古参の方ならエリオカウロン セタケウムとインターメディウムの名を知っているのではないだろうか?両者の関係性についてAnsari& Balakrishnan, 2009がまとめていたので紹介する.
E. setaceumを記載したのはご存じLinnaeusことリンネである.
E. setaceumはインドでかつてRandolia malabaricaと呼ばれていたものとし,その図としてvan RheedesによるHortus Malabaricus(vol.12, table 68)を引用している.
https://www.biodiversitylibrary.org/item/14380#page/298/mode/1up
(↑ここから図が見れるはず.)
Koernicke(1856)はインドのE. setaceumには2種いるのではないかと感じ,ヒマラヤ地域に多く分布する頭花が毛深いものこそE. setaceumとし,マラバール地方でよく見られる頭花に毛がないものに対してE. intermediumと名付けた.
https://www.biodiversitylibrary.org/item/109423#page/609/mode/1up
(↑ Eriocaulon intermediumの原記載.p.601の下方)
しかしリンネがマラバール地方の個体群を引用した以上,真のセタケウムは頭花に毛がないマラバール地方に生育するものである.
Hook. f. (1893)はE. intermediumをシノニムとし,花が毛深いものをE. capillus-naiadis Hook. f. として記載している.また,西アフリカやオーストラリアに分布するとしたE. bifistulosumを北西インドのKhasia hillsで報告しているが,この種はその後報告されていない.
https://www.biodiversitylibrary.org/item/115813#page/578/mode/1up
(p.572上方)
しかしRuhland(1903), Fyson(1921)はKoernickeに従ってE. intermediumを有効としている.
ということでAnsari& Balakrishnan, 2009ではE. intermediumはシノニムとし,花が毛深いものをE. capillus-naiadis,花の毛が薄いものをE. setaceumとしている.
参考文献
R. Ansari & N. P. Balakrishnan (2009) The Family Eriocaulaceae in India (Revised Edition) Bishen Singh Mahendra Pal Singh, p.69. India