サジオモダカ属Alismaはオモダカ科Alismataceaeのタイプ属(科の基準となる属)である。古い属によくあることとして、Alismaにはとても色々な種が含められてきた。たとえばLuronium natansが代表的である(このトンデモ水草に関してはそのうち書きたい)。
さてサジオモダカ属のタイプ種、サジオモダカ Alisma plantago-aquaticaはリンネにより1753年に命名されており、他の種に関しても1800年代に命名されているものが多い。
現在、サジオモダカ属に含まれる種は10程度あるが、グループにまとめると一気に理解しやすくなる。すなわち、
・サジオモダカグループ
・ヘラオモダカグループ
・A. gramineumグループ
である。
サジオモダカグループはがっしりとした楕円形の葉をもち、種子は基本的に1条の浅い溝を背川に持ち、時に2本の浅い溝をもつものである。
これには3種いる。サジオモダカは北半球に広く分布するが、残りの2種は北アメリカに分布する。
サジオモダカ Alisma plantago-aquatica
Alisma subcordatum
Alisma triviale
ヘラオモダカグループは種子の背側に深い1本の溝をもつことを特徴とし、葉は基本的に細長で華奢である。東アジアに3種が分布する。
ヘラオモダカ Alisma canaliculatum
ホソバヘラオモダカ Alisma canaliculatum harimense
トウゴクヘラオモダカ Alisma rariflorum
A. gramineumグループはヘラオモダカに酷似するが種子の背側に2条の浅い溝を持つA. gramineumおよび、沈水性で一見全く異なるように見えるA. wahlenbergiiを含む。種子および葉の類似性から、A. lanceolatumもこれに近い(gramineusグループに含まれるかは定かでないものの…)
なお中国のA. nanumおよびベラルーシのA. praecoxに関しては情報不足ゆえ省略する。
I. 葉は披針形から楕円披針形、果実の溝は浅く通常1本. 花茎の二次分岐の伸長は不規則であり、側方にさらに分岐をもつ。散形花序における花柄間の角度は狭く、ほとんどの花柄は直線的である。
・・・サジオモダカグループ
I. 葉は軟弱でリボン状、線形もしくは狭披針形、狭いへら状。二次分岐は唐突に散形花序に終わり、三次分岐は少ない。
・・・III
III. 果実の溝は1本で深く、散形花序における花柄間の角度は狭い。
・・・ヘラオモダカグループ
III. 果実の溝は2本。葉身はリボン状から線状、狭披針形
・・・ A. gramineumグループ
III. 果実の溝は1本または2本。葉は狭披針形で葉身の基部は先端部よりも膨らみ、長さは幅の3~4倍。花茎は細いが直立する
・・・A. lanceolatum
染色体数
染色体数はサジオモダカ、A. subcordatum、A. gramineumの2n=14を基準としてその倍数およびそれから外れるものが一部見られる。
A. lanceolatumは4n=26または28、A. trivialeは4n=28である。ヘラオモダカは6n=42であり、トウゴクヘラオモダカは4n=26である。ホソバヘラオモダカに関してはよくわからない。
これら倍数体の種は種間交雑により生じたと思われる。たとえば、A. lanceolatumはサジオモダカとA. gramineumの中間的な形質をもつ。
ちょっと勘がいい人ならこのあたりで何かの霊圧を感じていると思う…
この記事は書きかけです。