今回の珍水草はこれを紹介しようと思う。
日本にはハタベカンガレイという、沈水に特化したホソガタホタルイ属がいる。この水草は生息数が少なく滅多に出会えないのだが、それはそれはすばらしいカッコよさである。ハタベカンガレイは知る限り日本にしか分布していないようなのだが、実生株が幼形葉として沈水葉をつける姿はホソガタホタルイ属に一般的であり、世界にも似たような種があるのではないかという予想はついていた。
さて予想通り、マダガスカルにもそうしたホソガタホタルイ属が生息していた。
Schoenoplectiella heterophyllaである。
本種はハタベカンガレイとは遠縁で、ホソガタホタルイ属の中でもハタベカンガレイやイヌホタルイなど日本に分布する種群とは別の、アフリカを中心に分布する亜属に分類される。
さて予想されたような種ならば私があえてブログを1記事書くこともあるまい。
本種は特筆すべきことに、桿に2枚以上の葉がつくことがあるのだ。
いやいやそれがどうした、という人が多いだろう。。。まあわかっている。
でも何度でもいうぞ。
イグサ状のカヤツリグサ科で、桿に退化した葉身が1枚だけ(殆ど葉鞘の一部かのように)くっついているのではなく、それに加えてしっかりとした葉身がついたり、しっかりした葉身から生える桿があるのだ。原記載の図では長い葉身を2枚もつとおぼしき桿すらみえる。
こりゃあびっくりだ。こんな暴挙を許されては、「なぜかイグサ状カヤツリグサでは茎1本あたり葉が1枚で、そうじゃなかったらテンツキとか疑いたくなるよね~」なんてテキトーなことを言えなくなってしまう。
さて本種は標本写真くらいしか見当たらないが、見る限りまさに「マダガスカルのハタベカンガレイ」そのものである。ただしハタベカンガレイよりだいぶ小型のようなので、もしアクアリウムにもたらされればなかなか魅力的かもしれない。
ただそれを喜ぶのは多分、僕くらいだろう。