新着水草の時代なんてもう終わりました.
2013年以降,面白い水草なんてほとんど来ないのです.
というのがコレクターの思想でしょう.
「新しいものを見る」ことに関してはかなり終わってきているのが,現状です.
しかし,この「なにも来ない暗黒時代」がもうすぐ10年になろうとしている今,はたして水草を「今」やっている人がどれほどの水草を目にしてきたことでしょう.
正直言って,この10年間で新規に加入したアクアリストが扱ったことのある水草は以下の15種くらいではないでしょうか?
・Rotala rotundifolia(色違い沢山あるけど結局だいたい同じ)
・Rotala cf. wallichii
・Ludwigia palustris/repens(すぐ交雑するし見た目も正直同じようなもの...)
・Ludwigia arcuata/brevipes(ちょっと細いのと太いの)
・Myriophyllum mattogrossense
・Hygrophila pinnatifida
・Micranthemum umbrossum
・Micranthemum glomeratum
・Bucephalandra motlayana(広義) (見分け方の議論が沸騰する程度にみんな同じ)
・Anubias balteri
・Bolbitis heudelotii
・Leptochilus pteropus
・Hydrocotyle tripartita
正直普通にレイアウトで使われる水草はいまや,15種くらいです.さすがに真面目にカウントすれば50くらいはあるとは思いますが....
つまり言いたいことはですね
「ここ10年間に加入したアクアリストは,見慣れたものと種レベル以上で異なる水草をほとんど見たことがない」
これに尽きます.
これってチャンスじゃないですか?
10年もこんな状況が続いているので,その間にできたショップの店員ですら,かつて流通した大多数の水草を見たことがない,あるいは聞いたことすらないのです.
さらに,
ヤフーブログ及びGeocitesの消滅により,先人の栽培情報は殆ど失われました.
さらに絶版も重なり,上記の「レイアウト水草50種」以外の水草の情報は殆どなくなってしまった…つまり,目に触れることもなくなったのです.
つまり...
昔たくさん流通した
様々な水草全てが
「異質で特別なもの」に変貌したのです.
今のユーザーは
トニナですら見たことがない.
ホレマニーなんて,写真すら見たことがない.
ウォーターナスタチウム?なにそれ名前が美味しそう
そんな感じですよ.
つまりこの暗黒時代10年間の間に人間が入れ替わって,水草リテラシーが1980年代くらいまでリセットされたも同然なのです.
いまや「この水草は見飽きた」は全くもって通用しないと思います.
今のアクアリストにとって,上記の15種+くらいはみんな「まったく見慣れない水草」なのです.メロンソードとかですら珍しがるんじゃないでしょうか.
2021年後半から,妙に南米水草周囲の活気が上がっているように見えます.
ヤフオクでの相場も上がり傾向です.
この現象は上記の現状により,新しい物好きのアクアリストたちが,見慣れない水草を未来ではなく過去に求め始めたことであるためではないかと私は解釈しています.
新たな現地便ばかりを追い求める水草業界は水草をひたすらに消費しながら,自然を搾取してきたように感じます.
維持増殖品はすぐに飽きられ,消えていく...なんと無駄の多い趣味でしょう.そして,なんか売り手側のワナに嵌められているような気がしてむかつきます.
新着がなくなり過去のモノへの需要が出てきた今,国内での維持増殖がある程度の価値を持つようになってきたと思います.
これは水草業界の健全化にもつながるムーブメントじゃないかな?
と私は思っています.