とあるアクアショップにて、正体不明の水草を購入した。お客様から頂いたのではないかとのことであるが、水槽内で実生増殖していたこともありほとんど”生えてきてしまった”といったほうが近かったものかもしれない。
さて、一見したところ見た目は「アマゾンオテリア」として流通する、白花の植物に見える。もしそうだとしたら相当な「あたり」なのだが、いまいち自信を持てない。そもそも、アマゾンオテリアとして流通する白花の植物がどの種に相当するかはよくわからない(高額すぎて調べていないのと、高額だけに市場でのインパクトがでかいので触れたくない)。
よく似たものは「O. ovalifolia」としてバース便からも来ており、いまのアマゾンオテリアはこれなのでは?という憶測もなされている。ただオバリフォリアはあくまで浮葉植物なので、可能性は低いだろう。白花ではあるが…。
仏炎苞(CookがSpatheと書いているのでそう訳した)に2翼しかなく、おそらく両性花と推測されること、沈水性のまま成熟すること、葉の基部は緩やかに葉柄に連続すること、仏炎苞は側扁すること、花柄には翼をもつことから、この個体は「おそらく」O. ulvifoliaと思われる。
O. brasiliensisとO. ulvifoliaは極めて近縁で酷似しているが、花柄の翼の有無および心皮数(O. ulvifoliaではふつう6、O. brasiliensisではふつう3)、雄蕊の数(O. ulvifoliaでふつう6に対しO. brasiliensisではふつう9~16)などの違いがあるようだ。この辺りは今後観察せねばならない。ちなみに花の色に関してはO. ulvifoliaには白花もいることが知られているが、O. brasiliensisでは黄花とされる。但し、色の異なる個体がいる可能性は否定しにくい。
ひとまず現状ではO. ulvifoliaの可能性が高く、O. brasiliensisの可能性もいちおう視野にいれつつ、次の開花で花弁の色と雄蕊の本数を確かめたいと思う。
なお、一般に流通する「アフリカンオテリア」や「ギニアンオテリア」とは葉の色あいや模様がだいぶ異なっており、正体が確定して以降も分けて扱わねばならないだろう。
アフリカの広域に分布するO. ulvifoliaには複数の隠ぺい種がいることが知られているが、それらの整理はまだまだ先の話になりそうであるし、この時点ではなかなか突き詰めることができない。「なんか模様がほぼない緑のオテリア」以上の何かにするのは難しい代物かもしれない。