このシリーズはたぶん万人に受けない(むしろ批判を集めるだけ)気がします.まぁ,さておき.
前回,突き抜けアクアの可能性について書きました.思えばADAがずっと前からやってますね.エキノドルスが突き抜けるとか.最初期からあります.
昨年の展示会にはコロナの都合で行けませんでしたが,水中・水上ともに素晴らしい抽水レイアウトが多数展示されていたと聞きます.
ただ水上と水中を両方シャッターに収めるのは難しいことなどから水中レイアウトが中心になっているのが現状です.
ADA,ゼロ年代頃はミズアオイ売ってみたり,陶製鉢を売ってみたり,中国流の鳴く虫飼育法を日本に導入してみたり,本社を森にしてみたりなどと今よりずっと手広く水辺に関してやっていたと思います.今もジメジメ系がメインではありますが,新しいジャンルを次々開拓するかなり貪欲なメーカーで好感が持てます.
ただ少し思うことがあって,現在の突き抜けアクアには決定的に足りていないものがあると思うんです.水中にもそれはどこにでもといっていいほどありますが,まったくといっていいほど普及せず,流通するものもほとんどが絶えてしまいました…
それは…
イネ科とカヤツリグサ科,デス!
毎日水生イネ科植物をたらふく食べていながら水草レイアウトにイネ科を導入しないというのはなぜなのだろうかと思います.ランナーで増えやすすぎるからでしょうか.最後まで生き残った唯一の例外,シペルス・ヘルフェリーは別として,なぜかADAですら導入しなかった印象があるんですよね.
ネイチャーアクアリウムというと「ロタラ,アヌビアス,ミクロソリウム詰め合わせ」になってしまっている印象がありますが,水槽に最も何でもかんでも導入したのってほかならぬADAだと思うんですよね.その追随者が珍しい水草をあまり使わなかっただけで.2021年のエキシビションでもエイクホルニア・ナタンスやら,アズレアの水上やら,アポノゲトンやら,あまり見かけない水草をかなり挟んできていました.正統派レイアウトとみせかけて,よくみるとオオバタネツケバナらしきものが映りこんでいたりする,それがネイチャーアクアリウムの元祖だと思います.
イネ科にしたって,ネオグラスエアにヨシ入れた例があるらしいですね.
とはいえあまり導入されなかったのは事実.
「イネ科とカヤツリグサ科こそ野外で最もよくみる水草なのに,なぜかシペルス・ヘルフェリーしか流通しない」現象.理由としてはいまいち使いにくい面があるからだと思います.イネ科は高CO2濃度を要求するものが多く,水中主体でやるぶんにはハードルが高いというのもあるかもしれません.気泡をつけすぎて,いかにも「陸生植物が沈みました」感があるというのも一因でしょう.カヤツリグサ科はいまいち原因がわかりません.地味に水中栽培が難しく,容易なヘルフェリーと大して違わないからというのが原因かな.最近入手のルズラエも普通に水草として育つし,イイ感じなんですけどね.もう流通は絶え絶えです.
しかし,抽水ではどうでしょう?水上部がエキノドルスやルドウィジアだけというのはなんとも寂しいというか,何か足りない感じがありませんか?そう,足りない要素は「雑草要素」だと思うのです.雑草感がないから自然感も出ない,なんか足りない感じになってしまうのだと思うのです.しかしそれが足りないことになかなか気づけない.なぜならフィールドワークでも,気になるものばかり強調されてバックグラウンドは見逃されてしまうから.そして,雑草要素なんて売っていないから.さらに輪をかけて,雑草要素の植物は大抵でかすぎて,水槽に入れるには無理があるから.
というわけで,水草レイアウトに実装されるべき植物は「抽水性で程よく小さなイネ科植物」だと提案します.南米ならスリナムパープルバンブーグラス,アジアならシルバーグラミネアとパープルバンブーグラス.そして小さめのヨシとかもランナーを制御できれば候補に入るでしょう.ジョウロウスゲ,イネなんかも抽水で導入できればいいかもしれません.
続く.