水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

ウォーター・ロベリアLobelia dortmanna

変な水草シリーズ,今回は北米およびヨーロッパの貧栄養湖に分布する両生植物,ウォーター・ロベリア Lobelia dortomannaを紹介しようと思います.

www.centralcoastbiodiversity.org

こうした水域の水草は独特の形態をしたものが多く,しかも互いによく似た形態をしています.雰囲気がよく似たLittorella unifloraやハリナズナ,ごく小さなミズニラ類,Eriocaulon aquaticumなどとしばしば混生します.

葉は数センチの細いロゼット状で,ホシクサの葉をコブラグラスに置き換えたような見た目をしています.そこから長い花茎をだして水面上で開花します.この花茎は時に非常に長くなることがあり,1mに及ぶことすらあります.

多年草ではありますが主に種子繁殖で,花を水上に出すことが重要です.また非常に小型な植物であるため,富栄養化して他の有茎草が上に覆う場合は生育できないようです.そのため,水質の指標種とされています.

短く小さな葉はどうみてもガス交換に不利で,水草らしくない形にみえますが,この水草は驚いたことにCO2のほとんどすべてを根から供給しています.同所的に生育するミズニラ類も似たような性質を持ちますが,さすがにほぼすべてを根から供給というのは特異な現象です.

本種は低温で超貧栄養環境に生育する種のためアクアリウムでは扱われたことがありませんが,その植物生理はよく似た構造の葉をもつセレベスカーペットスターやトランペットニムフォイデスといった水草の攻略を考える上で役に立つかもしれません.