水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

エゾヒルムシロ Potamogeton gramineus

(ライト版)

小型で繊細な水草で,葉は3㎝ほどが普通です.触ったら溶けそうなほど透明度の高い,細長い笹の葉状の葉を互生させます.先端付近では浮葉を出すことがしばしばあります.形態は多種多様で,他の種と交雑することも多く同定は困難です.あまりの形態の多様性から,英名がvariable pondweedというくらいです.最も特徴的な点はその小ささ,透明度,そしてほとんどの枝で枝分かれをする特徴的な分岐様式です.名前の通り北方系の水草で,本州では一部の地域でしか見られません.ヒルムシロ科の中でも水質悪化に極めて弱いことが知られており,現在高山湖に分布が限られているのは果たして暑さに弱いためか,それとも平野の水質が悪化したためか….

形態は全く似ていないものの,ガシャモクPotamogeton lucensと極めて近縁です.

両者の雑種であるツガルモクPotamogeton × angustifoliusは種子を作ることができるほどです.エゾヒルムシロの中にも葉の表面がツルツルなものから,葉の表面の凹凸がはっきりし,少しガシャモクっぽい雰囲気をもつ個体群まであります.日本ではいまや極めて珍しくなってしまったガシャモクとエゾヒルムシロですが,世界的には広く分布しありふれた種で,もしかすると互いに複雑な交雑を経てきたのではないかと思わせます.

ヒロハノエビモとの雑種(ササエビモ Potamogeton × nitens)は別に解説しようと思います.