水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

イトクズモ属の花




イトクズモ属 Zannichelliaの花は水中で咲いて受粉するものの、基本的にはヒルムシロ属に類似している。また、一見かなり異なるように見えるヒルムシロ科ヒルムシロ属とベニアマモ科の類似点を考える上でもかなり参考になる。

 

ひだりは花期、みぎは果期で、図ではどちらも3心皮のものを描いている。

イトクズモ属の花はヒルムシロ属と異なり、雄花と雌花からなるとされる。Z. palustrisでは雄雌がセットで開花するが、Z. peltataでは別の節に咲くことが知られる。ヒルムシロ属と同じく、この花が本当に花なのか、それとも複数の退化しつくした花の集合体であるかには諸説あり、したがって各パーツの呼び名にもブレがある。

イトクズモ属(および旧Pseudalthenia)の場合、数個の雌蕊の基部を筒状に包む構造物はふつう、Perianth 花被とよばれる。Althenia(および旧Lepilaena)の場合、筒状の構造物は3つに分かれるが、基本的には同じ構造をとる。

イトクズモの場合、水中で雌花の直上で開花した雄花から放出された花粉は強い粘り気をもって、納豆が尾を引くような形で拡散しながら粘り気を失って雌花に降り注ぐことが知られている。この方式により自殖のための特別なメカニズムを持たないながらも高い受粉効率を持つことが知られている。そのため流水条件や栽培下においてもかなり高い結実率がみられる。