水草を主体としているグループながら,知名度があるのはウォーターバコパとモンニエリくらい.市場で見かけるのもそのくらいです.
なんとなく,バコパといえば丸い葉というイメージがあります.しかしこれは大きな誤りで,我々アクアリストに紹介されたバコパ属が丸葉のものばかりであるためです.バコパ属は丸葉の対性(Bacopa monnieriやBacopa carolinianaなど),細葉の対性(Bacopa aquatica, Bacopa floribundaなど),線形の輪生(Bacopa myriophylloides),分岐する輪生(Bacopa reflexa, Bacopa verticillata)など様々なものがあります.そして,どのタイプにも水中適応可能なものが含まれます.
ガク及び花弁は5放射状で花はしばしば二唇状,雄蕊は基本的に4本です.ガクはしばしば特徴的な構造をしています.ふつう,5放射状のうち3枚が突出して大きく,細長くなった2本は内側に入っており外側からはあまり見えません.そのためまるで三角テントのような構造になっており,三角テントの先端から花弁が覗くような咲き方をします.そのため,水辺でこういう花を見つけて,かつ旧ゴマノハグサ科っぽい花であれば高確率でBacopa属であるといえるでしょう.そもそもバコパとは,そもそも約60種と,水辺のオオバコ科で最多種数を誇る属です.同じオオバコ科であれだけ水草としてありふれたリムノフィラが約45種しかいないことを考えれば,
であります.
あれだけ混沌としてオーバースプリットされている(と私は思っている)ブセファランドラで31種,クリプトコリネで68種.
この数字を見れば,バコパがこうした「コレクター植物」に匹敵する多様性をもつことが納得いくかと思います.
(ちなみに,種数で言ったら数百単位のホシクサ科が最強...)
さらに.
バコパは「人気がない」ゆえに,同一種とされているものの中にも広範なバリエーションがあります.しかも,グローバルワイドに分布しているものも多い.つまり...産地別コレクションのしがいがあるのです.インドのモンニエリ,ブラジルのモンニエリ,マダガスカルのモンニエリ.これだけでもやる気が起きてくる(?)コレクターは...いないか...やっぱり草体に個性がないって?
...
いやいや多様性は先述したように驚異的なものがあります.
沈水性のBacopa reflexaはミリオフィラムそっくりですし,Bacopa verticillataはアンブリア系のリムノフィラを彷彿とさせる姿です.B. aquaticaやB. floribundaはまるでポゴステモンのようで・・・
「みんな○○みたい」じゃん
えぇ・・・
しかし流行りとは,価値とは,コレクターとは,ブームとは.作り作られるものであって,自然にわいてくるものではないのです.
興味がないから,そういうブームの火付け役がいまだ現れていないから,そして何よりカネにならないから…バコパは軒並み「○○もどき」で済まされてしまい,コレクションの価値がない駄物として扱われ,中途半端なサイズからレイアウトにすら使われないのではないでしょうか.
というわけでここで唱えますよ,
「バコパはいいぞ!,クリプト並みにはコレクション性があるぞ」
と.
というわけであらゆるニッチに進出したバコパの面々について述べていきましょう.