実験的に、全くアクアリウムイベントではない場所に水草を置いてみた。
反応は案外、なくもない。というか思ったよりもずっとある。
しかしまあ、全くと言って売れないのは予想通り。
これは1000円だろうが100円だろうが10円だろうが、特に変わらない。(ゼロにすれば貰う人いそうだけど意味がない)
水草単体を適当に並べて買っていくのは、すりつぶして実験に使いたい人くらいである。売り方が悪いのは多分にある。私はズボラだが不真面目ではないので、環境を聞くにとても栽培は無理そうな人に無理やり売ったり、こうすれば100%育てられます!というようなことはとうてい言えないからである。
ただ、
アクアリウムをやっていない人に反応が案外あるのは非常によい印象を受けた。むしろ、アクアリウムをやっていない人の方が、水草の布教先としてはよっぽど優れているのではないか。しかしそのためには、いくつかの技術的ブレイクスルーが必要であるように考える。
魚を入れることは必ずしも重視されていない
生体が入っていないのに苔テラリウムがうけているが、アクアリスト的にはあまり理解しがたいことなのではないか。
売れている理由はシンプルに”コンパクトな緑だから”というところである。
要するに、
非アクアリストにとって水草は「水槽に魚を泳がせる」ことや「魚水槽に緑を入れる」ことより、「室内に緑を置く」方向で重視されている。
要するに、適切に、かつコンパクトに栽培する方法さえ確立してしまえば、非アクアリストからなんとか水草側に引きこんだ方が、アクアリストに水草を売るよりよっぽど建設的に「水草に」ハマってくれるのではないか?
また、水草にはコケに比べて圧倒的なアドバンテージがある。
それは「カビない」「害虫がでない」ことである。
カビは人体にとっても有害だしきわめて印象が悪いが、水草は水中にあるかぎりカビない。藻類にしても貝類にしても、カビや昆虫ほど印象は悪くない。
これは大きい。
水草はなぜ一般層に広まらないのか?
案外、水草は一般層にウケそうである。しかしながら現実は真逆、衰退のどん底に近づいている。これはべつに水草が悪いわけではない。家具を取り巻く環境や、そもそもの金銭が問題である。問題を以下にまとめたい。
水槽がそもそも置けない
そもそも、多くの人は水槽を持っていないし、置く場所もない。
30㎝水槽ですら大きすぎるとためらわれる始末である。そうした非アクアリストが水草を見てどのくらいの容器を想定するのかと言われれば、5L未満、多くは1~3Lの容器といったところである。
正直言うと、
棚にしても机にしても、15㎏以上のものを長期間置けるものは相当に少ない。30㎏もあれば多くの台が歪む。
要するに、
現状市販されている家具があまりにも華奢すぎてお話にならない。
しかも、
水槽台として市販されているものも耐水性のない素材を使った粗悪品が大多数を占める(実質的に、ボックス状で2万円以下のものは全部粗悪品)といった惨状なので、推奨できる水槽台が実質的にない。
令和の世になっても、90年代以前に発売されたスチール水槽台しか私が勧めるに値する水槽台がないというのは、まったく困ったものである。
ようするに水槽台メーカーの怠惰により、アクアリウム文化自体が文字通り台無しにされているのである。
耐水性に問題のない、45㎝水槽以下用の、水槽台ないしそれに耐えうるものの発売が望まれる。もしくは、重量的に制約の少ない、総重量10㎏以内の水草栽培設備の発明が望まれる。
器具や用品が高すぎる
アクアリウム業界が「いかに高い用品を買わせるか」で成り立ってしまっている面がなきにしもあらずな現状であるが、あらゆる面で小さく、貧しくなってしまった現在の日本の若者にとって、ハードルがやたら高くなってしまっている。ためしに買ってみるか、で数万円は出してくれそうもない。
そして大枚はたいて買ってみて、失敗でもしようものなら二度と手を出さないどころか、不買運動を始めるだろう。
そうしたエントリーモデルの水槽としていくらまでが範囲なのかはいまいち不明だが、できれば1000円、最大で5000円あたりが限度だろう。
簡単にするためには高額になるジレンマ
これが本当に厄介である。CO2が最たるもので、CO2添加はあった方が圧倒的に楽だが、そのお手軽さを享受するには非常に高額なシステムが必要になる。
最初の時点では作業が少しだけ面倒だけどだいたい上手くいき、もっと楽するために次のものが欲しい構図でなければならない。
つまり…
毎日ちょっとだけ何かをやるくらいがちょうどいい。
地域差が大きい、特に水!
極めて大きな問題である。水が地域によって違いすぎる。同じ管理でも地域によりうまくいかない。というか人口が多い関東地方東部が絶望的にダメ。これはまあ苔テラリウムに関しても同じなんだけど。。。
日本全国、同じ方法で組んで同じようにうまくいくようでなければ、普及や商品化は(私のプライドが)許さない。
というわけで、構想と要求諸元をまとめてみる。
新型ボトリウムに対する構想と要求緒元
さて、私のソリューション案はこれである。
ではこのソリューションの利点をまとめてみよう。
・水槽を置けない→全備重量10㎏以内
水量を~3Lに抑えることで、水量を減らして重量5㎏未満を実現できる。
水質は悪化しやすいが、生体を殆ど入れず餌もやらない(タニシの稚貝3個程度)ことで解決。案外ヌノメカワニナがいいと思うがクレーム来そうなので…。タニシを使うのはもちろん止水の大敵、ラン藻防止用である。
・用品が高すぎる→小型化し、用品1つ1つの使用量を減らす
安価な田砂/津軽プレミアム/金砂小粒を使用し、高額なパワーサンド(もしくはトロフィカルK)を使用するものの使用量は少量である。
*他の資材でも代用は十分可能だろうが、あえて使うのはむしろアクア業界への忖度という面が大きい
ネクスコートは絶版だが使用料は数粒であり、市販された量が多いことからまだなんとかなる。さらにいえば、他の肥料でも代替可能だ。
・簡単にするには高額になる→人力でカバーする
従来の缶式CO2を使用する。ただし拡散筒を使用せず、水面全体でCO2を吸収させる。CO2は酸素と違い面積があまり大きくなくとも拡散してくれるので、一日中、ある程度添加されてくれるはずだ。
逆流防止弁を用い、CO2添加と排気を1方向にする。出口にプラコップをつけてここに水をためることで、勝手にガスが抜けることを防止、またCO2添加の際に本当に換気されているのかどうかチェックする。
さらに循環に関しては缶式CO2の添加時、水底付近から吹き上げるようにすることで1日1回水が動く。
・地域差が大きい→全国どこでも同じものが入手できるものを使う
ボトルを小さい密閉瓶にすることで、足し水(やめろといってもついついやってしまう)によるさまざまな成分の濃縮を避けられる。
さらに水量を抑えることで、水替えの量が減り、ミネラルウォーターによる換水が可能になる。2Lペットボトル1本で換水、といえば1週間当たり100円くらいなわけで、これなら許容可能なレベルの出費で抑えられるし、全国的に売られている「いろはす」は経験上、水草の保存や栽培に優れている。
ソイルを使わず砂を使うことで、ソイルの経年変化による著しいボトル内環境の変化を起こさせない。有機酸と肥料のみを加えることにより成長促進効果は保ちつつコントロールを容易にする。また砂には肥料を含まないので余計な肥料の溶出と藻類の発生を抑制する。
また図中ではしれっと小さな鉄釘をパワーサンドの中に仕込んでいる。鉄にくっつけることで水中へのリン溶出を防止して藻類を抑制する。パワーサンドの中なので有機酸不足は特に問題にならない。
次は実践!
このように、新型ボトリウム構想を練ってみた。実際に機能するのかどうかはまだ未知数だが、割と行けそうな案だと自負している。
(たとえばCO2ボンベがダサい!となったらそのまま小型高圧ボンベ式に付け替えられるし、発展性もある)
もしこのブログを読んで「やってみたい!」となった人はやってみてほしいし、そのままだったりちょっと改変して実際に作成・販売されてくれても私はいっこうにかまわないし、むしろ嬉しい限りである。
私のアイデアが机上の空論なのか、それともほんとうにいけるのかはまだ未知数である。
ぜひとも感想を聞かせてほしい。