水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

ササバモ

ササバモは環境により七変化する水草である。

沈水形、陸生形、浮葉形をもつが、ふつうはこの順番に変化する。つまり沈水からいきなり浮葉になることはそうそうない(そうなるものもいるけれども…。)、というのが当方の近辺でみられる個体の挙動である。お住まいの地域ではどうだろうか。

これは流水域に生育するササバモで、葉の波打ちは比較的弱くなっている。下部の葉ほど葉柄が長い傾向があるため、上部しか採集してこなかったことが悔やまれる。葉先は禾状に突出し、葉脈は浮き出ているのが見て取れる。

沈水葉はしばしば赤みを帯びる。なおこの沈水葉の形態もいちじるしく可変し、とくに休眠から覚めたての成長初期はガシャモクやインバモ、アイノコヒルムシロなどど区別がつかないこともある。困ったものである。

止水域のササバモはとくに上部の葉において葉柄が短く退化し、波打ちも非常に強いため初見ではぎょっとするかもしれない。また、成長初期の株は葉が非常に細くなる。

 

ササバモの花序は観察にかなり癖がある。というのも開花が進むにつれてものすごく奇形っぽく見えてくるからである。しかも浮葉を作らない(緊急時の生育用に作ることはできるが、開花のスタビライザーとして浮葉を用いることはない)ので、結実率は通常低い。

ササバモのまだ幼い蕾。これではまったくわからない。

開花中のササバモ。この時期が最も観察に適する。

雌蕊が4つ、もしくは4心皮であることがよく見てとれる。

しかしながら成熟の過程において、ササバモの花の数性はこのようにガタガタに崩れていく。4つある雌蕊のうちいくつかが肥大し、周囲を圧排していくためのようだ。

こういうのをみていくともう自信がなくなってくる。


あたかも不稔にみえるが、これは水没して受粉できなかっただけの花序。流水中に生じる個体の花序は殆どがこんな感じになっていたりする。

流水中だが受粉できたもの。

痩果はヒルムシロがぷっくりと膨れているのに対してげっそりやせていて、ひよこ豆そっくりな形をしている。ササバモのかなり大きな特徴だと思っている。

止水域では結実率が高いが、やはりすべての花が結実するわけではなく、受粉できた子房が周囲を圧排しながら広がっていく。そのため非常にイレギュラーに見える。

ひよこ豆のような痩果がよくみえる。今回紹介した株はどれも結実率が高く、4心皮で葉が典型的なササバモ状であったものである。しかし花をよく観察するといかにも典型的なササバモを見ている時ですら、結実率の低さや奇形花の多さなど、なんとも雑種くさい雰囲気が漂ってくる。これもまた、ヒルムシロ属のわけのわからないところである。