珍妙水草シリーズ,今回はEriocaulon spongiolaを紹介します.
コロンビアのバウペス州,アパポリス川やベネズエラに生息する珍妙な流水性沈水有茎ホシクサです.この種も情報が少なく,原記載に頼るほかありませんでした.
ホシクサ数あれどといっても,本種はその中でもとびぬけた奇妙さを持っています.茎は30㎝ほどまで伸び,幅1.5~2.5㎜とホシクサとしては異例なほど細くなっています.そこから30㎝以上もある,幅5~7㎜の幅広で長い葉を流水にたなびかせ,40~50㎝の花茎をのばします.
この花茎がこれまた珍妙で,基部は細く糸状,先端に行くほど太くなってついにはリボン状になります.
本種に最も似た種はEriocaulon spruceanumで,同様に流水域の水中で長い葉を水面にたなびかせることがあります.しかし,この種は茎が伸長したり,花茎に逆テーパーがかかっていたりすることはありません.葉も葉脈がはっきりする点で異なります(ミナススターはE. spruceanumじゃないかな?と思っています).
本種は珍妙なホシクサであるながらもある程度広く分布があり,ベネズエラ~コロンビアのオリノコ川流域やネグロ川最上流部付近などからも知られています.GBIFで標本写真も参照できます.
ANN. MISSOURI BOT. GARD. 78: 424-440. 1991.
Eriocaulon spongiola Hensold in Govaerts, R. (2017). World Checklist of Selected Plant Families. In O. Bánki, Y. Roskov, M. Döring, G. Ower, L. Vandepitte, D. Hobern, D. Remsen, P. Schalk, R. E. DeWalt, M. Keping, J. Miller, T. Orrell, R. Aalbu, R. Adlard, E. Adriaenssens, C. Aedo, E. Aescht, N. Akkari, M. A. Alonso-Zarazaga, et al., Catalogue of Life Checklist (Aug 2017). https://doi.org/10.48580/d4tp-38c
この分布域ならもしかすると日本に入荷したことがあるのでは?という気もします.個人的にすごく謎な「南米のミクリ」とかの正体かもしれませんが,さすがにそれはないかなあ.