今回の記事は,地域をイメージしたレイアウトを作るにあたって,前景,中景,後景,活着,モス系…といった用途にどんな水草が使えるのか?という指標用の記事です.
第一回はアマゾン編です.ブラジル北部に生育するものを中心に集めています.
かなりきつい縛りなので,そこまでこだわらない場合はアラグアイア編,パンタナル編などと組み合わせるとより自由度が広がると思います.
前景草
テネルス
忘れられがちですが南米の水草で,栽培もし易くばっちり前景に使えます.南米の広域に分布するので,南米系のレイアウトをする際には汎用できます.栽培は勿論容易です.トニナなどに合わせてpH下げても問題ありません.
ベレンミニヘアーグラス
小型のヘアーグラスです.売っている店は非常に少ないですが,レイアウト素材としては優秀です.南米の水景ではヘアーグラス類が非常に目立つので,ヘアーグラス系を植えると雰囲気が出ると思います.栽培は普通のヘアーグラスに準じ容易です.
アマゾンハイグロ類
アマゾン流域のあちこちから採集されたアマゾンハイグロ類が流通しています.基本的に低く這う匍匐性の水草ですが,現在流通する商品名でいうと”ポルトベーリョ”は匍匐性に乏しい中~後景草なので注意が必要です.栽培は容易です.水替えを極度にさぼったり,水がよどむと葉が溶けることがあります.
**南米ミズハコベ,ブラジリアンコブラグラスは冷水系の草なので,普通の熱帯魚と産地的に合わせるのは難しいかもしれません.ただザックリとした区分で用いるのはアリだと思います.ゴイアスドワーフロタラはパンタナルの草,ニューラージパールグラスはラプラタ水系の草で扱います.
サンタレンドワーフニムファ,タパジョスドワーフニムファ
小型のスイレンで子株を旺盛に出します.切り詰めると小型化しますが,大きくして楽しむのも一興.
中景草
ヒプティス・ラキニアータ
今年導入された,ウィステリアを赤紫にして小さくしたような水草です.匍匐性で前景草としても使えますが,サイズがあるので中景のほうが良いでしょう.
アマゾンハイグロ・ポルトベーリョ(インボイス)
アマゾンハイグロ類の中でも直立性が高く,中景向きです.
南米シペルス
比較的小型のシペルスで,後景よりは中景に向きます.栽培は容易ですが,葉が茶色くなりやすく綺麗に保つには少し癖があります.(大きなマナウスシペルスとは別)
ラージナヤス
施肥をしっかりすると非常に美しい姿を見せます.本気を出したラージナヤスほど美しい水草は無いですが,美しさを発揮させるのが難しい水草でもあります.中景向きです.
後景草(ロゼット系)
アマゾンソード
エキノドルス レッドモザイクリーフマナウスマナカプル
エキノドルスは分布の中心がアマゾン熱帯地域にはなく,むしろ亜熱帯を主なテリトリーにするので紹介できる種数が少ないです.流通する種の中ではA. grisebachii, A. floribundusはこの地域に分布するようなので,ここに含めました.
マナウスマナカプルは水面を突き抜けるとまたワイルドでカッコいいので良いエキノドルスです.エキノが突き抜けているだけで南米っぽくなります.
ペルーマルドナード,イキトス産などのニムファ類
南米のニムファ系は多くがそこまで巨大化しないので,中景~後景といったところです.前景でもいいくらい.ラビットイヤーは巨大化します.パンタナル編で扱います.
後景草(有茎)
エグレリア
アマゾン流域を代表する水草です.奇抜でかつ気品のある姿は非常に美しいです.見かけに反して根張りが重要なので,しっかり根を張らせてから茂らせましょう.1~2節ずつ植えて,短く切り詰めて前景に使うのも案外ありです.(需要とは?)
ラジアルヘアーグラス
奇抜な水草です.育つとかなり大型化するので,大きくなり次第先端の子株を植えなおして親株を捨てることが多いです.うまく使えば非常に目を引くでしょう.
トニナ類
アマゾン川を代表する水草です.低pHと豊富な肥料を好み,レイアウターよりもアピストの方がよく育てている印象があります.頂芽が美しいのでついつい差し戻ししてしまいがちですが,根が重要なので実はピンチカットした方が良いです.差し戻しの際は根がついたわき芽を挿します.
マヤカ
ラージマヤカ
サンタレンレッドリーフマヤカ
マヤカ類は南米を代表する水草で,アマゾンの水景を再現するには欠かせません.低pHを好み,根張りが重要です.トリミングに強く,ピンチカットで管理します.根が張るまでは食害などに対してデリケートなので,しばらく待ちましょう.
スターレンジ
アマゾンの水辺を代表する植物です.低pHを好みますが,特化せずとも普通のレイアウト環境でも割と上手くいくようです.水上葉で入手した場合は水上で簡単に増やせるので,保険を作ってからトライするのがよいと思います.
ルドウィジア インクリナータ/ピンネイト類
南米の広い範囲で見られます.インクリナータは水面をたなびく状態が良いので使い道が少し難しいですが,美しい水草です.ピンネイトもアマゾン流域に分布するので使ってOKです.(メタ川のやつも海外では流通してますね.)ピンネイトは肥料が凄く必要です.栽培失敗の原因はほぼ,NPKが不足すること.
エイクホルニア ディバーシフォリア
南米を代表する水草です.熱帯地域の広い範囲で見られます.肥料は多い方がいいです.
ドルマリア,ラージパールグラス,カーナミン等...
分布域圏内なので実は使えます.困った時の箸休めにどうぞ.