トチカガミ科の花についても触れていこうと思う。
第一弾は日本にも産するトチカガミ Hydrocharis dubiaの雄花について…
トチカガミの雄花は明確に3数性であり、萼片3枚、花弁3枚、雄蕊15本(但しうち3本は葯を欠くため、機能するのは12本)、3数性の仮雌蕊からなる。
雄蕊に関してはこんな感じで配置されている。
葯をもつ雄蕊の先端を実線で、葯をもたない仮雄蕊の先端を点線で結んでみた。
実際に開花しているときは最外側の4、8、12時方向に配置される2重目の雄蕊と、2、6、10時方向に配置されている1重目の葯が外側に開いていて、3~5重目の葯は中心に向け丸まっていることが多い。
葯の配置はトチカガミ属内でも様々で、同定形質にもなりうる。
雄花は有柄の仏炎苞から数回出る。(開花中の一輪のみ図示した)
仏炎苞は2枚の葉からなるが、雌花では1枚の葉からなる。
トチカガミ科は仏炎苞から雄花が複数個、雌花はふつう1個が出て、3数性の萼、花弁、雄蕊、雌蕊をもつ点についてはだいたい保持されているが、送受粉の特殊化のつごうで雄花、雌花ともにしばしば奇抜なものが出てくる。今後ぼちぼち図示していくつもりである。