水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

水草水槽に外部式フィルター、は本当に最善か?

前回は水草水槽を始めるにあたって「しんどい」「金がかかる」要素であるCO2添加について述べた。CO2に関しては、まぁ添加した方がいい(とりあえず必要な方には改良型発酵式CO2なり、本格を目指すなら発酵式なり色々ある)というベタな結論なのだが、まぁなくても水草は楽しめるよ、と言ったところである。

CO2添加方法に関してはいつかまた書く記事で述べよう。

 

今度はこれまた金食い虫な「外部フィルター」について述べようと思う。正直いうに、外部式フィルターを水草水槽に使うというのは現時点での良い案の一つであって、決して完成版ではなく、致命的な欠陥を孕んでいる。ただし、ほとんどの方にとってはそれが致命的な欠陥とはならないのもまた事実。

それはなぜなのか述べていこう。

 

ひとまず外部式フィルターはエーハイム2213および、EF500を基準としたい。私自身がEF500、2213、エココンフォート2232、メガパワー6090、テトラバリューエックス、AX-45、そのあたりのフィルターしか使ったことがないためである。

これらはどれも良いフィルターで、今回述べるつもりの問題を回避しているものもいくらか見当たる。しかしながら、まぁ最も一般的な水草水槽用フィルターはEF500か2213だろう。

 

外部フィルターのメリットとして、ろ材の自由度が非常に高いことが挙げられる。エーハイムEF500, 2213には普通高額なエーハイム社製ろ材を入れるが、ネットなどで隔離してしまえばなんでも入れられる。乾かした硬質赤玉土、大粒鹿沼土、富士砂、長繊維ピート、ポンドゼオライト、キャビティ、あたりが常連だろうか。どれも一長一短あるが、そのうち述べよう。

ただし、純正ろ材やグラスリングを使っていても後述する問題は出現するので、変なろ材を使ったからというのは原因ではないことをさきに述べておく。

原因は、「水草が元気すぎる」ことなのである。

 

水草水槽において、ウールマットは特に入れる必要はない。水草の破片は多かれ少なかれ繊維質なのでウールマットは容易に詰まり動作不良の原因になる。ろ材はスカスカに生物ろ材だけ入れるくらいでよく、特に魚をあまり入れないのであればろ材の性能もあまり選ばない(だからろ材というより水質調整剤やミネラル添加を目的とした中身になりがち)。

そもそも水草になぜフィルターが必要なのかわりと意味不明だが(水草を代替するためにフィルターが開発されたと言っていいくらいなのだ)あった方が調子がいいのは間違いない。水流だけ流すよりもずっと良いので、何かしらの作用があるはずだ。おそらくバクテリア叢の安定、アレロパシー物質の分解、分解によるCO2の発生、という3要素に効いており、それにろ材による水質調整を上乗せするのだと私は勝手に推測している。

 

水草水槽に使われるフィルターは外部フィルター、水中フィルター、外掛けフィルターが主流である。

面白いことにこれらにはある程度の法則性があって、レイアウターの店ではひたすら外部フィルターが使われる。

水中フィルターは玄人好みだ。マニア向けの店では水中フィルターと外部フィルターが主に使われ、コアな店になるとエーハイムの昔の水中フィルターばかり見かける傾向がある。

外掛けフィルターはビギナー向けとよく扱われるが、外掛けフィルターで水草をうまく育てている方には最高クラスの実力者が多く見受けられる気がするので、誇っていい。(私のようなズボラには無理だ。外掛けフィルターは水位変動に対する耐性がなさすぎるので、足し水が面倒)

その他の選択肢として案外ありなのがモーター式底面フィルターで、ソイル効果に頼って短期間育てるスタイルでは最も楽かつ好成績といえる。sedimental CO2を水中に供給できるのが強い。(ただしうかうかすると根にモーターが下から上に貫かれ、インペラーが止まって破壊される。)

 

さてここからが本題だ。外部フィルターではしばしば、とある問題が発生する。

水草が最高によく育つ水槽で、水草光合成が活発になった正午すぎに事件は発生する。

ガーーーと音がなりひびき、うるさいだけでなく流量が落ち、しばしば流れがストップしてしまうのだ。そして、流れがストップするとサイフォンの原理で下にどんどん水が溜まり内圧が上がって…さいわい、ここから先に至ったことはまだない。

これは危険と言わざるを得ない。

しかし何故だろうか?

外部フィルターは、モーターケースに入ったインペラーで水を回している。普通インペラーは上から垂れ下がるようについており、モーターからの水流は横に流れてパイプに誘導される。

ここで、「最高の状態」の水草水槽では、酸素が飽和濃度を超えて産生されており、フィルター内部では二酸化炭素が分解により多量に生じている。要するにフィルター内部の水には気体が飽和している。これをインペラーが掻き回すと、運動エネルギーによりこれが微細な水泡になる。炭酸水と同じだ。インペラーは上から垂れ下がるようについているので、インペラーの周りにこのガスが溜まる。インペラーの回転はインペラーの前後にごくわずかな圧力格差を生む。これにより低圧になったところではガスの溶解度が下がる。それだけでなく、この圧力格差のせいで水圧が飽和水蒸気圧を下回り、気泡の周りで水が沸騰する。

これら気化したガスの泡がジェット流となってインペラ周囲にぶち当たる。

この音が「ガーーーー」というエア噛み音の正体であると考えられる。そして多くの外部フィルターの場合、発生したガスはどんどん累積してインペラーの周囲に溜まってしまう。するともはやインペラーが回っても水が動かず、モーターが空回りするばかりで流れが止まってしまうのだ。

本体を揺さぶることでまぁまぁ改善されるが、原因が光合成なので状態Maxになると定刻通り何度でも発生する。(なお、ウールマットを使っているとフィルター内でのCO2発生がシャレにならないのか、より多発する印象がある)

この現象はキャビテーションの一種で、散水機のホースをつまんだり、関節をポキポキ鳴らしたり、シャコがパンチする時などに発生するものが有名である。

ガスの細泡をあらかじめ発生させたところに圧力差を生むと容易にキャビテーションが発生することは有名なことで、笑えない話だがロシアの超高速魚雷にも使われている(泡で身を包んで抵抗を減らすらしい)。

 

さて、これの問題点は単純に「水草水槽というものと、エーハイムEF500や2213のインペラーの直径と配置がキャビテーションを産みやすい」「外部フィルターはモーターが止まった時やばい」ということであって、別に外部フィルターが水草に害悪を及ぼすわけでも、外部フィルターだからやばいというわけでもない。

 

でもこれはちょっと由々しき事態である。

解決案を考えてみよう。

外部フィルターの強みはなんといっても「ガスが逃げない」のと「容量が大きい」の2点である。中身に自由度が高い1L超級の濾過槽はなかなか得られにくい。しかし「ガスが逃げない大容量フィルター」ならば特に外に置く必要はない。そしてそれを満たすのがエーハイムの旧型水中フィルターである。まぁそりゃあコアな店がそればかりになるよなぁと…。水中フィルター自作したり、増槽つける方法もあるけどまぁしんどいし…

あとはモーターケースのほぼ真上から水が出るのであればあまり問題にならない。やたらキャビテーションして音がかなり鳴り、かつ貯まらずに吐出口からやたら泡が出る外部フィルターをひとつ、使ったことはないが知っている…ADAのスーパージェットフィルターである。

やはりアマノってやつは最高に頭がおかしいぜ(褒め言葉)