水草界には首を突っ込むと大変なことになる闇があちこちに顔を開けているのですが,いきなりその代表例にぶち当たってしまいました.ショートヘアーグラスです...
別名・略称 ショートヘアーグラス等(様々なものが知られるが,モノと名前の対応関係は不明)
学名 Eleocharis cf. acicularis
海外流通名 Eleocharis acicularis "Mini", Eleocharis parvula, Eleocharis pusilla等.但し名前とモノの整合関係は不明.
分類 カヤツリグサ科
分布 全世界?
この水草について
ヘアーグラスのような植物で,下に向けてカールするタイプがこう呼ばれています.しかしながらカールするヘアーグラス的なものは世界中どこにでも似たようなものがある上に,各ファームが同じような名前でリリースしているためどれがどれなのか不明です.さらに,あからさまに間違った名前(たとえばEleocharis parvula等)がつけられている場合もよくあります.レイアウトに使う分にはとくに問題とはされないのでしょうが,生き物として水草を見る上では大問題と言えるでしょう.
野生下での生態
マツバイ(ヘアーグラス)は浅水深から水深数十センチまで広い範囲でみられますが,おそらくショートといわれている類もそれに準ずるでしょう.
私なりの育て方
水槽以外での楽しみ方
浅いところの方が元気で,また湿っているよりは水があった方が得意です.
混同されがちな種と見分け方
デナリーのミニヘアーグラス(Eleocharis pusilla)はオーストラリア~ニュージーランドのもので,25度未満を好むなど高水温に弱いとされます.現状では最も出所が明確で個性の光るミニヘアーグラスといえます.見たことないけど.
ベレンのミニヘアーグラス(Eleocharis sp. Belem, Eleocharis sp. "Japan")は日本では流通が混乱した結果,現在ではほとんど目にすることがありません.カールするからと言ってこれだというわけでもないと思います.アメリカに渡った株はその後あちこちに送られ,海外ではATF社などでまだ維持されているので,いつか逆輸入されるかもしれませんし,もう来ているのかもしれません.
トロピカのミニヘアーグラス(Eleocharis acicularis Mini)は経緯からするとベレンのミニヘアーグラスかもしれませんが,異論もあります.経緯としてはSan Francisco Bay Area Aquatic Plant Society(SFBAAPS)にわたった”Eleocharis sp. ”Japan"がThomas Barrによってトロピカに提供され組織培養で広まったという話があります.但し,SFBAAPSに至る前に本当に入れ替わっていないか?などの問題もあります.
ショートヘアーグラス.Eleocaris parvulusとして流通するものは様々な系統があるようでよくわからずです.
チャボイ(真のEleocharis parvula)は塩性湿地の植物で,穂は大きく冷えてくると地下に塊根を作ります.水槽での栽培は難しくうまくいきません.