タネツケバナ属はふつう春植物だが、低温の湧水がよく出る様な場所では沈水状態で夏を越している場合がある。ミズタガラシは夏の暑さを水で涼む多年草であるし、オオバタネツケバナなどはそもそも水生多年草型と言っても過言ではない型があるくらいだけれども、今回見かけたタネツケバナ属は頂小葉が小さく側小葉は丸みを帯び、オオバタネツケバナや"ミズタネツケバナ"、ミチタネツケバナなどらしくはなさそうにみえる。
おそらく、ふつうは下流域の河川敷で春植物としてみられるコカイタネツケバナだと思うけれど、違和感もあるので自信はない。
このあたりは冬になると水位が減るので、夏を草体で越して水位が減ったところで開花結実するのだろうと思う。こうした生態に特化したタネツケバナ属が各地の湧水域にいたのではないかと思うけれども、そうしたものが生育できそうな環境は大抵オオカワヂシャとオランダガラシ類に塗りつぶされてしまっている。