水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

2022年ギニア便についての水草がたり.① ホシクサ類

2022年,ギニア便が来ました.

その中でも特に目立ったのがホシクサ類です.

 

ギニアに生息するホシクサ類

ギニアのホシクサ類についてまず触れておきます.

1.小型種,総苞片がイヌノヒゲのように伸びて突出するもの 

1-1 花は2数性,2心皮,雄蕊4

  Eriocaulon remotum 葉幅1~4㎜

  Eriocaulon tingilomum 葉幅0.4~1㎜

1-2 花は3数性,3心皮,雄蕊6

1-2-1 雌花の花弁は長毛をもつ

  Eriocaulon cryptocephalum 花茎が著しく短く叢状となる

  Eriocaulon pulchellum*遭遇頻度は1で扱う他種より高いようだ 

 1-2-2 雌花の花弁は無毛~短毛

  Eriocaulon irregulare*原記載以降殆ど採集されたことがない

 

2 有茎種

Eriocaulon setaceum  

 

3 1で扱った以外の ウニ型,細葉

Eriocaulon plumale 雄花の花弁が著しく突出し,頭花が毛深く見える

Eriocaulon deightonii 

Eriocaulon cinereum 世界的にいるキネレウム

 

4 葉幅の広いもの

Eriocaulon meiklei 葉幅は広く葉はやや厚い.苞が突出し頭花はいが状,

Eriocaulon nigericum 葉幅は広い.葉先はやや丸い.

Eriocaulon fulvum 葉幅は広い.(4~6㎝×3~5㎜)葉先は丸い.

Eriocaulon bongense  葉幅は広い.(5~10㎝×3~6㎜)葉先は突然尖って終わる

Eriocaulon afzelianum 葉幅は広い(1.5~5㎝×2~5㎜)葉先は尖る

Eriocaulon latifolium 水生種.葉は長くテープ状

 

花がない状態で議論するのは無謀ですが,ギニアンナローは

Eriocaulon plumale,Eriocaulon deightonii ,Eriocaulon cinereumのどれか,

ギニアンパープルはEriocaulon afzelianum Eriocaulon pulchellumあたりが候補です.前者は赤みを帯びた標本がいくつかみあたります.

多分ギニアンスター・ブロードはE. latifolium, ギニアンナローはE. deightoniiギニアンパープルはE. afzelianumじゃないかなと思いますが断言はできません.

ギニアでメサンテムムといえばM. radicansみたいな感じかと..

Mesanthemum prescottianum, Mesanthemum tuberosum,M. alenicolaの分布は非常に限られるため,日本にもたらされる可能性は低いと思います.

M. auratumはこの属らしくない小型の1年草.これも入ったことはなさそう.

M. albidumも普通種ではないようです.

ここまですごくザックリとした感じで何が居るのかという話を.

 

メサンテムム ラジカンス(インボイス

今回入荷した巨大なホシクサ類,Mesanthemum radicansとしてカミハタから入荷したものです.葉幅は3㎝もあり,根は非常に太くホシクサというよりはガマかなにかのような質感で,中隔による縞模様は見当たりません.

そのあまりの巨大さからホシクサ以外の植物ではと思わせられましたが,毛深い花茎の鞘がみられたためホシクサ類で間違いなさそうです.花は腋生で,一年草ホシクサ類のように頂点から出るわけではありません.根茎も直径2㎝ほどありますが,株別れしている株もありました.そのため,根茎を伸ばしながら株わかれで増殖する多年草と思われます.根は出てきたので何とかなるでしょう.自生地では水没もするようですが,水中は厳しい感じがします.

ものとしてはMesanthemum radicansでよさそうです.滅茶苦茶期待しているので頑張ります.なんとか発根はしたようで良かった...巨大陸生ホシクサ大好きマンなので僕にとっては本命です.

 

ギニアンスタープラント ナロー

透明感のある硬い葉を出し,細い地下茎を出す植物です.ランナーが謎すぎましたがこれもEriocaulon latifoliumの一型のようで,地下茎を出す標本もみられます.但しギニアンスタープラントにはブロードとナローがあり,大多数の標本はブロードの方に見える地下茎を出さないタイプでした.

基本的に流水に生じる水生植物で,アヌビアスなどと混生しています.ホシクサ類としては異質なことに葉は非常に硬く,ストラティオテス・アロイデスの水中葉の質感によく似ている印象です(酷いたとえ).

入手した株の地下茎及び根は先端で細かくよじれており,砂を噛んでいたと思われます.また,根が石を噛んでいたようにみえる場所もありました.礫の隙間に生じたものと思われます.

丈夫なことで知られますが残っていないことを考えるとなんかしらの弱点があるのかもしれず,少し心配なところです.地下茎を伸ばすことから増殖力は高いようなので,定着した株が一定数以上あれば今後流通が増えるかもしれません.

 

ギニアパープルスター

おそらくEriocaulon afzelianumです.生存したまま到着したことが殆どなく,今回は緑色を保ったまま来た株が数本あったことが奇跡的と言えるでしょう.生存時の色調はホシクサのキングクリムゾン水上葉をやや薄くしたような色合いで,パープルというもののこれは枯れた後の色です.本来の色は新芽や葉基部など葉緑素の薄い部分が赤っぽい緑色です.(つまり,キングクリムゾン同様枯れたり乾燥標本で色が抜けたりすると赤くなる)そもそも生存していた株が数株しかなかったようで,私の来たときにはすでに生きた株は残っていませんでした.輸送方法の見直しやタネのついた株を干して輸入するなど,いろいろ対策を要しそうです.

 

ギニアンケヤリ

広義Eriocaulon setaceumです.E. setaceumは世界中に分布していますが,それらの系統関係はいまだ不明な点が多いです.一般に流通するケヤリソウに比べて葉が細く,根は下部で細かく分岐します.茎は長いものの脆弱で,扱いには注意を要します.有茎とはいってもケヤリソウに比べてE. setaceumは有茎草として未熟な印象を受け,ロゼット型の種との共通点が多く感じます.今回は非常に小さな株であったものの状態が比較的よく,発根および成長が見られます.多年化する系統なのかはわかりませんが,定着していく可能性もありそうです.