「南米ホシクサ」として流通する水草は一体何者なのか?と言う検索を始めています。
ホシクサというグループ自体が酷似した種がてんこ盛りなので非常に困ったものなのですが、シノニムが最近整理される傾向にあります(皮肉なことに日本産より南米産の方がまだ情報が多くあたりやすいのでは…)。
とはいってもEriocaulonだけで50種くらい、他の属=パエパランツス亜科はそもそも属の境界が不明瞭で検索が困難です。
パエパランツス亜科は基本的に水生種というより湿性種が中心ですし、雰囲気もだいぶ違う種が多いようです。特に根の雰囲気が変わっているなと個人的には思います。
正確には、花の雄蕊に葯が1個ついているのがパエパランツス亜科、2個がEriocaulonです。
今回対象のミナススター、マットグロッソ、ゴイアススターはどれも葯が2個ある写真が上がっているので、パエパランツス亜科は一旦除外します。
というわけで残り53種(Oliveira & Boves, 2015によれば)です。
ホシクサは種数こそ多いですが1ポイントでしか知られていない種が多く、そのような種は流通に乗っていないと予想されます。日本でもそうした例としてエダウチシロホシクサとかタカノホシクサとかヒュウガホシクサとかがありますね。
それから、アクアリウムに乗っている種としてはまぁ水中に生えているものをとってくるでしょう。ホシクサに湿性種は沢山ありますが、沈水をとくに好む種はなかなかありません。一旦沈水を主とする種に絞り込みましょう。
さらに、一年草はアクアリウムで維持するのが難しく、流通が絶えてしまったはずだと推測できます。
つまり、検索条件は
•多年草
•複数地点で発見されている、面としての分布をもつ
•沈水性を主体とする
という3条件になります。
では出てきたものは
Eriocaulon aquatile
Eriocaulon modestum
Eriocaulon cf. setaceum
Eriocaulon multiscapum ※一年草疑い?
Eriocaulon spruceanum
です。(Oliveira & Bove (2015)のリストによる)
こののちいくつかのホシクサが新規に記載されたり,上記の5種が分割されたりもしているのですが,次回はまず,この5種の形質を見ていきましょう.
Oliveira, A. L. R. D., & Bove, C. P. (2015). ERIOCAULON L. from Brazil: An annotated checklist and taxonomic novelties1. Acta Botanica Brasilica, 29, 175-189.