり,水中でもよく開花する.日本に導入されている個体は雌株であるようだ.赤い葉を輪生させるものはMyriophyllum tuberculatumと思われる.

 

ミリオフィラム オレンジ ローライマ  Myriophyllum sp.

ミリオフィラム ガイアナドワーフ Myriophyllum sp.

 

アワゴケ科

南米ミズハコベ Callitriche sp.

Callitriche deflexaか,もしくはC. terrestrisだと思われる.両者は果柄の有無で区別できるが,私のところではもう少しで結実というところで栽培をミスしてしまった.高水温は好まず,水中で栽培できるほか水面でも浮葉を形成し,よく繁殖する.水中及び水面では開花結実せず,また日本のミズハコベのように水中で異型葉を展開することはない.イケノミズハコベにも似ているが葉の光沢は少なく,半分以下のサイズである.

pHは5.5以下で良く育ち,トニナに近い環境が適しているものの現在流通する個体はより寛容に感じる.低pHではNewラージパールグラスやキューバパールグラスが育たないので,前景に考慮してみるのもいかがだろうか.

 

イネ科

スリナムパープルグラミネア(スリナムパープルバンブーグラス)

育てている方がまだいらっしゃるようです.

 

オオバコ科

バコパ オーストラリス Bacopa australis 

オーストラリアではなく南という意味.葉はライトグリーンの丸葉で,水中葉は薄い.栽培条件強光だと匍匐性,低光量では立ち上がる.

 

ペルー産バコパの一種 Bacopa cf. caroliniana

B. carolinianaによく似たバコパB. salzmanniかもしれない.ノーマルのB. carolinianaとはよく似ているが葉がより細長く,鋸歯もややはっきりする傾向がある.栽培は変わらず容易で,ランナーおよび分岐で容易に増え丈夫.

 

アラグアイアパープルバコパ Bacopa salzmanni

水上ではかなり大型のBacopaである.

 

バコパspローライマ* Bacopa serpyllifolia

海外では”Bacopa sp. Japan"として流通することもある.現状流通している個体はバコパspパンタナルではないかといわれている.水上葉,水中葉ともに少しOldenlandia salzmanniiに似ているが,花はBacopaのものであった.水上葉は生育条件により大きく変わり,B. australisと紛らわしい場合もある.

 

バコパspローライマ** Bacopa cf. australis?

バコパ オーストラリスもローライマとして流通することがある.

 

バコパspローライマ(真のローライマ)

葉が内向きにカールして葉巻状になり,下に強くカーブする.本物はきわめて稀少.

 

バコパspサンタレン Oldenlandia salzmannii

→アカネ科 ブラジリアンフラジャイルプラントを参照のこと.

 

バコパ ミリオフィロイデス Bacopa myriophylloides 

きわめて細い葉を輪生させる水草.この細さに匹敵するものといえばエグレリアとラジアルヘアーグラスくらいのものである.強光などの好適条件ではかなり赤くなり,現地写真ではしばしば紅色となる.パンタナルの印象が強いが,分布は南米の広域に及ぶ.

 

イエローバコパ/ジャイアンバコパ/イエロー斑入り  Bacopa lanigera

大型のBacopaであり,茎には剛毛が密生する.現在流通するものの殆どは斑入りもしくは黄変種である.国内ファームから鉛巻きで出ているが,特に通常色の株は流通が少ない.

リムノフィラ”ベレン

南米産アンブリア類

Limnophilaは南北アメリカに本来分布していないが帰化していることが知られている.それが輸入されてくるのか,産地偽装か不明.

 

オモダカ

タイリンオモダカ

分布の首座は南米にあります.園芸用として売られていますが影が薄く,筑波実験植物園の写真しか出てきません.筑波実験植物園の個体は葉先が変に丸まっていますが,本来ああいう植物ではないです.

・*サジタリア・ラティフォリア()☑

分布の首座は南米.園芸用としてまれに売られますがもっと影が薄いです.

ウォーターポピー◎★

水草というより園芸植物ですね.キバナオモダカに近縁で,最近はオモダカ科に入りがちです.

 

真のエキノドルス属 Echinodorus

エキノドルス ベルテロイ Echinodorus berteroi

唯一の真なるエキノドルス.北米から南米まで広く分布する.原産地では一年草であり,湿地に水が入ると急速に成長する.

北米産の個体群であるセロファンプラントは現在流通が途絶えている.エキノドルスsp リオイプサバ産として流通するものはおそらく南米産のベルテロイであると思われる.

 

ヘランシウム属 Helanthium 

Helanthium tenellum

テネルス

マデイラテネルス

ヘランチウム・アングスティフォリウス

テネルスロングリーフ

サンフランシスコのピンクテネルス/ テネルスレッド(要検証)

細くて長い,ランナーで増える.テネルス.現地写真でもよく見かけます.真っ白な砂に群生していたりする姿は本当にきれいですし,湿地に生えているものも見ます.ピンクテネルスはむしろH. bolivianumっぽいように感じさせられることもあるのですが,遺伝子的にはどうもテネルスでいいようです.北米に分布する個体群は将来的にHelanthium parvulumとして再び分けられるかも.北米産の”テネルス”は現在アクアリウムでは流通していないようで,現在流通するテネルスはすべて南米産とみられます

https://www.researchgate.net/publication/287382708_Watery_varieties_Aquarium_plant_diversity_from_aesthetic_commercial_and_systematic_perspectives

 

Helanthium bolivianum

チェーンアマゾン Helanthium bolivianum”quadricostatus" 

ブロードリーフテネルスHelanthium bolivianum "tenellus broad"

エキノドルス ラティフォリウス Helanthium bolivianum "latifolius"

エキノドルスspアルゼンチン

黄緑色で幅が広くてランナーで増えるやつらです.あまりロカリティ付きを聞かない気がします.Helanthium属は分類がかなり混沌としています.花が大型であることでテネルスから区別されるほか,水上葉が線状のPellucid markingsをもつ(テネルスにPellucid markingsはないとされる)ことでも区別されるようですが,こうした形態の差が遺伝的な差に対応しているかどうか,今後の再検討は必要でしょう.

 

”エキノドルス”の仲間 Aquarius spp.

かつてエキノドルスと呼ばれていたほとんどの種はエキノドルス属の模式種であるベルテロイとは異なるグループであることが判明し,別属として扱われるべきです.このため本稿では改良品種,交配種等すべてをEchinodorusではなくAquariusとして表記します.非常に種数が多く,かつもっと語るべき人がいるはずでしょう.代表的なもののみ掲載し,のこりは他の人に任せるか,別項にまとめます.

非常に種数の多い属ですが,アクアリウムで珍重されるものには偏りがあるようで,一部の種が猛烈な名前数が存在する一方で,流通するものの種レベルでの多様性は限られてきています.またどれが交雑でない個体なのかや,どのくらい流通名が種名に対応するかなど課題が多いです.

明確に種として分割可能なエキノドルス

Aquarius grisebachii

  • アマゾンソードナロー ”Echinodorus  amazonicus”
  • アマゾンソード ブロード ”Echinodorus bleherae"
  • その他のアマゾンソード類
  • "Echinodorus gracilis"
  • "Echinodorus heikobleheri"
  • ”Echinodorus parviflorus"
  • キューピーアマゾン"Echinodorus parviflorus tropica"
  • ”Echinodorus amphibus"

非常に多型の種.Lehtonen(2011)では以上が本種であると示唆している.

Aquarius major

  • ラッフルソード
  • エキノドルス レオポルディーナ

Aquarius decumbens

  • エキノドルス デクンベンス

Aquarius subalatus

  • エキノドルス スバラートゥス

Aquarius glaucus

  • エキノドルス グラウカス

上記の種は種どうしでの交雑が少ないようであり,したがって流通する個体も原種に近いと思われる.ただしアマゾンソードとラッフルソードを除いては流通が少なく,現存はしていてもコレクションにはやや壁があるといえるかもしれない.

 

生殖隔離が不完全ですぐ交雑するカオスな一群

Aquarius floribundus

  • ラジカンスなど・・・

Aquarius grandiflorus

  • スプーンソードなど...

Aquarius uruguayensis

  • エキノドルス ホレマニーといわれる一群
  • エキノドルス ウルグアイエンシスと言われる一群
  • 多くの改良品種の種親になっている

Aquarius macrophyllus

  • エキノドルス マクロフィルスなど...
  • 多くの改良品種の種親になっている

 

全ての深緑系エキノドルス,すべての交配種を含むグループです.

これらは盛んに交雑し,交雑個体同士でも交配させることができます.

オパクス+グランディフロールス+ロンギスカプスと,フロリブンダス+ウルグアイエンシス+マクロフィルスに分けられそうなかんじではあるみたいですが...

実質的に種の区分は困難であるため,好きなものを集めるべきでしょう.その各個体どうしの客観的な差を見つけてくることは今後の課題となりそうです.

 

カヤツリグサ科

サルバドールカールラッシュ Eleocharis cf.geniculata

バイア州,サルバドールの浅い川底に生えていたとのこと.

水中および水上でよく成長し,分けつしながら成長します.茎の太さは1㎜程でかなり固く,水上形と水中形で変化は殆どありませんが,水中形では中心の含気が増え,若干太くなりカールします.水上形ではまっすぐ上に伸びます.種子増殖はあまり盛んではないのか,花は咲いてもなかなか立派な果実が見られていません.茎の断面は円形で,水上では若干側扁します.小穂は茎に対して1つで,小穂は卵形です.雌蕊は2分岐で,雄蕊は3本です.

観察からはEleocharis geniculataに近いことが示唆されます.

aquaticplants-detective.hatenablog.com

 

ラジアルヘアーグラス Eleocharis cf. pedrovianae

アクアリウムで取引されるのはローライマ産のようですが,様々なところで目撃はされているみたいです.アクアリウム業界に初めて紹介されたのは吉野氏が1996年にベネズエラ街道で観察したものと思われます.

南米の水中写真では時々見かけるとびきり変な草で,ケサランパサランがどんどん増えていくような増え方をします.絹糸のような煌めく極細の葉がケサランパサラン状になっておりそこから根と茎が出て,その先端にまたケサランパサランがつきます.絹のように細い葉的なものは実は茎です.もうワケワカラン,それが南米の最高なところですね!

ラジアルヘアーグラス=E. confervoidesだと思っていましたが、やや分岐パターンに違いが見られるようです。また、ラジアルヘアーグラスと酷似した個体の開花写真を見るとE. confervoidesとは異なる花が咲いていることから、E. sp. に戻しました。当該写真はEleocharis pedrovianaeとされていますが、記載論文が入手でき次第チェックしたいと思っています。

"E. confervoides"は多くの沈水性Eleocharisと混同されてきたようで、今後多くの変更があるかもしれません。

 

 

エグレリア マナカプルEleocharis cf.fluctuans

ネグロ川を埋め尽くすように生えているエグレリア,南米の水中写真ではおなじみの種です.茎がジグザグに伸び,ラジアルヘアーグラスに似た葉がその節々につきます.自生地ではもこもこと絡まりあっていることが多いようです.こいつらについては以前の記事でも何回も紹介しています.

”エグレリア・マナカプル”はエレオカリス・エグレリオイデス Eleocharis eglerioidesだったりしないだろうか? - 水草オタクの水草がたり.

 

アラグアイアヘアーグラス Eleocharis cf. retroflexa 

いわゆるエレオカリスミニマです.南米版エレオカリスビビパラのような水草で,アマゾンの水中写真ではトップクラスによく見かけます.しかしながらどうやら多くの近似種がいるようです.E. minimaとされていたものの多くはE. retroflexaのようですが,ここについてはまだ調べねばと思っています.

 

エレオカリス クシングア Eleocharis sp.

昔っからあるシングー川のエレオカリスです.しかし誰も同定したことがなく,だれもネイチャーアクアリウムに使ったことがない気がします.だれかー...茎が扁平で特徴的です.

南米シペルス Cyperus cf. luzulae

Tank worksさんのもの.もとはおそらくイキトス.水中栽培が可能ですが,水上の方が容易です.ただし水上栽培すると種子産生がエグイので取り扱い注意.絶対に外に出さないように.

 

ラージナヤス Rhynchospora albescens 

ラージナヤス・サンタレン産 Rhynchospora albescens 

ミカヅキグサ属の珍草,シラサギカヤツリに近縁です.プラチナソイルの箱絵になっていることで有名(?)もう数年見かけていませんでしたが去年あたりから急に復活しました.

シペルスspマナウスCyperus sp.

個人所有の株を見かけて非常に驚かされました.現存するとは….

 

キツネノマゴ科

アラグアイアレッドシャープリーフハイグロ ×

おそらく海外産オギノツメの一型.本当に南米からもたらされたのか,それとも南米に帰化していたのかよくわからない.現在流通する個体群は水中適性が低くあまり匍匐しない.そもそも初入荷がどんなものだったのかなど謎が多い.

 

アマゾンハイグロ レッドライン Staurogyne miqueliana

横に伸びる匍匐枝(頂芽はあまりやる気のない感じ)から上に立ち上がる短い枝(葉が充実する)が出るという,変な育ち方をします.葉幅は広く楕円形で,節間はランナーのほうでは非常に長く,立ち上がる方では詰まります.水上葉もかっこいいので,アクアテラリウムにもよさそうです.

aquaticplants-detective.hatenablog.com

アマゾンハイグロ パープル 

パープルです.レッドラインに少し似ていますが,水中葉の概形や育てやすさなどが大きく異なります.水中葉は皺が寄りやすく,やや育てにくい印象を受けます.

 

スタウロギネレペンス Staurogyne miqueliana?

クリスタリーノ川で採集されたアマゾンハイグロ類です.Staurogyne repensとして知られていますが,水上葉のは幅が広く楕円形であること,(⇔披針形),通常の茎の先端に花をつけることが多いこと,(⇔花穂をつくる),水上葉は有毛であることが多いこと(⇔無毛)であることからS. miquelianaの一型と思われます.そもそもStaurogyne repensはもう100年以上確認されたことがなく,絶滅種の可能性があります.この水草が流通しはじめた当時はS. miquelianaとS. repensは混同されがちであったようです.

aquaticplants-detective.hatenablog.com

 

 Staurogyne cf. spraguei アマゾンハイグロ

アマゾンハイグロ マナウス

アマゾンハイグロ ベレン産

パンタナルウェーブリーフハイグロとして流通するアマゾンハイグロ類

非常に混沌としています.初便はマナウス,リオ・プレト・ダ・エバにて1996年に採集された個体で,水中葉はやや長く紫を帯びます.その後ベレン産が入ったようで,現在アマゾンハイグロといって売られている葉が短く緑で皺が入りやすい個体群はおそらくこちらかもしれないが,状況が混乱を極める中で安直に同一視するのも危険と思います.ポルトベーリョ産に関してもかつては現在流通するものとは異なるアマゾンハイグロが流通していたようです.現在パンタナルウェーブリーフハイグロとして流通するアマゾンハイグロ類も同種の可能性があります.

アマゾンハイグロの混沌に、新たな一ページ - 水草オタクの水草がたり.

無印アマゾンハイグロって,なに? - 水草オタクの水草がたり.

 

Staurogyne stolonifera アラグアイアツーテンプル

アマゾンハイグロ ポルトベーリョとして流通する細葉系アマゾンハイグロ類

ビオラセアとして流通する細葉系アマゾンハイグロ類

 水上の葉長が幅の10倍くらいある細長いスタウロギネで,水中葉も非常に細長くて薄く,美しい.この仲間は細長い葉をつける上行枝とは別に横方向に匍匐茎をのばして増殖する.様々なところから様々な似たものが入ったようで混乱している.

 

ボーグハイグロ  Hygrophila costata

ジャイアントハイグロフィラ Hygrophila costata ☑★

葉腋に小さな白い花を咲かせるハイグロフィラで,南米に分布するH. costataのようです.しかし両者には水上葉の毛深さや葉の概形など,差異が多くあります.

ジャイアントハイグロフィラ(国内便) Hygrophila costata - 水草オタクの水草がたり.

Hygrophila guianensisリンクまとめ - 水草オタクの水草がたり.

 

ハイグロフィラ・グイアネンシス (トロピカ)×

ちゃんと水中葉を形成する優等生.購入したショップ曰く,トロピカ由来で普通のラージリーフハイグロやツーテンプルより育てやすいとのことでしたが,咲いてみたらアジア産のコリンボーサでした.残念.素晴らしいみずくさなのですが…

フルールのハイグロフィラ・グイアネンシス:未チェック

トロピカのハイグロフィラ・コスタータ:未チェック

 

ハイグロフィラ ビオラセア 学名不詳

こちらも水中傾向は強いものの、直立するようです。イスラエルのオスラシア,デナリーから入荷があった模様.パンタナルツーテンプルとしてよく似た個体群がムトゥン川で採集されており,現在流通するのがどちらなのかはよくわからない.

(備忘録)ビオラセアに関しての追加情報と謎 - 水草オタクの水草がたり.

 

コミカンソウ科

フィランサス フルイタンス  Phyllanthus fluitans

コミカンソウ科コミカンソウ属はありとあらゆるタイプの種がいるといっても過言ではないです.その中で,フィランサス・フルイタンスはおそらく唯一の水草です.本種は乾季には陸上の有茎草として生育し,雨季になると浮かびます.イチョウウキゴケに近い生活史といえるでしょう.陸上で育てる方が容易という話も時々聞きます.

 

シソ科

パンタナルヘミグラフィス Hyptis lorentziana

水生ブッシュミント.ヘミグラフィスとは関係ないです.水上葉はかなりの大きさになるらしい.

ヒプティス ラシニアータ Hyptis laciniata

ホトニアのような姿をした奇妙なシソ科植物.海外ではコロンビア産がまだ現存するようですが,日本には未入荷.

ウォーターカーナミン Clinopodium brownei

分布域に南米も含まれます.南北米に広く分布する半水生シソ科植物です.リンデルニアではありません.シマウリクサでもありません.南米水草というのかは微妙ですが,南米モチーフの水槽で使ってもOKです.選択肢が広がります.

 

セリ科

ロングリーフコブラグラス

巨大な節がはっきりとした植物です.水草として美しいかは別として,珍妙植物のジャンルです.すごく変な植物です.ランナーでよく増えるようです.耐寒性はどうなんでしょうね.Lilaeopsis maclovianaといわれていますが,この仲間はバリエーションが大きくいまいちわかりませんね.コブラグラスも資料はげとーしたんですけどねえ….

 

ブラジリアンコブラグラス 

最近よく売られていますが,あまりレイアウトに使われている例を聞きません.コブラグラスの検索表は入手済みなのですが結構難しそうです….

コブラグラスに関しては具体的な産地の個体群をあまり見たことがない気がします.いや,たぶん絶えちゃっただけだ.

 

タデ科

ポリゴナム サンパウロレッド  Persicaria cf. hydropiperoides

本物は葉が短く,水上葉に紋が入ることは無い.水中葉は他に類を見ないショッキングピンク.*同名の偽物が流通しつつあり警戒を要する.偽物はヒメタデ類的な何かで,赤みはspピンク以下,しばしば水上葉は斑入り

 

ポリゴナム マナウス Persicaria sp.

大型のタデ類.P. hydropiperoidesの変異な気もするので気を付けながら管理している.

 

パラグアイのタデ類

AZ-1110-20RSが現在も細々と流通しています.

 

ツユクサ

パンタナルクリスパグリーン Murdannia engelsii

パンタナルクリスパレッド Murdannia engelsii

1996年にパンタナルで採集された,日本に生息するイボクサに近縁な水草.イボクサは基本的に突き抜けるだけですが本種は明確な水中葉をもち,簡単に水中化して斜上しながら育っていきます.一方でいったん水中化するとなかなか水上化しません.栽培は少し癖があるもののそこまで難しくはなく,グリーンタイプを中心にホームセンターなどで売られることもあります(たとえば深谷ナーセリーなど).南米有茎草としてはきわめて一般化した種といえるでしょう.栽培はそこそこ容易です.でも簡単かといわれると微妙.

 

トチカガミ

グレートモス Elodea najas

パンタナルドワーフラガロシフォン Apalanthe granatensis??

正直同定に自信がありません.その小ささからするとA. granatensisが怪しいけど咲かないしなんかカールが強すぎるし...フライングフォックスに食われがちで咲くどころじゃないのが現状.

 

?白花アマゾンオテリア

アマゾンオテリアは白花を中心に現在も維持されている方が複数いるようですが,2020年代の市場からはほぼ姿を消しています.また,白花が咲く形質も安定していない様子です.Ottelia braziliensisで白花は聞いたことがないのですが,極めて近縁なOttelia ulvifoliaでは(黄花のイメージが強いですが)白花や単性花を咲かせる株が知られています.アマゾンオテリアにもそうした変な個体群が居るのか,変わったOttelia ulvifoliaなど南米以外のオテリアなのかはまだ確認できていません.この仲間は実生が厄介ですが,お茶パックに果実ごと入れて水槽につるしておくと発芽率は良いようで,流通は今後増えそうに思います.

→発芽方法

TANK WORKS on Twitter: "以前に回収したアマゾンオテリアの種ですが、発芽させ方がわかりました!!お茶パックに入れて吊るしておけば発芽します。 むしろ種を回収しないで実の残骸と一緒に入れたままにしておいたほうが よく発芽する様です。 https://t.co/LIn6I2yC82" / Twitter

 

アマゾンオテリア Ottelia braziliensis

AZ1110-5 Collected 15/11/2010 Ottelia sp from Yguazu PARAGUAY

南米に分布する唯一のミズオオバコ類で,アフリカンオテリア,ギニアンオテリアとして知られているOttelia ulvifoliaに極めて近縁であることが知られています.由来がわかる黄花としてはAZ便のパラグアイ産のものが現存し数人が持っています.ミズオオバコ類は非常に輸送に弱く,輸送にも非常に手間がかかります.今後新産地がもたらされるかはかなり怪しいように思います.

→採集したAZの甲斐氏のブログ AZ1110-5 Collected 15/11/2010 Ottelia sp from Yguazu PARAGUAY

AZ1110-5 : ホシクサとクリプトコリネとカレーライスなお話

南米便入荷の案内 : ホシクサとクリプトコリネとカレーライスなお話

アマゾンフロッグピット Limnobium laevigatum 

ドワーフフロッグピット Limnobium laevigatum 

最近混同されつつある感じがします.アマゾンフロッグピットの方が斑が少なく,フロートが薄く先端がややとがる印象を受けます.両方まだ売ってはいますが,ドワーフの方をよく見ます.アマゾンを持っている人はキープを考えた方がいいかもしれません.

 

ノボタン科

サンフランシスコイレシーヌ Aciotis acuminifolia 

ノボタン科の半水生植物です.水中育成も可能ではありますが成長が遅く,コケがつくなどしやすいです.しかし水草ではないというわけでもなく,ゆるゆると育って30㎝程度なら水面に届きます.水上では高湿度で強健に育ち,ベゴニアやスターレンジなどと同様の管理で育てられます.実生も容易で,葉挿しや葉の断片から再生させることも可能です.

レイアウトでは成長が遅いことからなかなか使いにくいと思っていたのですが,以外とイイ!栄養系ソイルでCO2添加あり,トニナと同じようにCO2添加するとこじんまりとはしますがゆっっくりと育ちます.あまりトリミングしない水槽で入れるにはいいのではないかと思います.私の印象では,すぐ溶けてしまうこともないです.

パルダリウムの植物として非常に高い適性を持ちそうです.是非使ってほしいところですが,Nature gardenさん以外聞いたことがないです.簡単に自家受粉して実生するので,帰化には注意したいところですが幸い耐寒性はダメダメでした.一年草化しかねない気もしますが…この辺はもうちょっと気にしてみます.

 

ヒユ科

アルテルナンテラ レインキーAlternanthera sp.

アルテルナンテラ レインキー パラナ産 Alternanthera sp.

アルテルナンテラセシリス レッドグラス Alternanthera sp.

アルテルナンテラ リラキナ Alternanthera sp.

アルテルナンテラも色々怪しいと思っていますが,資料あつめが不十分でそもそもレインキーが本来どんなものなのかすら把握できていません.おびただしい種数がいるはずなのに検索表が見当たらないぞ?

 

マツモ科

ペルビアンホーンワート Ceratophyllum australe

南米には少なくともC. demersumC. muricatum australe, C. submersumがいます.このなかでC. demersumは基本的に2回分岐です.

レッドマツモ系は3回分岐以上あるためC. submersumかといわれがちなのですが,種子のとげが複数あり奇怪な形状をしているという情報を聞いたことがあり,だとしたらC. muricatum australeではないか?と思います.(C. demersumはトゲ3本,C. submersumには基本的にトゲがなかったかと.C. muricatumとC. muricatum australeにはトゲがたくさん生えてます.

ペルビアンホーンワートは正直めったに見ないと思っていて,もう全然ないとまで思っていたのですが今年に入って何か所かで見ています.南米水草再興の風潮が微妙にあって需要が生まれたのと,やはりマツモなので増殖も速いのでしょうか.

 

マヤカ科

aquaticplants-detective.hatenablog.com

こちらを主に参照.

サンタレンレッドリーフマヤカ

非常に繊細な葉脈が赤いマヤカで,ラージマヤカを数分の一にしたような外観をしています.とんでもなく食害を受けやすく,相当の警戒が必要です.

スレンダーマヤカ

1996年にサンフランシスコ川で採集された謎の植物です.こんなものは記載されていませんが,花はしっかりマヤカだったという話もあるようですね.ラージミリオフィロイデス,ブラジリアンヒドロトリケ,南米産グリーンステラータに並ぶ,マジで謎草案件です.入荷は2021年にも台湾から逆輸入がありましたが,状態は良くありませんでした.恐らく誰かが持っていると思いますが...国内増殖品が回ることを望みます.

ラージマヤカ

レイアウトに関して,輸入品がたくさん入ってますが,着状態が悪く立て直しに苦労します.レイアウトにも使われないし,輸入が終わったら絶えてしまうかもしれません.でも素晴らしい水草ですよ.

ベレンラージリーフマヤカ

マヤカ Mayaca fluviatilis

花を確認,花柄がないのでM. fluviatilisとして怒られないでしょう.

パンタナルドワーフマヤカ

1996年にパンタナルのムトゥン川から採集されたマヤカ

ドワーフとはいいますが,○○レッドマヤカよりはだいぶ大型です.葉幅はマヤカと同程度で,葉長さが寸詰まりになっています.つまりわりとガッチリした水草です.栽培は無印ほどではないものの容易です.無印の矮性品という印象を受けます.

パラグアイレッドマヤカ

葉先が丸く輪生数が少ないことで異なった印象を受けます.

 

 

ミズアオイ

エイクホルニア アズレア 

エイクホルニア サンフランシスコ 

エイクホルニア ディバーシフォリア 

エイクホルニア マットグロッソ

エイクホルニア パンタナル 

エイクホルニア マナウス 

エイクホルニア ローライマ

ヘテランテラ Heteranthera zosterifolia

ヘテランテラ ゴイアス産 Heteranthera zosterifolia

ヘテランテラ パラグアイ産 Heteranthera zosterifolia

ヒドロトリックス ガードネリー Heteranthera gardneri

ホテイアオイ

ポンテデリアコルダータ 

 

ミソハギ

アラグアイアレッドクロスプラント Cuphea cf. anagalloidea 1 

アラグアイアレッドロタラ Cuphea cf. anagalloidea 2-1

ロタラspルッシラ Cuphea cf. anagalloidea 2-2

アラグアイアミズマツバ Rotala mexicana

ゴイアスドワーフロタラ Rotala mexicana

アルアナの夕焼け Rotala ramosior 

 

ヒガンバナ科

クリナム プルプラケンス

アクアルートでプルプラケンスといったら南米のものを指すという伝統的な間違いによるもの.Rootsさんのところにあり.アクアリウムの人がプルプラケンスと呼んだのなら南米ではないか…?という気がします

 

ホシクサ科

トニナspベレン

トニナspマデイラ

トニナspラーゴグランデ

トニナspウアウペス

トニナspスレンダーリーフ マナウス

 マナウス(リオ プレト・ダ・エバ産)

トニナspリオネグロ 

トニナspサンガブリエル 

トニナspネグロジャイアント (ジャイアントトニナ)

トニナsp斑入り 

Syngonanthus anomalusです.

 

ターレンジ ベレン

ターレンジ サンパウロ

ターレンジ サンガブリエル 

ターレンジ ジュルア 

ターレンジ サンフランシスコ

ターレンジ ベネズエラ

ターレンジ イキトス

他多数

Paepalanthus(Tonina) fluviatilisです.1980年代にも輸入されたようですが柳津が途絶え,1996年に再度採集されたようです.

 

ケヤリソウ

サンベネジットのケヤリ

デカケヤリ

Eriocaulon setaceum(広義)です.細分化されつつありますがアクアルートのケヤリにしっくりくる名前はなさそう→E. ybaに対応するとしてよさそうと思う

 

ボリビアンスター

いろいろあります.Syngonanthus caulescensだと思います.

 

ペドラスター(細長い方)

ホシクサspオンダスII 

両者は似て非なるもののようです.正体は不明

 

ゴイアススタープラント

ゴイアスヴェリオ

ホシクサspイタウス

Eriocaulon modestum(広義)です.現在細分化されつつあります.

バイヤスター  Eriocaulon kulumi 

ホシクサspバイヤとも.

ミナススター

ホシクサspサンフランシスコII

でっかくてかっこよくてよい草.

 

マットグロッソスター

マットグロッソケヤリ,ホシクサspマットグロッソとも

パエパランツス トーティリス Paepalanthus tortilis 

湿生植物です.橋本園芸亡き今,どこに残るのか…

シンゴナンサス クリサンサス Syngonanthus chrysanthus

湿生植物です.