水草オタクの水草がたり.

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バークレア栽培情報

この前モトレイがバカ売れしたのに続き,ボルネオのBarclaya,ものすごい勢いで売れましたね.

 

Jacobsen et al., 2022にBarclayaの栽培情報があったので要点をかいつまんでみる.

参考あれ.

B. longifoliaに関しては中性pHで栽培できる(loam and mineral soilとあるから,ソイルでよいだろうし,なくても土メインの砂泥環境を用意しておけばよいだろう)

問題は丸い葉の種群.

Leaf peat単用で生存可能だが,鉱物土壌を加えることによりより良い成長を望める可能性がある,とある.

Leaf peatというのがイマイチ聞き覚えがないが,恐らく熟度の高い腐葉土のことだろう.これが肝要らしい.

B. rugosaは成熟した株は水中では生育できず,B. rotundifoliaは沈めると水中葉のみになるか,抽水形になるとのことである.

 

 

全訳

我々はマレーシア科学大学ペナン校およびコペンハーゲン大学の温室で30系統以上のBarclayaを栽培し,長年にわたり現地でのBarclayaの生育を調査してきた.

Barclaya longifoliaは,中性pH下において土と砂の混合土壌で容易に栽培可能である.頻繁に開花し,自家受粉により果実および発芽可能な種子をつける.種子は水に浸すと発芽する.

丸葉の種はLeaf peat単用でよく育つが、鉱物質の土壌を加えるとより良く育つ可能性もある.B. motleyiは十分なLeaf peatがあればよく成長・開花する.果実は自家受粉の後4-5ヶ月で成熟することが多く,種子は水中でも発芽する.果実をつけない花も観察されており,自家受粉が必ず起きるとは限らないかもしれない.葉の形・色・質感は光の強さに依存する.通常の日照条件で栽培した場合には葉は濃い茶紫色をしているが,日陰や北欧の冬場のような低照度では緑色の葉をつける.Barclaya hirtaはLeaf peatでよく育つが,花はほとんど咲かない.果実は観察されなかった.

Barclaya kunstleri (Johor産)はLeaf peatでよく育ち,花も咲き,葉身は緑色で赤い葉脈が発達する.B. kunstleri (Perak産) は,緑色の葉を展開する.栽培では結実は確認されていない.

自然界では、Barclaya rotundifoliaは水中でも抽水でも生育する.

栽培では植物体や苗は何年も水中で成長する.成熟し開花した株を恒久的な水中環境に移植すると最初にできる葉は丸くなり,次いで幼葉のような細長い葉が作られた.ここから生育を続けると最初の葉と同じような丸みを帯びた葉が作られた. このまま成長しても、成葉は発生しなかった.また、別の実験では,大きな苗を抽水状態に移したが,やや小さめの抽水葉が出るだけだった.

Barclaya panchorensisは水中で繁茂し開花する.栽培では自家受粉による結実が1個観察された.

Barclaya panchorensisとB. motleyiのいくつかのタイプは多数のランナーで水槽を圧迫して成熟した植物への成長を阻害し,開花率を下げることがある.すべてのストロンを除去したところ,B. kunstleriの若い株が開花を開始した.

B. rugosaの成株は水中では生長しない.しかし,幼株は水没した状態で何年も生育することがある.果実の形成は栽培下で観察されていない.

 

 

ぼくならどうやるだろうか?

Leaf peatは謎ですが,普通の腐葉土単体だと腐りそうです.相当熟度の高いものを使う必要があると思います.長繊維ピートに比べると富栄養だと思われますし,スイレン類ですから相当に富栄養を好むでしょう.性質が近いものとしてはケト土が真っ先に思い当たりますが,ケト土も単用だと腐りかねないので,代用品としてはパワーサンドあたりがよさげな特性を示しそうです.長繊維ピートはおそらく有効です.

というわけでパワーサンドに植え込んで長繊維ピートで被覆,追肥適宜,フィルターなしの止水で浅め,というのを提案します.

 

(とか言っときながら買ってないんですが.茶色い葉っぱにはあまり魅力を感じないので…)

 

参考文献

Jacobsen, N., Ganapathy, H., Ipor, I., Jensen, K. R., Komala, T., Mangsor, K. N., ... & Ørgaard, M. (2022). A reassessment of the genus Barclaya (Nymphaeaceae) including three new species. Nordic Journal of Botany2022(5), e03392.

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/njb.03392