水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

レッドを冠するハイグロフィラ達

レッドという名前がついた水草は混沌になりがちである.赤いという属性が著しく重宝されたためだろう.

しかも,元からカオスになりがちで適当に扱われてきたハイグロフィラとなると猶更である.

今回はハイグロフィラspレッド,ハイグロフィラspレッド メキシコ産,アラグアイアレッドシャープリーフハイグロフィラ,アラグアイアレッドハイグロ/アラグアイアツーテンプル,レッドナローリーフハイグロ,アマゾンハイグロレッドラインあたりについて.

 

ハイグロフィラspレッド

→開花待ち,現状では同定できていない.

葉長10㎝を超える大型のハイグロフィラで,水上葉は長楕円形.水上葉がマットな赤紫色を帯びる.葉にはうっすらと微毛が生える.水中適性は低いと思われる.別名ハイグロspレッド,レッドツーテンプル.但しツーテンプルとも明らかに異なる.ハイグロフィラ サリチフォリア レッドと呼ばれることもあるが,H. ringens(=H. salicifolia)であるかは未だに確かめられていない.原種がぱっと見では思いつかないため,開花を待っている.

 

ハイグロフィラspレッド メキシコ産

Hygrophila ringens

アラグアイアレッドシャープリーフハイグロを一回り大きく,直立させたような水草.花もアラグアイアレッドシャープリーフハイグロに比べて一回り大きいが,サイズ以外の特徴は酷似している.水上ではあまり赤くはないが,水中では赤みを帯びる.本種もアラグアイアも元々はアジアの個体群であると思われる.この手の細葉系H. ringensはどれも水中適性が高くはない.前述のハイグロspレッドとはあきらかに別種.

 

アラグアイアレッドシャープリーフハイグロ

Hygrophila ringens

南米産と銘打ってはいるが,花をみるにアジア産H. ringensの一つと思われる.レッドメキシコ産を小型にしたようなもの.ハイグロフィラ数あれど,その中でも特に種子繁殖が旺盛であり,現在流通するものの形質が安定しているのか怪しい.このような細葉のH. ringensらしきハイグロは様々なものが流通しており,たとえば斑入りの”チャイ”や”ラクストリススモール”,”レッドメキシコ”,”ニードルリーフ”などなど.

 

アラグアイアレッドハイグロ/アラグアイアツーテンプル

Staurogyne stolonifera

こちらは間違いなく南米産で,ハイグロフィラではない.名前が2つあるが,同じものなのかもしれない.どちらも葉脈が赤く大型の細葉系アマゾンハイグロで,匍匐茎と直立茎をもつ.概形はアマゾンハイグロポルトベーリョを大型にして,葉脈を赤くしたようなもの.葉脈以外は基本的に緑系~黄褐色で,全体に赤いわけではない.海外にも広まったようだが,現在では殆どが絶え,現存するものがあるのかは不明.

 

ハイグロフィラspレッドナロー

Hygrophila costata/Hygrophila guianensis (?)

いまのところピーシーズ図鑑くらいでしか確認できていない南米産ハイグロフィラ.見る限りスタウロギネというよりは南米産ハイグロのH. guianensisではないか?と思う.多分現存はしていない.

H. guianensisは系統と条件によりかなり赤くなる.H. costataにまとめられる場合もあるが,非常に変異幅が広く,流通するうえでは細かく分けることが望まれる.海外ファームでは学名表記で統一する動きが出ているが,正直いうと混乱をさらに大きくしかねない.この辺の話は他の記事でやりたい.

 

おまけ:ルブラハイグロ:Ludwigia glandulosa 互生だよ.

おまけ2:アルテルナンテラもよくハイグロフィラと混同される...

 

さて,「ハイグロフィラで赤くて細い感じで対性」というだけでもこんなカオス.そして由来もカオス.じつに,水草らしい状況ですねえ...