水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

水草栽培を土いじりから考えてみる。

はじめに…水草における土いじり

植物を育てることを「土いじり」といいます。

日いじりでも水いじりでもなく、土いじり。

植物を育てるのはやはり土であろう、という認識は、本能的なだけでなく本質的なものであろう、と私は思っています。

水草は、一見すると最も土から縁の遠い植物である「かのように」見えます。しかしながら、園芸植物から水草に入ってみると、水槽で園芸植物の様に土を使っても、水草は簡単には育ってくれないことに気づきます。

水草の栽培を最も左右する要素もやはり、土であり、陸上植物に比べてもずっと「土」に敏感であり、この世の園芸用土の中で最も高額な用土「ソイル」の価値にあらためて気付かされ、かつその最高の土をしばしば使い捨てることになる…という残酷な現実に直面させられます。

これまで何度もこの問題について考えてきましたが、2024年2月時点での見解をここに述べてみようと思います。

 

1. 水草栽培は「技術」などと呼べる状況にない

水草の栽培方法を各ショップに聞いてみると、意外なほどに千差万別です。ADA式の方法を用いるショップが多い反面、ADA式を採用しているショップでも極めてくると違う方法を模索していたり、ADA式を使っていたとしても、それで"何を"行っているのかに関して各ショップや個人の意見は極めて様々です。しかも、移転や転居してから全然育て方が違って困惑…というのは極めてよく聞く話でもあります。

ここで、これは「技術」なのでしょうか?

私には「技能」である様に思えてなりません。技術とは伝えられるTechnologyやHowto、技能は伝え難い経験に基づく個人の力量、Artsです。

園芸…睡蓮などの水生園芸を含めて、これらはTechnologyでありHowtoであることを私は疑いません。しかし。水槽での水草栽培はいまだにArtsであり、秘伝のタレであり、継承に失敗し続ける伝統芸能でしかない様に思われるのです。

「何故」うまくいくのか、その仕組みを理解しようとし続けることが、技能や芸能を技術とし、近代的・西洋的な発展を生み出したのだと思います。そうしない限り、職人技はいずれ体系化・量産化された技術に食い尽くされる羽目になるさだめです。正解には程遠くても、的外れと後で批判されることになっても、読み返して恥ずかしい黒歴史になるとしても、とにかくわたしは現時点での思考の系譜を残したいと思います。技術や科学は失敗と誤りの上に積み重ねられ、そのために重要なのは「どう考えられているか」よりも「何故そう考えたか」だからです。

本記事はあくまでわたしの考えであって、盲信してその通りにするための指南書ではありません。こういう意見もあるな、と軽く流してください。

 

2. 2つの仕切りとパラドックス

水槽での水草栽培と、屋外での水生園芸は似ている様ですが、両方やってみると両者の間には難易度に雲泥の差があります。

屋外の水生園芸は基本的に「赤玉土+IB化成」で大抵の種は事足ります。低コストですし、そこに必要な種では骨粉を足したり、油粕にしてみたり…という形で、あくまで「赤玉土とNPK」の導線の上にあるのです。

腐葉土を足すとなお良い」という単純な事実を知るまで、私はなんと10年も「赤玉土に肥料を足すだけ」で様々な水草をそれなりに育て、花を楽しみタネを取り、累代してきました。

しかしながら、水槽園芸に「赤玉土とNPK」を単純に持ち込んでみると、パラドックスが起きます。全然うまくいかないのです。同じ種であっても、種類によっては水上葉ですら、室内の水槽に持ち込んだ途端に外でうまくいっていたドクトリンが破綻して全くうまくいかない、という現象が起きるのです。

夏になると、赤玉土に植えられた某園芸の水草が大量にホームセンターに並びますが、その予後はそのポットがどこに置かれるかによって極めて大きく影響されます。室内に置かれたが最後、多くの種数は1ヶ月持ちません。そうしたpotを買ってみると、根が全然張っていないことに気付かされます。水槽に入れた途端剥がれて浮いた!経験は、試されたみなさんにあるのではないでしょうか?

アクアリウムにおいてはソイルが支配的な状況が続いています。ここ最近砂に再注目する動きをよく見かけますが、やはりソイルの方が色々と楽です。

しかし、屋外の水生園芸において、ソイルは一切広まる様子を見せません。

ソイルで水上葉を栽培する業者はデルフィスただ一社のみですし、水草一番ソイルは「スイレン鉢にも!」と書いているにも関わらず、園芸コーナーで見かけたり、園芸関係者が取り上げているのをみたことは一度もありません。

砂に関して、砂をベースに育てる植物は水槽の水草しかありません(○○砂、と名のつく用土も実際はみな土で、硬い赤玉土のようなもの。)。

つまり、水面と屋内外、という2つの壁を通じて水草の用土は、まるで別の世界があるかの様に仕切られてしまっているのです。

3. その土に根を張りますか?

赤玉土と肥料を使った場合しばしば直面するのは「根を張らない」現象です。

単純な水中の肥料吸収においては水草より藻類に分があるので、藻類の爆発のみを見て水草はからっきし、というのはとても、なりがちです。

ソイルは立ち上げ当初に非常によく根を張る、という優れた特性がありますが、不適切な管理のもとではそのうち根の張りが悪くなり、最後にはだめになる傾向があります。つまり、赤玉+肥料とそう変わらなくなっていくのです。

また、ためしに沈水植物のために園芸用土を用いた場合にも同様の現象が観測されます。すなわち、最初は根をひじょうによく張るが、その後急に根張りが悪くなる…というものです。

砂底床についてはむしろ逆の傾向で、最初に根を張って仕舞えばそのうちよく張る様になります。しかし最初の火力が弱すぎて、なかなか大変です。

ソイルの効果に関しては、様々な可能性があり、私もさんざん頭を悩まされてきました。しかしソイル効果が実在することに疑いの余地はありません。

たとえば、バケツに入れた水生植物の発根にはメネデールよりも、プラチナソイルをぱらっと撒いたほうがよほど効果的です。(根が何故か出ない場合のハックとしてとても有効で、私が園芸家でありながらソイルを外栽培用の植物にも時々使う理由でもあります。)

こうしたソイル効果がソイルの「イオン交換」によるか、「有機酸」によるか、「鉄」によるか、といったところには不明な点が多く、おそらく複合的な要因によります。

ただ、赤玉単体+肥料より、ソイルの方が用土として優れている…というのは確かでしょう。しかしその利点は、減衰するものであって、かつ水上栽培する場合においてはかなり薄れてしまうのです。

4.ウチとソトを隔てるもの

先ほど、根を張らない…と書きましたが、こういう場合に試しにCO2添加量を増やしてみたところ、急に根を張り始める、という現象を経験しました。不思議な現象ですが、屋外で栽培した抽水植物や浮葉植物が用土をあまり選ばない…という事実を踏まえると、いまやその理由は明らかであるように思われます。単純な光合成活性の低下です。つまり、CO2や光の不足により根張りが低下するのだろう…ということです。逆に言えば、CO2および光を最適化すれば根張り問題もおのずと解決する、ということです。つまり・・・根張りを回避するためにはハイスペック設備を揃えろということ・・・なのでしょうか?

しかしながら、なぜ”立ち上げたての用土では根張り問題が発生しないのか?”ということや、”立ち上げてから時間のたった砂底床では根張り問題が発生しにくい”のか…といった現象の説明はできません。

そもそも、根張りしているうちはCO2添加がかなり少なくても育つのです。

さらに、根張りが悪くなる…というトラブルが発生する条件も説明が困難です。

そうなる場合とそうならない場合がある・・・という問題も解決していません。

おそらく、良好な光および大量のCO2を添加する条件では赤玉土+IB化成のみでも栽培が可能なのでしょうが、これは設備投資的に実現困難と言えるでしょう。また、「CO2を添加さえすればいい」というだけではあまりにも味気がないのです。

さらに、水槽内で水草に求めるのは「そこそこの成長」であって、湖を丸ごと埋めてしまうような本気の成長かといわれると疑問です。ハイスペック環境でムキムキのボディビルダーを育てるのではなく、そこそこ育ってそこそこ楽しめる程度のお手軽な栽培を目指したいのです。となると、ウチとソトの問題を単純に解決するよりも、用土の問題を改善して、家庭でも容易に揃えられる程度の設備で栽培を行えるようにした方がずっと効果的ではないか…?と思うのです。

5.水から見るか?土からみるか?

アクアリスト水草を栽培するにあたって、最も重視されてきたのはなんといっても「水」です。水こそが最も重要で、水さえ改善すれば水草は育つ、そう信じられているように思います。

水に関しては、少なくとも光合成の観点からすると答えは非常に明白です。

遊離炭酸を増やすこと、これが最も肝心です。

というのも水草はどの種であっても重炭酸イオン(HCO3-)の吸収率が悪く、かりに重炭酸イオンをわざわざエネルギーを使って遊離炭酸(H2CO3)にしてから吸収する…といったことをしています。そのため、遊離炭酸を増やすことにより光合成効率が上昇します。

炭酸とHCO3-の平衡

[H+][HCO3-]/[H2CO3]=K1(水温に依存)

より、[H2CO3]=[H+][HCO3-]/K1

ここで[H+]が上昇するとpHは下がるので、pHは低い方が栽培には有利です。

*参考:HCO3とCO32- の平衡(水草栽培を行うpHではあまり関係しない)

[H+][CO32-]/[HCO3-]=K2(水温に依存)

水温26度の場合、淡水中のH2CO3, HCO3, およびCO32-の存在比(%)は、このようになります。

水草光合成にはH2CO3、藻類の光合成にはHCO3の量が重要です。

pH

H2CO3

HCO3 CO3
5.0 95.8 4.2 0
5.5 87.9 12.1 0
6.0 69.5 30.5 0
6.5 42.0 58.0 0
7.0 18.5 81.5 0
7.5 6.8 93.0 0
8.0 2.2 97.3 0.5
8.5 0.6 97.9 1.5

猿橋勝子. (1955). 天然水中の物質代謝の研究 (第 2 報) 水中の炭酸物質の平衡濃度比について. 日本化學雜誌76(11), 1294-1308.

弱酸性の軟水…というと、pH6.5くらいを想像しますが、pH6.5の時点でも溶存する炭素の半分以下しか水草に利用しやすい形ではないのです。単純に同じ量を溶かすとすれば、CO2添加量はpH5.0時の倍を添加すべきである…ということになります。pH7.0ではもはや水草の利用できるCO2は2割にも満たず、これでは肥料やCO2を添加すればするほど水槽が藻類に呑まれるのは当たり前のように思えます。

pH6.5以上で過半数を超えてくる、HCO3-を利用できるのはごく限られたグループ、たとえばトチカガミ科やヒルムシロ科の水上葉をもたない沈水植物がいい例で、この手の水草が現在の水草レイアウトに用いられることは殆どなくなってしまいました。つまり、現状主流の水草をやるにあたっては水のpH6.5は最低ラインで、pHはどんどん下げた方がいいだろうが、その効果はだいたいpH5.0で頭打ち…というのが、「水サイド」からの見解となります。

では、土サイドからはどうでしょうか?

6.土のpHはどの程度がよいか?

水の面からいうと、酸性の水が水草の成長には良いだろう…ということを書きました。しかしながら、実際に水草の生えるところが酸性の水ばかりかというと、そうではありません。水上葉をもたない沈水植物の場合、むしろpH6.5~8といった測定結果が多いようです。ただこれはしばしば昼間pHで、これは水草自身の光合成によって劇的に変化するのであまり参考になりません。水草光合成による影響を除外して本来の水質を評価するために本当に測るべきは深夜から明け方の夜間pHです。しかしそれでも、pH5.0のような環境で育っている水草はやはり多くはありませんし、特殊なものたちといえます。水槽では下げた方がよく育つことが多いのに、とても不思議です。

しかし、土の面からみるとあまりにpHが低いことは寧ろ害悪であることに気づかされます。

地殻を構成する主要な元素であるアルミニウムは、pHが低くなると溶出して植物の根に対して強力な毒性とリンをはじめとした栄養分の吸収阻害を起こすためです。アルミニウムの化学動態は複雑で、かつ溶解する量も非常に小さいので測定は困難ですが、概してpHが低いほど毒性の高いAl3+イオンとして存在し、pHが上がるごとにやや毒性の弱いAl(OH)2+, Al(OH)3+…と変化し、中性付近ではAl(OH)3+として不溶性となります。溶けだしていないアルミニウムに毒性はないので、土のpHは中性付近がよい…ということになります。

アルミニウムの他にもpHが低い場合様々な元素の吸収低下を起こします。鉄やマンガンは逆にアルカリで不足、酸性で過剰となります。これらから、土壌pHは5.5~6.5が適正域、5を切るとツツジ科やジャガイモ以外は危険、というのが一般的な意見のようです。

となると、pH6±0.5を目安に水質維持をしていけばよいのでは?と思えてきます。しかし事はそう簡単には進みません。アクアリウムには水と土以外にも色々なものが出入りするうえ、土壌中にはどんどん様々なものが蓄積し、それらによるpHの低下や上昇が起こるためです。

7.土壌pHと水のpHはなかなか釣り合わない

陸上園芸において、土壌pHは勝手に下がっていくものだとされています。これは雨により石灰分が流亡するとともに、肥料の成分でもある硫酸イオンや、窒素分の硝化により生じた硝酸による影響が大きいとされます。しかし、これは雨を前提とした場合であって、地下水のpHが7.0以上の地域においてはむしろアルカリ化が問題になる場合もあります。水槽内の土壌pHは源水がどのようなものであるかに左右され、最初にアルカリ化するか酸性化するかは予測がかなり困難です。特に関東地方においては水道水のpHが7.0以上は当たり前、8.0を超えることすらあり、土壌pHが上がる方がまず問題になります。さらに土壌pHは水槽内での硝化…アクアリウムではろ過ともいう…によってその後下がる傾向を見せるはずなので、特に魚を多く買っているような水槽では土壌pHが繰り返されるアルカリ性の換水により影響されるか、土壌pHの低下により影響されるか読めたものではない…ということになります。しかしそもそも、そういう状況になった場合、「水中はCO2を取り込めないほど高pHで、根は根が張れないほど低pH」という時期を通ることになりかねません(水のpH7.5、土のpH5、とか)。これでは何の水草も育たなくなる時期ができてしまうのも納得がいきます。

こうした高pH水域ではpHマイナスで水のpHを下げないと栽培に不適ですが、pHマイナスには硫酸イオンが含まれるため、連続で大量に使用すると土壌pHを下げて水草にとって不適土壌にしてしまう恐れがあります。

たとえば当方の水道水はpH7.3に固定された緩衝液になっているらしく、pHマイナスを大量に添加しないと目標pHの5.5に達しない状況です。そのため、長期的にみてpHマイナスの過剰・連続使用による土壌pH低下を起こし、根張りが悪い…というトラブルが頻発するのはある意味、当然と思われます。逆にpHマイナスを添加しないと半年もすればソイルのイオン交換によって水質がpH7~7.5前後に固定されてしまい、やはりほとんどの水草が育たない状況となります。こうなると最後、pHマイナスをいくら添加してもpHは直ちに元の値に戻り、魚はpHショックを起こし水草は枯れ、どうにもなりません。餌を大量にやる環境では土壌pHがその後下がってくるため、そのあたりで底床掃除などを組み合わせて硝化のコントロールをすればあるいは…うまくいったためしがないですね。

しかし、ここでまた最初の疑問が戻ってきます。

屋外の水生園芸では、こんな苦労はしたためしがないのです。

少なくともアクアリウムほどには。

8.それでもアクアは回っている

さきほど土中pHが5を切るとまずい、という話をしたはずです。しかしそれにもかかわらず水槽のpHが5どころか4台だという水草水槽のなかに、非常によく機能しているものがあることは厳然たる事実です。そして、そうした方の水槽でうまく育っているような植物が、他のソイルや赤玉土ではpH5.5やときに6などで成長障害をおこし、根張りができなくなって土と接した部分から溶けてしまう…という光景を見るのもまた、アクアリウムの不思議でもあります。

9.土中低pHに根はどう対処しているのか

そもそも、低pHはそれ自体がどれほど「水草の」根に対して害を及ぼしているかはなはだ疑問です。多くの水草は(水上でなら)長繊維ピートやミズゴケに植えても育ちますし、そもそも新品のソイルじたいが酸性土壌です。池沼の堆積物も基本酸性ですし、熱帯性水草の自生地もまた酷い酸性土壌です。

これらのpHが5を切っていることを考えれば、pHが低いことそれ自体が深刻な影響を及ぼしているかは疑問です。

さきほど土壌の低pHによる毒性の大きな部分をアルミニウムイオンの毒性が占めている、と書きました。これに対する植物の応答をみることが、ある程度のヒントになりそうです。そもそも水苔や長繊維ピートはろくにアルミニウムを含んでいないので、pHが低くてもアルミニウム毒性の影響は受けにくいでしょう。

アルミニウムは根端に集積され、根端の細胞に作用して根の伸長と細胞分裂をともに阻害します。つまり、酸性のアルミ毒性が問題になる土壌にはそもそも根が入っていけない…ことになると思われます。では、いったん根を張った後に低pHとなりアルミニウム毒性に晒されたとき、逃げられない植物の根はどのように対処するのか…についてみてみます。

アルミニウムに晒された植物のストレス応答は

・根周囲の水素イオンを取り込んで根付近のpH自体を上昇させる

・根酸(有機酸)を分泌することでキレートする

・アルミニウムをトラップして根の周囲から除去する

・アルミニウムによる影響で起きる反応の下流を抑制する

等が知られています。

このなかで特に前二者は水槽内の環境を考える上で非常に重要だろうと思います。健常な根が張られていることにより、アルミニウム毒性の除去と土中pH低下抑制の両方が期待されるためです。また、有機酸によるキレートはアルミニウム毒性を考える上でまた重要で、大量の”無害かつ有用な”有機酸を含む土壌…例えば一部のソイルでは土壌酸性化の水草への影響が著しく抑えられると考えられます。

また、水草にとってミネラル吸収のために根酸および有機酸トランスポータを介したミネラル分の吸収が極めて重要で、かつ水中という莫大な水量が周囲にある環境では根酸がきわめて不足しがちである、ということも重要なことです。

つまり、いったん根がよく張って「立ち上がった」水槽では、多少の土壌pH低下や土壌の貧酸素くらいでは問題は発生しないだろう、ということです。これは一旦立ち上がった水槽をリセットしてしまうと急に根を張らなくなる現象とも、経験則的に合致します。

さらに地下部の発達や有機酸を根の周囲にダダ洩れさせて周囲の環境を改変する、というのはかなり植物にとって労力を要する作業であり、好適な環境で光合成が盛んにおこなわれているか、体力が有り余っているときにしかできないことです。

10.根の酸欠はあるのか?

ソイルの粒が潰れると泥化して根が酸欠になり成長が…というのはよく聞きますが、迷信だと思っています。まずソイルは高pHで固く、低pHになると潰れやすくなる性質があります。(試してみてください。)つまり、潰れているということはそこのpHがそうとう低いのです。そして、ソイルが潰れるほどpHが低いということはアルミニウム毒性が問題になる領域にさしかかっている、ということになります。さらにいえば、田んぼに生えている植物が底床の酸欠でダメージを喰らうとも考え難いです。なので、酸欠以外のダメージ要因、おそらく土壌低pHによる根のダメージにより、根が動けなくなって酸欠を起こしているのだろうと思います。

新鮮で生きた根は光合成で得た酸素を土中に供給し、根の酸欠問題をおのずと解決します。沼地に生きることが前提の水生植物にとって根が貧酸素に強く、かつ地上部で生産した酸素を根に大量に送り込んで成長を促進し土壌を好気化するのはむしろ、必須条件の類に入ります。水生植物いぜんに湿生植物の段階で獲得している形質なので、「水に沈んでも生き永らえる湿生植物」であることが多い水上形と水中形をもつ水草はほとんどが大丈夫です。湿地や水中の土中に、陸上でみられるような土の団粒構造は存在しません。水草は、土の団粒構造ではなく水草自身および周囲の水草の根張りによって根の酸欠問題を解決しています。

となると。

水草にとっての「堆肥」とは何なのでしょうか?一般に園芸や農業では堆肥の機能は「土の団粒構造を作り、根に酸素を供給し、微生物を活性化させるため」とありますが、水草に対して堆肥を使うと短期間だけですが非常によく効きます。ただ効果がすぐ切れるのが難点で、何かしら、堆肥に含まれる「なにか」を消費的に利用しているのではないかと思わされます。その正体はまだよくわかりませんが、おそらく堆肥に含まれる有機物のキレート能や生理活性を利用しているのではないか、と思っています。少なくとも赤玉等の園芸資材で沈水植物のみを育てるにあたって、当面の間完熟堆肥は必須アイテムといってよいでしょう。

11.パンタナール水槽は崩壊しにくい

有茎草をあまりに放置すると水上化した部分がやたら育って水槽が湿地…パンタナール湿原の縮図と化しますが(よくそうなる)、案外そういう水槽は根がやたらよく張っていて、かきわけてみると枯らした種もとくにおらずむしろ元気…ということが多いです。CO2も止まっていたりするので、実に不思議に見える状況ですが、おそらく水上化した株が活発に光合成して、根に酸素と有機酸を供給し土壌pHを適正化した結果他の株もよく根を張って生育が活発化し、よい状態が保たれるためではないかと考えています。さらに、ボトルアクアリウムを作るにあたっても抽水性エキノドルスなどが1株あるだけで根元の水草が育てやすくなる(CO2やpHを調整せずとも勝手に育つ)現象があるようです。水上からの酸素(またそれを用いた根の呼吸による二酸化炭素も?)の供給は非常に効果的な可能性があります。

そういえば、屋外栽培で沈水植物を育てるときには抽水植物を一緒に植えるのが鉄板の技でした。センチュウ退治を兼ねた定番かつマストアイテムなセリとムジナモのほかにも、タヌキモとイグサ状カヤツリグサ科、ガシャモクにミクリ、などなど色々「なぜかそうするとうまくいく」とやってきました。なぜ難易度が下がる理由が、ひたすら遠回りしてようやくわかった気がします。

さらにいえば、山崎美津夫がマダガスカルキツネノマゴとヤマサキカズラをとりわけ大事にしたのも納得がいきます。これらは抽水性で根張りがよく、かつそれら専用の照明を用意する必要もないために、根をもちいた水中環境の改善を狙ったのかもしれません。そしてその対象には魚のろ過だけでなく、水草の状態改善も含まれていたであろうことは想像に難くないです。

また、活力の高い水草は最初非常によく根を張るので、元気な水草を大量に植え込むことは水草全体の根環境を改善します。水草水槽黎明期から存在するスターティングプラントの概念がまさにそれで、現在もSONOさんをはじめすばらしく魅力的な作例を作る方々に継承されています。

12.水草はN, P, Kの3要素に支配されるか? 

土と言ったら切っても切れないのが肥料です。植物にとっての三大栄養素とはなんといっても窒素、リン酸、カリウム三大栄養素です。しかし、水草用製品をみてみると、この三大栄養素についてはむしろ軽視されているようにすら感じます。肥料法の問題があることが販売側の原因の一つでしょうし、利用側としてはへたに添加しすぎると底床の低pH化をさらに推進してしまう問題があるためかもしれません。(私もそれで結構やらかしましたし、それを意識するようにしたところ劇的に改善したとの声も聞きます。)リンに至っては藻類の原因と名指し迄されてリン吸着剤が多数市販されるほどです。

ただひとついえることとして、屋外の水上葉はたしかにN, P, Kに支配されておりやればやるだけ育ちますが、室内の水中葉はどうもそうとは限らないようだ、ということです。原因は大きく二つあって、ひとつはCO2や光はじめ、より強力な因子が他に沢山あること、もうひとつはCa, Mgによる吸収拮抗です。

13.NおよびPについて

NおよびPについてはpHによって要求性が大きく変わるように感じています。低pHではN, Pともに利用率が低下するため、より多い量の施肥が必要になる(恐らく藻類にとっても利用率が低下している)反面、やや高pHで同量を施肥すると吸収しきれず、簡単に藻類が爆発します。特に低pH域においてはPが重要だと感じています。というのもpH5台で谷型(N, K>P)肥料を使用した場合、葉の赤みが薄れ緑ばかりになり、成長が急激化するものの後で溶けやすい…という陸でよく見るN過多の症状が出るためです。なので、pH5台の場合はむしろ平坦型か山型(Pが多い)の方がいいように思います。ただ魚の糞は山型もいいところのPリッチですので状況によるでしょう。さらに陸上植物の場合、N過多でCa, Mgが欠乏するとさらに溶けが発生しやすくなります。低pH水槽では水中のCaやMgはほぼ沈降しており(GHもゼロ近いので)、根張りに問題を抱えた場合にはそれらの欠乏は必至でしょう。

ちなみに、水草の「溶け」の多くは細菌感染による軟腐病だと思っています。これらの原因菌は日和見感染症といってよく、通常は悪さをしませんが感染しやすい植物を植えたり、またN過剰Ca, Mg過少で細胞壁が脆弱化したりすると病原性を発揮します。さらにこうした細菌の至適pHは中性付近で酸性になると増殖能が落ちるものが多いため、原因菌が特定できないことを棚に上げたうえでも、pHが上がると溶けが頻発するのは低pHによる増殖抑制が外れたため潜伏していた軟腐病の発生条件が整ったため、だと思います。

トニナsp.などはとくにNとPがとても大事な印象を受けていて、アピストを育てている方のところで良い成績が得られがちなのも納得です。水草のみを育てる場合と魚を入れる場合で、Pを足すかどうかはかなり変わると思います。そして、N過剰はやはり溶け…もとい軟腐病への易罹患性のもとです。Nを足すならPとKも。Pは魚への餌やりがないなら過少、エサやりするなら過剰。おそらくこれは肥料を考える上で極めて重要です。

 

14.K, そしてCa, Mgについて…

K, Ca, Mgがおそらく水草を育てるにあたって最も地域差が大きい部分です。これらは互いに吸収拮抗するため、農業的にはCa5: Mg2: K1の比率がよいといわれるものの、水道水の硬度は地域によってかなり大きく異なります。しかもアクアリウムで「硬度」と言った際にはCa+Mgの推定量という値でしか測定が困難であるため、Ca過剰Mg過少…やその逆が起こりがちです。基本的にはK過少Ca過剰Mg過少、と考えて5-2-1を意識しつつKとMgを足す、もしくはCaのみを沈めてCa-Mg不均衡を改善し(たとえば、塩酸と硫酸の混和物を水槽に添加する…テトラpH/KHマイナスがまさにそれ)、そのうえでKを足す(ブライティKなど)、などの対策が考えられます。結局突き詰めてみると、多くの会社が製品を出している思想とそう変わらないのでしょう。

また水草においてCaやMg、とくにCaに関して問題なのが、陸上植物においてはCa毒性は殆どないものの、生長点付近に常にCa濃度の高い水が接した場合に細胞壁の伸長を阻害するのではないか?という懸念があることです。硬度の高い水が水草にとってよくない…というのはずっと言われてきたことですし、上記はあくまで私の想像に過ぎないものの、本来陸上で生育し、根からCaを吸い上げて茎頂に運ぶはずの植物が水中に適応し常に外部からのCaに晒された場合、何らかの問題がありそうな話ではあります。なぜなら、いつもの話ですが…抽水植物や浮葉植物では硬度だけでなくCaやMgの量に関してもろくに気にしなくてもぐんぐん育つためです。気にして苦土石灰の量を増減したり骨粉を撒いたりするのは、最難関抽水植物であるハスくらいです。ただしこれに関しても「抽水植物光合成に苦労していないので根張りと根酸に割けるリソースが多い」というのは大きいと思います。

土および肥料の観点から考える上で、水道水のCa、Mgの量がかなりのもので、しかもまったく読めないというのは大問題ですが、水草水槽においてそれを過剰に気にする必要があるであろうことは沈水植物がやはり水中のK, Ca, Mg比にかなり強く依存しているためでしょう。

また、南米水草などの低pH、GH0、TH0、とされる水質に生育する水草がCaやMgを必要としない、というのは誤りです。そもそもMgがないと葉緑素すら作れませんし、CaもMgも必須な栄養素です。

南米の水にCaやMgがないのは全て沈降しているためと考えた方が自然です。たとえばエグレリアは南米水草の中でもかなりpHが低いブラックウォーターにも生育するようですが、そのような水質にした水槽内に浮かせておいたり、RO+ソイル単体といった環境だと全然ダメで、水替えをpHマイナス添加水道水に変えたうえで根をしっかり張ると急激に育ち始めます。つまりCaやMgといった”硬度物質”はこれらの植物にとって専ら根から吸うものなのだろう、ということになります。陸生植物がそうであることを考えれば水中のCaやMgがなく根から吸うことだけを考えればいい環境は新規に水中適応するには合理的であるように私には思えます。スターレンジも案外RO+ソイルだけだとうまくいかない印象があり、じつはCaやMgを結構必要としているのでは?と思っています。

いっぽうで硬度のある水を好む、といわれる種…たとえばポタモゲトンやアナカリスなど…にしても、「なぜか硬度があるにもかかわらず育たない」という局面はしばしば存在します。それはおそらく硬度の内訳が問題で、Ca過剰Mg過少か、Ca過少Mg過剰、あとはK過少が発生しているのではないか?と予想します。なお、これらの原因はあるていど地質を読むことで推定可能かもしれません。千葉県のように貝化石を通っている場合はCa過剰が問題になりそうで、Mgの意識的な添加が鍵になる気がします。

さらにこれらの「硬度必要系水草」についていえることで極めて重要なのは、寧ろ他の水草が「硬度殆どなしでもやっていける」ことです。水草が根からCaやMgを吸うか、生長点から吸うかはよくわからない…と書きましたが、これら水中スペシャリストを除いた場合、根からCaやMgを吸わせるだけで栽培が可能になると考えられますし、現状の「弱酸性の軟水」ドクトリンはK-Ca-Mg問題を単純化し、陸上植物の管理に近づけるうえでは非常に効果的ではないかと思うのです。但し、この戦略を実現するためには戦術レベルでの目標達成…つまるところ、根の充実が必須となります。そして、上述したように根を充実させるというのは水草の水中栽培において、当たり前のように見えて当たり前ではないのです。

なお、水中のCaやMgを吸収するにあたっても土中のCaやMgを吸収するにあたってもキレート化はきわめて重要であると考えられ、水槽に入れる水草を多くすることやキレート効果のある物資(たとえば堆肥)の導入、キレート化されたイオン添加(要するに市販液肥)といったものが必要と言っても過言ではありません。フィルターで何をしているか、水が立ち上がるとなぜ水草が育つようになるか、というところにも、もしかすると、フィルターで生じた有機酸が遊離金属イオンをキレートし、水草にとって利用しやすい形にする、という働きがあるのかもしれません。もしそうだとすれば、フィルターではなく水草栽培においてはコンポストと呼ぶべきでしょうし、そう考えるととても納得がいきます。よくフィルターの効いた水槽で堆肥添加は必須ではない、これはアクアリウムの常識であり伝統ですから。

 

15.鉄について

水草を探してフィールドワークをしていると、手が信じられないほど鉄くさくなります。鉄が濃い場所では水草が一見いなさそうな場所でも水草が生き残っています。たとえば赤さびた水路では底が見えないほど濁ったところでもアンカーやカギ棒を入れると水草がみっしり生えていることがよくあります。このように、水草にとって鉄はきわめて重要なものであると予想できます。鉄は低光量での光合成活性をあげるといわれていたりするので、かなり暗いだろう濁り水の中で水草が繁茂できる理由の一つでありそうです。そして、これはどうしても照明が暗くなりがちな水槽内においても鉄をうまく取り入れることで栽培が容易になりそう、と非常に有望に思えます。

しかし鉄はpHが低いほどよく吸収され、低すぎるとむしろ過剰症状を起こす…という問題があります。つまり、土壌pHが下がりすぎた状態で鉄過剰、というのは寧ろよくないのです。経験上も、水槽内で根が赤さびるような鉄量になった時、あまり根張りがよかった思い出はありません。なぜなら、水槽内で根が赤さびる、というのもまた、アルミニウムの項目で話したのとよく似た機構による、水草の鉄毒性への応答だからです。

水槽内で水草の根が赤さびる状況を目にすることはあまり多くはありません。しかしこれは底床内に鉄が不足しているため…とも言い切れないように思っています。なぜなら、同じ底床(たとえば水草一番ソイル)を使って抽水植物を植えるとしっかり赤さびるのです。

植物の根にとって底床内pHが下がりすぎた状態は鉄毒性も大きな問題になります。嫌気条件かつ底床内pHが下がると不溶性の鉄(III)イオンが可溶性の鉄(II)イオンとなり過剰に根から吸収され、鉄過剰による毒性を発揮するのです。さらに鉄は植物体内の移動性に乏しいため、根で過剰になった鉄を全身に分配して…というのも難しく、過剰な鉄への対処は、植物の湿地環境への適応においてかなり初期段階に必要なことなのです。

水草の鉄過剰に対する応答はきわめてシンプルです。

・根に酸素を送り込み根の周囲を好気条件にすることで鉄(II)イオンを酸化し鉄(III)イオンにして不溶化・析出させ、必要な分だけを適宜根酸で取り出して利用する。

つまり、根に酸素を送り込むだけの高い光合成活性がなければ、鉄毒性に対処できず、「根が張らない…」で終わる、そういうことです。逆に言えば、抽水植物などの光合成盛んな植物がよく根を張った条件では底床内が好気化し、鉄やアルミニウムの毒性はそこまで問題にならないだろう…ということでもあります。

先にも書きましたが、鉄は草体内移動性が極めて悪いです。そのため鉄はイメージとは裏腹に、底床内肥料よりも液肥の方が有効に取り込まれる可能性が高いと考えます。さらに鉄イオンはキレート化されていないと植物に効率よく取り込まれません。とくに有茎草は通常の植物からすると信じられないスピードで根から生長点が遠ざかっていくので、水中のキレート化された鉄イオンが常に存在することは非常に重要です。最初に述べた鉄の豊富な環境の水草にかんしては鉄の豊富な土に水草が生えているというより、鉄の豊富な水に水草が生えている、そう考えた方がよさそうです。

16.結局、ソイルとは何なのか

最後に、ソイルとは何なのか、ということについてここでの見解を述べてみようと思います。端的に言ってしまえば、ソイルは「泥状に巻き上がらない完熟用土」です。

水中の水草には光合成面で大きく不利な点があるため、陸上植物よりも用土の腐植質に対する依存性が著しく大きいと考えられます。そのため腐植質をしっかり完熟させた用土が必須です。当方でも屋外の抽水植物や沈水植物を育てる上での有用性に気づいて作り始めましたが、出来上がったものは泥そのものであって、美観の面から水槽に導入できるかと言われればそういうわけではありません。

さらに水槽内では水草光合成が落ちるために根への通気および根で行われるさまざまなストレス応答が低下するため、立ち上げ初期の根が張り始める段階においては底床に通水性があったほうが有利です。光合成が活発に行われて根がしっかり張ってしまえば周囲の根から酸素が供給され、通水性はむしろ生育を阻害する要因になりかねませんが、少なくとも草体に活力がなさすぎる水槽栽培においては、その方が有利です。

なお水生園芸で用いられる浮葉や抽水植物の栽培の場合、用土は「よく練って通水性をゼロにする」のが鉄則なのです。その理由はここまで真剣に読んでくれた方はわかるでしょう…根は根のごく周囲だけを生育に適した条件に整えるのであって、通水性が下手にあると余計なエネルギーを使ってしまい不利なのでしょう。だから、水生園芸でソイルを使っても園芸用土と変わらないかむしろ劣る…のです。そして冬場から春先になると水生園芸家たちは凍てつく寒さの中、かじかむ手で鉄くさい土を練り練りすることになるのです。

つまりソイルとは、「活力のたりない水槽栽培を立ち上げるために用意された補助輪」なのであって、将来的に照明やCO2添加、肥料などが充実し抽水植物と同等の光合成活性を発揮できるようになったり、もしくは抽水植物を植えて土壌改善しながら沈水植物を育てる栽培スタイルが普及されていった場合には、要らないものになるのでしょう。ただそれが近い将来なのか遠い未来なのか、私にはまだわかりません。

 

17.まとめ

上記が水草栽培を、土づくりの面から考えた内容となります。内容はできるだけ平易にしようと試みましたがそれでも難解な部分が残ってしまったのは、ひとえに私の理解不足ゆえです。しかしどのカットから切り取ってもいえることはいくつかあるので、最後に「こうした方がいいんじゃない?」という内容についてまとめてみます。

1.根がきちんと機能するには、地上部の光合成活性と体力が必須。

2.底床内の酸素は水ではなく水草が供給する。

3.根がしっかり機能すれば、多少育成条件が外れても水草側が補正可能

4.肥料はバランスが重要。水道水の硬度は肥料的にはブラックボックス

5.金属イオンの取り込みや生体防御には適切な有機酸が必須。

これらが正しいのかそうでないのかは私にはわかりません。しかしこれを読んだ方が「こういう意見もあるんだな」と色々やってみたり大爆死したりすることを積み重ねて、水草栽培が技能ではなく技術に進歩することを、私は望んでいます。