水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

ニューラージパールグラス

次はニューラージパールグラスです.産地付きの,日本人が採集した水草としては最優秀賞を与えたい水草と言えるでしょう.

でも...レビュー件数でピグミーチェーンサジタリアに負けているのはいったいなぜ?

www.shopping-charm.jp

通名    Newラージパールグラス

別名・略称    ニューラージパールグラス

学名 Micranthemum umbrosum var.

海外流通名 Micranthemum tweediei, Micranthemum "Monte Carlo"

分類   アゼナ

分布    アルゼンチン北部,ラプラタ水系,パラナ川

この水草について

2010年11月に甲斐氏により採集されたラージパールグラスの変種です.その後野外株を仕入れたRootsの仲里氏により地面を低く,地面にめり込むように這いながら育つ株が選抜されて変わり種からスター水草に変貌,現在では世界中で広く栽培されています.

 

野生下での生態

現在流通するアルゼンチンの個体群はエキノドルス ホレマニーと混生しています.

パラグアイの個体群はOldenlandia salzmanni(ブラジリアンフラジャイルプラントなど)やパラグアイレッドマヤカ,アマゾンオテリアと混生し,陸上ではSyngonanthus caulescens(ボリビアンスターなど)も同所的に見られます.

私なりの育て方

丈夫な水草と言われがちですが,極端な軟水環境を嫌います.失敗して葉が全部なくなってしまったりする際は硬度が足りていないのではないか?と疑ってみるのも手ではないかと思います.石や砂を使ったレイアウト向きで,流木や水草だけだと思わぬ点でつまづきがちです.CO2が切れても育つあたり,限定的ながらも重炭酸イオンを利用できるのではないかと思います.自生地でもホレマニーと生えているくらいですから,中性環境が適しているのでしょう.

水槽以外での楽しみ方

高水温や直射日光にも強く屋外でも緑のじゅうたんになります.本種は北米から南米まで分布する種で,ニューラージパールグラスは南限に近い種です.つまり耐寒性も強く,水深を冬に確保すれば北関東でも冬を越すことが可能です.グロッソスティグマより幅広い条件で生育するので,帰化した場合厄介です.

これだけ優秀な水草を法規制されるのはアクアリストとしては大きすぎる損失なので,外部水域につながりうる環境では絶対に育てないようにしましょう.

 

混同されがちな種と見分け方

カッセルマンによりMicranthemum tweedieiであると同定され流通していますが,M. tweedieiは現状では種として広くアクセプトされておらず,ラージパールグラスのシノニム扱いとされています.現状では「M. umbrossumの地域変異」とする扱いで別段問題ないかと思っています.もともと全部が這いまわっていたわけではなく選抜品であることから表記はMicranthemum umbrosum var.としました.

ラージパールグラスは現状3~4産地残っています.

・無印のラージパールグラス 原産地は不明です.南米原産といわれていますが,南北アメリカに広く分布があるのでもしかしたら北米のものなのかもしれません.あの異常な丈夫さと成長速度はなんとなく北米のような気が凄くします.耐寒性が高いことも,本種が実は北米産なのでは?と疑っている理由です.軟水を好みます.

・南米ラージパールグラス サンパウロ原産のラージパールグラスです.ラージパールグラスとは水中葉の形がすこしいびつで小型であること,水中ですぐ閉鎖花を作って結実することで見分けられます.サイズ,形態ともにラージパールグラスとニューラージパールグラスの中間くらいのイメージですが,成長は両者より遅く,匍匐して広がる様子もありません.軟水を好みますが,やりすぎると生長が止まります.

・ニューラージパールグラス

当初入荷した際には匍匐型と立ち上がり型があり,立ち上がり型も維持されていた方もいたようですが,今残っているかは疑問です.また,パラグアイからもニューラージパールグラスらしきものが入荷しましたがキープされているかは怪しいです.