水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

1950年代の水草

1950年代の「原色熱帯魚図鑑」にある水草を,限られた写真からぶった切っていく回です.

参考にしたのは昭和33年の改訂版.著者は牧野信司.

 

サジタリア おそらくSagittaria subulata 浮葉は付けない長いタイプ.関西ファームの「ナタンス」に近い感じ.このタイプは1996の世界と日本の水草カタログでも確認していたと思う.

ジャイアントサジタリア 現行のものと変わらない.ナガバオモダカだろう.

バリスネリア バリスネリアとしか言えない...

コークスクリュウバリスネリア あまり写真はねじれていない.

カボンバ えらく貧相な株だ.

アンブリア アンブリアです.生長点のない写真で,恐らく当時はまだ育てられなかったのだろう.

ミリオフィラム 見たところホザキノフサモそのものに見えます.

セラトフィラム マツモです.

アナカリス オオカナダモです.

ルドウィジア 今流通する「グランドゥローサ」や「並ルドウィジア」っぽい感じのもの.最近見なくなりましたね.

ハイグロフィラ ポリスペルマです.

ジャイアントハイグロフィラ たぶんH. costata系の細葉です.現在のジャイアントハイグロフィラと同じかもしれません.

ヘテランティラ 今と同じです.

ナイアス 今の並ナヤスに見えます.

ウォーター・パースラン ディディプリスに見えます.しかしWater purslaneはルドウィジアのこと.理解に苦しみます...節間の詰まったニードルリーフ系の広葉(それこそこの前の別型ニードルリーフみたいな)かなとも思ったのですが.

スプリング・スターウォート 状態の悪いR. rotundifoliaかなあ...という感じ.でもこの名前だとミズハコベ類やパールグラスとかを連想するんですが,茎が太すぎるんだよなあ.

ウォーター・スプライト 今のものと大差ないです.

ウォーター・ウィステリア 今のものと大差ないです.

ウォーター・ナスターティウム 今のウォーターナスタチウムと同じに見えます.

ウォーター・マッシュルーム 今のものと同じに見えます.

ウォーター・クローバー なんと水中葉の写真があり,しかもベトナムクローバーのように水中でも四葉です.

バナナ・プラント 浮葉の写真もありました.

ニテラ 分岐の少ないタイプです.旧型と個人的に読んでいたタイプはやはり古いものでした.ミルフラスコモとかそんな感じの見た目.胞子嚢果ないからわからんけど.

レッサー・ブラァダーウォート オオバナイトタヌキモでしょう.

ウイロウモス 日本くらいしかこう呼んでないと聞きましたが,もしかしてういろうが語源?(冗談です)

ウォーター・ファン ネグロウォーターファン的なC. pteridoidesです.衝撃.

リシア リシアです.そんな昔からあったのか…

ダックウィード .後で再度確認します.

クィルウォート ミズニラ類です.くるくるカールするタイプ.

ヘアーグラス 驚いたことに状態よさげな栽培株の写真です.

クリプトコリネ ベケッティ

クリプトコリネ・ウィリィシィ

クリプトコリネ・アンダルタム

クリプトコリネ・クリフィッティ

クリプトコリネ・ロンギコーダ

クリプトコリネ・コルダタ

クリプトコリネ・シリアタ

えーっと,こんなにクリプトもってきてたんだ・・・

ローズ・プラント ウォーターローズだと思います.

スパター・ドック コウホネ.Nuphar sagittifoliaとかそういう細長い水中葉のやつ.

エキノドルス・ラジカンス さすがですね.

ラフルドソードプラント 流石ですねえ

アポノゲトン ウンデュラタム 

ドワーフリリー 多分温帯スイレン

ドワーフ・レースプラント 細葉レースプラント

ピグミー・チェン・ソード・プラント チェーンアマゾンです.

ナロウ・リーフ・ソード・プラント アマゾンソード・ナロー

ブロード・リーフ・ソード・プラント アマゾンソード・ブロード

マダガスカル・レース・リーフ・プラント レースプラント広葉

以上になります.

 

なぜか文章解説がない???と思っていたら離れた頁にあるとのことなので,読み直しつつ加筆予定です.

 

ウォータースプライトと(ネグロ)ウォーターファンのはなし (0)

ウォータースプライトについて一つ気になっていることがある.

この水草,何回も入れ替わりを繰り返しているのではないだろうか?

栽培難易度などからよく言われることである.

 

しかしさらなる疑念を抱いた原因のひとつに,1980年の「日本水生植物図鑑」を挙げてみる.

「熱帯魚の水槽に入れて,観賞用としているものに中南米原産のアメリカミズワラビC. pteridoides Hieronがある.一般にはウォーター・スプライトとよばれ,葉身は浮水性で淡黄緑色,裸葉は長さより幅が広く,葉脈はなく葉柄の中間が膨らむ.葉面または裂片の分岐点から逐次多数の不定芽を生じ,熱帯魚の水槽内では大繁殖を続ける」

この前半は明らかにネグロウォーターファンなどのC. pteridoidesのことを指している.著者が間違えた・思い違えた可能性もあるなあと思っていた.にしてはあまりにも記述がまるで見てきたかのようである.

 

そして.

昭和33年の「原色熱帯魚図鑑」を見てみると,「ウォーター・スプライト」は確かに今あるウォーター・スプライトであった.

それはまあいいのだが,それとは別に「ウォーター・ファン」としてC. pteridoidesが載っているのである.残念ながらこの本には水草の解説は一切ないのであるが,それでもこの水草がこんなにも昔から取引されていたことに驚愕させられる.

 

ということで,かなり昔からCeratopteris pteridoidesが流通していたことは確実視せざるを得なくなった.

 

それではここで疑問が生じる.

現在C. pteridoidesといえば「ネグロ」ウォーターファンである.

では「ネグロ」はいつついたのか?

そして,「ウォーターファン」とはどのように入れ替わったのか?

謎は尽きない.

 

 

 

 

ニードルリーフルドウィジアって何気に混沌では?

要約すると,今日売っていたニードルリーフルドウィジアがあからさまに別物に見えてとても嬉しいという話です.

モノと名前が違うものが「時々」入るぶんにはエキサイティングですからね.入れ替わってしまうとただの品質劣化ですが.

水中葉での入荷であり,水上葉の部分は全く見当たりませんでした.

節間は中途半端に詰まっており,ブレビペス/”サンパウロ”と比べると広めです.葉の概形もブレビペスとは異なっています.

半水中葉である可能性も捨てきれませんが,また違うルドウィジアだったら面白いところです.

L. arcuata×L. palustrisとかじゃないかなーと予想してはいますが,様子を見ていきます.

 

さて.気になっている点は

当時のブレビペスが今のブレビペスだったのか?ということなどです.

ニードルリーフルドウィジアサンパウロもブレビペス的なもの,ルドウィジア”クリスタル”もアヌビアスからのカタログではインクリナータだったものの来たものはブレビペス的なものでした.これらは本当にみんな同じブレビペスなのだろうか?本当はちょっとだけ違うのだろうか?元々のブレビペスとして輸入されたものはどんなものだったのか?

混沌のタネは尽きません.

 

まあ,育ててみたら普通だったオチもありうるのでお楽しみに~.

バコパのはなし③ 浮かぶもの,ヒシモドキもどき.

バコパの多様性,第三弾は浮かぶバコパです.

日本でも浮かぶBacopa rotundifoliaが帰化し,「ウキアゼナ」と呼ばれています.

東海では猛威を振るっているようですが北関東では局所的かつあまり広がる様子がないので,定着にはある程度の条件が必要なようです.

ウキアゼナはまるで「ラージパールグラスの水上葉をウォーターバコパの大きさにしたような」水草なので,遠目でも目立ちますし,あからさまにそれとわかる殖え方をします.ナガエツルノゲイトウなどとおなじく普通のアクアリウムに使える水草ではないので,輸入ルートはアクアとは別なものではないかと思っています.

さて,ウキアゼナは文字通り「バコパが水面に浮かんでいるだけ」なのですが,もっと水面に適応した,非常にユニークなバコパが世の中には存在します.たとえば,Bacopa egensis.

 

Bacopa egensis

分布 北米南部~南米北部,アフリカ熱帯地域

 

www.gbif.org

https://www.researchgate.net/profile/Daniel-Gonzalez-Socoloske/publication/346956380/figure/fig1/AS:967664377819136@1607720574924/Bacopa-egensis-Poepp-Pennell-in-Tabasco-Mexico-A-In-natural-habitat-on-the-shallow_W640.jpg

Can someone identify this freshwater tropical natant plant?

特徴

ヒシモドキによく似た浮葉~浮水植物.茎は無毛で下部の節間は5~7㎝,先端に荒い鋸歯のある葉は先端にかけて密になり,ヒシに似た浮葉ロゼットを形成する.萼片はBacopa属としては珍しいことに4枚(通常5枚),雄蕊は3本(通常4本).花弁は4枚のうちしばしば2枚が合着しており,3弁に見えることもある.

 

本種は水位変動のある水域で泥から発芽し,成長すると水面に浮かぶようになります.形態はバコパとしてはかなり特異なもので,4枚しかない萼片や花弁,雄蕊が3本であるなど,同定しやすい種です.もっぱら南米の種とされてきましたが,アフリカからも報告が出ています.

ヒシモドキやヒシ,コビトヒメビシによく似て大きな鋸歯がロゼット状になった先端部を取り巻くように並んでおり,この形質にはなにか有用性があるのではないかと感じさせます.

アクアリウムにおいてはまったく未導入です.熱帯性なので帰化する危険性はあまり高くないとは思うのですが...

ヒシによく似た植物として,ウォーターダイヤやヒシモドキと並んで紹介されるべき水草ですが,知名度は絶望的なまでに低いです.

では最後に.

バコパはいいぞ!

(つづく)

バコパのはなし② アクアリストの知らない「金魚藻系バコパ」そして,アクアリウムの「バコパ レフレクサ」とは何だったのか.

バコパ レフレクサ…これもアクアリストの知らないバコパです.

アクアリウムではなぜか「葉が数輪生しかしないショボいバコパ・ミリオフィロイデス」のようなものがレフレクサとして扱われてきました.さらにアクアフィーチャーでは「南米のパンタナール湿原に水上型で自生している種類.水中葉はB. ミリオフィロイデスのような輪生する形状で,葉は非常に柔らかい.水上葉はB. カロリニアーナをパールグラスのサイズにしたような形態の水上葉で,咲いていた花は美しい紫色で葉(5㎜くらい)よりも大きかった.水上葉と水中葉がこれだけ異なる種類も珍しい.」

とあり,B. reflexaの性質とはどうも異なっています.

 

バコパ レフレクサ

Bacopa reflexa 

=Benjaminia reflexa

colombia.inaturalist.org

分布:南米北部~中部 

季節性の池など

 

形態

沈水~両生の水草です.葉は6~8輪生で4~26㎜,深裂し羽状複葉で,水中茎は無毛,水上茎は毛が生えます.花は葉腋に一輪ずつつき,1~2㎝の花柄で水面を突き抜けて水面に咲きます.花は白~薄紫で喉部に黄色のパッチがあり二唇形です.

 

近似種

いません.しいて言えばカボンバやミリオフィラムがあげられます.

 

アクアリウムにおいて

水中葉はオレンジ色~褐色で,オレンジミリオフィラムを小さく繊細にしたような外観をしています.

魅力的な外観からカッセルマンが導入を試みたものの,失敗しています.南米北部,季節性の水域を好むことから高光量と軟水,強烈な肥料分を好むと予想され,ドイツ式の育て方には合わなかったのではないでしょうか.

本種は水上葉も輪生の羽状複葉で,少なくとも水上葉が対性であるという記述は見当たりません.

 

 

全然違いますね.

ではほかの輪生Bacopaはどうでしょうか?

バコパ ミリオフィロイデス

Bacopa myriophylloides

分布 南米中北部

形質

水上葉は細く輪生し6~12輪生.水中葉は赤く糸状.

アクアリウムにおいて

昔から一般的な水草ですが,うまく育てた例をほとんど聞きません.腕試しにどうでしょう.本種は紅の水草です.そのポテンシャルを生かせるかどうかは腕次第.

おまけ:この葉が真に輪生しているのか,それとも掌状に裂けた輪生なのかに関しては議論の余地があるらしいです...

 

もう詳しく書く以前にミリオフィロイデスはミリオフィロイデスです.ミリオフィロイデスは語りたいことが沢山あるので以前も散々語ってきましたし,また語ることにします.次.

 

Bacopa verticillata

分布 南米広域

形質

水生,水中葉は3~5輪生で細かく分岐し,水上葉は分岐~全縁.葉は7~16㎜×1~3㎜.花は腋生で0.5㎜の花柄につき,花冠は上唇2.5~3㎜×1.5~2㎜,下唇3.2~3.8㎜×1.8~2㎜,白~淡青色,花筒3~4㎜.

 

 

特徴がかなり近いですが,本種の葉はアンブリアのように分岐し,バコパ・ミリオフィロイデスとは一見して異なります.花の色も紫ではない...

 

じゃあ,「レフレクサ」ってなんだ???

 

といったところで,普通に知られている輪生バコパのどれにも当てはまらず謎でした.

しかし2020年に新種,Bacopa llanorumが記載されていることに気づき記載を見てみることに.

 

Bacopa llanorum

分布 コロンビア~ベネズエラ

葉は二形をしめし,対性~4~6輪生.花冠は薄紫.

(残りは次の記事で!)

本種はなぜかGBIFやKewのプラントリストには記載がなく,見逃していました.

形質としてはまさに,アクアルートで知られてきた「バコパ レフレクサ」に合致しそうです.

しかし本種はあのようなバコパが採集されたパンタナルやアラグアイア流域には分布しておらず,この点で矛盾します.

本種は近縁種としてブラジルに分布するB. reptansとの共通性が大きいことが言われており,B. reptansなどに紛れてきた可能性,またはほかのBacopaにも水中葉を作ると大化けする可能性も否定できないと思いました.さらに,ブラジルの検索表では「輪生で分岐しない,3輪生以上=ミリオフィロイデス」となってしまうので,余計無視されそうです.

 

次回はこの可能性について検討し,アクアリウムにおけるバコパのさらなる可能性について語ろうと思います.

 

Scatigna, A. V., & Mota, N. F. D. O. (2017). Flora of the cangas of Serra dos Carajás, Pará, Brazil: Plantaginaceae. Rodriguésia, 68, 1077-1083.

Sosa, M. M., Moroni, P., & O’LEARY, N. A. T. A. L. Y. (2018). A taxonomic revision of the genus Bacopa (Gratioleae, Plantaginaceae) in Argentina. Phytotaxa, 336(1), 001-027.

Furtado, M. N. R., Secco, R. D. S., & Rocha, A. E. S. (2012). Synopsis of species of Lamiales Bromhead occurring in the coastal strand vegetation of Pará State, Brazil. Hoehnea, 39, 529-547.

Rangel-Ch, J. O., Minorta-Cely, V., & Castro-Lima, F. (2020). Notes on the Genus Bacopa (Plantaginaceae, Gratioleae) in the Orinoquia Region of Colombia and Venezuela. Harvard Papers in Botany, 25(2), 195-203.

 

 

 

 

 

 

バコパのはなし① アクアリストの知らない「細葉系バコパ」

バコパと言えば「丸葉で対性」だと思われがちですが,誤りです.

そもそもバコパ属のタイプ種であるBacopa aquaticaが細葉ですし,他にもアフリカ~南アジアのB. floribundaをはじめ細葉系Bacopaは沢山います.しかしながらアクアリストにこうした細葉系のBacopaバコパとして紹介されたことはいまだかつて一度もなく,誤った流通名で知られてきました.特に姿やサイズが近いポゴステモンと混同されやすかったようです.

では紹介をば.

 

バコパ・アクアティカ

Bacopa aquatica

現地名 Comida-de-tracajá

www.lachaussetterouge.fr

uk.inaturalist.org

分布:中米~南米北部,アフリカ中部~西アフリカ(B. decumbens,B. lacertosaをシノニムとした場合)

南米北部の比較的海岸にちかい氾濫原(狭義の場合)

 

形態:鋸歯をもつ2~6㎝の細長い葉を対性~三輪生させる15~40㎝の直立する草本です.形態にはバリエーションが大きく,葉の基部は細くなることも,茎を抱くこともあります.茎は艶が強く断面は丸く,葉には腺点を持ちます.バコパ属の雄蕊は基本的に4本ですが本種の場合5本となることもあり,例外的です.花は葉脇に1個~稀に2個ずつ,0.5~2㎝の柄の先につきます.ガクの直下には糸状で長さ1~3㎜の小苞をもちます.萼および花はBacopa属として特に変わったものではなく,花色やサイズをはじめ非常に変異幅が大きいのですが,雄蕊は狭義には5本とされます.花色はピンク~青~紫と様々です.

 

近似種

雄蕊が4本のものはB. stellarioides(4本で葉幅が狭い)やB. bacopoides4本で葉幅が広い)と呼ばれる場合があります.花柄の短いタイプはB. decumbensやB. lacertosaと呼ばれることもあります.B. decumbensを含むとした場合アフリカにまで分布が及びます.

B. gratioloidesは草体がよく似ていますが外側の萼片が披針形です.

アフリカ~アジアのB. floribundaもよく似ています.B. aquaticaの茎は光沢がありますが,B. floribundaの茎はざらつき,光沢はありません.またB. floribundaの花は明確に二唇形です.

 

アクアリウムにおいて

B. aquaticaは独特な種で,アクアリストの知るバコパとは大きく異なっています.

寸法や葉の形状,育ち方,伸び方(先端付近では節間が中途半端に詰まり,その後伸びていく)などはサンフランシスコ・グリーンステラータによく似ており,同種がおそらく旧ゴマノハグサ科であろうこと,またブラジルの旧ゴマノハグサ科に他のそれらしき水草が見当たらないこと,同種が3輪生になることがしばしばあったことから本種ではないかと現時点では推測しています.

尚,サンフランシスコ流域は本種の分布の南限です.

 

バコパ フロリブンダ

Bacopa floribunda

 

eol.org

www.botswanaflora.com

分布:熱帯アフリカ~熱帯アジア~北部オーストラリア

湿地や池,川の淵など

形態

細長い葉を対性させる高さ~40㎝の草本です.葉は1~4㎝,無柄で茎の断面は丸みを帯びた4角形,葉茎ともに光沢はありません.花は葉腋から5㎜ほどの柄をもち,その先につきます.萼片は2枚の細長い~3.5㎜のものと3枚の~6.5㎜のものからなります.花は二唇形で長さ4~6㎜,花色はピンク~青~紫と様々です.

 

近似種

アフリカではB. decumbens(≒B. aquatica)と同所的に生育します.アジアでは直立する細葉で花が有柄のバコパは他にないと思います.

 

アクアリウムにおいて

現地でもしばしば水中で生育し,(Kennedy & Murphy, 2012)アクアリウムプランツとして使われうる種と思います。

 

Souza VC, Giulietti AM. 2009. Levantamento das espécies de Scrophulariaceae sensu lato nativas do Brasil. Pesquisas, Botânica 60: 7–288.

https://www.zimbabweflora.co.zw/speciesdata/species.php?species_id=151310 2022/5/1閲覧

Kennedy, M. P., & Murphy, K. J. (2012). A picture guide to aquatic plants of Zambian rivers. SAFRASS Deliverable Report to the African, Caribbean and Pacific Group of States (ACP Group) Science and Technology Programme. University of Aberdeen, UK, 25.

ブラジル産バコパの種までの検索(日本語版)

バコパ語りをする前に,

まず南米産バコパの検索表を和訳しました.

基本的に南米のバコパはブラジルにはいるので,ほぼ南米産バコパを網羅している筈です.南の方だとアルゼンチンの文献も持ち合わせているのであとで追加します.

 

1.結実時,外側の萼片の基部は鋭角か丸みを帯びる.葉は半月形、線形、披針形、長楕円形、楕円形、卵形、またはこれらの中間形.葉縁は鋸歯状.葉の基部は鋭~鈍,円状など.

2.葉は対性.

3.背側の萼片の先端は球形(cochleariform)

・・・Bacopa cochlearia 

3.背側の萼片の先端は平坦

4.葉は有柄

・・・B. stricta

4.葉は無柄

5.茎下部は翼状となる

・・・B. angulata

5.茎下部に翼をもたない

6.花は無柄~柄は0.2㎝

7.花筒は0.1~0.15㎝

・・・B. monnierioides

8.萼片は4枚

・・・B. egensis

8.萼片は5枚

9.枝葉に剛毛をもつ

・・・B. congesta

9.枝葉は無毛~産毛をもつ

10.外側の萼片は披針形

11.10~15㎝の直立する草本,葉長は0.4~0.9㎝・・・B. depressa

11.25~60㎝の直立する草本.葉長は2.3~7.8㎝

・・・B. gratioloides

12.花は腋生で1つずつ着く(稀に2).ガクは0.2~0.3㎝,花冠は0.3~0.4㎝.

・・・B. sessiliflora

12.花は腋生で短い花柄を持ち,主枝の頂点付近に集中するが,株の下の枝の葉脇にも花をもつ

・・・B. pennellii

 

6. 0.25~3.3㎝の花柄をもつ

13.剛毛,軟毛または無毛,ビロード状,灰白色

14.葉は1.5~2.1㎝

15.葉の基部は細くなり,萼は無毛

・・・B. aquatica

15.葉の基部は耳状,萼は縁と中肋がわずかにざらつく

・・・B. scabra

14.葉は0.25~0.7㎝

16.葉の基部は鋭く,小苞はない.枝は無毛もしくは灰色で,子房にをとりまく剛毛はない

・・・B. reptans

16.葉の基部は丸く,基部は茎を不完全に巻く.小苞は1~2枚,枝の先端はビロード状

・・・B. arenaria

17.葉は線形~披針形

18.葉は鋸歯をもち,葉基部は耳状~亜耳状

・・・B.gracilis

17.葉は円形~卵形

19.葉は卵形,幅0.15~0.5㎝

・・・B. monnieri

19. 葉は円形~楕円形,幅1.1~1.6㎝

・・・B. rotundifolia

 

2.葉は3~12(14)輪生

20.羽状の葉

・・・B. reflexa

20.葉は線形~狭披針形

21.花は無柄~0.05㎝

・・・B. verticillata

22.花は0.4~2.2㎝の柄をもつ

22.葉は3輪生で1.5~5.7㎝・・・B. aquatica

23.葉は6~12(14)輪生で0.35~0.6(0.8)㎝

・・・B. myriophylloides

 

1.結実期の外側の萼片は基部が心臓形,葉は楕円形~長楕円形,葉は全縁で葉の基部は円形.

23.茎および花柄は軟毛~無毛.

24.雄蕊は2本,花柄は開花期に0.15~0.2㎝

・・・B. repens

24.雄蕊は4本,花柄は1.4~3.7㎝で雄蕊は4本

・・・B. australis

23.茎及び花柄はビロード状でトリコームは直立もしくはマット状

25.小苞はなく花冠は萼と同じ~1㎜長い程度,子房は剛毛に囲まれない・・・B. salzmannii

26.小苞はあり(ないこともある)子房は剛毛に囲まれ(しばしば多くの歯を持つ蜜腺と解釈される)る

26.葉は円形~楕円形・・・B. lanigera

26.楕円形~亜楕円形の葉

27.葉は1.5~2.1㎝で花冠は0.35~0.55㎝・・・B. caroliniana

28.葉は0.7~1.0㎝,花冠は0.7~1.0㎝・・・B. serpyllifolia

 

出典:Souza VC & Giulietti AM (2009) Levantamento das espécies de Scrophulariaceae sensu lato nativas 
do Brasil. Pesquisas, Botânica 60: 7-288.

 

ふぅ.翻訳つかれたあ~...印欧語の間では制度が高いらしいけど,英語→日本語の機械翻訳は正直あまり役に立たなかった.私はポルトガル語まったくわからないので翻訳サイトを使ったけれども,もしかするとポルトガル語→英語で誤訳があるかも.

検索表を訳するシリーズ,誤訳こそあれ多分需要があるので(???),時々やってみるのもありかもしれません.