水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

水草の育て方・増やし方

今回は、バリバリに状態のいい有茎草を、地域をさほど選ばず、ガンガン増やす方法について解説します。

用意するものも、奇天烈なものや処理に困る大量の砂、絶版になった肥料などを使うわけではありません。この方法を使えば弱酸性の軟水に育つ水草はたいてい育てることができ、かつメンテナンス作業を大幅に削減できます。

 

管理の方針

水草を増やしたい→たくさん光合成させる

・CO2が必要→pH落して利用率を高める

・肥料分の調整が面倒→条件を陸上に近づけ、総合園芸肥料のみで対応

・水替えが面倒→元凶になるエサやりを徹底的に減らす

・エサやりが面倒→魚を減らす

・コケ取りが面倒→少数精鋭で対応。水草に有利な環境を作る

 

用意するもの

用意するものは以下の通りです。

照明

Amazonにある8000lm投光器+アクロ Triangle用ライトスタンド

・アクロ Triangle Bright

などを推奨します。

LEDなら30×30㎝あたり2000lm以上を確保したうえで、最も安価なのが上記二者です。蛍光灯の場合、もっと暗くてもOKな印象です。(例:30㎝あたりヴォルテス1灯)

他にもコトブキ フラットLEDツインやその他の投光器類、パワーIII×2灯などが使えますが、普通に売られている水槽用LEDは多くがコスト対照度に不安があります。高額照明をストック水槽に使うのは勿体ないですから、コスパの面のみでこの二者を推奨します。他の照明の方が勿論いい点はいっぱいあります。

水槽

最低30㎝キューブ、できれば45㎝や60㎝を推奨します。大きい方が水質が安定します。

また、外部フィルターなどの強力な水流を付けたときの水の流れが一因です。流速が速すぎるというより、流速で水があふれたり、ほっといて水位が減った時に水が跳ねてビチャビチャになったりするからです。

フィルター

水流のあるものの方が、密生してもよく育つ印象があります。水中フィルターもしくは外部フィルターを使います。外部のほうが強力ですが、水草が育ちすぎるとキャビテーションを起こしやすいです。まだ経験数が足りませんが、強力なポンプのついた水中フィルターのほうが恐らく良いのではと思っています。

エーハイムEF-500がコスパ、信頼性、入手性で優れています。

水中フィルターではコーナーフィルターF2は圧倒的な安さですが水流がまあまあ強く便利です。リオプラスは水流用のモーターなだけはあります。

 

底床

ソイルを用います。軽量、多くの家にある、浅くてもある程度色々育つ最初だけ有機酸ブーストがかかる、pHマイナスを入れすぎても極端にpHを下げないことがメリットです。種類銘柄はあまり問いません。有機酸含有量に不安がある(≒元祖アマゾニア以外)ソイルでは、パワーサンドを併用します。結局のところ水草育成におけるソイルの差は有機酸の量の差が最大要因のためです。

実生更新を目的にする場合以外、使い古しのソイルをつかうのはやめましょう。色々トラブルの素です。

CO2添加

30×30㎝あたり1秒0.5滴、くらいが目安です。要するに45㎝でも0.5滴、60㎝なら1秒1滴くらい。もっと少なくても育ちます。上記の出力を発揮可能であれば、方法は問いません。改良型発酵式、化学式、ボンベ式などです。上記程度の出力であればタイマー制御もいらないくらいですが、あった方が気が楽です。

添加材

テトラpH/KHマイナスを用います。

pHは5程度に下げておきます。

中長期維持の差し戻し・底床掃除後にはカナディアンフミン+ケト土を練って底床に突っ込みます。その他、ECAの代わりに釘ピートを添加したり色々やることもあります。

肥料

プロミックを用います。N-P-K=12-12-12のものです。液肥類は用いません。

活力剤として、リキダスとECAを添加します。ECAは釘ピートなどで代替可能ですが、調子が崩れたいざというときに備えて使っています。

タイマー

スマートプラグなどでもOK。ただ私は昔ながらのダイヤルが好きです。

延長コード

防水のものを使いましょう。

水槽台

コスパと信頼のスチール製のものを使いましょう。箱状のものはMDFを使っており、管理上危険です。

コケ取り生体

フライングフォックスの幼魚を60㎝水槽あたり1~3匹です。少し育っていた方がいいので、4~5㎝の個体をショップで買ってきましょう。ヤマトヌマエビは用いません。低pHではすぐ死ぬし、藻類より水草の食害の方が目立つためです。ラン藻が出たときのみ、タニシを使います。そこらにいるヒメタニシやマルタニシが良いです。少数常駐させますが、低pH水槽では最初は長生きしにくいです。だんだんCaが沈殿して溜まってくると、タニシも長生きするようになります。

水槽壁面の藻類はあまり生えませんが、人力で除去します。


管理

立ち上げ

即日立ち上げするためには他の水槽からある程度移植するのが有効ですが、あんがいバクテリア剤も効いている感があるので立ち上げ時に使っています。一番普通で安いGEXのサイクルです。他のバクテリア剤は高額なので試せていません。最初のバタつきや病気の草を入れた時の溶けの拡散を抑制します。

立ち上げの最初はプロミックは入れません。ソイルとパワーサンドで十分です。

さて、

立ち上げで1番肝心なことは状態が良い水上葉(スターティングプラント)を大量に植え込むか、藻類が出ておらず調子の良い水槽から水草を大量に移植することです。組織培養では初期のパワーが不足してしまい、藻類に負けて立ち上げが失敗しがちです。水中葉では藻類を持ち込みやすく、これまた初期のパワーバランスの崩れを生みます。とにかく物量で藻類-水草のパワーバランスを水草側に傾けるのが肝心です。

立ち上げ直後は甘い香りがします。この甘い香りは有機酸を反映しているようなので、これを目安に初期の水替えを考慮します。甘い香りがしている間の換水は勿体無いです。立ち上げ直後に藻類が発生するのは、単に水草の調子が悪いからです。たとえば、CO2添加量をチェックしましょう。

また、甘い香りがしているうちの水槽の水は他の水槽に移植すると育成改善が望めます。捨てるなんて勿体無い。さらにもう一つ。

健康な水上葉を健康な水につけても簡単には溶けません。「水上葉はすぐ溶ける」のは、水上葉の輸送が悪いからです。

水草が溶けるようであれば、この時苦渋しながらも水替えします。栄養系ソイルで水草が溶け始めた場合、吸着系ソイルを上から足すのが有効です。

ちなみにポタモゲトンなどの沈水有茎草は立ち上げたての新鮮なソイルに接触すると(必要な栄養をソイルに奪われ?)そこから溶けるので、最初は浮かせておいたり砂を入れたコップとかに植えておくほうが無難と思います。自力で地面にたどり着いてもらいます。

そうこうしているうちに水中葉がビュンビュン伸びてきます。

水面を覆い尽くすようになってから、最初の収穫をします。

 

トリミング+水替え

水草が増えてきたら切ります。水草の密度と量で藻類を抑制するので、わしゃわしゃにしてからでOKです。

そして最重要なこととして、水草を切ったら必ず水換えをしましょう。切るのと水替えはセットです。同時にやらねばなりません。

切る時は虎刈りではだめです。水草一種一種の個性と枝の出し方を考慮しましょう。種類により、差し戻しも活用しましょう。

水替えでは、pHをガツンと下げた水を入れます。余計な

さて、そうこうするうちに水槽が立ち上がって、色々なものが育つようになってくるでしょう。

しかし、ある時急に成長スピードが遅くなってきます。あれ?最初より遅いな?と思ったら、追肥をします。

 

追肥

追肥は非常に単純です。

この水槽のスタイルは「水槽内の環境を水上園芸に極力近づける」ことです。ライバルの藻類を抑制、GH減らしてPの沈降抑制、pH下げてCO2の重炭酸化抑制、魚の餌による余計な養分の持ち込みを阻止、といったように。

つまり、必要な栄養は園芸肥料と全く変わりません。

だから、総合園芸肥料をそのまま使います。

ただし、水草には有機酸が水上植物以上に重要なので、有機酸添加としてピート煮汁やECAを併用したりもします。が、基本は「プロミックを後ろの方に投げこむ」だけです。そういうのが好きな水草、たとえばケヤリソウやアンブリアの根本とかにぶちこむのが良いです。プロミックは他の肥料より

さて、追肥するとまた水草が爆発的に増えだすので、しばらくしたらまたカット+水替えを行います。

差し戻し+プチリセット

ピンチカットを繰り返すと、成長点が飽和してきます。こうなるとトリミングしても新しい芽がなかなか出てきません。そういう草に関しては差し戻しを行います。

差し戻しが必要な草ばかりになった時はプチリセット状態になります。この時は、ソイルに有機酸補充のため、ケト土にカナディアンフミンを足したものを丸めて突っ込んでいます。

 

藻類が出た!

立ち上げ時からサイアミーズフライングフォックスを入れていますが、それでも藻類が出るときは大抵、厄介な硬い糸状藻類です。(オオバナイトタヌキモやカイミジンコが大量発生していると抑制されます。)

こいつには正攻法ではなかなか勝てません。

攻略は、数日完全に遮光します。

遮光して徒長した藻類はサイアミが食べてくれるのでOK。

遮光するまでの気が起きないときは、リキダスを足して水草のほうを活性化させます。

 

もう一つが滅多にないですが藍藻です。これはタニシを入れるに限ります。タニシをたくさん入れます。タニシはなぜか、あまり水質に影響しません。

 

上記が私の水草攻略です。

水替えは月に1〜2度、追肥も月1、液肥添加も必要ありません。ほぼ放置するだけで状態良く水草が増えます。

水草を状態良く育てるためだけでなく、ストック水槽に手間かけたくないでしょ?という人のためのセッティングです。