カワツルモの花は一見ヒルムシロ属と酷似していて、それを極度に簡略化したようなものとなっている。
外見上はヒルムシロ属と同じように4つ(但し例外多い)の心皮を4つの大きな構造物が囲んでいるように見えるが、周囲を取り囲む4つの構造物は上2つ、下2つが1セットになった、1対の雄蕊であり、ヒルムシロ属でみられるような”花被片”は確認できない。
カワツルモの花には4心皮からなる雌蕊と、1対の雄蕊以外に見当たるものは殆どなく、構造的には面白くないのだが、受粉生態は興味深い。
カワツルモの花茎は長く、開花が近くなると水面に向け急激に伸びていく。葯は熟するにつれ大量のガスを含むようになり、葯が破裂すると花粉がガスに乗って水面まで運ばれたり、葯ごとガスにのって水面に運ばれてそこで花粉を散布する。また、先に水面に届いてしまった場合、通常のように水面で花粉散布を行う。花茎は急激に伸長していき、花粉を放出した後に水面に花序が出て、水面に漂う花粉により受粉する。Altheniaでみられるようなガスによる自家受粉を行うとの説もあるが雄性先熟であり、むしろ水面に漂う花粉を雌蕊が水面でキャッチすることの方が重要なようだ。
受粉した雌蕊は子房柄が急激に伸長し、特徴的な落下傘様の形態をとる。