水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

世界のサジタリア

世界のサジタリアについてザックリとまとめる誰得な記事です.40種だし,なんとかなるだろう? サジタリアは地域ごとにきっぱり分かれるので,地域ごとにまとめます.とはいっても過半数が北米,主にアメリカ合衆国だけに分布するのでアクアリストにはほとんど縁がないのですが・・・.

 

 

アジア温帯~熱帯域のオモダカ

オモダカ Sagittaria trifolia L.

分布 アジア

ランナーの先端に塊茎を付ける.葉は矢じり状.抽水性.花茎は葉および葉柄より短い.側裂片は頂裂片と同長から,それより長い.花の中心は黄色.

ウリカワ Sagittaria pygmaea Miq.

分布 東アジア~東南アジア大陸部

ランナーで増殖し,冬場はランナーの先端に塊茎を付ける.葉はさじ状で,他の種の幼形葉に似る.

アギナシ Sagittaria aginashi Makino

分布 日本,韓国,ロシア沿海州

塊茎は葉腋につき,ランナーはもたない.葉は披針形~矢じり状,抽水性.雌花は有柄.ガクは内側に向けて曲がる.側裂片は頂裂片より短い.花茎は葉よりはるかに長く,オモダカとの良い区別点となるが,めったに咲くことは無い.

シャムアギナシ Sagittaria siamaginashi Shiga & K. Itoh

分布 タイ,ミャンマー

ランナーはないが,上行する短い枝に塊茎を多数つける.野生下では殆ど開花がみられない.この上行する短い枝は花茎と相同であり,条件によって開花もしくは塊茎をつける.

Sagittaria tengtsungensis H.Li

分布 ネパール~雲南省

塊茎は葉腋につき,ランナーはもたない.葉は線形から披針形,雌花は無柄.ガクは内側に向けて曲がる.

Sagittaria potamogetifolia Merr.

分布 中国南部

塊茎は葉腋につき,ランナーはもたない.葉は線形から披針形,ときに矢じり状.開花後にガクは反り返る.

利川慈姑 Sagittaria lichuanensis J.K.Chen, X.Z.Sun & H.Q.Wang

分布 中国南部

塊茎は葉腋につき,ランナーはもたない.葉は矢じり状,雌花は有柄.ガクは内側に向けて曲がる.側裂片は頂裂片より長い.

熱帯系のオモダカ

オモダカモドキ(ナンゴクオモダカ) Sagittaria guayanensis Kunth

分布 世界の熱帯

浮葉を展開する.塊茎はなく両性花をもち,種子で増殖する.種子は休眠性がなく,発芽しやすい.

北方系のオモダカ

カラフトグワイ Sagittaria natans Pall.

分布 ユーラシア大陸北部

葉は矢じり状,水面に浮かぶ.ランナーをもち,その先に塊茎をつける.花茎は葉柄より長く,水面を突き抜ける.

セイヨウオモダカ Sagittaria sagittifolia L.

分布 ヨーロッパ~シベリア

草体はオモダカに似るが,花の中央部は黒い.

 

南米に分布するオモダカ

Sagittaria planitiana G.Agostini

分布 ベネズエラ~ブラジル

抽水葉は円形~心臓形であり、葉柄、花茎の先端部から葉脈にかけて微毛が生える。雄花は糸状の花柄の先につく。オモダカ属の中でも特に奇妙な種。

Sagittaria rhombifolia Cham.

分布 コスタリカ~アルゼンチン北部

非常に多型の種。葉は水上では線形~楕円形で矢じり状にはならない。雌花の花柄が太く、萼は結実期も残り、痩果は花の中央に収束する。

(水中葉が丸い型について)水中葉は8~14.5㎝×2~5.5㎝、10脈の心臓形。抽水葉は線形~円形、6~8脈。

(水中葉が線形の型もある)

Sagittaria sprucei Micheli

分布 コロンビア~ペルー

花芽が非常に膨らみ、節々で細くなる独特の形状をしている。アマゾン川流域およびオリノコ流域に分布する。雌花の花柄は太くなる。

オモダカモドキ Sagittaria guayanensis Kunth

分布 世界の熱帯

浮葉を展開する.塊茎はない一年草

タイリンオモダカ Sagittaria montevidensis Cham. & Schltdl.

分布 南北アメリカ

大型で1mほどになることもある.葉は矢じり状.ランナーで増殖し,球根をもつ.花柄は曲がる.水中葉は線形.花は大型で,果実は直径1.2㎝~2.1㎝.

3亜種に分けられる.S. montevidensis spongiosaは塩性湿地に生息する矮性種で,葉が矢じり状になることはほとんどなく幼形葉のみで生育することもある.

花弁の基部に赤~紫のスポットがあるものをS. montevidensis montevidensis,ないものをカリフォルニアオモダカS. montevidensis calycinaという.

園芸用としてS. montevidensis montevidensisが「タイリンオモダカ」の名で流通しており,栽培は容易.日本産オモダカに比べても丈夫で育てやすく,室内でもよく開花する.広域に分布するが本拠地は熱帯であるため,寒さにはあまり強くなく保温したほうがよい.

Sagittaria latifolia Willd.

分布 カナダ~南米

45㎝に達する.ランナー及び球根をもつ.水上葉は矢じり状.花柄はまっすぐ.花糸は毛をもたない.苞は1/4~合着し,長円形から披針形,3~8㎜.痩果の嘴は1~2㎜,横に出る.

 

北米に分布するオモダカ

多すぎるのでグループに分け,主にFlora of North Americaの検索表に沿った形で分類できるように最低限の情報を示す.恐らくこれで手を付ける気すら起きないアメリカのオモダカとも戦えるはず・・・

オモダカモドキ Sagittaria guayanensis Kunth

分布 世界の熱帯

浮葉を展開する.塊茎はない

花柄が曲がる北米産オモダカ

ヒロハオモダカ Sagittaria platyphylla (Engelm.) J.G.Sm.

分布 アメリカ東部~中米

大型で1mほどになることもある.葉は線形~さじ状.ランナーで増殖する.花柄は太く,曲がる.水中葉は線形.花は小型で,果実は直径0.7㎝~1.2㎝.痩果の背腹軸にキールを持たない.

園芸で流通する”サジタリア ウェザービアーナ ラタイ便”及び”サジタリア グラミネア クラッシュアイス”は本種である.ナガバオモダカとは花柄を見れば明確に区別可能である.花柄が開花後に下向きに曲がる,北米産でさじ状の葉のサジタリアは本種とS. sanfordiiのみである.しかもS. sanfordiiはカリフォルニアにしか分布しないため,鑑別に悩むことは無いと思われる.葉の概形も異なる.S. gramineaとはランナーを欠くこと,葉の概形が大きく異なる’(S. gramineaは幅3㎝未満と,とても細長い).

栽培は非常に容易で,耐寒性もある.帰化も報告されており,注意が必要である.アクアリウムで同名の植物が流通しているが,アクアリウムで扱われる”Sagittaria platyphylla"が本当に本種なのかはまだ調べられていないが,非常に怪しい.他の種類の打率からすると,たぶん違うに賭けたほうがマシだろう.

生態写真↓

Occurrence Detail 3773710712

詳細な画像↓

http://www.missouriplants.com/Sagittaria_platyphylla_page.html

形態記載↓

http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=222000354

 

Sagittaria sanfordii Greene

分布 カリフォルニア中部

大型で1mほどになることもある.葉は線形~さじ状.ランナーはもたず,株本からわずかに伸びた地下茎の先に丸い球根をつける.花柄は太く,曲がる.水中葉は線形.花は小型で,果実は直径0.7㎝~1.2㎝.痩果にキールを持つ.

ヒロハオモダカS. platyphyllaとよく似るがランナーを持たないこと,痩果の背腹方向にキールを持つこと,分布域で区別される.分布が狭く,絶滅の危機にある.

生態写真↓

Occurrence Detail 3873735274

詳細な画像↓

https://ucjeps.berkeley.edu/eflora/eflora_display.php?tid=42633


形態記載↓

http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=222000356

https://plants.jstor.org/compilation/Sagittaria.sanfordii

タイリンオモダカ Sagittaria montevidensis Cham. & Schltdl.

分布 南北アメリカ

大型で1mを超える.葉は矢じり状.ランナーで増殖し,球根をもつ.花柄は曲がる.水中葉は線形.花は大型で,果実は直径1.2㎝~2.1㎝.

3亜種に分けられる.S. montevidensis spongiosaは塩性湿地に生息する矮性種で,葉が矢じり状になることはほとんどなく幼形葉のみで生育することもある.

花弁の基部に赤~紫のスポットがあるものをS. montevidensis montevidensis,ないものをカリフォルニアオモダカS. montevidensis calycinaという.

園芸用としてS. montevidensis montevidensisが「タイリンオモダカ」の名で流通しており,栽培は容易.日本産オモダカに比べても丈夫で育てやすく,室内でもよく開花する.肥料が大量に必要なのと,高さ60㎝は最低限確保したい.アクロTriangle Brightで開花まで行けることは確認済み.

広域に分布するが本拠地は熱帯であるため,寒さにはあまり強くなく保温したほうがよい.園芸種だけあって花言葉があるらしい.あと,花騎士としてのほうがよっぽど有名である.

筑波実験植物園で観察できる.Charmなどで売られているが,育てているという話を聞かない.良い草なんだけどなあ.

生態写真↓

Occurrence Detail 3759657072

S. montevidensis montevidensisの詳細な画像↓

https://www.fs.usda.gov/wildflowers/plant-of-the-week/Sagittaria-montevidensis.shtml

四季の山野草(タイリンオモダカ)

GKZ植物事典・タイリンオモダカ *原産地は南北ア「メ」リカ.

S. montevidensis calycinaの詳細な画像↓

https://swbiodiversity.org/seinet/taxa/index.php?taxon=28255&clid=2947

形態記載↓

http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=222000349

アメリカウリカワ Sagittaria subulata (L.) Buchenau

分布 アメリカ合衆国東海岸ベネズエラ

主に沈水性で葉は線形.浮葉は稀.小型で大きくなっても40㎝ほど.ランナーで増殖する.花茎は細長く伸び,水面で花を咲かせる.花柄は曲がる.花は小型で,直径0.4~1.2㎝,花柄は0.2~1.1㎝.葉の断面はレンズ状で,主に塩性湿地に生息する.

S. subulata complexに含まれる.葉は短く,ヒメウリカワ,ピグミーチェーンサジタリアとして流通する.

生態写真↓

Occurrence Detail 3759646607

詳細な画像↓

https://gobotany.nativeplanttrust.org/species/sagittaria/subulata/

形態記載↓

http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=222000358

ヒメウキオモダカ Sagittaria filiformis J.G.Sm.

分布 アメリ東海岸

主に沈水~浮葉性で水中葉は線形.浮葉は小型で小判型.大型で長さ170㎝に達する.ランナーで増殖する.花茎は細長く伸び,水面で花を咲かせる.花柄は曲がる.花は直径3㎝,花柄は1.5~4.5㎝.葉は平たく,主に淡水に生息する.

S. subulata complexに含まれる.ヒメウキオモダカはS. subulataの和名として提唱されているが,浮葉をつける性質はむしろS. filiformisの形質であるため暫定的に充てた.日本に帰化しているヒメウキオモダカがS. subulata complexの中でどのような位置にあるかは今後の検討が必要だろう.S. subulata,あるいは流通名”ナタンス”として国内で流通してきた個体群の中に浮葉をつけるものがあったことも確かであり(たとえば「水草のすべて」p.45に記載あり),帰化した個体群はこうした個体群が帰化したものと考えられる.*ところで流通名の「ナタンス」は元々S. subulata var. natans = S. filiformisではなかろうか.そう考えると納得がいく.

生態写真↓

Occurrence Detail 3343752767


詳細な画像↓

https://gobotany.nativeplanttrust.org/species/sagittaria/filiformis/

http://www.southeasternflora.com/view_flora.php?plantid=2069


形態記載↓

http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=222000335

Sagittaria kurziana Glück

分布 フロリダ中部~北部

主に沈水性で水中葉は線形.大型で長さ2mを超える.ランナーで増殖する.花茎は細長く伸び,水面で花を咲かせる.花柄は曲がる.花は直径3㎝,花柄は1.5~4.5㎝.葉は平たく,主に淡水に生息する.

S. subulata complexに含まれる.葉は流水中になびき,しばしば長さ2mを超える.その形態からはサジタリアというよりむしろバリスネリアと似るが,3~5脈の葉脈がはっきりすることや葉の先端が尖り鋸歯を持たないことで区別できる.

生態写真↓

Occurrence Detail 3039337224

https://florida.plantatlas.usf.edu/Plant.aspx?id=1268&display=photos

詳細な画像↓

https://plants.ifas.ufl.edu/plant-directory/sagittaria-kurziana/


形態記載↓

http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=222000343

https://plants.jstor.org/compilation/Sagittaria.kurziana

Sagittaria demersa J.G.Sm.

分布 北ニューメキシコ~メキシコ南東部

主に沈水性で水中葉は線形.60㎝ほどになる.葉の断面はレンズ状から,円形に近くなることもある.ランナーで増殖する.花茎は細長く伸び,水面で花を咲かせる.花柄は曲がる.花は直径1.5~5㎝,花柄は1.5~6.5㎝.

S. kurzianaS. filiformisに似るがより小型で,葉の断面が異なる.S. subulataに比べ花柄は遥かに長い.浮葉を欠く.

http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=222000332

花柄が曲がらない+水上葉は線状~さじ状,ランナーを欠き根茎で生育する北米産オモダカ

Sagittaria lancifolia L.

分布 アメリカ合衆国南東部~熱帯アメリ

大型で2mに達する.抽水性で葉はさじ状.根茎で生育し,ランナーはもたず,球根ももたない.花柄はまっすぐ.花糸は有毛.花糸は円錐状.

2亜種がある.葉が細く,苞と花弁に筋が入るものがS. lancifolia lancifolia,葉が太く,苞と花弁の表面が乳頭状のものをS. lancifolia mediaという

地下茎で生育しさじ状の巨大な葉を展開する本種は,まるでエキノドルスのようなサジタリアである.しかし,某サイトの「サギッタリア・ランキフォリア」は本物のエキノドルスである.また,ヒロハオモダカの写真が載っているサイトもある.(ここまで読んでいる方ならヒロハオモダカと本種を間違うことはないだろう)

かつて水草として流通したことがあるのか,「水草のすべて」和泉克雄では「水槽用植物として素晴らしい種類の一つであるが,30~60㎝くらいに成長をとどめて用いるとよいとされている.多量の光を欲する水草でもある」との記載がある.

生態写真↓

Occurrence Detail 3760300627

https://www.gbif.org/occurrence/1848760161

詳細な画像↓

https://www.nparks.gov.sg/florafaunaweb/flora/5/7/5721

https://www.fnps.org/plant/sagittaria-lancifolia


形態記載↓

http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=222000344

 Sagittaria graminea Michx.

分布 アメリカ合衆国東部

比較的小型.根茎で生育し,ランナーおよび球根を欠く.水中葉は線形,水上葉は線形~細長いさじ状.花柄はまっすぐ.花糸は有毛.花糸は膨らんだ形状である.

注意:ナガバオモダカではない.

生態写真↓

Occurrence Detail 3764221208

Occurrence Detail 3947649564

Occurrence Detail 3759831822


詳細な画像↓

https://gobotany.nativeplanttrust.org/species/sagittaria/graminea/


形態記載↓

http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=222000336

Sagittaria chapmanii (J.G.Sm.) C.Mohr

分布 テキサス~アメリカ合衆国南東部

S. graminea  chapmaniiは円錐花序である.DNAからは別クレードであり,別種とすることもある.

https://www.gbif.org/occurrence/3698207142

https://www.gbif.org/occurrence/3352924303

https://www.gbif.org/occurrence/3966580642

Sagittaria secundifolia Kral

分布 アラバマ

流水中に水中葉をたなびかせる.花は数段しかなく,自生地での形質はS. subulata種群に似るものの,花糸は有毛であり根茎が這うことによって増殖し,ランナーを欠く.S. gramineaと近縁だが,痩果によって区別される.

https://www.gbif.org/occurrence/1932302254

↑衝撃的な絵面である.

https://www.gbif.org/occurrence/3785131629

https://www.gbif.org/occurrence/3897771565

https://georgiabiodiversity.org/natels/profile?es_id=21508

http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=222000357

Sagittaria papillosa Buchenau

分布 ルイジアナ~テキサス

1mに達する.地下茎をもち,ランナー及び球根を欠く.水中葉は線形,水上葉は線形~細長いさじ状.花柄はまっすぐ.花糸は無毛.苞の表面は乳頭状.

Flora of North Americaの検索表では花糸に毛を持たないために離れた位置にあるが,地下茎で生育しランナーおよび球根を欠く点でこのグループに入れた.

https://www.gbif.org/occurrence/3070672179

Occurrence Detail 3455208034

http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=222000353

花柄が曲がらない+水上葉は線状~さじ状,ランナーをもつ北米産オモダカ

ナガバオモダカ Sagittaria weatherbiana Fernald

高さ40~90㎝.根茎およびランナーをもち,ランナーの先端に球根をつける.水中葉は線形~長円形の鈍角またはやや鋭くなり,幅1.5~2.5㎝.水上葉は直立する20~45cmの葉柄をもち,基部は太く、株本を広く抱き込む.葉身は長さ12~25㎝,幅2.5~7.5㎝.

長らくS. gramineaのシノニムとされている種.原記載を確認したところランナーを持つなどS. gramineaとは明らかに異なる性質をもち,Flora of North Americaの検索表にかけてみると該当種がなくなってしまった.そのため別種として紹介する.

アクアリウムでSagittaria weatherbianaとして流通するものはどうもヒロハオモダカである.

※ナガバオモダカの学名について

志賀(2010)に従いナガバオモダカは本種に対応するとした.

しかし厄介なことに市販流通するナガバオモダカは雌花しかつけないため,サジタリアの同定に重視されている痩果および花糸が確認できない.通常のS. weatherbianaは雄花も咲き結実もするため,ナガバオモダカを「典型的な」S. weatherbianaとみなすべきではないだろうと思う.

Sagittaria rigida Pursh

分布 カナダ~アメリカ合衆国北部

葉は線形で沈水~抽水性.抽水葉はさじ状,高さ1mに達する.沈水葉は平たくテープ状,長さ70㎝に達する.ランナーで増殖する.球根を持つ.花茎は直立し,水上で花を咲かせる.雌花の花柄はほぼない.雄花の花柄はまっすぐ.花糸は有毛.

本種は雌花の花柄を持たないことで他種から容易に識別できる.

Occurrence Detail 3325651476

Sagittaria rigida (sessile-fruited arrowhead): Go Botany

http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=222000355

Sagittaria cristata Engelm.

分布 西オンタリオ州アメリカ合衆国中東部

75㎝に達する.ランナー及び球根をもつ.水中葉は線形,水上葉は線形~細長いさじ状.花柄はまっすぐ.花糸は有毛.花糸は葯より長い.

https://www.gbif.org/occurrence/3067898688

http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=222000330

Sagittaria fasciculata E.O.Beal

分布 ノースカロライナ州およびサウスカロライナ州

35㎝程度の小型種.ランナー及び球根をもつ.水中葉は線形,水上葉は線形~細長いさじ状.花柄はまっすぐ.花糸は葯より短い.水上葉の幅は0.6~1.5㎝.

http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=222000334

Sagittaria macrocarpa J.G.Sm.

分布 ノースカロライナ州サウスカロライナ州

葉は細く,ランナーで増殖する.S. isoetiformisに似る.かつてはS. gramineaと混同されていた.

Sagittaria teres S.Watson

分布 アメリカ北東部

葉は円柱状で沈水~抽水性.抽水葉は長さ60㎝に達する.葉の断面は円形.ランナーで増殖する.球根を持つ.花茎は直立し,水上で花をつける.花糸は有毛.花柄はまっすぐ.痩果にはごつごつとした隆起のあるキールがある.

オモダカというよりも,ミズニラかなにかからオモダカの花が咲いているような植物である.アクアリウムでは同名でS. subulata complexのなにか(アクア業界では”Sagittaria microfolia"ともよばれたりする)が流通している.同様のものは「水草のすべて」にも記載があるため,かれこれ50年以上は誤った名前で流通していると思われる.

http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=222000359

Sagittaria isoetiformis J.G.Sm.

分布 アメリカ合衆国南東部,キューバ西部

65㎝に達する.ランナー及び球根をもつ.水中葉は線形,水上葉は線形~細長いさじ状.花柄はまっすぐ.花糸は有毛.花糸は葯より短い.葉はほぼ棒状,水上葉の直径は5㎜未満.痩果のキールは顕著であるが,隆起は少ない.

本種およびS. teresは水上葉がほぼ線形であり到底オモダカらしからぬ姿をしているが,本種は葉が平たくS. teresでは円柱状である,(どちらも円柱状とする場合もあり)痩果のキールによって区別できる.

http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=222000342

Sagittaria ambigua J.G.Sm.

分布 アメリカ合衆国内陸部(西バージニアオクラホマ

90㎝に達する.ランナー及び球根をもつ.水上葉は線形~さじ状.花茎は葉と同長からやや長く,1節に3輪ずつ咲く.花柄はまっすぐ.花糸は毛をもたない.苞の表面は乳頭状でない.葉柄は直立する.

http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=222000327

 

花柄が曲がらない+様々な姿になる,ランナーをもつ北米産オモダカ

Sagittaria cuneata E.Sheld.

分布 北米

110㎝に達する.ランナー及び球根をもつ.水上葉は線形~矢じり状で,非常に多型.花柄はまっすぐ.花糸は毛をもたない.苞の表面は乳頭状でない.葉柄は下向きに垂れ下がっていることが多く,深い水域ではしばしば浮葉性となる.水中で長い水中葉を出して生育する場合もある.

http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=222000331

花柄が曲がらない+矢じり状の葉をもつ北米産オモダカ

Sagittaria engelmanniana J.G.Sm.

分布 カナダ南東部~アメリカ合衆国東部

70㎝に達する.ランナー及び球根をもつ.水上葉は矢じり状.花柄はまっすぐ.花糸は毛をもたない.苞は合着しても1/4未満.花は1節あたり2~4ずつ.

http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=222000333

Sagittaria australis (J.G.Sm.) Small

分布 アメリカ合衆国東部

130㎝に達する.ランナー及び球根をもつ.水上葉は矢じり状.花柄はまっすぐ.花糸は毛をもたない.苞は合着しても1/4未満.花は1節あたり5~12ずつ.葉柄は有翼.痩果の嘴は側方から出て強く曲がり,4~17㎜.

http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=222000328

Sagittaria brevirostra Mack. & Bush

分布 アメリカ合衆国東部,カナダの一部

70㎝に達する.ランナー及び球根をもつ.水上葉は矢じり状.花柄はまっすぐ.花糸は毛をもたない.苞は合着しても1/4未満.花は1節あたり5~12ずつ.葉柄はリッジをもつが,有翼とまではいかない.痩果の嘴は曲がらず,0.4~1.7㎜

http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=222000329

Sagittaria latifolia Willd.

分布 カナダ~南米

45㎝に達する.ランナー及び球根をもつ.水上葉は矢じり状.花柄はまっすぐ.花糸は毛をもたない.苞は1/4~合着し,長円形から披針形,3~8㎜.痩果の嘴は1~2㎜,横に出る.

http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=222000347

Sagittaria longiloba Engelm. ex J.G.Sm.

分布 アメリカ合衆国中部~ベネズエラ

100㎝に達する.ランナー及び球根をもつ.水上葉は矢じり状.花柄はまっすぐ.花糸は毛をもたない.苞は1/4~合着し,披針形,6.5~15㎜.痩果の嘴は0.1~0.6㎜,曲がらない.

http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=222000348

 

未整理・情報収集中

Sagittaria intermedia Micheli

分布 南東メキシコ,北コロンビア,カリブ海地域

Sagittaria macrophylla Zucc.

分布 メキシコ西海岸

 

全体通じて参考になるリンク↓

雑草徘徊記